10/31/2012

尖閣諸島、奪島作戦。中共が日本に紛争を仕掛ける日


日本が実効支配している尖閣諸島を、中国共産党政権が中華人民共和国領であると主張している。中国が尖閣諸島奪還の軍事作戦をしてくるのではないか?などという記事も良く目にする。巷の人達は、「とんでも論争」だと思っているようだが、中華人民共和国が日本相手に軍事紛争を仕掛けてくる可能性はあるのだろうか?

私は十分にあり得ると思う。フォークランド紛争のときも、まさかアルゼンチンが英国に軍事紛争を仕掛けるとは思っていなかった。さらに、英国のサッチャーがあそこまでやり返すとも思っていなかった。しかしフォークランド紛争は戦争まではいかなかったものの、戦死者や甚大な被害を出すまともな国同士の軍事紛争となった。

中国共産党は釣魚台奪島作戦を仕掛ける誘惑に駆られるのだろうか?中国が紛争に走る可能性があるとすれば、軍部が暴走し、中南海が止められず、人民が喜ぶというシナリオしかあり得ない。

1)中国では国内経済が悪くなってきて民衆の不満が燻っている。マクロ的に解決するためには、人民元をドルに対して切り上げて、国内消費を増やす方法が考えられる。しかし、極端に右に歪む富の分布の下では、人民元の切り上げはすなわち、大勢の最下層の人達が仕事にあぶれ、食べるものにも事欠くような事態になってしまう。社会構造的に、やりたいが出来ないのである。政権が人民の不満を解消する手っ取り早い方法は、戦争でも仕掛けてガス抜きする事しかない。

2)次期の国家主席に内定している習近平は、「当たり障りがない人物」という理由でトップに登り詰めようとしている。共産党の内部権力闘争では、勝負を先に仕掛けた者は負け。おとなしい八方美人や、権力に靡く人達が最後まで残れるシステムになっている。裏を返せば、「国家主席」は飾り物であり、権力基盤は乏しいのである。従って中南海には軍部や派閥の暴走を止める程の力はない。一度何かが暴発すると、人民は愛国というスローガンをもってして、前面にサポートする。国際社会のルールに従って穏便に事を済ませることは、中南海にとっては致命傷になる。一度乗りかかれば、ある程度事を進めなければ収集はつかなくなる。

3)日本という国家は極端な事を仕掛けてくる可能性は低く、マニュアルに外れて事態がエスカレートする可能性はゼロである。日本は国際社会に相談して助けを求め、国際機関に頼ろうとする事は確実である。しかしながら、国際機関は中国に対して「非難」以外の選択肢は取れない。ステークホルダーはアメリカと台湾であるが、日本が台湾に軍事支援を求めることはあり得ない。内向きになったアメリカは日米同盟に基づいては参戦して来ない可能性がある。自衛隊VS人民解放軍の戦いになれば、紛争はエスカレートせず、島嶼近縁の海域内だけでの戦いとなる。中国にとれば、台湾やアメリカの出方を観察することもできる。

4)日本は不景気が長引いており、国民は何かに不満の捌け口を探している。人気浮揚効果を狙う政権は島嶼防衛に対して真摯に取り組むはずである。李承晩が竹島を乗っ取った時の様に、尻尾を巻いて逃げる可能性はないだろう。自衛隊を派遣し、離島防衛作戦を展開してくれる。不戦勝はなく、大戦争に発展しないレベルで、日中間の戦闘が展開される、願っても無いシナリオになる。

5)可能性は低いが、尖閣諸島が仮に手に入れば、台湾海峡のシーレーンをコントロールできる。台湾の中華民国政府はおじけづき、平和的台湾吸収のお膳立てが出来る。沖縄に駐留するアメリカ軍に対しても目の上のタンコブとなり、地政学的に有利な位置に立てる。ただ、パックスアメリカーナに挑戦できるほど現在の中国の腰が据わっているとは考えられない。

6)中国に対して世界は経済制裁などを仕掛けてくるだろうが、どうせバブルが崩壊して国内経済は酷い事になっている。むしろ経済の失策を諸外国の責任にし、国民の目を外的に向けさせる事で共産党政府は無傷で経済の失政を逃れる事が出来る。中国無しでは発展国のサプライチェーンは回らず、政治は強固な中国制裁に反対する。

7)尖閣諸島を占領できずに逃げ帰ったとしても、外国が徒党を組んで中国を苛める、と言ったような謀略論を流し、人民の愛国心を駆り立て、経済失策を誤魔化す事ができる。今後、海軍や陸軍は予算を請求しやすくなり、共産党の長老たちの系列会社は儲かる。紛争を行う事が目的であるため、結果には余り興味は無い。中国がサプライチェーンを握っているので、世界はそこまで酷い制裁を加える事はできない。

ここからが実際に中国が行うであろう考え得るシナリオである。ある日突然、事故と装って、軍用輸送飛行機を尖閣に不時着させる。中国人民軍の兵士を100人単位で乗せておき、事故であると言い張る。海上保安庁に対して、銃などを使用して人民軍の兵士に悪態をつかせて、逮捕者や怪我人を出す。それに対して中国政府が日本に抗議し、軍を派遣する。ある程度の時間が与えられるので、自衛隊が尖閣付近に集まってきて、海域で限定的な紛争を繰り広げる。永田町では総理大臣が自衛隊に徹底死守を命令する。アメリカに支援を要請するも、議会の承認に時間がかかると言われる。結果として、表面的には自衛隊だけでの島の防衛となる。ただし中華民国の海軍は基隆港から自衛隊に非公式で支援を行う手配は済んでいるし、アメリカ軍も空母などをすでに沖縄から出向させ、万が一の事態には完全に備えており、事実上の後方支援をしている。東シナ海上での海上戦となり、双方の戦力にかなりの被害が出るし、戦死者も多数出る。航空機の戦いまでには発展しないとみる。長くとも30時間程度の限定的な紛争となる。アメリカの議会や国際社会の対応が始まると察した瞬間、上陸を試みることなく、嘘の様に人民解放軍は福建の港に退散していく。

中国国内のテレビでは、日本に100%否があるなどといったふざけた洗脳が始まる。国際社会は中国を非難するものの、何も出来ないし、日本も悪い、などと言う。平和を乱された日本国民はパニック状態になり、政治はおかしな方向に進む。軍事費などがこの期に及んで嵩上げされる(アメリカは喜ぶ)。市場では日経や円が暴落する。ハンセン、台湾、ソウルの各市場も大暴落。アジアに一気に寒風が吹く。

こういったことが今後1年以内くらいに起こらない事を願っています。

1929年の大恐慌は、結果的に第二次世界大戦を起こさせた。デフレ・失業対策は戦争で誤魔化された。21世紀はじめての世界大不況。ワイルドカード(戦争)を使いたい人達がそろそろ出てきてもおかしくない。

10/30/2012

福島香織氏の中国評論は賞賛に値する

日経ビジネスの尖閣防衛の鍵は台湾にあるという記事を読んだ。福島香織氏は中国の事を客観的に深く理解していると前々から私は評価している。大マスコミが政治的な都合で報道出来ずにいる内容を具体的に書いてくれた。私も以前、当ブログにおいて中国共産党政権が尖閣の所有を言う事すら馬鹿げているという記事を書いたが、初めてまともな記事を読んだ。

10/28/2012

粋なイタリアン、ミルコ・デムーロが両陛下にみせた最敬礼


私はミルコ・デムーロという騎手が大好きである。私が高校生の頃、関西競馬と言えば武豊の独壇場であった。そこに、地方から参戦の安藤勝己とフランス人オリビエ・ペリエという巧いジョッキーが絡んでくる。競馬はそんなものであった。そこに1999年に彗星の様に現れたのがイタリア人ジョッキー、若き日のミルコ・デムーロである。短期免許でやって来たミルコデムーロは、小倉や京都競馬場で大穴を連発する。「まさか、そいつを持ってくるか!」というような騎乗をする。ミルコが騎乗した時点で穴として抑えざるを得なかった。競馬は馬が7割、騎手が3割とか言うが、ミルコの騎乗は3割どころではなかった。

ネオユニヴァースでクラシックを勝ち、日本での地位を不動のものにした。2008年のジャパンカップを制したスクリーンヒーローなどは、単なるミルコファクターでの勝ちであった。

言い尽くされている事項であるがヴィクトワールピサでのドバイワールドカップ。トランセンドとの日本馬によるワン・ツー・フィニッシュで、震災後に沈みがちだった日本の空気に希望を与えたとされている。ドバイワールドカップに関しては色々と意見もあるし、ヴィクトワールピサのパフォーマンスに関してもどうかと思うが、ミルコの騎乗は光っていた(藤田も度胸があった)。

そして、秋の天皇賞。内ラチ沿いで我慢して、エイシンフラッシュにダービー以来の勝星をつけた。秋の天皇賞で内ラチを走って好走した馬の例は枚挙に暇がない。それでも、馬を宥めて確実な追いをみせたミルコの騎乗は光っていた。

ウイニングランの後、下馬し、ヘルメットを脱ぎ、跪き、天皇皇后両陛下に対して最敬礼を行った。スタンドからは割れんばかりの歓声があがった。この様子を米国のHRTVで深夜に見ていた。なるべく高みからの見物を心掛けている私であるが、ミルコの粋な仕草に不覚にも感動を覚えた。ミルコにやられたのはドバイに続いて二回目である。イキな仕草、そして観客が何を欲しているのかを瞬時に判断できる天性のサービス精神。この男はプロのエンターテイナーである。あの最敬礼を見せられた人にとって、ミルコデムーロは日本人が一番好きな騎手、或いは日本人が一番好きなイタリア人となってしまったのではないだろうか?

しかし「ミルコが日本人よりも日本人らしい」などとするコメントも多く見られるが、それは違うと思う。礼節を重んじたりする行為は日本だけの美学ではないし、そういった意見をあなたが持っているとすれば、もう少し視野を拡げて貰いたい。今回の一件に熱さを感じたのは、日本のドメスティックな物(皇室文化)と世界の多様性が交わったからである。外部の人間に礼節を尽くされてこそ、余計に威厳や正統性が光るのである。相撲やスポーツの国際大会においても、多様性が生まれているからこそ、面白さやレベルが水増しされているのだと思う。多様性の重要さを感じてほしいと思うし、多様性を受け入れる事でこそ、ここまでの感動が生まれたのだと思う。松永幹夫も天皇賞を勝って日本人らしく、そして幹夫らしく、謙虚に礼節を尽くした。それはそれで素晴らしかった。が、今回の派手なパフォーマンスはデムーロだからこそであったと思うし、それに何百万人の人達が酔いしれたのだ。我が国の良さを魅せるためにこそ、多様性が必要なのだと、私は信じている。そして、そうしたパフォーマンスを通じて、ミルコは人間としての格を上げてみせた。

ミルコのパフォーマンスから色々な物を学べた気がする。要約すると、礼節を見せるのは他人に対して自分のクラス(品位)を知らしめるためである、という事だ。社会における自分の存在感を示すためにこそ、礼節は無駄であろうとも大げさにでもやるべきであるのだ。他人の目を気にする日本人やヨーロッパ人は、その辺りの事を体験的に理解できている人が多い。一方、おおらかな環境で育ったアメリカ人や、余裕のない発展途上国の人達には、こういった「粋」な礼節を理解しない人が多いように思う。礼節は人の為ならず、巡り巡って己が為、という事である。

デムーロ、最高!

10/26/2012

ワールドシリーズ第二戦

打球直撃のアクシデントを物ともせずに、好投したダグ・フィスター。しかし、七回表にランナーを出して交代したスマイリーが、制球定まらずに一点を献上する。フィスターはスタミナがない事で知られているが、100球を超えた時点で7回頭から交代させたら良かったのではなかったのか?

一方、言い尽くされている感のあるプリンス・フィルダーの走塁であるが、早いイニングであったし、足の遅いフィルダーをストップさせても良かったのではないか?ポジーのタッチは完璧であった。

ヴァーランダーが第一戦で打ち込まれたり、前のシリーズでなんども相手に追いつかれたりしているので、タイガースは焦った采配をしているように見えてならない。こんな事では勝てません。

2012 ワールドシリーズ、猛虎VS巨人

個人的には興味がそそられない組み合わせだが、今年のワールドシリーズはタイガースとジャイアンツの伝統の一戦になった。まあ、ナショナルリーグに興味がないので、頂上決戦はいつも興味が沸かないのだが。とりあえず蓋を空けると、シーズン前の予想通りに収まったような形であるが、シーズンは一体なんだったのだ?という疑問も残る。

デトロイト・タイガースは御存知、チームが巧く噛み合わず、前半戦は泣かず飛ばず。先発陣が踏ん張れば、打線は打てない。逆に、接戦になればブルペンが打ち込まれる、といった悪循環を繰り返す。

若き先発陣は惚れ惚れする。シャーザーとヴァーランダーの活躍は凄かった。ただ、ヴァーランダーは去年の活躍が神掛かっていたので、オールスター先発できる程度の活躍では物足りなく見えた。マリナーズから移ったシンカーピッチャーのフィスターは故障。スマイリーとポーセロはへろへろ。後半戦前にフロリダから獲ってきたサンチェスもそこそこの活躍しか出来なかった。

打っても、フィルダーとカブレラの中軸コンビは恐らくMLB最強である。一番に根付いたジャクソンも良い。前のワールドシリーズ出場時の主戦、グランダーソン、ポランコ、シェフィールド、オルドニス、インジといった選手が全ていなくなったのに、このメンバーを構築したGMのドンブロウスキーの手腕は光っている。

ただ、ドーテル、ベンワー、ヴァルベルデのブローセーブ試合ぶち壊しトリオが加わる。これを懲りもせずに使い続けて負け続けたリーランドの采配は如何な物か。このメンバーでホワイトソックス相手にぎりぎりまでプレイオフ進出を決められなかった事の責任は監督にあると考える。世間が言うほどジム・リーランドの采配を私はリスペクトしていない。

サンフランシスコ・ジャイアンツも巧く打撃陣を世代交代させた。前回WS優勝時のシーズンに活躍したハフは代打要因になってしまったが、バスター・ポジーとサンドバルの巧さは光るものがある。パガン、ペンス、セリオット、マルコ・スクータローという渋い面々を揃えて、細かい野球が出来るチームである。ステロイダーのメルキー・カブレラが出れないのは自業自得だが、カブレラなしの方がこのチームとしては良いような気もする。

ジャイアンツはピッチャーも揃っている。先発陣は、リンスカムが計算できないのが痛いが、マット・ケイン、ヴォーグルソン、バンガーナーとデトロイトの先発陣に対しても遜色がない。ただ、バリー・ジートーのような昔獲った杵柄のようなピッチャーもいるので、良く解らない。ブルペンも、ウィルソンが故障しているものの、デトロイトとは比べ物にならないほど良いピッチャーが揃っている。

で、全く当たらない当ブログの予想であるが、結局ジャイアンツが勝つと思う。ブルペンを見ればジャイアンツが有利だからだ。采配に難があるリーランドと、策士のボーチー。この面々ではジャイアンツで決まりである。

しかし、バリージートーが2002年のような投球をして、ヴァーランダーが打ち込まれた第一戦の様に、野球は何が起こるか解らない。だから面白いとも言えるのだが。


10/20/2012

尖閣諸島の問題は日本と台湾の問題で中共は関係ない


一時的に帰国している丹羽大使が、中国の問題に対して懸念を表明したというニュースの映像を見た。「このまま放っておくと、本当に大変だよと。本当に心配しております」とにやにやしながら演説していた。演説を統べて聞いた訳ではないが、メディアが要約するに、「問題の深刻さを日本政府や日本国民が感じていない」ことが問題であるらしい。そして、これらの問題は話し合いでは解決できないらしい。

演説でヘラヘラしているような人物を、問題が多い国の大使に留めて置くのは危険である。果たして、丹羽氏は問題の責任の一端が自分にもあるという事実は理解しているのだろうか?そして、問題を認識していない事が問題だ、などと言ったふざけた言葉遊びをして、「問題」は結局何なのかを指摘していない。日本国にはこんな馬鹿げた人物しかいないのか?丹羽大使の顔を見ると反吐が出る。

尖閣諸島は日本国が実効支配しているわけであり、他国が軍事行動をとらない限り、何も変わる事はない。尖閣諸島は、日治期間中或いは清の時代に、日本国台湾県や台湾の一部であった可能性がある。従って中華民国政府が尖閣諸島は台湾の一部であるといった主張は負け犬の遠吠えであるが、理解できなくもない。韓国に実効支配されている独島が日本の領土である、或いはソ連に実効支配された北方領土が日本のものであるといった主張くらい、暖簾に腕押しとは言うものの、聞く価値はある。実効支配されている領土を取り返そうとすれば、軍事作戦を展開する意外に方法はないのである。我々が北方領土や竹島を取り返したければ、事実上は実効支配しているロシアや韓国との戦争しか方法はないわけだ。どれだけ主張が正しかろうが、常識に照らし合わせて考えてもらえばわかるが、話し合いで解決できるわけなどないのだ。ロシアが北方領土で軟化の姿勢を見せているのも、日本から金を巻き上げたいだけであり、日本の主張を認めて北方領土を返す事などハナから考えてもいない。

しかし、中国共産党政府が尖閣諸島の領有を主張する意味が全く理解できない。どんな理屈を繋げれば、尖閣諸島が中共に所属すると図々しくも考えられるのだろうか?そういった暴論をメディアに載せてフィルターをかけずに報道するのは危険である。事情が理解できていない欧米のメディアでは、尖閣諸島が日中間で領有権争いに発展しているなどと言った、中共寄りの主張がなされている。まさに「言ったもん勝ち」の世界である。

中共が海底に眠る資源を狙っているなどと言った報道を鵜呑みにしている人も大勢いるが、資源は三の次である。共産党政府は、台湾を飲み込む目的で尖閣の領有を主張しているのだ。きちんと中共政府の主張を聞いてみるといい。中共は「台湾の一部であった尖閣諸島は中華人民共和国のものである」と言った意味不明な暴論を吐いているのである。こんな主張が罷り通るわけがない。もしこういった馬鹿げた主張を認めれば、台湾島は中華人民共和国であるという主張をも認める事になる。さらには、冗談ではなく琉球諸島などの領有権すら主張される可能性もある。

中華民国政府を認識していない世界において、台湾島を巡る中共との議論が非常に難しい。台湾島は清朝に属していた事はあれ、中華人民共和国に属した事はないので、清朝とは異なる政府である中華人民共和国が領有を主張する権利はない、というのが世界の常識である。尖閣諸島の領有権にしても、日台間の問題であり、中華人民共和国は関係ないという事実を堂々と述べる事ができない。共産党政府はそこまで理解した上で、現在の情報工作を行っている。中共が仮に尖閣諸島を何らかの方法で占拠すれば、それは中華民国政府にとっては致死的な事態となる。中共にとっての金門や馬祖のような存在になってしまうだろう。東シナ海や台湾海峡を共産党政権に獲られるような事態となってしまうのだ。実質的な太平洋を覇権するアメリカにとっても、中国が尖閣諸島を手に入れる事を認める事は出来ない。しかし、それが台湾との問題であるとは公式には言えないのである。

いずれにせよ、尖閣諸島が中共の手に落ちる事は世界が許さないだろう。アメリカがどう考えているかを良く活字で目にする。公式には絶対に発言できないが、アメリカは尖閣諸島が中国共産党の手に落ちるような事態を決して看過できるわけがない。しかし情報戦では確実に中共が有利である。日本政府やアメリカ政府、NHKなどの公営放送は、上述のような理由で尖閣諸島の帰属に関して中共の主張を活字にせざるを得ないのだ。中華人民共和国と中華民国との争いにスポットを当てられるのは、民間のマスコミの仕事であるはずだが、日本の糞マスゴミは尻が引けてまともな報道をしていない。

領土問題において、くだらない歴史認識云々の話が好きな人が多いが、そんな文系の話は糞の役にも立たない。誰が実効支配しているか以外はどうでも良い話だ。ただ、尖閣諸島は中共が実効支配しようと企ててくる可能性があるから怖いのである。全人代の前に大混乱のパワーゲームを見せてくれる中国共産党政府。新体制になって、病気報道もあった習近平が軍をコントロールできるのか?本当に共産党政府は人民解放軍をコントロールできているのか?危うい中共政権がどのような行動に出るのか?不動産バブルが崩壊して、経済成長が危うい中国国内を鑑みると、予測がつかないのである。尖閣諸島に人民解放軍がやってきて、竹島の様に盗まれる事態に陥れば、それは太平洋の覇権と言う意味では「不測の事態」では済まないのだ。

日本はASEAN諸国と足並みを合わせて、南シナ海で同様の悪知恵を働かせる中共を牽制した実績があるが、インドやロシア、韓国や台湾などとも連携して、中共の馬鹿げた覇権主義的な暴発を防ぐしかないだろう。そして、中共が仕掛ける馬鹿げた情報戦を真剣に食い止める方法を考えなければ、パックスアメリカーナが崩れる事態に発展し、世界秩序の安定が崩れることになる。清朝と中共は全く関係ない政府である。清朝や過去の政権の時点での領土を元に、21世紀において領土を主張する事は決して出来ない。この常識を全世界が共有しなければならない。

「釣魚台という中華人民共和国の領土が、日帝に実効支配されており、中国人民は憤怒している。日本政府はそれらの主張に聞く耳を持たない。」このようなとんでもないストーリーがメディアで騙られている時点で日本は情報戦に負けたのだ。政府は「棚上げ」という奇怪な選択肢を主張しているが、中共の「言ったもん勝ち」の主張は既成事実となりつつある。

10/17/2012

ヤンクス対タイガース、第四戦は雨による遅延

崖っぷちのヤンキースであるが、第四戦は雨により開始が遅れている。天気図を見るに、ミシガン州の西部から発達した雨雲が近づいており、ゲーム開始がかなり遅れる可能性がある。長い夜になりそうだ。下手すると、試合中止の可能性すらある。

もし、試合中止になれば、ヤンキースにとっては命取りである。木曜日に第四戦が始まれば、ヤンキースが3連勝すれば、CCサバシアが第四戦に投げた後、無理をして中三日で第七戦にもう一度、バーランダーと対峙する事が出来るのだ。しかし、試合が明日に順延されれば、CCサバシアが第七戦で先発できなくなる。

タイガースの先発陣が良いのは皆が知っている事実である。が、ヤンキース打線は見ていてつまらない。昨日のゲームは2-1の接戦であったが、バーランダーに対するヤンキース打線は打てる雰囲気すらなく、点数以上に力に開きがあった。一方で、ヤンキースの投手陣は、結構頑張っている。タイガースの強力打線を最低限の得点で抑えており、むしろ出来過ぎの感じすらある。

結局昨日は、途中で野球を辞めて大統領選挙のディベートを見た。ディベートと呼べるかどうかも怪しい代物であった。オバマが必死にバイデンの真似をして、相手を遮ったりするのは、見苦しいの一言だ。新手のリアリティーテレビかと見紛うような無様なディベート大会だった。私の大統領選に関する総評は後日ブログに纏める。ヤンキースが負けたら野球を観る必要が無くなり、時間がいっぱい取れそうだ(ジャイアンツやカーズの試合に興味が沸きません)。

10/13/2012

しかし、ヤンキース第一戦を落とす。

イチローのホームランを含む四安打、ラウール・イバニエスの九回二死からの起死回生のホームランをしても、ヤンキースは勝てなかった。米東部時間で1時まで試合が長引き、結局6-4で負けた。これはタイガースにとっては、ものすごく大きな一勝である。

1.バルベルディを次の試合から使わない理由が出来た。
2.先発左腕のスマイリーなどを抑えとして使う方向付けができた。それは成功する。
3.日程が厳しく、前シリーズでも延長が続いたヤンキース。年齢が高い先発陣を疲れさせることが出来た。

特に、3は響く。第二戦の先発は中三日で黒田だろう。踵を負傷したジーターも暫くは出られないと思われる。一気にタイガースに流れが向かおうとしている。土曜日は午前一時まで試合。そして日曜日は午後4時からの試合。ベテラン揃いのヤ軍には厳しい。

タイガースは、ベンワー、ドーテル、バルベルディを使わなくてすむ展開に無理やり持って行く必要がある。ヤンキースも、先発をどこまで引っ張れるかが勝負の分かれ目だ。

神掛かりラウール・イバニエスの同点弾

ラウウウウウウウウウウウウウウウウウル、イバニエス!
九回二死から追いつた!
ダグ・フィスターは要所要所をきっちり締めたし、アンディ・ペティットもきっちりと野球をした。で、ブルペン。当ブログでも散々述べているヴァルヴェルデがまたもやブロー。九回二死から。ジム・リーランド、解ってたでしょ。いい加減に作戦変えろよ。

イチローのホームランも良かったが、イバニエスの神掛かった活躍はどう説明すればいいのか?またもや同点で延長戦。作業をやりたいが、テレビから離れられない。

G8諸国で一番割高なカナダ:不動産バブルは崩壊前夜

先日、ロンドンを訪れた。英国は物価が高いと溢す人が大勢いるが、そこまで酷いとは思わなかった。税金を考慮したうえで円換算をして日本の物価と比べると、むしろ安いと思った。ドル換算をして、アメリカと比べると少々割高だが、そこまで言うほどではなかった。むしろ、ロンドンに比べると、バンクーバーの方が物価がずっと高いように思えるのだ。

G8の中で、実は現在カナダの物価が一番高いのではないだろうか?理由は、カナダドルと米ドルがほぼパリティー(等価)であるからである。

カナダでは、習慣的にアメリカドルの1.4~1.5倍くらいの値段のカナダドルで定価がつけられている。例えば、チェーンのコーヒー店のコーヒーがアメリカで2.50米ドルだとすれば、カナダでは3.50カナダドルとなる。何故なら1USDがおおよそ0.7-0.67カナダドルの時代が長かった為である。しかし資源バブルの波に乗り、資源大国と思しきカナダのルーニーは米ドルベースで投機的に買い漁られた。さらにはサブプライムの問題でアメリカの住宅市場が崩壊する。アメリカにあった資金がカナダに一時的に避難したのだ。

カナダは積極的に移民を受け入れ、バンクーバー、トロント、カルガリーといった都市の人口が爆発的に増加した。そして、移民富裕層がだぶついたお金で買うものといえば、不動産である。アメリカの住宅の値段が崩壊するのを余所に、バンクーバーやカルガリーの住宅やマンションの値段は騰がり続けた。世界同時不況などと言われていたが、ここシアトルから二時間半ほど車で北に走ると、調子の良い国があり、世界同時不況と言う言葉がまやかしである事は誰の目にも明らかであったのだ。

ワシントン州北部のベリングハムなどには、ブリティッシュコロンビアの車が押し寄せる。ショッピングセンターはカナダ人で満員。ガソリンスタンドはカナダの車で長蛇の列である。エベレット近郊にアウトレットがあるのだが、そこも半分以上の車がブリティッシュコロンビアのナンバープレートである。ブリティッシュコロンビアから、特に北米に来て間が浅い中華系の人達がアウトレットに大挙訪れるのだ。

バンクーバー中心部のマンションは、日本円換算で二億、三億が当たり前。シアトルと比べると四倍~六倍といった感覚だ。旗艦となるような産業がなく、野球やバスケットボールなどの経営すら成り立たないようなゴマメ都市のバンクーバーに、それ程の「力」があるとは思えない。新しい移民の豊富な資金力、それと米ドルから資源関連に資金を移す投機家の思惑、バンクーバーの不動産を正当化できる説明はないわけだ。

カナダ政府は、30年の住宅ローンを基本廃止し、最長返済期間を25年に短くした。そして、どうも夏ごろから、バンクーバーの不動産がだぶついているという話を良く耳にするようになった。引き締めもある程度効いているのだろうが、どうも豊富な資金力を持つ移民たちの本国で「火事」があったために、バンクーバーのセカンドホームを手放す必要が出来た人達が大勢いるようだ。

中国経済が崩壊に向かい、それがカナダの経済を根本から揺らがそうとしている。カナダの一連の住宅バブルは弾けるだろうし、ルーニーも米ドルベースで今後は軟着陸していくことだろう。カナダ銀は、カナダドルが高止まりしている状態では下手に利下げをする事が出来ず、結構難しい政策選択を迫られることになるだろう。

10/12/2012

精神疾患であろう研究者をいじめるマスコミ

米ハーバード大客員講師を名乗る森口尚史氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)から心筋細胞を作り患者に移植した、などという誤報が読売新聞などに載ったという。というか、読売などが裏も取らずに勇み足をしたのが実情である。その報道について、当の森口氏の経歴の虚実を追うニュースが賑わいを見せている。大新聞が大真面目な「フリ」をして森口氏の主張を「腹では笑いながら」検証しているのだ。


ニュース報道に現れた森口氏の語り口から推察するに、森口氏は「虚偽性障害」や「妄想性パーソナリティ障害」などの精神疾患を患っている疑いがある。そのような状況の人物を、大新聞や民放が実名を出して茶化してバッシングするのは如何なものかと考える。支離滅裂な無茶苦茶な話なので、面白くてニュースにしやすいというのは理解できる。ただ、精神的に問題があるかもしれない人物を追い詰めるのはデリカシーを欠いた「イジメ」である。

数日前、関西空港から仁川経由でLAに到着し、その後ボストンを目指した中華系アメリカ人が、防弾チョッキを着用しており、スーツケース内に発炎筒を含む多数の武器のような物を入れていた事が全米で報道された。一時はテロリストかと疑われたが、急に報道が消え去ってしまった。どうもその人物が精神的に不安定であり、ニュースとして扱えなくなった為であるらしい。アメリカでは、精神病疾患者に対してある程度の注意を払って報道している。


日本社会は精神が不安定な人物に対して配慮に欠けているのではないか、と良く感じる。精神的に不安定な人物が、その不安定さゆえに、他の人間に「物理的な危害を加えない程度の過ち」を犯した時は、もう少し配慮してあげても良いのではないか?馬鹿とキチガ○を嘲るような事は、視聴率獲りと言う観点では「$合理的$な」選択かもしれないが、成熟した社会の公機関(マスメディア)がそのような茶化した報道をしてもいいのだろうか?日本にも精神が不安定な人たちが大勢いる。別に他者の命を脅かしている訳でもないので、そっとしてあげるか、問題の解決に協力してあげれば良いのではないだろうか?神経病みの人を名指しで「キチガ○だ!尋常ではない!噓吐き野郎!」などと侮蔑して報ずる事はあってはならない。寧ろ、そういった可哀想な人達が治療を受けやすいような社会の雰囲気作りにマスコミが先頭に立って貢献するべきである。

(余談:アメリカの大学で、森口さんみたいな統合失調症の気がある研究者に頻繁に会います。日本人の研究者の中にもそういう人達が大勢混じっています。普通の人だと思って親しげに接したり、こちら側に余裕がない時などは、嫌な思いをすることもあります。しかし、可哀想なので温かく距離をとってあげましょう。逆に言うと、アカデミアは物分りがいいフリをして他人と関わりたがらない人達が多いので、そういう人達が集まりやすいのかもしれません。そういう人達が周りにいるのであれば、手遅れにならないうちに医師に相談するように薦める事が必要だと思いますが、実際は難しいです。残念ながら手遅れになってしまった人を数人知っています。後、思い込みが激しい人がお花畑の課題などを設定して、必死に研究に取り組み、ファンタジーの論文を書いて出世してしまう人達が一杯います。このような人達が上に立つと碌なことがありません。ただ、そういった人達を制裁する事は現実的に不可能です。)

ナッツ、あと一球!から逆転負け。

9回表、誰もがナショナルズの勝利を確信した。2勝2敗で迎えた第五戦。シーズンの最高勝率のワシントンナショナルズが、ワイルドカードから勝ち上がってきたセントルイス・カージナルスとホームのDCで対峙した。

カージナルスの先発ワインライトを初回から苦しめる。ワースの出塁の後、19歳ハーパーの三塁打、そしてジンマーマンのホームラン。三回にもハーパーとモースのホームラン。3回までに6点を捥ぎ取った。一方、ナッツの先発は、最多勝投手のジオ・ゴンザレス。苦しみながらも、なんとか繋ぐ。

7回は先発投手のエドウィン・ジャクソン、8回は抑えのクリッパードが抑える。8回の裏にはカート・スズキがダメ押しの一点。二点差で9回表を迎えた。ピッチャーは去年の抑えのストーレン。先頭のベルトランに二塁打を打たれたが、ホリデイとクレイグを抑える。

しかし、モリーナを歩かせてしまう。続くフリースにも、微妙なスイングの判定の後に四球。満塁になってしまった。昨年、同じような光景をワールドシリーズで見た。フリースのホームランだ。レンジャーズが後一死でワールドチャンピオンと言うところから、一転負けてしまったあの光景だ。

デスカルソのあたり。ショートのデスモンドがぎりぎりで捕れない。で、同点にされる。興奮の坩堝の球場は一転ため息。そして、コズマにしぶいヒットを打たれて、9対7の負け越し。9回二死から一気に4点取られたのだ。

やはり、こちらも経験の差が物をいう形となってしまった。

残った4チーム。ヤンクス、タイガース、カージナルス、ジャイアンツ。いつもの面々である。

ヤンクスO - タイガースX
カージナルスO - ジャイアンツX

カージナルスO - ヤンクスX

ヤンクスがオリオールズをぎりぎり撃破

オリオールズの方が勢いがあると見ていたのだが、ヤンキースの粘り強さは、流石である。第三戦のイバニエスの二打席連続本塁打でのサヨナラ勝ちを見ると、野球には経験が必要である、などと陳腐な描写が頭に浮かぶ。

ヤンキースの打線が湿っていたと言われるが、相手の投手陣を褒めるべきである。あそこまで良い面子を揃えるオリオールズの投手陣を前にすれば、簡単に打たせて貰える訳がない。

しかし、ヤンキースが勝てたのは、偏にCCサバシアのお蔭である。サバシアが先発で2勝したから勝てたのだ。一戦目では8.2回、そして本日の第五戦では完投。8回の大ピンチにジラルディーがサバシアに任せたのも、ブルペンに疲れ始めたサバシアよりも良いピッチャーがいない事を知っていたからである。ブルペンという弱さを、先発のごり押しで克服したヤンキースは祝福されるべき存在である。

一方のオリオールズであるが、若いチームだし、来年に期待だ。ショーウォルターの采配も見ていて気持ちがいい。

さて、ヤンクスであるが、次はデトロイト・タイガースとの一戦。先発陣ではヤンキースに引けをとらないし、打線も強力。ただ、向こうもブルペンにかなりの難がある。終盤に締りのないプレイオフ、つまり「面白い試合」が見れそうだ。リーグ1広いコメリコパークと、ホームラン量産ヤンクススタジアム。極端なスタジアムを往復するアリーグ決定戦に注目です。


大統領選挙:副大統領VS副大統領候補のディベート

大統領選もいよいよ大詰めを迎えようとしている。先週のオバマ対ロムニーの討論では、オバマがソフト過ぎるという批判を浴びており、ロムニーが討論の勝者であるとされている。だが、統計を見る限り、誤差範囲(Margin of Error)と多少の不確実性を見越しても、オバマ優勢は不動のものであるといえる。勿論この時期にそんな事を断定してしまうと、共和党からの批判がややこしいし、テレビの視聴率が揚がらない。従って、アメリカのマスメディアは必死に接戦を演出している。

昨日(10月11日)はバイデン副大統領とライアン副大統領候補の討論が行われた。全体の感じから言うと、42歳の若いライアンを、老獪なバイデンが感情を込めてやり込めるといったやり取りが繰り広げられた。ライアンは緊張を顔には出さなかった物の、常に水を飲むという緊張に由来する行動を終始とっていた。今回の討論において、私はバイデンが圧勝したと考えている。ただ、マスメディアの反応を見ていると、バイデンの老獪な立ち回りや、ライアンの意見に対してにやけた表情や首を振ったりする仕草、ライアンの発言を遮った反論に対して、批判的な意見が多いのも事実である。

オバマは前回の大統領選で様々な約束をした。しかし、ティーパーティーや極右勢力に耳を傾ける共和党の議員団が、ありとあらゆる事に反対して、政策が通らなかった。共和党の議員団は、政策があって反対しているのではなく、将来の選挙戦略として大統領の政策に反対していたのは明らかである。その結果、オバマの約束は有名無実化し、通ったとしてもオバマケアーのような骨抜き政策になってしまった。共和党の議員団で、特に勢いがあったのは70年生まれの若きウィスコンシンの下院議員、ポール・ライアンであった。

ライアンをはじめとする共和党議員団は、目的があって大統領の政策に反対していたのではない。目立つために、反対するために反対していたのである。案の定、ベイナーの下、かなり目立った若きライアンが副大統領候補に選出されたのだが、副大統領候補としては反対するだけでは職務を全うできない。自ら建設的な政策を打ち出す必要がある。建設的な政策を立てると、どうしても以前のスタンスと矛盾してしまう。そこを見事にバイデンに突かれた訳である。自業自得だ。政治戦略に傾倒しすぎると、どうしてもそういう事態が発生する。日本でも、政権を執った民主党が政策を反転させた論理矛盾を記憶されている事と思う。

ライアンは、サラ・ペイリンのような馬鹿ではない。だが、強硬右派の意見を代弁しており、政策に柔軟性を持たせる事ができないようである。ロムニーすら、ライアンの極端な政策を頻繁に否定している。共和党内でのパワーバランスと、五大湖周辺の票のためにライアンを指名したロムニーであるが、この選択がどうでるのだろうか?(でも、オバマが最後は勝つ)

バイデンは老獪さでライアンに自らを批判する隙を与えなかった。しかし、何故オバマが四年前に約束した事が殆ど未解決のままであるかの説明はなかった。四年前に約束した事が実行されていないにもかかわらず、現在約束していることを今後四年でどうやって実行するかの説明も果たさなかった。共和党の下院を批判することは可能であるが、副大統領の職務は評論家ではない。

米国も捩れ国会という課題を抱えている。捩れたものはどうしようもない。大統領の権限など、システムの前に瓦解している訳である。私は、オバマでも、ロムニーでも、基本的にはどちらでも良い。二人とも、大統領として相応しい人物であると考えている。ただ、いずれが大統領になろうとも(オバマになるだろう)、約束したことは実行されそうにない。それをリーダーシップの欠如と呼ぶのは、あまりにも可哀想である。

10/11/2012

自民総裁選:福田派対田中派の派閥争い


私は民主党を支持していないが、野田総理には一定の評価を与えている。しかしながら野田総理は民主党内の抗争を抑えられずに、レイムダック化しつつある。民主党が次の選挙で勝つ事はあり得ないので、野田総理の任期は長くとも次の衆議院選挙までという事になる。

民主党が与党の座から滑り落ちた場合、恐らくは現在第二党である自民党に政権が移ると思われる。先の自民党の総裁選は、次期首相が誰になるかの決定戦でもあった訳だ。

自民総裁選では、石原の息子が早々と敗退し、石破対安倍の決戦対決で安倍が勝利した。つまり、2007年に病気か何か理由は知らないが、一年早々で総理の座を自ら投げ出した人物が、再び総理大臣に任命される可能性が高いのだ。中共や南韓との諸問題の為、国民がタカ派の人物を選びたかった、といった理由も大いに貢献したものと思われる。
私は、安倍晋三という人物が総理としての器を備えているとは考えていない。ただ、政党政治を標榜するわが国において、「個人」の魅力や能力を元に政治を騙っても無駄である。政党政治のコンテクストで自民党の総裁選を評価したい。

自民総裁選は、実質三つ巴であった。石原VS石破VS安倍であったのだ。なんのこっちゃない。つまり、宏池会(旧池田派)VS経世会(旧田中派)VS清和会(旧福田派)であったのだ。で、宏池会が早々と負けて、経世会と清和会の二大派閥の一騎打ちとなった。ご存知の通り、現与党である民主党は旧田中派の片割れの血を引いている。民主に対抗するためには、福田派の安倍を選ぶしかないというロジックの元、安倍自民党総裁が誕生したわけだ。

霞ヶ関も永田町も丸ノ内も、福田派と田中派以外の権力には慣れていない。それ以外の人間が上に立って出娑張ると、総スカンを喰らう事になる。宏池会や、松下政経塾や、市民運動家崩れの人間が上に立とうとも、政治は決して安定しない。橋下徹や石原慎太郎が上に立っても、日本の政治を安定させることは出来ない。なぜなら、日本のシステムは長い間、「田中派寄り」か「福田派寄り」かで決定してきたからだ。

小沢が強い理由は、そのシステム構造を熟知しているところにある。小沢が田中派の血を引く鳩山一郎を祭り上げたが、菅や野田には反発する理由も、このあたりにあるのだ。小泉が必死に自民党内の田中派を粛清しない事には力を握れなかった事も記憶に新しい。

あなたも、いい加減、政治に答えを求めるのを辞めたらどうだろうか?私たちは田中派か福田派かのどちらかを選ぶ事しか許されていないのである。その他の「答え(笑)」はないのだ。

で、ここまで分析してきて、ひとつ疑問が残る。それなら何故、経世党と清和党に分裂しないのだろうか?その枠組みが日本の権力構造の二極であるならば、自民対民主よりも、経世党と清和党が選挙で直接対決する方が理に適っているではないか?この意見に対して、私は答えを持ち合わせていない。あるいは、白黒つけないことこそが、日本的な美なのかもしれないが。宏池党はいりません。

10/10/2012

システム破綻している日本とアメリカの政治の問題点

「橋下が答えではない」と言う日本人に遭遇した。「それでは答えは何か?」と聞いたのだが、お茶を濁して答えてくれなかった。

申し訳ないが、政治に「答え」を求める時点で、メルヘン主義であるとしか思えない。私とあなたの利益は異なるため、暴力で決着しない為にも多数決で決着をつけて、敗者は勝者のお尻の穴を舐めなさい、というのが民主主義である。政治とはそれ以上でもそれ以下でもない。

同じように、アメリカの大統領選の討論を見たのだが、民主党も共和党も、自分を支持してくれる利益団体に利益を与える政策を模索しているだけである。国家のゴール等に関しては、両者とも大差がない。

あるはずも無い理想の「答え」を模索したり、代替案が無い癖に候補者を批評したりするのは、民主主義を理解していないとしか思えない。

和を以って尊しとなし、空気を読めと強要する風潮が、官僚主義を跋扈させている。民主主義を人気投票と勘違いするが故に、民主党内の政策軸の180度転換を許す結果となっているのである。

政治家はレベルが低いと人は言う。否定はしない、だが政治家など所詮は水商売である。有権者がある程度賢くならなければ、理想の民主主義は達成されない。民主主義の理想とは、敗者がヤクザの様にごねずに、勝者に意思決定を委ねることである。

議会がねじれている時点で、民主主義の役割は果たせない。そういう意味で、日本もアメリカも、現在の政治はインポテンツである。そして、そういったふざけた捩れを許容している選挙制度にメスを入れるなどの抜本的な改革をしないことには、グローバル化された速度の速い世の中で勝ち残ることはできない。社会のスピードに政治(法整備)が追いついていないのである。

日本もアメリカも、論駁の余地もない発展国である。が、両者とも政治のシステムが国家の発展を阻害している懸念がある。21世紀の世の中でどのような政治統治システムが必要であるのか?どのような政治システムがもっとも効率がいいのか?こういった建設的な議論を進めなる必要が急務であると思われる。

2012年、MLBプレイオフ展望 ナショナルリーグ編

既にディビジョンシリーズも終盤に差し掛かろうとしていて、後出しじゃんけんのようだが、読んでもらいたい。

サンフランシスコ・ジャイアンツ
リンスカムが予定外の不調。バリー・ジートは問題外。抑えのウィルソンは故障中。メルキー・カブレラはドーピングで出場停止中。早く負けて欲しい。

シンシナティ・レッズ
MVPのジョーイ・ヴオットだが、どんな顔なのかすら覚えていない。チャップマンが凄い球投げる?アロヨとダスティン・ベイカー監督しか知らない。典型的なイケイケドンドンチーム。

セントルイス・カージナルス
去年のチャンピオンだし、選手が揃っているにもかかわらず、相変わらず地味。ベルトラン、ホリデイ、フリース、クレイグとオールスター級の打線が揃うし、キャッチャーはモリーナ。先発は地味だがきっちり仕事できる面々が揃っている。腐ってもカーペンターが復帰できるのか?ブルペンもかなり固い。総合力的にかなり手強いチーム。プレイオフ向き。でも嫌い。

ワシントン・ナショナルズ
個人的に好きなチーム。若きエース、ストラスバーグが投げられない事は痛いし、お気に入りシンカーピッチャーの王建民がロースター入り出来なかった事も興味を剃られる。しかし、先発は21勝をあげたジオ・ゴンザレス、ジョーダン・ズィンマーマン、エドウィン・ジャクソン、そしてデトウィラーと揃っている。が、長いシーズンでこそ光りそうな面々で、短期決戦向きではないような気もしなくもない(例えば2001年のマリナーズが典型的な非短期決戦向きのメンバーだった)。バッティングも、ライアン・ズィンマーマン、マイケル・モース、ラロシュ、ワースと手堅い。モントリオールからDCに移り、シーズンでは強豪ひしめく東部地区で怒涛の勢いを見せて盛り上げたナッツであるが、残念ながらプレイオフでは光れそうにない。若いチームだし、来年がある。

ナッツX - カージナルスO
レッズO - ジャイアンツX

レッズX - カージナルスO

10/07/2012

2012年、MLBプレイオフ展望 アメリカンリーグ編

既にプレイオフ戦線が始まっているが、珍しい顔ぶれといえば首都圏付近の2チームであり、その他は常連である。よく言われる事ではあるが、プレイオフとシーズンでは勝つために必要な要素が若干違う。短期勝負のプレイオフでは、何よりも投手力が物を言う。特にブルペンの重要性は論を待たない。一体、どのチームが今年は有利なのだろうか?

NYヤンキース
イチロー加入で日本での露出が多くなったヤンキースだが、打撃陣の層の厚さは認めるものの、今年は正直苦しい。先発はサバシア、病み上がりペティット、イニングイーターの黒田、そして後半戦絶不調のヒューズである。そしてブルペンが頼りない。マリアノ・リベラがシーズン始めに故障した事が尾を引いており、非常に不安定である。チェンバーレン、ソリアーノ、フェルプス、ロバートソンそしてデレク・ロー。イラチのジラルディーがどのように采配を振るうのか?競った試合は落とすだろう。

ボルティモア・オリオールズ
若手中心の勢いのあるチーム。チェンを筆頭に、コロラドから移籍して化けたハメル、ゴンザレス、そしてソーンダンスと先発陣は微妙な顔ぶれだ。しかし、ブルペンがしっかりしている。51セーブのジョンソンを始め、オーデイ、パトン、マトュス、アヤラなど。競った試合大好き、そしてショーウォルターの采配で頂上を目指す。

デトロイト・タイガース
シーズン開始当初は優勝候補。で、蓋を開けると、ありゃりゃ。しかし、最後にはホワイトソックスを競り落としてプレイオフに駒を進めた。打撃の良さは、素行不良の三冠王カブレラやフィルダー以下、議論する必要はない。先発陣も、バーランダー、フィスター、サンチェス、シャーザーと、文句なし。問題はペン。ヴァルヴェルデ、ベンワー、ドーテル、そしてフィル・コーク。この面々が一体何度ばかりブローセーブを決め込んだのか?ブルペンが弱いチームは最後は勝ちあがれない。

オークランド・アスレチックス
何でこのチームが勝てるのか?正直解りません。セイバーマトリクスの人、教えて。マネーボール、嫌い。


予想:
ヤンクスX - オリオールズO
タイガースO - アスレチックスX

オリオールズO - タイガースX



10/06/2012

セーフコフィールド、来期から狭くなる

マリナーズのバッターが特にホームで打てないのは、セーフコフィールドの形と西岸海洋性の気候が原因である事は常々述べた。マリナーズでは2割6分ほどのバッターであったベルトレが、レッドソックスやレンジャーズに移籍した途端に3割バッターになったのは記憶に新しい。イチローもNYヤンクスに移籍してからバッティングが好調である。

そんな投手フレンドリーなセーフコフィールドだが、来期に向けて改修に入るというニュースが飛び込んできた。レフトからセンター方面は、およそ3%縮小するようである。ステロイダー全盛期にデザインされたセーフコであるが、ステロイドが厳しく規制される今の世では、ファンに足を運んで貰うべく野球そのものを盛り上げるためにも、致仕方ない選択肢なのかな、と考える。