日本は貿易赤字国である。アメリカとの貿易収支が大幅な黒字だからと言って、バランス的にどうこう言える状態ではないと個人的には思っている。貿易収支には、デジタルなど、色々と含まれていないものもあり、そのあたりも冷静に見たうえでの議論とするべきだと思う。
アメリカが、ヤクザのような脅しをかけてきた。日本にとって、車や鉄鋼は基幹産業であり、これら産業の経済波及効果は非常に高い。これらの産業が不調に陥ると、日本の経済はガタガタになる。東京のサービス業従事者が、1000万強の年収を貰って大きな顔をして、Youtubeでえらそうなことを言っているのを良く目にする。しかし、トヨタやホンダの工場作業員が頑張ってくれ、世界中で日本車を売りまくってくれているのだから、日本という国はこれでだけ世界の中で偉そうにでき、東京に住んでいる人はその人達に支えられているというのを忘れている節さえある。世界の中でも、アメリカが日本自動車の太客であり、その太客をターゲットにするために、何十年もかけてサプライチェーンを構築してきた。そこが関税引き上げなるインチキを始めると、日本経済は困ってしまう。
困るくらいなら、何かを差し上げて、関税引き上げを止めて頂こうというのが、ベーシックなストーリーとなる。トランプ政権としても共和党にしても、関税はあくまでも不公正な貿易に対する楔に過ぎず、最終的には自由貿易が望ましいとしている。公正な自由貿易が世界の発展に寄与することは教科書通りであり、それに反対する人はアホだけである(今は、不公正がまかり通っているのに、自由っぽい貿易慣行で、インチキしている国に生産が偏る仕組み)。
世界中のまともな有識者は、この機会に、日本や世界経済の発展に寄与できるように、日米交渉がポジティブな会議になるような提案をしている。日本の農林水産物の貿易をさらに自由化することによって、日本のタックスイーターであり、利権の巣窟のような業界にメスを入れ、公正な国際貿易に方向性に近づけたい。日本の一般消費者の利益にも与する提案である。(次のポストで述べるが、政治的にメスを入れる要素はいっぱいあるものの、アメリカに差しだせるような物はほとんど残っていない。)
ただ、石破政権にそれは出来るのか?石破は「日本の田舎グレートアゲイン」+「軍事おたくによる国家安全」みたいなスタンスの未来を標榜していたと理解している。森山幹事長はゴリゴリのJAをバックとする親中自民農水族である。農水関係の話をこの二人に持っていくと、ちんぷんかんぷんな話が帰って来るだろうという予測は以前よりあった。4月25日の自民農水族の会議にて、森山さんがJAの意見書をまとめ上げて、江藤拓農水大臣に提出した。中身を見て、思わず失笑せざるを得なかった。
トウモロコシと大豆(笑)
日本は飼料としてアメリカとブラジルからトウモロコシ(デントコーン)を大量に買っている。最近は米を飼料用に回していたので、それを食用に回せば、微々たる量の新規のトウモロコシを受け入れることが出来るだろう。アメリカ産かブラジル産かを選ぶのは、飼料会社や商社であり、日本政府が影響を与える事は出来ない。アメリカ産のトウモロコシを買い増す事を可能にする法律は可能なのか?あるいは、我が国は社会主義国なのか?
大豆は、飼料用の大豆を日清オイリオ、JOilと昭和産業が輸入し、搾油している。搾油量は、カナダやオールトラリアの菜種(カノーラ)との価格差で輸入量が決まる。アメリカ産大豆のシェアは8割くらいで、季節要因とタンパク値の関係で、ブラジル産を混ぜている。私にはどこにアメリカ大豆を買い増す余地があるのか不明である。森山はきちんと説明して欲しい。
搾り取った大豆粕は、タンパク成分として飼料用になる。日本の搾油業者が作る大豆かすは半分くらいの需要しか満たせず、中国の搾油会社などから残りを買っている。ここをアメリカ産に変えるというのなら理解はできるが、政府がどのように介入できるのかは不明である。
現時点では、新鮮な植物油をクリーンエネルギー用に使うという案はない。植物油を搾りまくって、一度だけエビでも落とせば、廃食油となり、SAFでも作るというのだろうか?不明である。
食用大豆に関しては、アメリカ産のNon-GMOの方が、国産よりも高くなるという事象が昨年は起きた。日本での食用大豆の用途は、豆腐や納豆、味噌などであり、「貧乏人のたんぱく質」として扱われており、スーパーでの値上げは難しい。世界的に商品価格が上がったが、納豆や豆腐の値段を上げるのは至難の業であり、アメリカの生産者との契約締結できるだけの価格が出せず、とても難しい状況が続いている。アメリカの農家は、生育が面倒くさい納豆用の大豆を作るのだから、ある程度の値段は払ってもらわなければ商売が成立しない。はらえないのなら、バイオディーゼルやSAF用に国内でさばける普通の大豆を作った方が儲かる。食用大豆をアメリカから買い増せるほど、今の日本の消費者は豊かではありません。
エタノールを買い増す案は歓迎する。次のポストで詳細を書く。
私がアメリカ側の交渉相手で、日本がトウモロコシと大豆を買い増しますと言えば、冗談だろ、と苦笑すると思う。
ジャガイモ
ホクレンさんのプレッシャーで、生ジャガイモに関しては、カルビーなどのポテトチップスメーカーしか輸入できない。アメリカ側はテーブルポテトを含めて市場開放しろと言っている。農水省はジャガイモシスト線虫の話をずっとしており、アメリカ側からの要求を撥ね続けているが、裏にホクレンなどがいる事は火を見るより明らかである。北海道では、ジャガイモ生産が気候変動でしんどくなってきており、サツマイモ生産にシフトして鹿児島の農家さんは怒っている。自動車産業のためにも、そろそろ折れたらどうですか?消費者にとって、色とりどりのポテトがスーパーに並べば、日本のポテトサラダにも多様性が出るんじゃないか?(マヨネーズべったりの白いポテトサラダ、おもんないです)
コメ
ミニマムアクセス米の枠内での買い増しと言っているが、MAの枠を広げるのか?MAの制度はアホ過ぎて、すぐにでも廃止するべき。国産を買うのか、カリフォルニア米を買うのか、ブスマティ米を買うのか、これは消費者が選ぶので、農水が決めるな。日本の兼業農家と自民党への投票を守るために、無駄な補助制度が一杯あるが、JAさんはそろそろ諦めませんか?甘いだけのべっとりとしたコメが、すべての食事と相性が良いわけではない。固くて甘さの薄いコメを好む人も多い。好みの問題を消費者に強要する農政にカツを入れたい。
肉
豚も牛も、関税下げろよ。逆に森山は、九州の黒毛牛農家のために、アメリカ側の和牛の輸入枠を広げて公平にせよ、くらいの話をアメリカに持って行って、逆提案しろや。アメリカへの和牛の輸入を増やすので、トウモロコシや大豆粕などの餌の需要もあがります、くらい言えや。
0 件のコメント:
コメントを投稿