7/02/2011

バーベキュー(サーモン・牛肉編)

バーベキューのシーズンになった。アメリカ人は7月4日の独立記念日にバーベキューを食べて、夜は花火を見るのがお決まりなのだ(ESPNでホットドッグ早食いコンテストも見る?)。ただ、一般のミドルクラス・アメリカンのバーベキューは、ホットドッグやハンバーガーパテを焼くだけで詰まらない。もう少しいい物を食べたいではないか。

バーベキューは、肉、魚、野菜などを適当に切ってシーズニングして、直火で焼くだけの料理なので説明など不要であると思っているのだが、意外と質問を多く受ける。その中でも、サーモンと牛肉についての質問を頻繁に受ける。一体どういった食材を使うべきなのか、と。

このブログでは以前から言っているように「究極のメニュー」なるものは存在し得ない、という立場をとっている。「好き・嫌い」など所詮は個人の好みに由来するため、「美味しいか、美味しくないか」などといった議論は、完全なる主観でしか判断できない。油っぽいものが好きな人もいれば、そうでない人もいる。塩っ気があれば何だって美味しいという人もいれば、醤油をかければなんでも美味い、と語る人もいる。アメリカ人の多くは、ソースに砂糖を入れて甘くすれば大体喜ぶ(例えば照り焼きソース)。周りの雰囲気や、一緒に食べる人によって味や好みが変わってしまうのは認知に支配されている人間の悲しい性である。それを理解した上で読んで欲しい。

私はベニジャケが好きだ。所謂、サッカイサーモンと呼ばれている物である。初夏のサッカイサーモンをスーパーなどで購入する。アラスカのカッパーリバー産のものが有名である。スーパーでは三枚に卸してあるので、店員さんに言ってフィレを一枚丸ごと買う。大体、長さが70-80cmくらいであり、2パウンドから3パウンドくらいで売られている。1パウンドが12ドルとすれば、24-36ドルくらいで買える計算になる。

家に帰ったら、まず洗う。そして、骨を刺抜きで抜く。鱗が皮に残っているのなら、それも取り除く。最後にキッチンペーパーで余分な水分を拭き取り、皮と身の両側にきっちりと塩及び粗引き黒胡椒を振り掛ける。塩は決してケチらない事。サーモンを調理する際には白ワインやレモンを反射的に使いたい人が出てくるが、新鮮なベニジャケを手に入れているならば、あまり小細工しない方が良い結果になる場合が多いので、止めておいて欲しい。シーズニングした後、一時間ほど塩が身に染みるのを待つ。余分な水分も塩の浸透圧で外に出てくる。その間にバーベキューの火力を調整しておけばよい。

愈々ベニジャケを焼く。鱗側を網に乗せる。始めは直火が当たらないように火を調整して、蓋をして、5分ほど待つ。やがて蓋を開け、火を強める。理由は皮を少しだけ焦がすためだ。それだけの理由なので、皮が美味くパリッと焦げた時点で火は弱めて欲しい。火が通ったと思えば(自信が無ければ真ん中にナイフを入れて中身を見ればよい。)、両手にフライ返しを持ち、思いきりよく一気にひっくり返し、身の側を強火で少しだけ焦がす。2-3分も焼けば出来上がりだ。鮭は火が通るのが極めて早いので、あまり焼きすぎないこと。大きな皿にとり、食べる前にお好みでレモンを振りかける(私はレモンを使わないほうがいいと思うが、好みの問題だろう)。実に簡単である。そしてグルメは皮から食べる。

シヌーク(キングサーモン)はジューシーである。調理法によってはサッカイよりも美味しくなるのだが、普通にバーベキューをすると中がパサついてしまうことが良くある。脂をいかに落としながら、中をふっくらさせるかがシヌーク調理の鍵である。私はシヌークをバーベキューする時には白ワインに浸したり、色々事前に小細工するのだが、面倒な人はシヌークではなくサッカイを買うことをお勧めする。シヌークを豪快にバーベキューして食べた後で、「やはり小さく切って味付けしてから焼いたほうが良かった」、などと反省する事が結構起こりえるのだ。コーホー(ギンジャケ)についても、シーズニングをきっちりとした方が味を引き出しやすいと考えているので、バーベキューの初心者向きではない。

サーモンに続いて牛肉の話をする。基本的には脂が乗った肉を買ってくるのが良い。リブアイステーキ、Tボーン、などがバーベキューに向いている(普通にステーキにしても美味しいのだが)。Tボーンやニューヨークストリップを使う場合はは、二十分前に塩と粗引き黒胡椒を両面にたっぷりかけて、後は強火で焼くだけだ。レアで食べるのが美味しい。そして、調理者が食べる人達のために切ってあげるのがいいと思う。醤油やポン酢、ステーキソースは肉本来の味をぼやけさせるので使う必要がない。逆に、リブアイはかなり「タレ」に合う。5-6時間ほどタレに漬けておいてからバーベキューするとビックリするくらい美味しい。脂肪が大目の上等のリブアイを買えば、少し長い目に焼いたほうが美味しい。

後はカルビやフランクなど牛の下部だろう。カルビはショートリブなどの名前で売っている。これらはステーキには適さない肉であり、タレに浸けた上でゆっくりと時間をかけて加熱する必要がある。アメリカのバーベキュー調理器は、オーブンのような使い方が出来るため、これらの肉の調理には最適だ。スーパーではカルビソースの中ですでにマリネされている物も売られているので面倒くさい人はそういったものを選んで欲しい。骨付き、あるいは骨無し、そしてやや大きな肉片で売られている。マリネされていないショートリブを買ったのであれば、ジップロックの袋に入れて、醤油、蜂蜜(なければ砂糖)、梨(林檎)のすりおろし、生姜のすりおろし、にんにくと葱の刻み、タマネギのすりおろし、ごま油、好みで味噌かコチュジャンを入れて、一日冷蔵庫で寝かせる。それを中火でじっくりめに焼く。貧乏臭いかもしれないが、私は骨の周りの筋が好きなので、かなり長めに焼いた方が美味しいと個人的に考えている。

赤みが多くて脂が比較的少ない部位、例えばフィレミニョンや安物のサーロインなどはバーベキューには向いていないし、美味しく食べようと思えば、小細工がいる(フィレミニョンはワインソースや甘めの果物ソースで絡めて、レアでたべるのが好きである。サーロインはポン酢か砂糖醤油を絡めてサラダに載せるのが好きだ。)。網で焼いて塩コショウだけではどうしても足りない感じがするので、私ならバーベキューにはパスしたい。前述のニューヨークステーキも、ステーキで食べたほうがバーベキューで食べるよりも美味しさが際立つと思う。

上で書いたのは、比較的高級食材であるので、もし予算が合わない場合は、安めの脂肪分が多い肉を使い、強火で焼いて、バーベキューソースをかけて誤魔化す。焼肉のタレ、テリヤキソース、ポン酢でもよい。(白飯があれば、私はこの食べ方が好きです。)

集まる人間や予算に応じて、色々試して欲しい。プライムリブを時間をかけて作ったり、クラムベイクなど海鮮を豪快に焼いたり、色々なスタイルのバーベキューがある。バーベキューをしない夏などあり得ないではないか。

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