10/30/2011

ロン・ワシントンの失敗を検証する

色々な人とワールドシリーズについて喋っていたのだが、ロンワシントンの采配について、興味深い視点があったので書いておく。その人の意見によると、ロン・ワシントンが犯してはならなかった失敗は第六戦の次の二点に尽きるという。

ナショナルリーグのアウェー戦で、自軍がツーアウトで満塁になった5回表の時点で、先発のルイスに代えて代打を出すべきであった。ルイスには、第七戦で使うかもしれないと言って引かせるべきだった。

8回裏、スイッチヒッターのバークマンの後、右バッターが3人続くのだから、即座にマイク・アダムズを出すべきだった。案の定、左のホランドはクレイグにホームランを打たれ、二点差に詰め寄られてしまったし、その後、ちぐはぐな継投になってしまった。

私は野球の素人であるし、こういった議論は事後論に過ぎないと思う。ただ、非常に興味深い見解なので書いておく。

10/29/2011

カージナルスが優勝

史上最悪だが、最も興奮できたワールドシリーズの試合から一日が経ち、金曜の夜にワールドシリーズの最終戦が行われた。アメリカでは、金曜の夜は視聴率が下がるのでスポーツイベントを入れないのだが、雨天順延だったので仕方ない。

結果はやはりと言うべきか?カージナルスがあっさりと第七戦を物にした。落ち着いた試合運びで、全く焦りがなかった。序盤は2対2の競った試合に見えた。3回裏にこのシリーズで頭角を現して、不振で手負いのホリデイに代わってスタメンで採用されたクレイグがホームランを放ち、試合は決まってしまった。カーペンターがきっちりと試合を作っていたので、全く荒れなかった。後は消化するのみ。レンジャースは今更CJウィルソンを使ったりしたが、時はすでに遅し。ジ・エンドである。

CJウィルソンがFAになっているが、正直A-の選手だと思う。来年、ウェブが帰ってくればエースを任せられる。まあいずれにせよ、テキサスは監督を換えるべきだと思う。

カージナルスは良くやったと思う。MVPはフリーズに行ったが、バークマンが個人的には一番活躍したと思っているし、クレイグも拮抗していた。

いずれにせよ、今年の野球は終わった。ところで、日米野球がなくなって久しいが、今年は台湾で来月に台米野球が行われるのはご存知だろうか?MLBは日本以外をマーケティングの重要な場と見ているようだ。

10/27/2011

ロン・ワシントンは糞馬鹿野郎

ゲーム6は無茶苦茶なゲームだった。正直、最後の3イニングは結構興奮した。だが、史上最低の糞ゲームでもあった。ゲーム当初から、締りのない、記録に残る残らないあわせてエラーばかりの試合だった。失点もエラーがらみ。ホリデーや部リーズののエラーは問題外だった。雨天順延を言い訳にするしかないかも知れないが。

6回には、バークマンのボテボテの当たりをルイスが一塁を踏まずにセーフ。隠れエラー。そしてマイケル・ヤングが痛恨のエラーで一塁二塁。(ヤングの一塁守備は問題あります。)さらに微妙なストライク判定でフリーズを歩かせて満塁。そこでロン・ワシントンは投手をオガンドに換える。おい、またか?心理的なものか、ストライクが入らない。案の定、四球で一点を与える。何故同じ失敗を何度も何度も繰り返すのか?力んでいるオガンドの様子がおかしいと判断して、なんと第4戦に先発して見事な投球を見せたホランドを投入。もしゲーム7に縺れればどうするつもりなのか?

ホランドが当たり前のように好投するが、八回にホームランを許す。8回2アウトで無駄にマイク・アダムズをマウンドに送る。運悪く二人ランナーを出すも、どうにか抑える。しかし、これは必要だったのか?

そして9回、フェリスが掴まって同点にされる。それは仕方ない。ただ、その裏ハミルトンの劇的ホームランで二点差に。それで終わった筈だったが、何故かワシントンはオリバーを投入。はあ??マジで?

案の定、やられる。そしてフェルドマンを投入。当たりまくってたバークマンに打たれたのは仕方ない。が、11回表に再びお笑い采配を見る。なんと、フェルドマンに代打を送ったのだ。ネルソン・クルズが怪我をしたというのは解るが、フェルドマンを引っ込めれば、後は病み上がりのマーク・ローしかいないじゃないか!試合を捨てる気か?フェルドマンに後2イニングくらい投げさせたら良かったのでは?クルズのかわりにガーマンを入れれば良かったのではないか?

で、11回にフリーズがコントロールの定まらないマーク・ローが仕方なく真ん中に投げた球をあっさりバックスクリーンに運んで、ジ・エンド。4時間半以上無駄な時間を過ごした。セントルイスの執念は凄かったが、ロンワシントンの自滅じゃないか!

1.右のルイスに換えて、何故過去に失敗を続けたオガンドを出したのか?
2.ゲーム7を考えればホランドは使えなかった筈。ホランドを使うのであれば、オガンドを何故飛ばさなかったのか?
3.競ったゲームで態々オリバーを出す必要があったのか?
4.使えるかどうかも解らない、病み上がりでコントロールも定まらないローをギャンブルでベンチに入れて、無難に敗戦処理できそうな上原を外す意味はあったのか?
5.元々抑えだったんだから、最後はCJウィルソン投入して、さっさと終わらせろ!
6.クルーズも使えそうにない。ナポリの踝も怪しい。そして先発はハリソン。ゲーム7、明らかに不利じゃないのか?セントルイスはカーペンターを惜しげもなく使ってくるぞ!

結論:ロン・ワシントンのせいで、テキサスは競ったゲームを勝てません。





そして、

10/20/2011

2011ワールドシリーズ:監督の差が出る試合

野球は基本的に選手の実力、分析力、そして運が試合の結果を左右すると信じている。だが、監督の資質で試合が決まる場合もある。阪神の真弓監督の采配の悪さが話題にされていたが、ワールドシリーズで二年連続でそういう事を考えさせられるとは思わなかった。

ロン・ワシントンの采配がアホ過ぎるのだ。この監督は麻薬中毒だったりして、端から小馬鹿にしているのだが、統計を無視した温情采配のような事ばかりする。レンジャースはヤング・ハミルトン・ベルトレと、リーグでも一、二の攻撃力を有している。そこに、新ミスターオクトーバーを冠名しようかという、ネルソン・クルーズも加わる。ピッチャーも先発は超オールスター級のピッチャーはいないにせよ、ルイス、ホランド、CJウィルソンと無難であるし、何よりもブルペンが良い。上原がオリオールズの頃のように活躍できないことも、理解に難くない(ただ、オリバーを入れて上原を外したのは温情采配だと思う)。さらに、二遊間から三塁、そしてクルーズと守りが素晴らしすぎる。

セントルイスも、ピッチャーはさておき、打者の質は素晴らしい。ホリデイ、プホルス、バークマン。羨ましい打線である。ただ打線がいくら良くとも、いい投手で小刻みな継投をされると、そうそう打線が繋がるわけではない。さらに、負けが許されない短期の対決では、各々のチームが徹底的な分析を仕掛けてくる。トニー・ラルーサが統計を駆使した細かい野球を仕掛けてくることくらい、誰でも知っている。で、テキサスのバッターは見事にやられているのだ。全く打てない。そして、ロン・ワシントンの采配。前夜のWS一戦目でオガンドを継投して運悪く失敗したのに、全く同じ状況で連日オガンドを使い、全く同じ失敗をかましてしまった。絶対に一点をやれないところで無駄なギャンブルをしたのだ。ルイスの継投で駄目だったのか?

昨年のジャイアンツ戦でも、無駄にオリバーを駆使して、ずっこけているロン・ワシントンを見た。テキサスのほうが総合力で上回っていると信じている。9回に上手く繋いでロン・ワシントンの失敗を帳消しにしたが、ロン・ワシントンが自滅してしまうというしょうもないシリーズにだけはして欲しくない

10/16/2011

温州商人の夜逃げ

浙江省は上海市の南側に位置しており、中国国内でも所得の高い人が住むことで有名な省である。省都の杭州市は上海の衛星都市としての役割を果たしているし、上海から橋を渡れば古くからの港湾都市として栄える寧波市にも行ける。金華ハムで有名な金華市や、紹興酒の名前にもなっている紹興市も浙江省にある。そして、本日のトピックとして一番大切な温州市も浙江省の南部に位置する都市である。

日本で温州といえば、温州みかんを思い浮かべるかも知れない(ちなみに温州みかんと温州市とは全く関係ない)。高速鉄道の脱線事故でその名を聞いた人も大勢いることと思う。中華圏で温州といえば「温州商人」という言葉が始めに頭をよぎる。温州商人は商売が巧い事で知られている。世界中に張り巡らせたネットワークを駆使し、ひたすら金を儲ける。製造業で稼いだお金で、北京や上海の新築マンションを買い漁る。内蒙古では石炭山の利権を手に入れる。インドでは鉄を買い漁り、バブルが崩壊したドバイの不動産を買い漁る。その派手なネットワークから「中国のユダヤ人」との異名を取ることもある(福建省から広東省にかけて住んでいた「客家人」も同じあだ名で呼ばれているが)。

その温州商人が、香港や台湾のビジネスニュースで取り上げられ始めたのは国慶節を前にした9月の末頃からだ。温州商人の間で夜逃げが常態化している、という物だった。先の段落を読んでもらえれば解るのだが、温州商人のビジネスストラテジーは、要は「買い漁る」という一言に尽きる。バブル華やかしき80年代後半の日本で地上げ屋さんがやった商売となんら変わらない。この戦略は、経済が右肩上がりであれば儲かり続ける。ただ資産を増やし続けるためには、現存の資産を抵当に入れて、お金を調達せざるを得ず、危ないソースからお金を借りてしまうことがあるのは、古今東西共通している。温州商人たちは、景気がピークを越えたのを察知し、貸し剥がされる前に夜逃げを始めている、という事であった。雇用されていた人達は、いつもと同じように会社に行くと、老闆(ラオパン:社長の事)が夜逃げしており、建物がもぬけの殻になっており、給料も払ってもらえずに無き寝入りをせざるを得ない、ということだ。

この話が真実だとすれば、中国の経済はかなりややこしくなっていると考えて差し支えない。ただ私は、リーマンショック後の2009年頃にも同じような話を聞いており、ゴシップ好きの香港メディアから漏れた温州商人の逸話だけをもって、中国経済を騙るのは大変危険だと考える。しかし、中国で実際に商売をしている人達からは、今年の春ごろから急に在庫が増えてきた、といった話しも聞いている。

中国のバブルが吹き飛ぶ事は、中国が健全に成長していく上で必要不可欠なことである。調整無しにして、中国は競争力を保てない。先進国の経済がくすぶる中、量的緩和で余ったお金が中国に還流し(キャリートレード)、世界経済を牽引していたのは事実である。温州発のインシデントが世界中にどのような影響を与えるのかというシステマティックリスクを考えておくことは、自分の身を護る上で非常に大切な事になるのは間違いない。