12/30/2013

2013年の総括、2014年の占い

この一年の総括をし、来年を占いたい。個人的には今年は碌でもない一年であった。シアトルという最高の街から、大学フットボールしか娯楽がない文明が未発達なアメリカ南部の町に引っ越し、冷や飯喰らいの毎日が続く。ロボットの様な尊敬にも値しない中国人上司の支配下に置かれ、種蒔きにばかり時間を取られ、収穫はゼロであった。あぁ、本当にシアトルの雨が懐かしい。来年が自分にとっての躍動の良い年となる事を切に願う。まあ、それは横においておこう。

経済の話だが、株価が持ち直した。アメリカの株価の上昇、そして日本の株価の上昇は既に予期されていた事だった。しかし、債券市場、金市場と新興市場は大荒れ。あらゆる債権から株への資金移動が確認された。グレートローテーションなどという言葉が持て囃された。来年はイェレン調整を余儀なくされるだろうが、大きな流れは変わりそうにない。

予想通り、円安も進行した。105円程度にしかならなかったというのは個人的には意外だが、来年は加速的に円安が進行すると思う。一方、来年の日本株価はアメリカ株に引きずられると思う。バーナンキが去った後、イエレンが職を受け継ぐが、テーパリングと絡めて市場がイエレンに挑戦すると見ている。2014年の二月か三月以降は、一時的に株価が落ち込むと見ているのだ。それでも円は買われそうにない。株価退却局面では、ドルの現金持ちかドル建て債権持ちが堅そうである。ただ、一旦落ち着きさえすれば、夏以降は再び株価上昇局面となるだろう。日本の不動産に関しては、商用に向きそうな都会の土地の地価も上昇する。ただ、不愉快なインフレの波が徐々に日本経済を蝕み始める事を忘れてはならない。現金を大量に保有している人や、年金生活の高齢者には、じわじわとボディーブローのようにアベノミクスの副作用が効き始める頃だと思う。消費税の増税もあるが、物価が目に見えて騰がり、消費者マインドは急激に冷え込み、日本のファンダメンタルズに黄信号が灯る。ただ、行き場のないお金は株に向かうしかなく、イエレン調整を除いては、大幅な下振れリスクはない。

政治に関しては安倍首相の独壇場になった。自民党は「古き良き」路線を取り戻し、アベノミクスで株価が回復した事に枕を高くし、ばら撒きに躍起になっている。三本の矢などと豪語した政策も、二本目までしか確認できなかった。三本目は612日に発表された日本再興戦略だとしているが、昔から発表され続けている骨太方針などと内容的には殆ど変る事がないものであり、インパクトには欠けている。また、予想通りといえばそれまでだが、安倍首相が「自由」を規制する法律ばかりを通そうと躍起になっている事も気になる。期待の規制緩和は待てど暮らせど小物しか出てこない。そして、年末の突拍子もない靖国神社の参拝と来た。経済よりも、例の「美しい国」作りを優先させたいのかな?と勘ぐったりもする。

私は昨年の同じ時期にも既に述べたのだが、安倍晋三という人物が首相の器があるとは到底思えないのだ。色々な事を戦略的に考え抜く人物では無いような気がするのだ。思い付きで行動し、打たれ弱く、突拍子もない事をする人間のように映ってしまう。韓国や中国が幼稚な対応をする中で、経済再建に集中し大人の対応をする成熟民主主義国家・日本。こんな我が国の「美しさ」が一瞬にして瓦解してしまった。電撃的に靖国に参拝して、すべてオジャンである。どいういった層にアピールしたかったのかは解らないが、折角多くの国民が安倍首相を支持しているのに、マイノリティーの為に伏線もなく唐突に参拝する必要があったのかどうかは首を傾げざるを得ない。少なくとも、日本人のインテリ層や、日本通の海外知識人にはそう捉えられている。私の目には、安倍首相は「靖らかに眠る英霊たち」を政争に利用しようとしているように見えてしまうのだ。

安倍首相の支持率が高いのは、株価が高く、経済が上向いたことが原因である。中国や韓国の事を鬱陶しいとは思う人は多くとも、本気で一戦起こして欲しい、などと考える人は殆どいない。米国を怒らせたいと思う人達も少ない。今回の靖国参拝は、安倍首相の自滅へのスタートであるとしか思えないのだ。来年は、株価の調整と共に、明後日を向いている安倍首相の支持率は急激に下がり始めるものと予想される。一度支持率が低下すれば、猪瀬氏を葬ったようなマスメディアの安倍潰しの報道が始まる。自民党内紛という毎度のパターンを見る事になるのではないか?旧田中派の末裔が、利権を取り返すためにも、難癖をつけて岸派本家の首相を退席させようとするのではないだろうか?経済が上向いてきたからか、利権争いにマスメディアが加担して、安倍首相安泰の下で魑魅魍魎が暗躍している。霞ヶ関で働いている友人たちの中には、国際条約や公平性などを無視した与党政治家の無茶苦茶な要求に不満を漏らしている者も多い。一方、能無し野党の群れは、選挙も遠く、建設的な再編などという動きには繋げられないだろう。ただ、現在の株高が、政治の安定という面からサポートを受けているため、政情が不安になれば、やがては株価や投資にも影響が出そうだ。

日本経済や日本という国にとって、2013年は悪くない年だったと思う。しかし、2013年は特殊な年であり、我が日本国が長期衰退のトレンドから解放されたわけではない。民主党という社会実験が終わり、自民党が圧勝し、政治が久々に安定した。復興特需が軌道に乗り、消費税8%前の駆け込み需要、そしてアベノミクスの二本の矢、円安、米国経済の回復。こういった幸運が重なり、2013年は潜在成長率以上の経済浮揚を経験してしまった。2013年の上向きの反動が、2014年の中盤以降に顕著に表れた場合、経済的にも政治的にも日本は行き詰ってしまう。

上述のように私は2012年の終わりには、市場はリスクオンになるとキッチリ予想した。毎年悲観的なわけではないが、日本の長期衰退の流れは半永久的に続くものだ。安倍首相はモルヒネを撃ったのだが、その副作用が2014年の後半には見えてくるだろう、と予想している。さて、来年の年末に私は何を書いているのか?

個人的に糞みたいだった2013年に一秒でも早く別れを告げたい。例年ならスペースニードルの花火を見ていたのだが、今年は家でインスタントラーメンでも食べながらの年越しとなりそうだ。

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