12/29/2011

520の浮き橋を通らなければ昼飯代が浮く件について

シアトルという都市圏は、レイクワシントンによって二つに大きく分断される。西側がシアトル市であり、古い側の中心である。港湾やボーイングの工場や大学など、古い産業も沢山ある。ダウンタウンにはマリナーズのセーフコ球場から、宇和島屋があるチャイナタウン、オフィス群、そして少し離れてスペースニードルを有する。一方、湖を越えて東に行くと、ベルビューという街に行く。ベルビューは東側の中心地として、近年急速に開発が進んだ。ダウンタウンにはショッピングセンターを構え、富裕層を取り囲む。ベルビュー市を中心に、レッドモンド市、イサクア市やカークランド市など、シアトル側よりも住環境が良いことで知られている。マイクロソフトが東側にあるため、ソフトウェアのオフィスが東側に居を構え、金持ちの若者だけでなく、インド人や中国人の技術者たちが多く住む。綺麗なだけの味気のない新興ヤッピータウンとでも表現しようか。平たく言えば、シアトル側が神戸市内の海よりの雰囲気でベルビュー側が芦屋や西宮の山の手の雰囲気、といえば解って貰えるでしょうか?

シアトル-ベルビュー都市圏には、東西を繋ぐ二本の大動脈の高速道路があり、二つとも湖の上は浮き橋になっている。一つが州間高速I-90であり、もうひとつが州道520である。州道520はシアトル市北東部のワシントン大学からレイクワシントンを通ってベルビューを繋ぎ、果てはマイクロソフト・キャンパスがあるレッドモンド市までを繋ぐ高速道路である。州道520の浮き橋は片道が二車線しかなく、常に混んでいる。老朽化が言われており、風の強い日などは、波しぶきを浴びながら、微妙に揺れる橋の上を通らなければならない。強い嵐でも起こり、運が悪ければ、橋が沈むのではないか、とまで言われている。

12月29日、ついに州道520の浮き橋が有料になったのだ。520の橋を将来的に補修する目的の課金であるという。「Good To Go」パスというものを車に貼っておけば自動的に加算されるシステムであるが、パスがない車はカメラでナンバープレートを撮影されて請求書が来る仕組みである。料金は時間帯によって値段が変動する。ピーク時の午前7時から9時、或いは午後3時から6時の間だと、一回通るごとに3ドル50セント課金され、往復だと7ドルである。パスを持っていない人は10ドル払わなければならない。ヤクザである。ランチを軽く食べれる値段である。しかも、この料金は今後10年ほど、毎年すこしずつ上げられる計画である。

私はほぼ毎日のように橋を使っている。東側の520の横に住んでおり、職場が西側であるからだ。スーパーや公園なども西側まで行くことが多いし、ほとんどの友人が西側に住んでいる。職場にはバスの方が便利なのでバスで行くのだが、その他の場合は車で渡る。しかし、これからは生活のあり方を抜本的に見直す必要に迫られている。スーパーに行ったり、散歩したりで、6ドルも7ドルも馬鹿らしいお金を払っていられない。

この課金システム、今年の初めから「始める、始める」と言っておいて、始まらなかった。4月に始める、8月に始める、そして最終的に12月までずれ込んだ。520の橋は有料であるが、I-90の橋は無料であるため、多くの車がI-90 に殺到することが予想される。そして、ベルビューやシアトルのダウンタウン付近の高速道路が迂回する車によって極度に混雑する可能性が指摘されている。いつも思うが、アメリカの地方都市の交通などを請け負っている人達のレベルは物凄く悪い。何故もっと効率よく出来ないのだろうか?

で、本日課金の初日を迎えた。朝、520をチェックしに行くと、ガラガラ。バスは初めてスマホのアプが示す時間通りに来た(いつも遅れる)。昨日の夜から高速からいつもは聞こえる車の音が妙に静かである。比較的静かな滑り出しの初日であったが、いまだにクリスマス休暇の人も多く、システムが機能するかどうかは来週初めまでは解らない。

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