ヒラリー・クリントン国務長官が来日して、松本外相(誰それ?)と会談した。そこに、非常に面白い事が書いてあった。
「両外相は、復旧・復興に向け、両国政府と企業・シンクタンク・非政府組織(NGO)などによる官民のパートナーシップを進めることで一致した。(毎日新聞4月18日)」
つまり米国は復旧復興案に積極的に関与する、という事だ。しかも、シンクタンクやNGOまで関与させたいと言っている。松本外相は二つ返事をしたらしいが、これがどれ程の重要な意味を持つかを理解しているのだろうか?
既に私は何回もこのブログ上で書いているのだが、日本では今まで自民党と霞が関を中心とする密室癒着政治が行われて来た為に、透明性も何も無く政策が決定されてきた。そして透明性が無い為に、その影で不明瞭な税金の使われ方が罷り通っていた訳である。税金を使う側は、競争が無いために革新を怠るだけではなく、新規参入者を力(権力・金・法律)で排除してきたため、社会全体が沈滞するという「日本病」が蔓延していたのである。
ヒラリーの今回の提案は、日本ムラの構造にメスを入れるものだ。本当に日本政府が意思決定に海外のシンクタンクや「まともな」NGOなどを受け入れれば、社会は劇的に変わっていくと思う。私はもろ手を挙げて賛成したい。
ただ公平な競争が導入されれば、NGOやシンクタンクは海外の物が中心となると思われる。何故なら日本ではNGOなどは社会の内側には入れてもらえず、優秀な人材が全く集まっていないからだ。翻って、アメリカやヨーロッパなどでは、NGOに優秀な頭脳や金が流れており、社会の一部として成熟したNGOも多々見受けられる。(という事は日本の震災復興が欧米人の雇用の受け皿になるという事だ。)
まともなNGOを意思決定機関として受け入れると、独立行政法人や官僚組織と対立する事になるだろう。地元の利権団体とも対立する可能性がある。まともなNGOが議論に加われれば、効率性や長期投資を優先する政策決定が国民の目の前に晒され始めると思う。そしてそれこそが我々が望む社会の形だと思う。責任者が隠れ続け、利権を一部のトモダチ達が分け合うような腐った社会はもう懲り懲りだ。「仕分け」とはそういういった社会を目指すことについての比喩ではなかったのか?
日本の政治家は自分達は「立法」をする仕事を受け持っているという事を自覚するべきだ。そして立法権を持った人間がするべき事に集中し、訓練を受けていない事に関してクビを突っ込まないようにするべきだと思う。日本の政治家は自分達の能力を弁えずに出しゃばり過ぎだし、受身に回って政治にパラダイムチェンジのアイディアを期待している日本国民もどうにかしていると思う。アイディアは社会が出すものだ。政治家は法を作る仕事。官僚は行政を行う機関。内閣は官僚を監視する機関。そういったプロフェッショナリズムに基づいたタスクの分担を国民が共有するべきだ。
民主党有力議員の秘書をしている友人がいるのだが、そいつの認識などを聞いていると日本に未来を感じられない。結局は古い枠組みの中でしか物事を見れず、未来をどうしたいのかといった発想がそもそも欠落している。日本の現状に疑問を感じ、やる気だけが満ちているのであれば、ボランティアでもすればいいのであって、政治にクビを突っ込んで欲しくない。良い友達であるが、もしそいつが政治家に立候補でもすれば、私は反対運動をする。話が逸れて申し訳ない。
行政のあり方、立法のあり方、そして国民の社会に対するコミットメント。それらをきちんと理解し、誰が何を受け持つべきかをしっかりと定めなければ日本に明日は来ないと思う。逆の言い方をすれば、今こそが方向転換のチャンスであると思う。
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