9/18/2016

自分の国の形を欧米と比較したがる「プロパーエリート」たち

私は、蓮舫のような人物が日本の首相となる事こそが、日本の国の形を変える象徴となると信じている。だが、前回の書き込みで、蓮舫の二重国籍云々を言っている人達に、東大などの一流帝国大学を卒業して、霞が関で働いていた人が多い、という事を述べた。で、元々日本国籍を持っていなかったような人達は、日本のトップにはなるべきではない、などと言っているのだ。それは、外国でもそうだから、というのだ。

確かに、国籍問題は外国の選挙でも問題とされる。テッド・クルーズは元々カナダ籍を持っていた事が問題とされていたわけだし、オバマがハワイで生まれたのかどうかを疑問視したトランプの言質も記憶に新しいだろう。しかし、だから何か?という話である。他の国で起こっているこれらの問題は、選挙戦略及び相手候補の足を引っ張るためであり、憲法が定める以外の問題は何もない筈だ。他の国に目を向けると、前台湾の総統であった馬英九は香港生まれでアメリカの市民権も持っていた可能性がある、と報じられていたが、きっちりと総統を務め切った。民進党よりのメディアがこれらの点で馬氏を罵倒していたことは、ただの政略だろう。

蓮舫であるが、中華民国籍であったわけだが、今の社会であれば生まれた時点で日本国籍を取れる要件を満たしていたにもかかわらず、母親が日本人で父親は中華民国籍であり、子女は父親の国籍とするという差別的な国籍法のせいで中華民国籍になっていただけである。これをもって、蓮舫は反日的だなどと言っている意見は、下らない話である。

名前の使用についても、村田姓を名乗らず蓮舫で通しているというが、それでは「扇千景」や「横山ノック」であればよいのか?「橋下聖子」のように、結婚した後も旧姓を名乗り続ける女性はどうなるのか?右翼の筆頭のように扱われていた「野田聖子」も苗字の扱いでごねていたではないか?馬鹿馬鹿しい議論である。我が国は「イチロー」のようなマーケティングに長けた名前使いを許容する文化なのだから、下の名前だけを名乗っていても良いではないか?政治家など、所詮は水商売なのだから、名前など何でもよいのだ。夫婦同姓を強要されて選択の自由を与えられない可能性が高いのは女性であるが、旧態依然としたこういった夫婦別姓とかに風穴を開けてくれそうで、逆に応援したくなる。

私が思うに、蓮舫に難癖をつけている連中は色々いると思うが、ネット右翼のような保守的な考え方を共有している人達だと思う。議論の根幹には、「日本人の血統主義」や「男尊女卑」といった考え方があるのだと思う。(蓮舫のリスク対処の仕方が悪いとか、嘘をついたらいけないとか、そういう批判はあり得るが、それと二重国籍問題とは関係ない。)

いずれにせよ、私学を出て海外に精通していたような人間が、永田町界隈から霞が関に影響を及ぼすという事を恐れている「エリート連中」が大勢いるのだろう。こういう人材は外資系やマスコミに行ってくれていたのに、千代田区に進出されると鬱陶しいのだろう。あくまで、日本の国体をタッチされたくない。何故なら蓮舫は、「東大卒・霞が関勤務」という伝統的なエリート街道の価値を貶める可能性のある人間だからである。

蓮舫と野田元首相を中心として、しっかりと民進党を立て直し、都会の一般層に受け入れられるような真っ当な政党にして欲しいと思う。バラマキ自民党には辟易としている。(憲法第九条護持とか言っている今のままの民進党では無理です。応援できません。)

9/09/2016

私が蓮舫を支持する理由

二重国籍についての私の見解をまず述べたい。日本の法律では、22歳になるまでに外国の国籍を放棄しなければならないとされている。ただし、罰則規定はない。一般的に、国籍を複数持っていると、何かと便利である。よって、両親の国籍が違う、或いはアメリカなど出生地主義を取っている国で生まれた日本人は、22歳になっても普通は他国の国籍を放棄したりしない。二重国籍かどうかは調べれば解ると思うが、日本政府が二重国籍を徹底して監視している様子もない。つまりは、日本の国籍規定はザル法である。赤信号では渡るな、程度の話である。

歴史的には、多重国籍を禁止してきたために多くの悲劇が生まれた。在日韓国朝鮮人や中国在留孤児などは、いずれかの国が多重国籍を容認していれば、こじれて問題にはなっていなかったはずである。中華民国(台湾)は多重国籍を容認しているため、在日台湾人は日本にすぐに帰化することができるので、問題はこじれていない。

また、父系血統主義という差別の極みのような国籍法運用をしていたのが問題を大きくさせている。儒教を重んじる東アジアでは、両親の国籍が違うと、父親の国籍にされ、母親の国籍を受け継ぐことが出来なかった。母親は絶対に誰かわかるが、父親が本当は誰かは調べないと解らないのに。いずれにせよ、日本が朝鮮半島、台湾、満州などを植民地化したのに、その後の後処理をきっちりとしなかった(出来なかった、誤った)のが本当の問題であるのだが、そのあたりの話はしても仕方がない。国籍問題で多くの人が差別に苦しんだわけだが、21世紀の世の中では、ほぼ解消されてしまった感すらある。

閑話休題。蓮舫が二重国籍であったというのは、普通に考えたら当たり前の話だ。母親が日本人なのに、中華民国国籍しか持てず、その後、日本国籍を許された。はっきり言って、ふざけるな!という感じだろう。今の世の中であれば、二重国籍を許され、22歳になれば選択せよ、という事になる。日本で日本人の母親から生まれたのに、父親が台湾籍だから中華民国民。で、そういう状況で国連にごちゃごちゃ言われて、日本国籍が「返って来た」時に、台湾籍を捨てるかと言えば、普通は捨てないと思う。余程蒋介石の事を憎んでいたりすれば別だろうが、「中華民国席を捨てるように努力しなさい」と言われて捨てる人がいれば、聖人君子のような人だと思う。こっそり持っていた方が絶対に得するのだから。台湾のルーツを重んじているから中華民国籍を捨てないのだ、とか外野が言う問題ではない。誰であれ、自分のルーツに誇りを持ち、先祖伝来の物を大切にするのは当たり前だ。

で、この度は、八幡何某という元通産相のおっさんが指摘して、この問題が大きくなり、ばれてしまった。というか、二重国籍は明らかだったので、私は問題にしていないだけだろう、と思っていた。そして、蓮舫は党首に相応しくない、などとほざきだした。少し待ってほしい。民主党が誰を党首にするのかは民主党の問題である。その人間が首相になるかどうかは国民が決める事である。元官僚のおっさんがごちゃごちゃ言う問題ではない。

で、観察していると、東大卒の元官僚とかの「プロパー」な連中がやたらと蓮舫を批判しているのである。彼らにとっては恐らく蓮舫がアウトサイダーに見えるのだろう。多分、アウトサイダーは見下したいのだが、ズバッと物を言うような女性に対して畏怖感を覚えているのだと思う。霞が関は帝国大出身の我慢を強いられた昔から続く家柄の良いプロパーな人が多い。だが、海外貿易とかで財を築いた混血家系で、外国語も堪能。私大出身、喋りも得意な、派手な芸能界を経た人間となると、かなり警戒するのだろう。

リバタリアンの私にとって、経済政策的には、大きい政府を目指す政党は支持できない。バラマキ社会主義である自民党も、福祉政策を充実させるフリをする民進党も、五十歩百歩である。だからこそ、中央官僚たちをビビらせる蓮舫のような人が日本のトップに立ってほしいと思うのだ。卵の殻の外から変化させないと、この国は物事が動かない。そして、個人の自由こそ大切だと思う。霞が関や自民党は、いままでのやり方を継続する事により、個人の自由を制限しようとしている。法律の外の事は考えないし、利権集団の枠組みの中での改革しかできない。規定外のやり方を見せると、必死に否定しようとする。私はそれが気に入らない。今ある形の中でしか解答を見つけられないような東大卒のプロパーな連中よりも、中国語も喋れて二重国籍を持っている蓮舫のような人材を上に立てる事で、日本の国の形は変われると思うのだ。永田町や霞が関のシステムに浸らず、内外の良し悪しを観察している人間がトップに立つべきだと思う。

予算削減の仕分けなども、官僚の天下り先や友達を肥やすことに鉄槌を加えるために行ったのだ。そして、それこそが目指す道だとはっきりと蓮舫は言っている。卵の殻の中の人間たち(エリート官僚)は、利権構造には目を瞑り、規定の法律内で物事を動かす事しか考えていないのだろう。

どこへも行けそうになく、今まで通りの辛気臭い国家社会主義日本を継続させる古い自民党。型破りな蓮舫という党首を頭に据えた能力のない民主党。この二つの選択なら、既得権益にメスを入れてくれるという期待から、私なら後者を選ぶ。蓮舫のようなグローバルなエリート路線から政治家になった人が組織の上に立ってくれ、さらに日本のトップに名て欲しいと切に願うのだ。(まあ、血筋が悪い橋下さんがやってくれれば、それが一番良いのだが。)共産党との連携とか、憲法護持とか、馬鹿の一つ覚えのような昭和時代の左翼運動から脱皮して、民主党を個人の自由を追求する政党にして欲しい。

蓮舫も「憲法第九条護持」とか叫んでいたので、どうせ左翼だろう、というような話をする人がいる。蓮舫は本音と建前をきっちりと使い分けている。党が共産党とくっついて、おかしな意思決定をしているから、仕方なしに意味不明の建前を前面に押し出しているだけだ。本人が音頭を取れば、おかしな発言は徐々になくなっていくだろう。蓮舫は中国に留学しているので共産主義者だ、というような意味不明の事を言う人もいるが、過去の発言からは、蓮舫は中華民国人であり中共を毛嫌いしている。ただし、現在の立場上、こんなことをテレビで言えるわけがない。蓮舫やその取り巻きは、完全な新自由主義者である。民進党の一派が古い左派であるだけだ。

蓮舫の家系は怪しいので、仮に日本のトップになる立場には相応しくない、などという人がいる。これは差別だ。小泉なんてヤクザ家系。笹川なんて馬賊家系。まつりごとにかかわる人の先祖なんて、無茶苦茶である。そんなことを説明する必要はない。個人と先祖は関係ないというのが、「個人の自由」を重んずる社会の常識である。儒教の考え方に嵌っていることを意識していない、規制好き保守家系血統主義者たちの話など無視すれば良い。

蓮舫を買い被り過ぎではないのか?正直そうだと思う。が、政党のトップなんて、ろくでもない人たちだらけなのだから、蓮舫にやらすのが良いと思うし、どんな手腕をとるのかを期待をもって観察したいのだ。蓮舫は嘘をついた、と言っている人がいる。確かにそうだと思う。が、国会議員なんて、皆大なり小なり嘘をついている。この程度(二重国籍)の嘘をついて国会議員になれないのであれば、「プロパー」な人間以外は千代田区で働けなくなる。勿論、利権を守るため、霞が関も永田町もおかしな法律でがんじがらめにして、余所者を入れないようにしている。私は、そういう日本社会が気に入らない。

(私は民進党は嫌いです。ただ、花斉会系の議員は応援しています。)