9/30/2013

レンジャーズ、勝負の一戦を捨てに行く采配

いつも通りと言えばそれまでだが、テキサス・レンジャーズのロン・ワシントンは狂っているとしか思えないのだ。

ルーキーピッチャーを一戦でも負ければ終わりの場面で先発に起用した。ペレスは一回からアタフタとしたピッチング。明らかに球が浮ついていた。運良く一点のみで切り上げたが、勝負あったという感じだ。相手は不動のサイヤング・エース、デイビッド・プライス。あんなに積極的なピッチングを見せられたら、まあ、しゃあないわ。

さらに、ジュース(ステロイドの隠語)問題が発覚して、出場禁止処分が解かれたところのネルソン・クルーズを先発で使った。その時点でやる気が足りないと考えられても仕方なかった。

勿論、先発の順番からして、今日はロペスでしかりであった。シーズンを通してルーキーながら二ケタ勝利の大活躍をした。デイビッド・マーフィーを使うくらいなら、出場停止明けのネルソン・クルーズの方がマシである、という意見も、その通りだと思う。しかし、これらはシーズンを通してのロン・ワシントンの采配の結果であり、長期的な視点に立たずに戦略を欠いて戦った愚かな将と映ってしまうのだ。タンパベイのマドンと比べると、何をかいわんやである。

ロン・ワシントンの采配の悪さについては毎年書いているので、もういいだろう。ライアンも、真剣に監督の交代を模索するべきである。諸悪の根源はこの人なのだから。


9/28/2013

半沢直樹に関する一考察

遅ればせながら、半沢直樹を見た。ストーリー展開が簡単に読めるので、安心して視聴できる良娯楽ドラマだった。言い尽くされている感はあるが、「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」などとも通じる勧善懲悪であり、視聴者が嫌がるような悪いサプライズは全くない。「倍返しだ」という決め台詞など「待ってました!」とばかりに使われている。まるで葵の御紋である。悪い奴をキッチリと懲らしめ、めでたし、めでたし、となる訳だ。

その癖、実際の社会と変に近い距離がある。大阪編では、ヒルトンのカフェ、空中庭園、六甲の展望台と、見るだけでわかる場所が映されていて非常に懐かしかった。特に阪急百貨店の佇まいは、改装されたとはいえ個人的に「実家」の様なものなので、遠いアメリカ南部でその姿を画面に拝むと、妙にしんみりとしてしまう。東京編でも三井本館など、馴染みのある場所が色々写っており興味深い。配役も中々でみんなの演技に違和感がない。北大路欣也が頭取であるとか、ちょっと視聴率狙い感が透けて見えすぎる気もするにはするが。

私の周りには「経済通」の人が沢山いるのだが、その人たちの強がりが面白い。結構毎週喜んで視ている癖に、半沢直樹のストーリーは現実的にはあり得ない、と来るのだ。「はあ?」お兄さん、これは漫画ですよ。

現実の銀行業務で半沢の物語などあり得ない事など、多分誰でも解ると思う。不良債権処理が推し進められて以降、大銀行が必死に間接金融にかかわって稼ぐ姿など、考えにくい。損失が個人の責任として露呈する事も、日本ではあり得ない。有耶無耶で損失が出ていました、というのがパターンである。悪い事をする奴らの裏にヤクザが絡んでいない事も有り得ない。西大阪スチールの様な場合は、必ずヤクザが銀行関係者や役人と絡む。西大阪スチールを見ているとイトマンを思い出したが、宇梶剛士のやり方で個人資産を作れるほど現実は甘くない。そういった事を指摘したくなる気持ちも解らないではないが、現実と違うからドラマがつまらないとはならない。

経済通で半沢直樹を批判する側の人達はまるで、水戸黄門や暴れん坊将軍を視て、元副将軍や将軍が市井の人と関わるなど、現実離れしているから面白くない!アイアンマンやスパイダーマンは物理法則に反しているから見る気も起きない!などと言っている幼稚なレベルと変わらないではないか?まあ、一過言したい気持ちも解らないでもない。

ただ、ドラマを視ていて違和感を覚えた事は沢山あった。(これは漫画です!)

ドラマ全般に言えるのだが、実際の社会で声を荒げて人と人が知的に対立する事など、まずあり得ない。半沢の様な態度を取れば、普通は手が先に出る。敵同士で、コミュニケーションがああも上手く行き、勝ち負けが明白になる事などあり得ない。今までの人生の中で、ドラマのようなコミュニケーションが取れる日本人を数えてみると、5人くらいしか思いつかないのだ。それらの人達ですら、楽しい雰囲気の場でのみしかそのようなコミュニケーション能力は発揮できない。日経ビジネスなどの記事で、半沢みたいなサラリーマンを目指す若い人がいるというような話も出ていたが、喧嘩に巻き込まれたくなければ、半沢のようなコミュニケーションを実社会でとってはいけない。あれはドラマである。

一番気になった点は、半沢が悪い奴らを懲らしめるのだが、法律を犯した悪い奴らを刑事告発していない点である。銀行はそれらの違法行為を内部隠蔽し、人事のみで懲罰している。これはコンプライアンス違反である。銀行内部の悪い奴が3000万円を横領紛いで紛失し、その金を銀行が補填する。しかも、悪い奴は「島流し」や「降格」されただけだ。この補填した3000万円は誰の金か?という問題が残る。金は金だ。損失を補填するには、誰かの金を使わなければならない。組織自体は金など持っていない。すべては何らかの個人に寄与するのだ。

さらに西大阪スチールの件に関しても、12億円を差し押さえたとして(何故その個人名義の口座が国側にばれなかったのか不思議で仕方ない)、国税と銀行が折半したとして、他の不渡りを喰らった中小の債権者はどうなるのか?その人たちは家族が無いとでも言うのだろうか?(勿論、これは漫画です。)

まあ、こういう事だが、久しぶりに気持ちの良いドラマを視た。続編を期待する。

9/19/2013

蛯名建一、アメリカガットタレントで優勝。一億円を入手。

で結局、蛯名建一さんが、日本人ながらアメリカガットタレントを優勝し、一億円を手に入れ、さらにはラスベガスでの単独ショーを開催する事となった。おめでとうと言いたい。

個人的には、漫才師やポップ歌手のおねえちゃんも好きだったのだが、まあ妥当な判断だと思う。テレビを見ていない人もいるだろうから、ユーチューブの画像を貼っておく。予選の二つのダンスである。

マトリックスダンス

ゲームのキャラクターに

9/17/2013

ケンイチ・エビナのダンスパフォーマンス

私はアメリカ・ガット・タレントという番組をずっと見ているのだが、ケンイチ・エビナという日本人パフォーマーが破竹の勢いでこの番組を勝とうとするかのようだ。

ロボット・パントマイムやゲームを模したダンスなど、見ていて面白いダンスパフォーマンスを次々に繰り広げる。特に、一番初めにシカゴのオーディションで見せた、顔が落ちたり、マトリックスを模したようなダンスは、かなり衝撃的だった。辛口だが常識人のハワード・スタンも、ディール・オア・ノーディールのハウイー・マンデルもベタ褒めだ。

蛯名さんはアメリカの大学を出ているというが、ジャパン・ガット・タレントではなく、アメリカ・ガット・タレントに日本人が出て来て勝ってもいいのかな、と思うのだが、それは問題ないだろう。

日本野球でも、オランダ領キュラサオ人が中華民国人のホームラン記録を抜いただの、抜いてはいけないだので盛り上がっている。年間55本は中華民国籍の日本国民栄誉賞を受賞されたスーパースターだけの単独記録ではなく、名球会資格を有するアメリカ人も、ベネズエラ人も追いついているのだ。つまり、実力主義のエンターテイメントに国籍も糞もない。実力に物を言わせて、蛯名健一さんには快進撃を続けて欲しい。

ただ、このアメリカ・ガット・タレント、ディレクターは英国人のサイモン・コーウェルだし、審査員はジューイッシュ系アメリカ人のハワード・スタンを除けばジューイッシュ系カナダ人のハウイ、元スパイスガールズの英国人メルB、ドイツ人モデルのハイディ・クルムと、なんとも羊頭狗肉な面々である。これで、日本人の蛯名さんが勝てばお笑いである。因みに前回のシーズンもペルー人かチリ人だかの英語が拙いワンちゃん使いが優勝している。

しかしこの番組、視聴者に投票させているのだが、演出が入りまくっている。ベスト6に、カントリーミュージック、ポップミュージック、オペラシンガーグループ、手品師、漫才師、ダンサーと6種類の異なるパフォーマーが揃ったのも胡散臭い。9月18日の夜に結果が発表されるので注目である。

9/15/2013

シリア内戦問題:瓢箪から駒で米ロ合作

シリア問題が非常に面白い展開を見せている。このまま上手く行くとは到底思えないのだが、ロシアが自分の裏庭であるシリアの問題でアメリカと国際公約的に妥協するなど、信じられないような成果が挙がっている。最悪の政治判断で始まったオバマのシリア戦略だが、「怪我の功名」なのか「瓢箪から駒が出た」のかは知らないが、終わり良ければ総べて良し、である。

シリアの内戦を停める事が世界の利益につながる事は論を待たない。ただ、1)どちら側を支援して内戦を停めるのか?2)内戦後のシリアをどのように統治させる(する)のか?3)誰がどのような資源を使って内戦に介入するのか?といった質問に対して誰もが納得できる回答を用意することは不可能である。シリアは歴史的にはソ連寄りの国であったという事実。シーア派の総本山であるイランと国境を接しているという事実。そして、ユダヤ国家であるイスラエルとも国境を接しており、6日戦争(第三次中東戦争)やヨム・キプール戦争(第四次中東戦争)に従軍した人達が米国やイスラエルに多数いるという事実も、政治戦略を練る上での「棘」になっている。

昨年の9月11日にベンガジの在リビア・アメリカ領事館が襲われ、スティーブンス大使を含む4人の米国人が殺害されるという事件が起きたのだが、スーザン・ライス国連大使が情報解析過程に落ち度があった事実を隠蔽しようとした事実が政治問題化した。結果、スーザン・ライスは次期国務長官に内定していたにもかかわらず、その席には着けず、民主党のジョン・ケリー元大統領候補が国務長官を務める事になった。余談だが、12年ぶりの白人男性の国務大臣就任である。私はこの人事を非常に評価している。

さて、スーザン・ライスに代わる国連大使にはサマンサ・パワーが就任した訳であるが、この人を国連大使に選んだ時点で、アメリカがシリア問題に介入するであろうという事は読めていた。パワーは「集団人間破壊の時代」という本を著しており、虐殺問題が専門である。ルワンダの内戦による虐殺などを徹底的に批判している。シリアの内戦で虐殺が行われている以上、パワー女史が黙っている訳がないのである。

サマンサ・パワー女史に対する評価は色々あるのだが、シリア問題を解決する必要について、反対する人はいないと思う。ただ、アメリカが「世界の警察」として立ち回るべきかどうかは、議論の余地を残す。そして、バラク・オバマ大統領がシアリア攻撃に言及すると、共和党は「モンロー主義」的な主張をして反対の立場を取った。そして、ロシアのプーチンが妙な介入を試みた。ロシアとアメリカは「同性愛者問題」などでも揉めており、冷戦に戻るのか、などと大袈裟な事をいう人までいた。

で、それが回り巡ってロシアとアメリカが急接近し、シリアから化学兵器を無くすという政策に合意したというのだから世界は面白い。勿論、この合意により内戦が停まるかどうかは怪しい。この合意は糞の役にも立たない、などと悲観論を詠う識者も多い。ただ、国際政治の卓上で起きた非常に興味深い出来事に注視する必要があるだろう。