3/20/2014

マレーシア航空機報道にみる、マスゴミの酷さと視聴者の情報リテラシーの欠如

マレーシア航空機の残骸らしきものを衛星写真が捉えたと、トニー・アボット・オーストラリア首相が発表した。オーストラリア軍が米軍の助けを借りて、現場で捜索活動を行うとの事だが、現場は視界が悪く、海流も早く、捜索は難航すると見られている。残骸物は、一つは24メートルあり、もう一方は5メートルだという事だ。オーストラリア軍と米軍の専門家が鑑定したため、中国、ベトナムやマレーシア当局の発表とは異なり、信頼性がおける。ただ、これらが残骸であると確定した訳ではなく、違う可能性も大いにあるという事であり、メディアのフライングを牽制した。どういった結論が出るのか?注意深く見守りたいが、事実はすぐに明らかになるだろう。

ブルームバーグニュースなどでは、先週末から不明のマレーシア機はパースの沖に墜落したという見解を示していた。まともな専門家は、今回の件が事故である可能性が高い事を当初より指摘している。しかし、アメリカのCNNやFOXニュースでは、事故の可能性を指摘する専門家の揚げ足をとり、事件性の可能性を残しておきたいようだった。

ただ、CNNやフォックスニュース、東南アジアのメディアなどが、事件を面白おかしく報道する為、今回の件は「航空機史上前代未聞の謎」だとされていた。テロや事件性を追求した方が、ニュースは面白くなり、視聴率があがるからだ。マレーシア当局は、マレーシア航空の責任を軽くするためと、内外からの批判を交すために、情報の発表が後手後手になっている。しかも、発表する情報の質やタイミングが非常に悪い。ニュースメディアは、それらを曲解して、スパイ映画さながらのシナリオや、安物小説張りの陰謀論をテレビに垂れ流している。

今回の件は、マレーシアやタイやインドネシアなどのレーダーが脆弱かつ適当であった事、そして不明機が見つかっていない事だけが特殊であった。交信が途絶える事など、別に珍しい事ではない。不明機には239名もの人が搭乗しており、それらの人達の安否が気遣われる。更には、パイロットや関係者の人権を蹂躙するような報道も垣間見られる。事件の神秘性を強調して、情報を誇張し、面白おかしく報道している世界中のメディアは、まさにマスゴミと言う他ないだろう。

不明機の残骸らしきものが発見される前には、マレーシア当局が「機長のフライトシミュレーターを調べており、(捜査の一環として)削除されていたデータを復元させている。現時点では、誰も容疑者ではない。」という発表をした。それが以下の様に報道される。

「【シンガポール=吉村英輝】マレーシアのヒシャムディン運輸相代行は19日の記者会見で、消息を絶ったマレーシア航空機のザハリエ機長の自宅から押収したフライト・シミュレーターを調べた結果、いくつかのデータが消し去られていることを明らかにした。内外の専門家に依頼し、消去された記録の復元を進めているという。地元メディアによると、押収したシミュレーター用パソコンからは、インド洋にあるディエゴガルシア島の米軍基地飛行場の滑走路データなども見つかった。不明機はインド洋南部まで到達していた可能性があり、オーストラリアなどが捜索している。(サンケイ新聞)」

コンピュータの不必要なデータは定期的にクリーンアップ(削除)するのは当たり前である。これは誰でもする行為である。しかも、業務用のフライトシミュレーターに軍基地飛行場の滑走路データが入っている事も普通である。このニュースの内容は、本来ならば情報の価値すらない当たり前のことしか書かれていない。しかし、これを読んだ読者は、陰謀論や機長犯人説を膨らませてしまうようだし、マスコミはそのように誘導しようとしている。そして、ますます「前代未聞の謎」を頭の中で膨らませる。

私は、アポロ11号は月に行っていないと信じている人間だ。しかし、マレーシア航空の一件に関しては、テロや事件性は疑えないのだ。マスゴミの自省を促すとともに、視聴者・読者の情報リテラシーを問いたい。センセーショナルな報道こそ、一歩引いてじっくりと分析して欲しい。マスゴミは朝日新聞やフジテレビだけではない。欧米系だから勘違いしている人もいるが、CNNやフォックスも立派な商売優先のマスゴミであるのだ。

3/18/2014

不明のマレーシア航空機、納得できる仮説

マレーシア航空機に関するCNNの報道を見ていて腹が立っていた。無茶苦茶な説明ばかりだし、政府や「関係者」の話の裏を取らずにそのまま報道している。アメリカのケーブルニュースのレベルの低さを思い知らされた事は既に先日書いている。証拠もない勝手な推測を憶測して、機長は犯人扱いである。スパイ映画でもない限り出来ないような事を報道したり、陰謀論を言い立てるメディアまである。「アホちゃうか?」と言うのが正直な感想である。

で、やっとまともな仮説に出会うことが出来た。

マレーシア航空機は、管制官と連絡を取り、副操縦士が「オーライト。グッドナイト。」と言った後、不慮の事故に襲われた。それは、電気系統の火事である。それによって通信機能などが使えなくなり、地上との交信が不可能となった。黒い煙が充満し、緊急着陸を余儀なくされた。で、経験豊富な機長は、飛行機をランカウイ島の飛行場に緊急着陸させようと努力する。或いはペナン島のジョージタウンかも知れないが、位置的にはランカウイで間違いないと思う。ランカウイには飛行訓練学校もあり、マレーシア人のパイロットであれば、慣れ親しんでいる空港であるからだ。電気系統に支障が発生したという物の、エンジン系統は問題がない為、飛行機は機長の操縦に通常通り反応し、大きく進路を変える。また、電気系統以外の火事であったとしても、火事の疑いが確認されれば、ショートなどが原因である可能性があるため、パイロットはただちに電気系統を切らなければいけないという話である。

やがて黒煙が充満し、酸素吸入装置も黒煙の難を逃れず、数分間の内に乗員乗客は煙で気を失う。奇跡的に電気系統以外の小さな火事以外に故障が無かったボーイング777は、その後「幽霊飛行機」或いは「ゾンビ飛行機」として、つまり乗客乗員が死亡したにもかかわらず自動操縦で燃料が無くなるまで飛び続け、南インド洋に墜落した。南インド洋は主要な交通航路から外れているため、レーダーも無ければ、上空を通過する飛行機や付近を航行する船も少なく、なかなか発見されない。オーストラリアのパースとマダガスカル島の間を捜索すれば良いのだが、範囲が広すぎて難しいのが現状だろう。機体が沈んでしまっていれば、発見すらも絶望的である。

航空機の火事自体は珍しいことではない。タイヤが燃えたケースだが、ナイジェリア航空2120便の事件などが思い起こされる。ここまで酷くないにせよ、密室内では小さな火事ですら、乗客乗員の命を危険に晒す。人は煙で死ぬ。火で死ぬわけではない。また、何らかの理由で気圧などが急激に変わっても、すぐに全員気絶、そして絶命してしまう。ただ、それらのマイナーインシデントでは、航空機の飛行能力に問題を起こすことはなさそうだ。

航空機ダイバートが副機長の最後の「オーライ。グッドナイト。」という交信の前にプログラムされていたなどとも発表されているが、この情報こそ信頼性を疑う。どのような情報を元に、どのように推測して結論付けたのかが全く明らかにされていないのだ。マレーシアの閣僚が、副機長の最後の交信前にトランスポンダーが人為的に切られたなどといった発表も、後になってから訂正されている。私は、単純にマレーシア側から上がって来る情報の質が信用できないし、マスコミが面白おかしく加工している可能性があるので、暫く様子を見たい。マレーシアは、他の国よりは若干マシだが、所詮は半独裁国家であり、情報の透明性などを大切にする国ではない。いずれにしても、内外のマスメディアによる馬鹿な陰謀論に踊らされる必要はない。

事故の原因が乗客による人為的な物なのか、機器の故障であったのか、他の原因なのか?それらが判明する事が可能だとしても、途方もない時間がかかるだろう。

3/17/2014

混迷する世界情勢

最近、世界情勢や時事現象の訳が解らないのだ。ニュースを見るほどに混乱する。先のSTAP細胞とマレーシア航空MH370の話は意味不明だが、クリミアの話題も訳が解らない。プーチンの横暴を放っておくと、クリミアがナチスのズデーデンになりかねない、という理論も理解できる。しかし、西欧や米国の主張は住民の民主主義を否定しており、ニュースを聞いていいても合理的に理解できない事だらけなのだ。

週末にクリミア問題での選挙が終了し、月曜日のニューヨークの株価は鰻登りである。中国問題やロシア問題が出てきたのだが、株価は上がり続ける。この点に関しても訳が解らない。私は世の中の話題に追付いていないのだろうか?それとも世の中が狂っているのだろうか?

3/13/2014

マレーシア航空と小保方博士の報道に違和感を抱く

マスコミの節操の無さは今に始まった事ではない。これは古今東西同じである。最近の二つのニューストピックを眺めていて、ニュースという物が実は単なる娯楽に過ぎないのだなあと感じるのである。

一つ目は、KL発北京行きのマレーシア航空機の消息不明の件である。恐らくは、テクノロジーに頼り過ぎ、不明海域を特定しすぎたために、不明機の消息が掴めていないのだと思う。しかし、メディアではある事ない事を討論している。東南アジアではパスポートが盗まれて密航に使われる事などは日常茶飯事だ。それに対して、CNNはテロリストや新疆地域の中国からの独立を画策する人物の可能性、などといったセンセーショナルな討論をしていた。さらに、中国軍が衛星で飛行機の残骸らしきものの画像を確認した件だが、その画像が発見された場所が中国共産党が南シナ海で領海だと主張しているギリギリの場所にあり、政治的意図が見え隠れし、非常に胡散臭いのだ。それをそのまま報道し、関係のない専門家に意見を求めていた。アホじゃないか、と真剣に思った。CNNはアメリカの英語のニュースなので買い被られている。しかし、ニュースの質的にはNHKの遥か後方に位置する商業ニュース娯楽である。ターゲットにする視聴層はインテリ層の下あたりの庶民である。「解らない事は解らないし、情報が少なすぎて何も判断できない」何故、そう正直に言わないのだろうか?メディアのレベルの低さに嫌悪感を抱く。

二つ目は小保方さんのニュースである。STAP細胞の問題であるが、再現が可能なのかどうかは科学者に任せれば良い事である。そうした議論の上に科学は成り立つ。しかし、博士論文がコピペだという話すら出てきたが、これは正直踏み込み過ぎだと思う。論文をコピーアンドペーストするのは剽窃行為であり、アカデミアではレッドフラッグがつく。しかし残念ながら、多くの人は剽窃行為を犯している。特にアジア地域では、著作権という考え方が伝統的になく、他人の文章を盗むことに対して罪悪感がない。商用の新聞記事や本などですら、コピペは多用されている。日本人研究者が英語の論文を書くと、英語能力の問題で文章を要約するという事が出来ず、コピペのまま引用してしまう事も多々見受けられる。これは日本だけの問題ではなく、アメリカでも剽窃行為は日常茶飯事である。特に、アジア人出身の経験の浅い研究者が英語で論文を書くと、ほとんどの人が剽窃行為を犯していると思われるのだ。実際に小保方さんの博士論文を読んでいないので何とも言えないが、導入部位でコピペするというのは、良くある事だ。発見されればアウトではあるが、多くの人がやっている行為である。剽窃行為を発見するには、ソフトウェアでスクリーニングする他に方法は無い。指導教官が読んだところで、剽窃かどうかを知る事など出来る訳がない。これは学会内の話しであり、社会が問題化するという事については、違和感を抱かざるを得ない。赤信号、皆で渡れば怖くない。しかし、小保方さんは目立ちすぎたために赤信号で横断歩道を渡った事実をいまさら叩かれている。STAP細胞の再現性など、本質部位だけの報道に終始して頂きたい。