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3/30/2012
長期金利上昇局面:円安と資産価値上昇は必ず起こる
今週末はいよいよ大学バスケの準決勝だ。オハイオステートとカンザスの一戦は面白い試合になりそうだ。ジェイホークスがバックアイズを負かすとみた。ルイビルとケンタッキーの同州対戦は地元では盛り上がっているのだろうが、ケンタッキーがあっさり勝つとみた。スポーツにばかりうつつを抜かして、経済や政治の記事が少ないと言う趣旨のお叱りの意見を頂いた。古い読者もいるので、たまに経済の話を書く事にする。
日本経済が好調だ。全ての指標が良くなっている。地震のことは勿論であるが、過去数年は社会主義首謀者の政争に経済が巻き込まれ、社会全体が安定さを欠き、経済が無意味に悪くなっていた。野田政権がごく普通のあるべき政権運営をやっているため、その谷底からゆっくりと着実に回復している感がある。外環境のおかげで、円が必要以上の強さを見せたことで、購買力も上がり、世界的な材料価格の上昇を相殺することが出来た。
ただ景気が回復してくると、私たちは昔のツケを払わなければならなくなる。旧態依然とした自民党「おらが」優遇政権がたっぷりと50年に渡ってため続けたツケが膨れ上がっており、その返済を迫られる事態になってしまうからだ。
具体的にはどう言う事か?経済が回復しだすと、長期国債の需要が落ち、長期金利が上がり出すのだ。長期金利上昇が問題を誘発する事になる。長期金利の上昇は、長期国債の価値を落とすため、長期国債の需要がさらに萎んでしまい、市場ではますます長期金利が上がり、均衡点に達するまで金利が上昇し続けることになる。
銀行や生保は馬鹿ではないので、自分たちが損をしないために、長期国債から短期国債や、リスクを伴う株や不動産などにポートフォリオをシフトさせることになる。政府は長期国債購入を銀行や生保などに強引にやらせていたが、銀行も「ババ」を引くほど馬鹿ではないのだ。長期金利が上昇してくると、ババを引かないために、大手が理性的な行動に走り、長期国債価値の急落と長期国債金利の急上昇は避けられない事態となる。
政府は指を加えて見ているのか?答えはイエスである。為替が変動する日本で、長期金利をコントロールすることは恐らく無理である。まともな政府は短期金利はコントロールできるが、長期金利はコントロールできない。長期金利は市場が決めるのだ。イールドカーブが急になってくると、短期でお金を借りて、不動産や株にお金を入れる行動が加速する。長期国債が売れないので、円は安くなる。不動産や株価の上昇と円安の影響で、目に見えて物価が上昇する。で、日銀の答えは、短期金利の上昇だ。最終的に金利をあげるしかなくなってしまう訳だ。
円はますます安くなるし、株価や不動産はますます上がる。そして、国債は売る人が増え、まともな人は買わない。
ここまでは恐ろしいシナリオでも何でもない。ただの経済サイクルの話である。しかし、問題は日本の経済状況が過去20年間どうであったのか、という事だ。デフレになれたポートフォリオを一般の人達は組んでいた。つまり、現金保有だ。その流れが一変するような事態になり、混乱が起こってしまう。経済の事が解らない人達が再び馬鹿を見る可能性があるのだ。
もう一つ、何故経済サイクルの普通の出来事が起これば恐ろしい話になるのか?それは過去20年の間に政府がインチキをしまくった事の綻びがほどけるからである。具体例は枚挙に暇がないが、フラット25、中小企業支援政策、農林中金などが行っている融資など、政府が絡んだインチキ金利政策が世の中に溢れている。この辺りが全て含み損を出し、政府のバランスシートを傷つける。金利が上昇すれば、政府が大きな含み損を抱えて、納税者に大きな負担が発生してしまうのだ。残念ながら、政府が今まで何十年もに渡り実施してきた無駄な政策は、必ず我々にブーメランのように返って来る。
本当に恐ろしいことは、この絶対にやって来る危機について、銀行も証券会社も財務省も日銀もはっきりと認識していることである。そして、必ずババを掴まされる連中が出てきて「想定外であった」と嘯いてみせるのだ。
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