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2/13/2022

指値オペは財政ファイナンス。円安で行き詰るシナリオがメイン

日銀は週明けの月曜日(2022年2月14日)に長期金利の上昇を抑制する「指し値オペ(公開市場操作)」を3年半ぶりに発動するという。インフレなどを意識した海外金利の上昇を受け、10年物国債利回りは上昇基調をたどり、日銀が昨年の政策点検で明確化した長期金利の許容変動幅の上限「0.25%程度」に接近しているのが原因である。

日銀が10日発表した1月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年同月比プラス8.6%となったわけだ。資源輸入国である我が国にとって、資源価格の高騰と円安は企業物価にモロに影響する。一方の消費者物価指数の伸びは低いままであり、製造業者の苦悩が消費者に転嫁されるのにはまだタイムラグがあるのだろう。

日本にとって、資源価格は常に「与えられるもの」であり、日銀がなにをしようとコントロールできない。金融覇権国のアメリカとはわけが違う。資源価格は、トランプ政権時代の無茶苦茶な大判振る舞いを、バイデンが追い打ちをかけてバラまいて、高圧経済なる異様な事態を作ったことがそもそもの原因だと思う。金が余った個人が、ビットコインや、不動産や、株、商品先物にお金を入れて、資源価格の高騰は起こっている。インフレ兆候に慌てだし、政治を見ながら安全運転しているジェローム・パウエルも漸くインフレを殺しに行く施策に触れざるを得なくなっている。インフレを殺さないと、他の国が沈みだし、最終的にはアメリカの景気も悪くなる。3月の利上げは確実であり、一体何回利上げしなけりゃならないのか、というような状態になってしまっている。

日銀が本当の意味でコントロールできるものは短期の利率だけだ。10年債のような長期金利はマーケットが決めるものである。マーケットはインフレを意識し、当然のように利率が高くなり始めた(10年国債の値段が下がり始めた)。日銀にとって、これは非常に都合が悪い。利率が騰がると、日本の国は利払いが跳ね上がり、詰んでしまうのだ。そこで、0.25%を上限に合わせると言っており、その値に誘導するべく無制限の指値オペをするというわけである。

これを財政ファイナンスと言わないで、何と言おうか?10年物の市場が導き出した利率はすでに0.25%以上になっている。それが見えない。今後起こり得るシナリオは三つ。1)ドル高円安が極端に進みだし、政権があたふたしだして、イールドコントロールを放棄する、2)仕手筋が国債を売り出し、指値オペが失敗する、3)日銀の政策がすぐれており何も起こらない。

私は1)だと思うので、その方向で仕込みます。日銀がきちんとしろ、とか、政権がもっとしっかりしろ、とか言っている人もいますが、日本はすでにポイントオブノーリターンを過ぎていますので、いまさら何をやっても状況が改善することは無いと思います。政策によって、誰が損するのか、みたいな話が変わって来るだけだと思います。

9/12/2021

リフレ政策の不毛な議論

ネット上では、一部のエキセントリックな議題が上がっており、インフレが良いだの、リフレ派だの、消費税が悪いだの、MMTだのと、訳の分からない話をしている人が一杯いる。解らずに言っている人もいるし、解ってる癖に人を惑わせている人もいる。大学一年生のマクロとミクロの経済学を一通り読んだ人とは議論可能だが、感覚で喋ってる人もいるので、不毛な議論が繰り返される。

最近では、日本の物価が安い、みたいな意見も良く耳にする。これは真実でもあり、嘘でもある。この話を含めて、結局日本の経済問題の元凶は何かという話をしたい。

日本では、小売店や飲食店や仲卸しや下請けが完全なる供給過多である。それに対して、政府の規制やその他諸々の利権を得て、オリゴポリー状態の大企業や寺銭業種が多すぎるという問題もある。これらによって、原材料は高く、下請けやリテイルのヴァリューアディドは低い。で、マージンはきっちりと取られてしまう。こういう事により、大会社の社員はウハウハ。零細企業の社員や非正規の人たちはみんな苦しい。大企業に入るか入れないかは、大学を卒業した時点での集団就職で決まってしまう、という不公平な社会が出来上がってしまっている。

で、零細企業で年収400万くらいの人や、非正規でキチキチで生活している人が、やれリフレだ消費税だという、意味不明な社会の不満を口にしているのだと思う。

コロナの影響もあるので、過剰な小売り業種や飲食店や流通業者は、数を半分くらいにしてみてはどうだろうか?生き残った会社の従業員は欧米並みの給料を得られるようになるのではないだろうか?

まあ、そこにあぶれた人たちをどう救うのか?違う難題が出てくるのだろうが。

いずれにせよ、日本の経済的な苦しさに関する問題に関しては、財政では解決できないと思う。

12/07/2018

縁故資本主義の自民党を倒す方法。正しい移民の受け入れ方。

外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が議会を通過した。山本太郎議員が「これに賛成票を投じた議員は保守を名乗るな」と言っているが、その意見自体はもっともだと思う。

縁故資本主義を標榜する自民党を倒したければ、「本当の保守」ゲームを実行すれば良い。つまりは、トランプが行ったインチキ選挙運動を模倣すれば良いのだ。田舎や都会の低所得者をターゲットに、「移民をこれ以上入れるな、日本の心を本当に守ろう。安部はグローバリズム主義者です!」という運動を真剣に行えば、次の次の選挙で絶対に勝てる。この運動の音頭を取る人は、敵を大量に抱える必要があり、ピエロに徹する必要があり、残りの人生をあまり楽しめないだろう。しかし、リターンは無茶苦茶大きいと思う。

自由主義者の私は移民を大量に受け入れ、移民に日本人並みの責任や負担を敷いた上で、同等の権利を与えることに賛成です。よって、そういう政党には投票しません。

移民を受け入れるのであれば、現実的に、色々なものを抜本的に変える必要が出てくるだろう。税のとりっぱぐれを防ぐためにも、固定資産税や消費税を増税することは必須になる。住宅の固定資産税を上げると、住民の流動化が起き、閉鎖的なコミュニティー問題が解決するだろうし、空き家問題もなくなる。また、金のない昔から住み着いている住人や会社を東京や大都市の中心から追い出すことができる。義務教育制度は抜本的に変える必要があるだろう。言うまでもなく、保険や医療などは今の改革以上のものが求められる。地方自治体が権限を持っているもので、一元化したほうが効率的なものをどんどんと一元化し、逆なものはどんどんと地方自治体に権限を移す必要も出るだろう。警察の捜査権や逮捕権にもガイドラインを作り、犯罪を犯したような移民を「始末」する方法はきちっと考える必要があるだろう。

自由主義者も保守主義者も、そこまで根性のある人がいないので、結局自民党がのさばってしまうというのが日本という国の国体なのだろう。しかし、日本という国は自民党のもとにすでに「オールド・ジャパニーズ・ファースト」が完全に出来上がっている気もする。今回の法案は言ってしまえば、奴隷を合法的に増やそうという事に他ならないからだ。

2/08/2017

ウーバーやエアビーアンドビー解禁は規制緩和ではなく、大企業優遇の利益誘導の規制強化

私は現時点でウーバーの解禁を認めるのはおかしいと思っている。さらに言えば、現時点で民泊も認めるべきではないと思う。私は小さい政府が良いと思っている人間であり、規制緩和は大々的に進めるべきだと考えている。ウーバーや民泊を認める前に、政府はやらなければならない事があるだろう、と言うのが私の立場である。


ウーバー

現時点でウーバーを認めると、サンフランシスコに本社を置くアメリカの会社に登録した白タクのみを認める事になってしまう。勿論、ウーバー以外にも同業他社が鎬を削るのだろうが、基本的にはオンラインアプであれば白タクを呼べることになる。

タクシー業界は運輸省の規制を色々と受けており、自由な企業活動は出来ない。白タクなるものは完全な違法であり、厳しく取り締まられている。もし、本当の意味での規制緩和を断行したいのであれば、タクシーを取り締まる法律を基本的に廃止し、白タクという概念を無くさなければならない。その上で、民間団体(つまりタクシー業界)が自分たちでルールを作れるシステムにする必要がある。

が、このような利権を政府が捨てる訳がない。タクシー業界は規制したうえで、白タクは違法ではあるが、ウーバーは認める、となると本末転倒どころの騒ぎではない。この行為は、ウーバーという外国企業に特権を与える無茶苦茶な官民癒着である。

ウーバーは新しいシェアエコノミーなどと言われているが、運転手たちはタクシー業界に属さないだけの、プロドライバーだ。こういった人達の営業を認めるのであれば、まずは道路運送法を大幅に緩和する必要がある。態度の悪い雲助まがいのタクシーの運ちゃんにぶち切れた事がある人は一杯いると思うが、だからと言ってウーバーを応援しようとするのは筋違いである。


エアビーアンドビーと民泊

ホテルや民宿などは旅館業法で厳しく管理されている。この法律を維持したまま民泊を認めることはあってはならない。民泊を許可するのであれば、旅館業法を大幅に緩和するか撤廃するのが筋である。全く同じ話なのだが、サンフランシスコに本部を置く会社に利益誘導する為に民泊を認めるというのは、官民の癒着である。日本で営業しているホテルの売り上げを減らし、利益をサンフランシスコに持って行くなど、言語道断だ。

もし、旅館業法を撤廃した後に、ホテル業界が自らの裁量で自分たちのルールを作ることが出来るようになるのであれば、私は民泊は許可しても良いと思う。が、旅館業法は今のままで民泊を斡旋する会社に便宜を図るなど、無茶苦茶な話だ。

旅館業法では、ラブホテル、シティーホテル、旅館、ホテルなどが細かく分けられており、無駄な規制が山とある。しかも、旅館には環境省から圧力がかかり、環境に配慮した経営をすることすら求められている。政府はどこまで「昔から続く普通の商売」にいじめをすれば気が済むのか?

エアビーアンドビーが本格稼働すれば、空き家に投資するプロの個人や企業が増えるだけの話であり、こいつらが旅館業法で縛りを受けないというのはおかしい。



私は声を大にして言いたい。サンフランシスコの会社に利益を献上する為の、規制緩和のふりをした利益斡旋政策には断固して反対する。ウーバーもエアビーアンドビーも、イノベーションなどではなく、規制の隙間をついたインチキ会社であり、奴らは政商である。日本政府が外国の企業を優遇しようとしている事が一番の問題だ。「こんな新しい会社は無かった!」とか言っているアホな識者がいるが、こういうのは規制があって、違法だから出来なかっただけだ。誰でも一度はやろうと思ったビジネスモデルである。が、日本の会社や個人がこういう事をしても、政府は決して許可しない。

政府は、本当の意味での規制緩和に着手するべきである。規制緩和と見せかけながら、どんどんと大きな政府を目指そうとする自民党政権には反吐が出る。一部の自民党議員さんたちは、どうせ色々な接待を受けているのだろうと思われる。オリンピックに向けた処置?お前ら、どこまで売国やねん?

10/04/2016

日銀の総括検証を建設的に検証する

日銀が総括検証などという大立ち回りを演じ、で、出てきた結果に市場が動揺しているように感じられる。というのも、普段であれば、日銀のアクションに対して、識者連中からすぐに批判の嵐が報じられるものである。が、今回の検証に関しては、識者のコメントが妙におとなしい。

理由は、「日銀の総括検証」が作文として優れていたからだと思う。当たり前のことを難しい言葉で表現し、識者が戸惑っているように思える。さらに、もしかすると、のような思わせぶりな政策も含んでいるので、勇み足の意見表明を避けているのだろう。

検証では以下の言質が出てきた。
1.オーバーシュート型のコミットメントをする
2.長期金利の買い付け量を変化させてイールドカーブ・コントロールをする
3.マイナス金利の深堀は現時点では行わない
4.ETF・REITなどの買い入れ額は維持


つまり、これは、
1.出口戦略は今のところない(出来ない)、つまり緩和は継続するが、量などは減らす可能性が極めて高い
2.長期金利の買い上げ量を減らして、10年債などの利率を上げる(価格を落とす)
3.金融機関に配慮しているが、マイナス金利は将来的には下げる可能性もある
4.ETF・REITなどの買い入れは意味がなかった

という意味である。

これを持って、日銀検証は無意味だとか、日銀は永久緩和を決定したのだとか、イールドカーブコントロールなどできっこないとか、意見する事は簡単だが、未来に対するインプリケーションを建設的に考えなくてはいけない。

イールドカーブをスティープ化させたいという願望は、利率を下げてインフレを起こすという、日銀の当初からの政策目標である。長期金利はインフレ期待を含んでいるのだから、インフレ期待が芽生えてくれば、長期金利がじわじわと上昇すると考える方が自然な因果関係であった。ただ、景気が悪いという認識のもと、量的緩和を行ったことにより、長期金利が当たり前のように下がってしまったわけだ。つまり、長期金利の上昇は緩和からの逆向に他ならないわけである。イールドカーブを日銀が本当に押し上げられるのか?それは国債の需要を減らすという事であり、日銀の購入分程度の影響は駆使できると思う。それを上回る需要があればどうにもならないが、長期国債をこれから買おうとする投機家はどんどん減ってくることが予想される。逆に、多少なりともプラスがつくのであればある程度は買おう、とする生命保険や銀行の需要はあり得るかも知れない。すると、短期国債から長期に乗り換える動きが出てくるわけで、短期的なアセットアロケーションが需給を荒らす可能性がある。

最悪のケースは、長期国債の値上がり(利子低下)の望みが薄くなったので、長期国債の需要が激減する可能性だ。そうすれば、金利は跳ね上がることになる。それを無くすために、日銀はさらに長期国債を市場から買い漁らなければならなくなる(普通のインフレターゲットの手順)。これは180度逆に、緩和の量を増やすという結果になってしまう。これが行き過ぎると、実質的な日銀の国債引き受けと受け取られ、流れはさらに加速する可能性がある(すでに日銀のやり口は引き受けなのだが)。

どちらに転がるかは結局マーケット次第であるが、日銀がイールドカーブをコントロールできると言っているのだから、「ほなやってみなはれ」と、市場は傍観しているのではないか?むしろ7月の末の日銀会合で政策検証をするというニュースがでると、長期金利の急騰が起こった。何をか況やである。日銀はこのような動きを警戒しているのだろう。

新たなアクションは副作用が大きすぎるような気がしてならない。という事は、検証したにも関わらず、結局は緩和量を徐々に引き下げるだけの、緩和撤退に終始するものと思われる。機関投資家の様子見が終わると、金利相場は荒れる可能性が高い。さすれば、もちろん外貨市場が大荒れするだろう。ただ、様子見は何らかのイベントが起こるまで、暫く続くだろう。台風前の静けさがしばらく続き、嵐がやってくるという感じか?

8/01/2016

ヘリコプターマネーという暴威

まあ、メモ程度だが、ヘリコプターマネーの論議が喧しい。

所謂リフレ派は、日本が破綻する事はないので、ヘリマネ歓迎だという。

一方で、主流派は、金利高騰する可能性があるし、円が暴落する可能性があるので、ヤバいと考える。

結局、リフレ派も主流派も同じことを言っている。日銀や政府が無茶苦茶をしようとも、日本国が狭義の破綻をすることは起こりえない。日銀が円を刷ればおわりなのだから。

が、金利上昇が起こり、円の価値が減損する事は十分に起こりうるわけだが、これは狭義の破綻とは考えられていない。ハイパーかどうかは解らないが、高いインフレは起ころうが、破綻とまではいかないだろう。が、これによって日本国が貧窮し、日本の国力が衰退することには変わりないのだが。

私としては、行かぬも地獄。だが、犬死覚悟で神風するの?という事になる。

「黒田日銀がこのままの政策を続けていくと、歯止めがかからないリスクがある」などという人がいるが、もう歯止めはかかっていないと思うのだが・・・すでに何年も前にルビコン川は渡ってしまったと考えています。何を、今更。

2/01/2016

マイナス金利後の世界

黒田さんが前言を撤回して、マイナス金利を打ち出してきた。市場は判断に困ったようであるが、緩和の一環であるとして、株価は上がり続けている。株価は意地でも上げる、そして為替はレンジ内に。政府がインチキして誘導しようとしてくれているのだから、これに逆らうのはアホウだろう。

実際にマイナス金利の導入に踏み込んだという事実に動揺している識者も多いようだが、何も変わらないといった意見が大勢を占めているのではないか?ただ、後に述べるが、マイナス金利の影響、つまりは行き着く先については、未知の部分が多く、個人的には「影響は解らない」というのが本音なのだ。後述するが、緩和政策が進まず、結構やばい可能性もある。

実際問題としては、日銀にブタ積みしている日銀当座預金の政策金利残高を0.1%にするだけなので、一般人には関係ないと思われる。普通に考えると銀行は日銀にお金を預けないはずだが、現金を銀行に置いておくのはコストがかかるので、致し方なく0.1%の「費用」を受け入れると思われる。0.1%を払うくらいであれば、市中にお金を貸せ、というのが日銀や政府の思惑だが、これまでの二十年を見ていれば、そうは問屋は降ろさない事は明白だろう。貸そうにも成長分野がないし、お金は余っているのだ。

で、結局は、現金保有はコストがかかるので、銀行は国債保有に走ると思われる。とすると、日銀の緩和政策が取りづらくなる可能性がある。下手をすると、日銀は政策金利をどんどんと落としていくか、国債の買取を高くするかの二つの政策しか取れなくなる。どちらも、かなり危険な政策に見えるのだ。

少し難しい話になったので、漫才の話をしたい。マイナス金利という話を聞くと、私は必ずドラえもんのあるエピソードを思い出す。お金のいらない世界をもしもボックスで作り出すのだが、これはお金のいらない世界ではなくてマイナス金利の世界ではないか?このストーリーの教訓は明白である。プラスでもマイナスでも、そんなに都合の良い話はない、という事である。

4/15/2015

政府はアホな事ばかりする物

私は、「政府など邪魔だ」と頑なに信じている。政府の判断力は、民間や個人の判断よりも良いとは言えないし、小回りが効かない。よって、政府が経済に介入するべきではない、と思っている。よって、補助金や規制などは全て撤廃するべきだと信じている。政府の役割は、必要最低限のルールブック作りと、警察・軍事だけでよいと思う。

で、いまさらになってアベノミクスが失敗だなんだと言っている人がいる。アベノミクスは失敗していない。言った通りの事をしているので、失敗も糞もない。黒田さんにも、言った通りの事をさせている。安倍首相を国民が選挙で選び、安倍首相が黒田さんと一緒に言ったとおりの事をしたのだから、文句を言うのは間違いである。

それでも「人々の暮らしが良くなっていないではないか!」などという人がいるが、そういう人はお寺や神社にでも行って神様相手に願掛けをしておけばよい。そもそも政府に景気を良くする処方箋などあるわけがないのだ。政府の役目が人々の暮らし向きを良くする事だと思っているようなメデタイ考え方をしている人が多いのだから、この世界は楽しい。

政府ができる事といえば、市場を乱す事だけである。アベノミクスは、金融緩和やそれに帰結する円安で、まさに世界市場を乱した。アベノミクスはまだまだ続く。もっともっと市場を乱してくれるのだ。その波にうまく乗り、その向こう側にあるキャタストロフィーから上手く身を守りさえすれば、一方向に動く市場というものは確実に儲かるのだ。

政府に期待したり、文句を言ったりする暇はない。馬鹿な政府のインチキ政策を見越した上で、うまく波に乗る。こういうところにしか、濡れ手に粟の好機は存在しない。政府が馬鹿であればあるほど、賢い人がもうかる仕組みになっているのだ。

私は無駄な政府がしょうもない事をするのを、非常に腹立たしく思う。政府が邪魔をしなければ、多くの一般人が不必要な痛手を強いられずに済むからだ。しかし、逆に政府がアホであればアホであるほど、色々な美味しいケーキを落としてくれる。もちろん、それらが一般市民の痛手の上にあるという事は解っているのだが、自分がそのケーキを食べなければ、他の糞野郎がそれを食べるだけなのだから、私は積極的にケーキを食べに行きます。

5/12/2013

円安を阻む「外圧」は、神様の影。そんなもんは存在しないのです。


ウェブ上のエコノミスト達の記事を読んでいて面白いなぁ、と感じる。というのは、為替相場の事に関して、やたらと諸外国の意見を気にしているという事である。こういった意見を言う人達は、真剣に政府が為替に対して影響力を持っていると信じているのであろうか?或いは、そういう事を風潮して、為替市場を誘導しようと頑張っているのだろうか?

エコノミストの中には、まともなエコノミストと、インチキエコノミストがいる。私はロイターの外国為替フォーラムの記事を良く読むのだが、まともな記事を書いている代表が鎌倉大輔氏や河野龍太郎氏である。インチキな記事を書いている人は大勢いるのだが、佐々木融氏などが代表と言える。まともなエコノミストは、データを整理し、理路整然と為替の流れを説明する。どこまでが解っていることで、どこからは解らないのかも、きちんと説明してある。一方で、インチキエコノミストの面々は「噂」や「市場モメンタム」に重きを置く。多分、経済学の知識に乏しいのだろうと思われる。インチキエコノミストたちの間で「外圧による円の下落不可能論」が喧しいのだ。

さて、1ドルがついに100円の心理ラインを割って来た。私としては意外と遅かったと思っているのだが、新聞紙上では早すぎる為替の動きなどと描写されている。白川さんをクビにして、無制限量的緩和などといったマーケティング手法をとれば、こうなることは火を見るよりも明らかであった。どころか、公的債務が大きいことをつかれ、そのうちストップが取れなくなる。これは、黒田総裁と安倍首相のアクションによる因果関係ではなく、投資家に遊ばれて、急激な為替の変化が生まれている訳だ。

世界に跨る根本的な問題は、金が余って余って仕方がない、という事である。そして、それらの金が世界の人々に不均一に散らばっているという事である。使う必要がないユーロダラーのようなものが、ホットマネーとなって何処かから何処かに動いていく。それによって、21世紀の我々の経済は決定されるのである。中央銀行や政府の力は物凄く小さい。寧ろ、ホットマネーは政府から金を掠め取ろうと必死に頑張っている訳だ。

さて、アメリカ経済が着実に復調していることから、世界のホットマネーのポートフォリオが変わりつつある。一部の金が日経などに流れており、円を売る流れに拍車を駆けている。どこぞの政府が円安を容認するのか、容認しないのか。政府や中央銀行ごときに世界経済が制御できているのであれば、2007年から2008年にかけて我々が目撃したような金融市場の大暴落は、そもそも起こっていない。金融を緩和した程度でインフレになれば、失われた20年など経験していないし、極度な円高など起こらなかった筈なのだ。

まあ、エコノミストは、自分たちの所属機関が急な為替の浮き沈みに対応できず、焦っているだけかも知れないが。或いは「日本は外圧に常に脅かされている」というような、情けないトーンでニュースを作れば、日本の視聴者が喜び、メディアは儲かるのかも知れない。

5/10/2013

日本の物価は異様に安い(2):衣食住編

物価の安い高いを比較する際、EIUの生活費の高い都市ランキングなどが発表されている。それによると、2012年度の世界140都市で、生活費が一番高い都市は東京であり、第二位は大阪であった。この統計を見て、東京や大阪の生活費が、オスロ(4位)、ズーリック(7位)やジュネーヴァ(10位)よりも高いと考えるナイーブな人がいるのだろう。知っている人であれば、はっきりと言うだろう。そんなアホな!と。この統計は、あくまでも欧米人が雇用者を海外赴任する際の費用ランキングの目安であり、現地の物価を反映している訳ではない。

衣食住が生活の基本であるが、グローバル化が進んだ世の中において、「衣」に関しては、世界中で大差はない。アメリカが安い。ソウルや香港や台北や東京は安いものもあるが、ブランドものはかなりの値段がする。ヨーロッパは思っているよりも安い。ただ、税金の差があり、高税の地域では物価が高く感じる。ただ衣服の税抜価格に関しての価格差は無視しても良いほどのものである。発展途上国、たとえば中国などでブランド品を買うと無茶苦茶高い。

住であるが、これがかなりミスリーディングである。東京で働く外国人は赤坂のなんとかヒルズとかに住む。すると、軽く20万から50万くらいの家賃となる。下手をすると、100万くらいするところもあるが、東京で働く外国人は、会社を通してこういった物件に入ることができる。しかしながら、普通の一般の東京で働く人は2LDKでも10万円前後の物件に住んでいる。便利さを追求した東京という町で、人々は広さを犠牲にしている訳だ。びっくりするのは、12万円ほどの家賃に「東京の家賃は高すぎる!」などと不平不満を言う人達がいる。部屋をシェアしないで、トイレと風呂がついていて、比較的新しい環境で12万円前後で住めるのなら、国際的には決して高くない。香港やシンガポールも、東京に肉薄した、もしくは東京以上の家賃相場だ。台北やソウルに行くと、東京の半額くらいになる。上海や北京では安い所に外国人が住むのは無理であり、1000ドルから2000ドルを家賃として計上する必要がある。

ニューヨークの便利な場所(ダウンタウンに地下鉄で20分以内)でワンベッドルームのアパートに住めば、月2500から5000ドルくらいする。サンフランシスコでもNYと余り変わらないくらいである。シアトルなら、ダウンタウンで2500から4000ドル、少し離れれば900から1800ドルの間くらいになる。これが、アメリカの田舎に行くとぐっと安くなり、500から1000くらいの間でワンベッドルームが借りられる。が、文化的な生活が送れないほどの田舎での生活を強いられる。アメリカで他人から隔離されて一人で暮らす場合は最低月1000ドルを家賃として考えなければならない。シェアなどをすると、500ドルくらいからで住めるだろう。これよりも安いものを探すのは、ほぼ不可能である。パリやローマやミランもシアトルと似たような相場だ。ドイツに行くと、少し安くなる。ロンドンはNY並に高く、北ヨーロッパはサンフランシスコ並みである。東京のように5-6万円で一人暮らしはできない。ただし、1ドルは100円、1.2ユーロ、1.5ポンドと考えている。安全が保障されていない街では、外国人用の賃貸はおしなべて高いものだ。シドニーやバンクーバーのような、新興都市の家賃がブル相場である事も付け加えておく。

重要な点は、一人で住むのなら、アジアであれば広さを犠牲にして、割安で済むという事だ。欧米では、安く住みたいのなら他人と同居するしかない。欧米では他人とシェアするシステムが発展しているため、容易に相手を探せるが、アジアではヒッピー以外には「シェアの文化」は浸透していない。こういった文化的背景を抜きにして、住居費を比べるのは難しい。

食であるが、これはアジアが圧倒的に安い。バンコクや台北なら、ビジネスランチが300円ほどで食べられる。東京なら900円、大阪なら750円、ソウルや香港で700円、シンガポールでも800円ほどだ。上海や北京が意外に高く、まともなものを食べると(段ボール入りの饅頭や、鼠の串焼きを食べるのであれば話は別である)、台北よりも高くつく。これらの街の食事は、文化的背景が似ているため、比べ得る。知っていると思うが、アジアでは、欧米の舶来の物はまだまだ高い。フレンチ料理、ステーキなど、こういうものは、店の雰囲気にもよるがNYの倍はする。

アメリカの食費は、ユニットプライスで見ると安いが、支払いは高くなる。マクドナルドなどの$1メニューなどもあるが、まともな人は普通にセットを買っている。ランチを食べられるレストランで食事をすると、チップと税金を入れると10ドルは支払わなくてはならない。私が渡米した10年前は、7$+アルファでランチが食べられたのに、インフレのせいか随分と高くなったものだ。量が少ないが安いという物は売られていない。

フランス、イタリア、ドイツ、イギリスはアメリカと似ている。店の中に入って食事をすると、チップと税金を入れると10ユーロ(或いは6-8ポンド)は支払わなくてはならない。そのためか、ピッツアテリア、クレープ屋、ケバブ屋、サンドイッチ屋など、お持ち帰りが出来る店が流行る訳だ。その辺りだと、半額で食事を摂れるからだ。そういった店の殆どは、中東出身者に運営されていることも書いておかなければならない。イギリスなど、パブに行くと、食べ物が意外に安いし、美味しいことも書き記しておく必要があろう。スカンジナビアやスイスは糞高い。バーガーキング以外で食事をすると、一番安いものを食べても2000円は覚悟しなければならない。

ここまで読めば、如何に日本が安いのか解ってもらえると思う。フレンチレストランのランチセット(コーヒーとデザート付)が1200円で提供されている国などない。食事に関しては、質と価格と迅速さにおいて、日本に勝てる国は東南アジアの一部の国を除いて、ない。

次回は、教育、医療、交通、各種サービスなどについて考えたい。

5/06/2013

アベノミクスが目指すもの:日本の物価は異様に安い(1)

ホッケー、バスケ、競馬と5月はスポーツ観戦で忙しい。しかし、ニューヨークダウがテクニカル的に天井を打った感があり、株価が夏に調整をする前に「物価」の話を纏めておきたいと思う。

アベノミクスが成功したかどうか?などという無意味な論議が喧しい。金融界の目的は中央銀行に量的緩和をさせる事であり、その結果、安い資金を投資に回して様々な「プライス(ヴァリューではない!!)」が動いている。株やREITや外為に投資している人たちは得をしている事であろうし、円安の恩恵を受けて喜んでいる会社もあることだろう。停滞気味だった国内の投資環境に大きな変化を起こしたという意味で、アベノミクスは成功であると論じる人たちがいる。一方で、人為的なプライス上昇がもたらす未来の「調整」を案じ、アベノミクスは成功したとは言えない、などと論じる人達もいる。給与水準や雇用が劇的に改善されていない一面を捉えて、アベノミクスは失敗した、などと言う人達も目立つ。 

全ての意見の元になっている「現象の描写」に関しては、全く反駁の余地はない。アセットプライスは概ね騰がっているし、円は安くなっているし、外国製品の値段は昇がっているが、給与水準はさほど伸びていない。近い未来に大規模の「調整」があることもほぼ間違いない。人々の意見の違いは、結局、何を成功とし、何を失敗とするのか?という所に帰結する。 金融屋やデイトレーダーにすれば、アセットプライスを揚げてさえしてくれれば成功であるし、輸入業者に取れば円安にしてくれさえすれば成功なのである。一方で、「株をやっていない主婦」や「給与が変わらない公務員」にとってみれば、食品の物価やガソリンの値段が昇がれば、文句の一つも言いたくなるのだ。

 要点から言うと「2%のインフレ」がポイントとなる。しかし「アホ」でも解ると思うが、日本国内のすべての価格が2%昇がったとしても、何の意味もないわけだ。本当に騰がらなければいけないものは、「儲け」である。私はかねてより、当ブログで、日本の物価が驚くほど安くなっている、という話をし続けている。外国人の中には、80年代に聞いた話をいまだに覚えており、「日本の物価は信じられないくらい高い」と信じて止まない人達がいる。しかし日本に一旦住んでみると、東京の物価が思ったほど高くないことに驚くわけだ。

 物価の比較をする時に、ビジネススクールのインターナショナルビジネスのクラスでは「ビッグマック指数」なるものを教える。アイディアとしては、ビッグマックは世界中でほぼ同じものが提供されており、その値段によって各国の購買力の比較が可能であるという事だ。価格でいうと、スイス、ノルウェー、スウェーデン、ブラジル、デンマークなどの順に税抜価格が高い。日本の価格は2012年の調査時点で、12位のアメリカに続いて13位となっている。

 同じ「エコノミスト誌」に、普通の平均的な人が何分働けばビッグマックを一つ食べられるか、という統計も載っている。これによると、東京の人は9分働くだけでビッグマックを食べられることになる。世界で一番短い時間でビッグマックが食べられるのだ。二位が香港で10分、3位がニューヨークの10分。4位がマクドナルドの本社があるシカゴの11分だ。マニラやデリでは一時間強働かなければ、ビッグマックにありつけない。

この統計から判断すると、日本人の給与が世界でも高い部類に入るのか、あるいは食費が安いのか、という事が類推される。ただ、日本では藤田田氏の努力により、舶来の高級なマクドナルドという食べ物が、デフレの代名詞に貶められた経緯があり、「価格」だけに注目すると足元を掬われる。 

ビッグマックの材料費は、助成金、税金、運賃などで上下されようが、世界でそんなに変わるものではない。私たちは「価格―コスト=利益」という式を常に考えなければならない。利益が多ければ、経済は回っているという事である。一方、利益が低ければ、経済に赤信号が灯っているという事だ。コスト要因としては、光熱費、地代、マーケティングなどの運営諸費用そして人件費が多くを占めている。「税抜価格―(光熱費+地代+運営諸費用)=人に残るお金」となるのだが、東京の光熱費と地代は世界的にみても高い部類である。という事は、ビッグマック一つを売った時の「人に残るお金」が日本では異常に低いという事ができる。 アベノミクスでは「人に残るお金を如何にして増やすか」という事が至上命題となるべきである。物価2%というのはただのマーケティングスローガンなので、如何にしてヴァリューアディドを増やしていくかが問われる。 

長くなったので、物価の話は数回に分けたい。今回の記事では、「価格」に注目しすぎると、本質を理解できないという話をしたかった。

12/28/2012

神風特攻を目指す麻生財務大臣

DCのヤラセの歌舞伎ダンス、「財政の崖」討議には辟易とするが、それが色褪せるほど日本の話題が金融界で活発に議論されている。日本の金融問題が世界経済の卓上に上がるのは久々の事であるが、必ずしも良い意味で上がった訳ではない。専門家の意見は、日本は最後の賭けをするつもりのようだという事で一致している。この社会的な実験次第で、今後の世界債券市場がひっくり返る可能性もあるからだ。

まさに実験が始まろうとしているのだが、麻生氏が次期財務大臣となったのは、非常に面白いと考えている。外国のメディアに対しても、かなり目立っている。安倍氏が首相に再登板したのを見て、自分も財務大臣として活躍する事で、再登板を狙っているのかも知れない。

財務大臣としての会見が開かれたようだが、報道のされ方に非常に違和感があった。会見にのぞんだ記者の質問のレベルが低いのはいつものことであるが、「一段の金融緩和が、世界的な通貨安競争に発展しかねない」という意見に対して麻生大臣はどう思うのかを問われた。

こういった意見に対して「通貨は市場が決めている、私たちは日本の経済成長のために仕事をするだけだ」と言えば良かったのに、麻生氏は反米自虐史観のような意味の解らない受け答えをした。さらに、円安傾向に対して他の国に兎や角言われる筋合いはない、と取られかねない発言をしたようだ。そして、日本の事に干渉するなと言った矢先に、ドルが強くなる事がアメリカの利益である、とアメリカには意見したとされる。これは、ブラジルの大統領ではなく、日本の新しい財務大臣の意見であるのだ。

初めに、記者が質問した「カレンシーウォー」などというのは投機筋が作り出した作り話である。通貨が切り下がる事で喜ぶ産業がある事は確かだ。必要以上に通貨が高くなりすぎると(日本の様に)弊害もある。しかし、通貨安を国の意志としている国など発展途上国だけである。アメリカがドル安を、イギリスがポンド安を望んでいると言った意見が流布されているが、陰謀論以外の何物でもない。中央銀行の政策に対してシティーやウォールストリートの色々な意図が働いてポンド安やドル安に誘導していると言うのが実態である。ドル安やポンド安が政治の意志であり、日本はセーフヘイブン、などとメディアで吹聴しているのは投機筋が儲けるためである。しかも、会見の冒頭には「最近の円高は投機筋の行き過ぎた行動」と述べた矢先に、投機筋のプロパガンダを繰り返したのだ。麻生氏の実力が解るひとコマであった。

最近、安倍や麻生の発言を報道する際、CNBCのアンカーなどはあきれ加減に笑いながら報道している。コメントを求められるゲストも、苦笑しながら解説しているのが面白い。普通の経済学で考えて、安倍-麻生路線はぶっ飛んだ神風特攻にしか映らないのだ。つまり「アベノミクス」は絶対に失敗すると見られているのだ。しかし、それに乗りかかろうとしているのだ。

財政の崖の問題は残っている物の、日本売りは加速し、安倍や麻生が思っている通り、円安は進んでいくだろう。この流れをどこで止められるのか?私たちも恐々と波に乗るしかないのだろう。絶対に崖から落ちるチキンレースと理解しながらも。「2013年の世界ファイナンスニュースの中心は日本になる」、そういって憚らない人達が大勢出てきた。現状の財政状況下での円安誘導と財政出動。経済を齧った事がある人で、これをヤバイと思わない人はいないと思う。

日本の神風特攻「アベノミクス」が凄腕のミセス・ワタナベを含む投機筋に弄ばれて、或いは一般人の理性的な防御策が日本売りを加速させ、インフレ傾向にブレーキがきかなくなった場合、元首相のアホ二人が責任を取ってくれる訳ではない。コントロールできずに破綻するよりは、霞ヶ関が体力のあるうちに人為的にハードランディングさせようと企んでいるのかもしれない。自爆政策を遂行するには、少し知能指数の低い元首相二人を担ぐことが都合が良いという事なのかもしれない。

12/16/2012

予定通り安倍氏が再選。市場はリスクオン。短期間で儲けられるだけ儲けよう!

「アベノミクス」は歓迎である。方向が明確に定まっており、市場が動くのが確実なので、波に乗るだけで儲かるからだ。円安と短期間の株高路線は疑う余地がない。私もその線でポジションを取っている。投資家らからすれば、こんなにありがたい政治家は今までいなかった。安倍氏はまさに兜町、輸出製造業そして土建屋のヒーローである。

ただ、投資家の儲けは必ずしも日本の経済成長に繋がらない事がポイントであるし、その事については何度も当ブログで書き続けてきたので省略する。が、日本経済がスタグフレーションで酷い事になろうとも、短期で儲かれば良いと考えている人が大勢いるのだろう。日本人もアホじゃないので、投票率が低かったのは、こういったふざけた意思が完全に国民に見透かされており、安倍首相を積極的には支持できなかったのが原因である、と信じる事にしたい。

選挙戦略のための口先だけであり、実際に安倍氏が「負けるのが見えている危険な賭け」を実行しなければ、それは素晴らしい口先介入だった、となる。不要な民主党議員の首を切って、口先だけでモメンタムを変えて、メデタシ、メデタシとなる。ただ、日本のマスコミの嫌らしさは半端ではないので、そんな事は許されないと考える。安倍氏が一年以上総理大臣の椅子に座りたければ、言った事を実行するしかないのではないだろうか?安倍氏は前回の反省もあり、有言実行してくる可能性が高いと思っている。

外務大臣と財務大臣は将来の首相候補にやらせて来たのが自民が強かった頃の伝統だ。ただ、余裕がなくなって来たのか、昨今はこれが崩れてきた。麻生元首相を財務大臣に据えるなどと言った無意味な人事案が出ているようだが、危険なアベノミクスを実行するためには余程のリーダー力を持った識者をこのポジションに置く必要があると思う。或いは、失敗が見えているので使いやすい人を持ってくると言う考え方もあるだろう。

日銀総裁人事はさらにややこしい。白川総裁は切るのが確実であると考えられており、来年三月の二人の副総裁を初め、ハト派で固めるようだ。竹中平蔵教授のような人の名前も出ているようだが、マクロ経済が専門でない有名人に白羽の矢を立てても仕方ないし、本人も辞退するだろう。次期日銀総裁は史上最低の日銀総裁の称号が授与される可能性が高い。アベノミクスを押し付けられて、日銀バランスシートを毀損しなければいけない事が解りきっている。はっちゃかめっちゃかな政策を駆使しなければ、名目物価高3%など達成しようがない事は火を見るよりも明らかだ。そういったシナリオの上で日銀総裁の椅子に座りたい人がいるとすれば、変人かアホかのどちらかだろう。

日銀に失業率の改善まで押しつけるという話もある。アメリカのFRBは既にそうしているのだから、日銀もするべきと言う事だ。こういった言論をする人達は、経済学を理解していないだけではなく、国際間の社会情勢を全く理解していないと言うしかない。日本の労働市場は硬直的であり、アメリカの様に柔軟に従業員のクビは切れない。フィリップス曲線が何を動かすのかをしっかりと考える必要があろう。これは少し長くなるので、次のコラムで書く。

いずれにせよ安倍氏が有言実効すると、円安と短期間の株高が巻き起こる。過去数回の選挙の後の様に、選挙が終わったら材料が出尽くして株価は下落、という事はないと思う。安倍氏は「過去の失敗」から学んだ筈なので、本当の意味での「痛みを伴う改革」は封印し、バラマキをもたらし、財政状態をますます悪くすることがほぼ確実である。

やがてスタグフレーションで我が国は次の5年ほどは血を流す事になる。スタグフレーションの話は少し先の話なので、今は、まあ短期間しか続きませんが、儲けられるだけ儲けて、状況が悪くなってきたらお金を逃がしましょう。私は選挙にすら行っていません。他の国民が選んだ首相が面白い事をするようなので、短期の利益を追求すると言う理性的な行動を取る事には文句を言われる筋合いはありません。

12/03/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(7):社会は国民がつくるもの、クレームは何も産まない。

日銀など政策決定者の本当の政策目的は、長期金利が高騰しないようにすることであるのだと思われる。長期金利の高騰は、金融機関における巨額の損失発生だけではなく、日本国中の資産価値を下落させるという破滅的な影響をもたらすからである。そのために日銀による長期国債の購入が必要なのだ。しかし、その政策が長期金利を低下させるにあたり、副作用として物価は低水準に留まっている(いわゆるデフレ)。この方法以外に、財政赤字の多い日本が生き残る道は考えられない。白川総裁はそれを完全に理解しているのだが、市場の暴走を恐れて手の内をばらす事はできない。よって、ああいう奥歯に物が挟まっているような態度を取っているのだろう。白川総裁が日銀の総裁であり続け、きちんと独立性を保たれた上で意思決定をしてくれるのであれば、「最悪の事態」だけは回避できそうであった。 

しかし、ここに来て政権交代である。クレーマーになる事は容易い。特に民主党を批判する事はアホにでもできる。自民党は漁夫の利であっさりと政権復帰を果たす事になりそうだ。ただ安倍首相の遊説を掻い摘んでチェックしていると、上記の日銀政策を無視して物価上昇を政策目標として掲げているのだ。それは非常に危うい。 日本の財政については回復不可能であると考えるに至っており、遅かれ早かれ長期金利は上昇し始め、円は暴落する。どうせ日本経済はハードランディングに陥るので、どうでも良いと言えばそこまでなのだが、それでも安倍首相の金融政策については危惧している。安倍氏はネット右翼化したのか、過激な政策を提言している。大方の識者は、これを口先だけの実現不可能な政策と捉えているようだが、マーケット的には様々な思惑が生まれやすい「面白い」環境になっており、評価は立場によって変わってくると思う。 

12月16日の選挙の後、間違いなく自民党に政権が移譲され、安倍氏が次期首相に返り咲く事だろう。安倍氏が言っている政策を仮に実行すると、日本財政は間違いなくハードランディングする。今言っている政策を実行しなければ、来年の参議院で自民党はボロ負けし、再び国会が捩れる。またもや一年以内に首相交代であろう。 私がこのブログ上に書いている事など、ほとんどのエコノミストにとっては常識の範疇である。ただ、どのような結論が日本マーケットに待ち伏せしているのか、非常に興味深い。

いずれにせよ、日本型の民主主義が非常に脆く危ういものであるかを皆が知るようになった事だろうと思う。政治家は自分の身の上が第一であり、国民の事などを真剣に考えている節もないし、考える能力もないようである。政治不信と財政問題は、落ちるところまで落ちなければ仕方がないようである。

 最近はCNBCに張り付いて、毎日冷や冷やしながらマーケットを注視しており、本業が疎かになっている。クリスマス前の忙しい時期であるので、一旦このあたりで国債崩壊に関する連載は打ち切ろうと思う。「安倍さんはアホだ。」「日本の財政はとんでもなく悪く、解決のしようがない。」「金利が騰がれば資産価値が下がる。」私は、識者の中では常識の事柄を主張しているだけだ。そんな解りきった事を、一銭にもならない匿名ブログの上に書いている私は、間違いなく安倍さんよりもずっとアホである。しかもアメリカに滞在しているのを言い訳に、選挙権すら行使しないつもりである。どうしようもない最低野郎である。 

それでも、何故このような記事を書くのか?それは長期金利が騰がって資産価値が下がって日本経済が酷い事になったときに、日本国民に「想定外」という言葉を使って欲しくないからである。公共事業やハコモノバラマキ政策を認めた事も、銀行に公的資金を入れずに不良債権問題を長引かせた事も、小泉改革を否定してバラマキを再開させた事も、頭のおかしい反資本主義者を首相に仕立て上げた事も、総ては民意であった。今回の選挙で自民党を選ぶという事も、公共事業の増加や安易なリフレ政策を民意で追認するという意味である。よって、国民が日本経済のハードランディングを選択するという事なのだ。これは想定外ではない。民主主義の我が国においては、国民が私たちの国のあり方を決定している事を決して忘れないで欲しい。 

批判するための批判、或いは現実解決策に対するモラルを盾にした批判がマスコミに溢れている。酷い場合はレッテル張りをして個人攻撃をする。対抗案を出さずに、責任を取らなくても良い批判はクレーマーがする事である。クレームをつければ社会が良くなるのであれば、私は喜んでクレームに加担する。しかしクレームは憎悪を生み、主義主張を固めて柔軟性を台無しにし、不安定さのみを齎す。不平不満が溜まるのは仕方がないだろうが、国民の責任は権力に対してクレームをつける事ではなく、永田町や霞ヶ関とともに社会を良くするべく義務を果たす事だ。こんな甘えた考えを抱いている私は、恐らくどうしようもない馬鹿なのだと思う。

12/01/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(6):国のバランスシートを都合よく曲解する人達


この匿名のブログにも、読者からのコメントが時に寄せられる。態々国債崩壊シリーズを読んでくださった読者から、痛烈な意見が来た。面白おかしく要約すると「この毛唐野郎め、日本国債は借金ではなく、日本の資産だろ。日本国債ほど安全なものはない。日本国債崩壊を煽動しやがって!ボケが!」といった内容だ。まあ「崩壊」という派手な言葉を使っているが、著者の主張はこの国債崩壊シリーズを読んで頂ければ理解してもらえると考える。ただ、所謂「国家バランスシート」論が物凄く気になる。以前取り上げた、維新の石原党首の発言などにも、バランスシートを誤解した考え方があった。少しばかり説明する。

インチキをしていない限り、財務諸表が企業の経営状態をおおよそ反映している事は事実だ。バランスシートを見ることで企業の健全さをチェックできる。しかしバランスシートを作る上での、技術上の問題が多々知られている。従って、バランスシートを鵜呑みにすることは危険である。さらに、バランスシートはある時点の企業の状態を反映したものであり、時間が経てば色々な価値が刻々と変化する。価値が変化すると特別損益や利益が発生するわけだが、財務諸表はクオーターごとにしか発表されない。

もし財務諸表が絶対的であると仮定すれば、PBR(株価簿価倍率)の低い会社の株を買えば良い。あるいは、PBRが1を切る会社の株を買えば「絶対に儲かる」はずである。しかし現実には損をする場合が多い。貸借対照表の資本の数値は、必ずしも企業の経済的実態を真っ当に評していないことがあるからだ。たとえば、貸借対照表に計上されている資産の中には継続企業を前提として金額が評価されているものも多く、破綻して清算する場合には換金価値が無く資産金額が目減りしてしまう場合があるからだ。

プロはバランスシートを元に、その裏側を読もうとするわけである。ウォレン・バッフェートは財務諸表を読むのが趣味と公言している。村上ファンドがバランスシートを見て阪神電鉄株を割安と判断した事など、例には困らない。

そういった企業のバランスシートの考え方を国の財政に応用することも出来る。しかし、そのバランスシートを曲解して、色々な「とんでも意見」を出している人達が後を断たない。こんな事に付き合っているほど暇ではないので、最近目にした得に酷い主張を3点ほど並べておきたい。

  1.  政府が借金をすると、家計の金融資産が増える:家計の金融資産を貯金すると、銀行が勝手に国債を買うので、国の負債になる。従って、政府の資産側にその額が積み足される。勿論「バランスシート」なのだから借金が増えれば資産も増える。だから何?
  2.   国は資産が多いので、倒産しない:固定資産に計上されているもの、例えば道路や空港、港湾や箱物。どうやって売るの?道路なんて、一体誰がその額で買うの?負債を計上して作ったものなので、会計学的にコストがそのまま資産に計上されているだけの話。第一、利益がでる資産については、長期金融が騰がった瞬間に評価額が目減りする。まともな会計基準を用いれば、莫大な「特別損失」を計上しなければいけない事態に発展するのだが。
  3. 個人金融資産が約1500兆円あるので、このカネを政府が使えば良い:市中の銀行に貯金した時点で、ほとんどが勝手に国債に変換されています。1500兆の大半が国に借りられたままになっているのですが…

私が勝手に想像するに、大学で経済学や金融論の基礎知識を身につけずに、会計専門学校に通ったり、会社の会計の研修を受けたりして「テクニカル重視」の訓練を積んだ人達は、「曲解バランスシート論」に靡く傾向があるように思われる。経済問題を理解するためには、技術法だけでなく、コンセプトをきちんと理解して欲しいと思う。

長期金利が高騰すると、日本国中の資産価値を下落させる。すると特別損失と言う形で国のバランスシートに破滅的な影響をもたらす。簿価はあくまでも、昔の値段。今現在の価値(他の人が買い取ってくれる値段)は色々な要因で常に動くんですよ。こう説明すれば「バランスシート派(笑)」の方たちは納得していただけるだろうか。簿記価格とフェアヴァリューが違うからこそ、株を買うときに鞘取りの機会が生まれるのです。そして経済的に意味があるのはフェアヴァリューだけなのです。金融の基礎が解らない人は、物凄く単純化したとはいうものの、なるべく丁寧に説明したつもりなので前の記事を読んでください。

リフレ政策で日本経済崩壊(5):スタグフレーションで日本中の資産価値は暴落


意外にも金融の基礎が抜けている人が多いので、少しだけ説明する。経済学者でさえも、結構金融の常識を理解していない事があり、びっくりする事がある。経済学を勉強しているのに株や金融に興味がないとか、ちょっとおかしいと思う。まあ、悠長な前置きをする必要はない。国債のバリエーションから説明しよう。


例えば額面価格が1万円の20年国債を買ったとする。現在の利率が1.68%なので、毎年168円貰える事になり、20年目には1万168円を受け取る(細かく言うと一年に二度、84円ずつ受け取る)。割引率に長期金利と同じ1.68%を使うと、現在の評価額は1万円丁度である。ただ、期待利率はデフレを考慮すると年間-0.5%が次の20年間続くと推定した場合、この国債の評価価値は14591円であり、買った瞬間に4591円の鞘取りが出来るわけである。多くの銀行は、今後ともデフレが続くと見ており、計算上、長期国債を買うことが得だと考えている訳である。
 しかし安倍首相の号令の下、人為的にインフレ率が1%引き上がったとしよう。すると、国債の評価価値は8356円となり、購入者は1635円(16.4%)の含み損をする。2%インフレ率が引きあがった場合、フェアヴァリューは7044円となり、3000円ほど(3割近く)の含み損を抱える事になる。
 一般の国債は毎年支払われる利子が変わらないため、利率が上がると計算上の評価額が下がるわけだ。逆に、インフレ連動債のように、インフレに従って支払額が変わるような国債の場合は、割引率が上がろうとも、評価額は変わらない。


長期金利の上昇で被害を受けるのは、国債だけに限定されない。長期金利に基づく長期ローンの数字が、あらゆる資産の評価価値を決めるための割引率として重要な指標となる。
 
仮にあなたが月に5万円で貸せるマンションの一室を持っていたとしよう。年に60万円が入ってくる計算にとなる。税金、維持費、空き室が出る事などは一切無視する。銀行の長期ローンがおよそ3.5%なので、これを割引率として使う。すると、この部屋のフェアヴァリューは、60万円÷0.035=1714万円である。この部屋がこの額よりも高かったり、低かったりすれば、鞘取り機会が生まれるわけだ。安倍さんの鶴の一声で、急に長期国債の利子が2%騰がったとする。すると、銀行のローンも5.5%くらいになる。すると、この部屋のフェアヴァリューは60万円÷0.055=1091万円まで落ちる訳だ。実に、36.4%の目減りである。

 もし家賃も毎年2%づつ上げる事ができれば(良いインフレ)、評価額に変化はおこらない。しかし、長期金利が騰がっても不景気が続き、インフレ分を家賃に転嫁できなかったら(悪いスタグフレーション)、評価額が上記のように下がるわけだ。月に5万円の家賃を、来年は5万1千円に、再来年は5万2千円に上げていかなければ、この物件の所有者は損を被るわけである。
 供給がだぶついている為にデフレが起こっているのであり、お上がテクニカルな利率を変えたところで、家賃に転嫁できるわけがない。家賃を上げれば、借り手がよそに出て行くだけだ。誰でも知っているように、いくらでも空き家はあるのだ。住居用の賃貸ならまだしも、商業用の家賃などは、競争が激しく、上げたくても上げられない。

 それではどうすれば良いのか?良いインフレをおこせば良いのだ。それにはどうしたらいいのか?経済が良くならなければならない。経済を良くして、期待インフレ率を上げなければ仕方ないのである。期待インフレ率とは、経済がよくなりそうなので、未来は値段があがるだろう、という期待を国民が共有する事である。残念ながら私は、日銀や安倍さんが何をしようとも、景気が良くなるというような楽観的なシナリオを抱く事はできない。人為的にインフレにしたらスタグフレーションがおこり、あらゆる資産価値が人為的に下がってしまい、経済が大混乱するのが関の山だ。


最後に、あなたが飲食店を経営しているとする。一年間に500万円の利益を生み出すと仮定する。ただ、競争が激しく、残念ながら未来の成長はあまり見込めないとする。銀行のローンは3.5%なので、店の評価額は500万円÷0.035=1億4300万円である。しかし、人為的なインフレで長期金利が2%騰がったとする。儲けが増えない状態では、店の評価額は9000万円まで減ってしまう。やはり36.4%の目減りである。しかしインフレと円安のせいで、食料原価が高騰する事が考えられる。しかし、同業他社が溢れている状態で、競争は依然激しく、客の財布は固い。原材料の値上げ分を店の儲けには転嫁できないとする。たとえば毎年、じわじわとスタグフレーションの影響で1%ずつ利益が下がるとする。すると7692万円まで店の評価額が下がる。実に46.2%の資産が一瞬で消えてなくなるわけだ。

配当や利子がインフレと同じペースで増えないスタグフレーション下では、国債の評価額は勿論の事、不動産の評価額も、会社の評価額もすべてが大きく下がってしまう。日本国中のあらゆる資産の価値が目減りしてしまう。

 景気は悪いままのスタグフレーションが起こると、日銀がツールを使う事はできない。短期金利を下げて、イールドカーブを急にしても、元の木阿弥だ。

 野田首相はインフレが金持ちに優遇だと言った。まったくの的を完全にはずした意見である。安倍政策のリフレシナリオではスタグフレーションが起こり、資産家が大損するのだ。金や外貨を持っていない人は資産は等しく総て目減りする。
 
しかしこのリフレシナリオを階級闘争という観点からみると、決して間違っていないようにも見える。安倍さんをかついで、国債崩壊に端を発する階級革命を起こせるかもしれないからだ。借金はチャラになり、資産を持っている人が血を流す。持っていない人や固定で借りている人にとっては、徳政令のようだ。ニートやネット右翼が安倍さんを持ち上げるのは、ある意味正しいのだろう。

11/28/2012

経済音痴が人前で歌を歌えば皆が迷惑。最低ボーカルレッスンを受けてからにして欲しい。


周りにいるエリート連中に、あまりにも経済音痴が多いと言う話をした。今朝、日経ビジネスの小峰教授の記事をたまたま読んでいると、まさに私が言いたいような問題が載っていて驚いた。

経済音痴といわれる人には、よくよく観察すると二つの異なるタイプの人達がいる事に気づく。

一つ目は、「お金」に全く興味がない人。「商売」、「経済」、「株」などの話題を嫌うタイプである。この人達は小さい頃から「お金は汚いもの」であると教えられているのだろう。汚いお金の話をする「欲深い連中たち」は、ユダヤ人となにわ商人だけと相場が決まっているものだ。こういったお金に関心がないタイプの人達は、歌うのが嫌いなのでカラオケに行かない人と考えていいだろう。筋がきっちりと通っている。

二つ目のタイプは、大学一年生レベルのマクロやミクロ経済学を一通りきちんと理解していない癖に、経済について一家言あるタイプの人だ。偏った本を読んで、間違った知識を持っている。前提の間違いや、論理矛盾を指摘すると、「違う経済学もある」とくる。経済学は色々あるだろうが、論理矛盾は経済学とは関係ない。それを指摘すると「経済学は不完全な学問であり、経済学を齧っている連中は信用できない」とくる。このタイプの人達は性質が悪い。解らなければ、解らないと言えば良いが、新聞の記事などに詳しい。経済通ぶりたければ少なくとも経済学の基本くらいは抑えておいて欲しい。経済の話を経済学の視点で喋っていたのに、社会学や国際比較論ならまだしも、歴史学、あるいはモラル論や陰謀論に話を摩り替えられると、その時点でコミュニケーションが成り立たなくなる。こういったタイプは、音痴の癖にカラオケが好きな人と考えると解り易いかもしれない。ハタ迷惑、この上ない。

問題は、二つ目のタイプが世の中に数多くいるという事だ。経済は経済学者だけのものではなく、社会全てが経済活動からの利益を享受している。よって、総ての人がそれなりに意見があるのは当たり前の事だ。生活が苦しけりゃ、そりゃ文句の一つも二つも言いたい。

だが、巷に出回る「トンでも本」や「トンでも記事」に洗脳されているとしか思えない人達が大勢出てくる。暇な通勤時間に陰謀経済論の類の記事を読んだり、経済批判の書を読んだりする。基礎知識がないので、「大袈裟な論調」や「明らかな嘘」を無防備に鵜呑みにしてしまうのだろう。さらに判官贔屓からか、経済学を齧っているエリート連中が我々の社会を貶めている、と信じ込む人も出てくる。ああいう本の作者連中は、本を売るために書いているのであり、正しい事を書いている訳ではない。トンでも本の著者も家族を養っていかなければならず、生活がかかっているのである。目立つ事で政治家やテレビのコメンテーターになりたいとでも考えている輩もいるだろう。それに唆されているうちは、まだまだ尻が青い。

餅は餅屋の搗いたものが一番美味い。経済政策の事は経済のプロに任せるしかない。素人は選挙で社会の方向さえ見ればよいのである。経済政策を選挙の核にしようとするなど、ちょっと無理がある。素人の文句を経済運営に組み入れようとしても、経済運営はひとつのシステムなので、碌でもない事になる。そして金儲けしたい連中にコロッと騙されて、税金を掠め取られるのがオチだ。一般の大衆が判断ツールを十分に有していないので、選挙は甘い事を言ったもん勝ちの世界である。

理想論ではあるが、大学か高校かは知らないが、日本社会は国民に正当な経済学のイロハを教える責任があると思う。「英語コミュニケーション」、「会計金融入門」、「ミクロ経済入門」、「マクロ経済入門」、「基礎コンピュータ言語」、「統計学入門」。このくらいは現代社会で生きて行く上で必要最低限の知識であり、社会がある程度の基礎をきっちりと教える必要があると考える。「古典」や「物理」や「サンデル教授の倫理学」の時間を削ってでも、これらは教えてしかるべきものだ。選挙民に強制的にこれらのクラスを取らせてから選挙をさせたいものである。むしろ、こういった基礎知識を試すテストでもして、合格点が取れなかったら選挙権を取り上げればよい(勿論、ただの暴論です)。

経済論議をしたければ、経済の基礎を最低でも学べ。人前で歌を歌いたかったら、まずは発声練習くらいは受けろ。ジャイアンみたいなリサイタルを開いて、歌を広場で披露すれば皆が迷惑する。最低限の知識無しに行う批判を、社会ではクレーマーによる不平不満という。

11/22/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(3):トンでも論と極端な話を斬る


「国債バブル崩壊などあり得ない」と言う意見を良く聞く。勿論「崩壊」などと言ったキャッチーな言葉で危機を煽っているため、俄かには信じられないのも仕方ない。ハイパーインフレや国家破綻などの極端な話も出てくる。少しだけ「嘘」と「本当」を整理しておく必要があろう。勿論、最悪の場合はかなり酷い事が起こるし、想定外の事態が起こらないとは断言できない。何故ならパニックになり、行政が処理に失敗する可能性があるからだ。ただ、起こりうるシナリオと、あり得ないシナリオは区別しなければならない。国債バブル崩壊とは、長期国債の需要が減り、長期金利が若干上がる事で、色々な資産のフェアヴァリュー(適正価格)が減少し、日本の実体経済に多大な影響を与える事態が起こる、と言うだけの単純な話である。ただ、そのマグニチュードは恐ろしく大きい。

ありえそうにない話①「崩壊」:ある日突然、目に見える形で国債バブルが崩壊する。ブラックマンデーのようなパニックになるような事態。これは無いとは言えないが相当可能性は低い。国債バブルの崩壊はゆっくりと長期金利が上がっていく局面で、投資家がゆっくりと資産アロケーションを換える事からじわじわと起こると思われる。「崩壊」というような突然の出来事ではなく、長い坂道を転がり落ちる。やがて、メディアなどに取り上げられだすとパニック売りに発展するかも知れない、というのが実態に即していると思う。ただしパニックにならなくとも、人為的に長期金利が少しだけでも上がれば、日本経済は相当なダメージを喰らう事に注意が必要。

ありえそうにない話②「国家破綻・ハイパーインフレ」:ハイパーインフレで国家が破綻するという話は嘘である。ハイパーインフレがあるとすれば、国債バブルが崩壊した後、ゆうちょ銀行などの破綻により日本経済がめちゃくちゃになって、日銀や政府が「通貨切り下げ」や「資本流出の制限」などの不必要な政策をした場合に限られている。ハイパーインフレが日本経済を無茶苦茶にするのではなく、日本経済が無茶苦茶になった後に僅かではあるが財政破綻などに端を発するハイパーインフレが来る可能性がある、という程度の話だ。国家破綻は定義にも寄るが、不景気のハードランディングと言う意味ならそれは起こる。国債を返済できないことが国家破綻だとすれば、それはまず起こらない。

ありえそうにない話③「現在はデフレで景気が悪いので、インフレになれば景気は良くなるはず」:誤解があるようだが、インフレ並びにデフレの定義づけが非常に難しい。普通は価格だけに注目しており、株価が上がれば株価インフレ、資産が上がれば資産インフレ、急激な円安になれば輸入品インフレやコモディティーインフレとなる。好景気・不景気に注目している場合は、需給ギャップの話をしている。不景気とは供給過剰・需要不足状態で「儲け」が減っている状態を言う。国債崩壊シナリオがおこり、円安が主な原因で価格の上昇が起こるのだろうが、需給ギャップは絶対に埋まらない。故に儲け(GDP)は増えず、円安によって消費者価格が上がろうとも、景気は当たり前だが回復しない。典型的なスタグフレーション状態となる。2007年のサブプライム崩壊前夜はこれに近い状態であった。ただ、サブプライムショックで急激な円高とコモディティー安に襲われて、ラッキーにもスタグフレーションの悪化を免れた。

無茶苦茶な意見①「日本はアメリカ国債を多量に持っているので売れば問題は発生しない」:長期国債が1-2%上がるだけで、あらゆる資産の適正価格が崩れるので、日本の実体経済に大ダメージが波及する。国債バブル崩壊は資金不足が原因で起こる問題ではないので、外債を売却して円を集めたところで何も出来ない。勿論、外貨準備が大量にあるのでハイパーインフレなどが起こる可能性は非常に低い。日銀が全ての長期国債を吸収して長期利率を抑えるのなら話は別だが、そんな事をすれば他のところで問題が起こるだけで、根本的な問題解決には全く寄与しない。

無茶苦茶な意見②「日本は個人貯蓄額が多いので、経済危機は起こりえない」:国債バブルが崩壊すると、個人から国への資産移動がおこる。そしてそれを経済危機と呼ぶ訳だ。個人の金は国の金ではない。上記の意見を言ってる人間(例えば亀井氏)は、個人の金は国の金だと考えているのだろうか?危機が起これば、否応なく国が個人の金を掠めとる。例えば、郵貯銀などが経営危機を起こすと、結果的に税金が使われる。結局は個人の資産が国債崩壊ならびにその波及危機の穴埋めに使われる訳である。穴埋めの方法は、税金や過度のインフレ(事実上の資産税)などである。

無茶苦茶な意見③「日本では国債を安心して日本人が消化しているので、財政破綻はありえず、国債の値段が下がる事はあり得ない」:この意見は寝ぼけていると言うか、実態を知らない人の意見である。戦後の日本では日本人が買っているにもかかわらず、国債の値段は何度も暴落している(例えばロクイチ国債)。データからも明らかなように大手の民間銀行はすでに長期国債の保有率を低くしており、皆が考えるほど「愛国的な行動」はとっていない。国債は国内だけで消化されているので(本当はそんな事はない)、極端な財政破綻はないかも知れない。が、財政破綻がなくとも金利が多少上がるだけで、フェアヴァリュー毀損の含み損が実体経済に影響を及ぼす。

無茶苦茶な意見④「オバマは輸出したいのでバーナンキと共にドル安政策を実行している。国際政治的に円安には出来ない」:これは陰謀論か、あるいは日本劣勢史観のどちらかである。アメリカはインフレ期待を殺さず、消費者物価がマイナスにならないように、「Anything but a deflation(デフレ以外なら何でもあり)」で政策をやっているだけである。その結果、複数の指数が市場で総合的に判断されて、ドル安になっている訳だ。現在ドルキャリートレードが起こっており、それの巻き返しが起こればドルは物凄く高ぶれする可能性がある。ちょうど2007年夏に日本円が経験したように。アメリカ国家ドル安陰謀論を唱えている人は、思い込みの激しい人であろう。日本は独歩ゼロ金利を続けた上で、円キャリートレードによる独歩円安を体験したが、他の国の経済が崩れて円キャリートレードの巻き戻しがおこり、自業自得で円高になったのが事の発端である。日本が円安になっても、それは日本の国内問題であり、色々な方面から苦言を発せられるかもしれないが、日本国家が解決方法を模索するしかない訳だ。いずれにせよ、国債暴落のシナリオが起ころうとも、90年代後半の韓国の様にIMFにコントロールされるような事態になる可能性はまず無い。

十中八九本当の話①「トリプル安」:国債と円は間違いなく安くなる。だが、株まで絶対に安くなるのか?と問われれば、銀行株などは安くなるだろうが、他のものまでは解らない。総ては連動しているので、多分パニック売りが出ると思う。安くなれば輸出株を中心に「買い」である。

この記事の執筆時点で、長期金利の利率は10年物が0.78%20年物が1.68%という異常な低い値である。市場が合理的であると信じている人達は、国債の利率が低止まりしているのは投資家がデフレを見越しているから、と屁理屈をこねるのかも知れない。だが、普通に常識的に考えると、国債はバブル水準である。外資が長期国債を意図的に買いためている節がある、といった噂すら立っている。日銀による操作なのか、自由化されていない金融制度か、硬直化したルーティンか、謎の外的要因か、複合的な要因で長期国債の利率が不思議なほどの低水準に抑えられていると考えた方が自然である。ちょっとだけ長期金利があがるだけで、国債のみに留まらず、幅広い資産の価値が減り、日本経済は大打撃を受ける。それが国債の崩壊問題だ。経済は繋がっているので、それを期に他の場所まで色々な問題が波及するだけの事である。

オーストラリアで最初の一匹を見つけるまで、黒鳥(ブラックスワン)はいないと考えるのが「合理的」な思考であった訳だ。ただ、国債バブルの話はブラックスワンとは言えない。主要な経済学者やエコノミストの大半が国債バブルの危険性を指摘している。ただバブルであるので、流れに乗ればもっと儲かると買い足している人もいる。それはそれで合理的な判断だ。むしろ「国債は大丈夫」とか本を売るために妄信的に言っている人達は、怪しげなお茶の間の似非エコノミスト達だけなのだが。

国債バブルの崩壊は、何もノストラダムスやマヤ暦か何かのオカルト「地球最後の日」とか、ハルマゲドンで核戦争が起こり人類が滅亡するとかの極端な事を言っているわけではないのだ。時期は特定できないが、そのうち強い地震が都心で必ず起こるので、火事や家屋の倒壊で数万人が死にますよ、と言っているだけである。日銀の試算では、金利1%上昇で銀行だけでも8.3兆円の評価損失が出るらしい。2%騰がると、GDPがマイナスに転じるくらいの評価損が出るという。それ以上だと、もっと酷い事になるだろう。日銀のシナリオは保有債権だけに限定させた最低限の予測であり、金利上昇でフェアヴァリューが毀損するものは国債のみに限らない。後始末如何によっては、二次的な被害でダメージが雪だるま式に増える可能性は十分にある。破綻のような終末シナリオでないにしても、国債崩壊が日本経済に与える影響は凄まじく大きい。

最終回に続く

11/21/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(1):現状認識編


今から数年後、2012の終わりに行われた選挙こそが日本という国家の曲がり角であった、と認識されるようになるのではないだろうか。

まず現状認識をきちんとしておく。日本は太平洋戦争に負けた。復興で景気が一気に良くなった。そして戦争で焼け野原になったために、最新の投資を入れる事ができ、国際競争力がついた。しかも共産主義の殻に引き籠る国が後を立たず、資本主義社会の一員としてアジアで重要な位置を占める事に成功する(棚からボタ餅)。田中角栄が土建利権を手にいれ、「田中派」対「岸派」の抗争が始まる。日本の経済が強くなり、景気が停滞しているアメリカと摩擦が起きる。プラザ合意で円高開始。利率を引き下げ、土地バブルが起こる。日銀澄田総裁(戦犯1)が1987年一月の2.5%から90年の6%まで利率を急に上げて、バブル崩壊。利率を徐々に下げるが不良債権問題が尾を引く。宮澤(戦犯2)が銀行に公的資金注入を三重野総裁(戦犯3)と模索したが、世論とマスコミ(一番の戦犯)の反対を受けて実行せず。ソ連崩壊後の社会主義勢力のグローバル化に伴い、今までのインチキ保護政策の化けの皮が剥がれ、デフレ圧力はさらに高まる。無能松下(戦犯4)の後を継いで、速水(戦犯5)がゼロ金利政策を開始。良いデフレなどというトンでも論を展開。デフレになった時点で流動性の罠に嵌り、金融政策は武器を失い、完全に終了。公共事業で財政出動しても、なんともならず。ただ利権問題が日本の財政をさらに苦しめただけ。

60年を掻い摘み、何故デフレになったのかを紹介した。戦犯は他にも大勢いるが、ご容赦願いたい。

デフレが日本を苦しめているという意見に反対する人は誰もいないと思う。デフレが経済にとって良いなどと言う人は、速水元日銀総裁と与謝野馨くらいのものだろう。デフレーションに陥った際に、ゼロ金利政策をとると流動性の罠に陥ることは明白である。デフレにしないために手を打つのが、財務省と日銀の最低限の仕事であった。誤解が多いが、FRBのバーナンキが何故あのような政策をとっているのかというと、「Nothing but a deflation (デフレ以外なら何でも良い)」という事である。ゼロ金利やQEはデフレに「陥らない為」にやっている政策であるのだ。
 だが日本は違う。既にデフレに「なっている」のだ。一度陥ると脱出する事が極めて難しいと大学一年生の教科書に書かれている「デフレ」状態にあるのだ。デフレから脱却したいと万人が考えている。しかし需給ギャップを「持続可能に」穴埋めする事に手を拱いており、15年ほど経っても何もならない。デフレになった時点で、時既に遅し。日本経済は失敗してしまったのだ。

量的緩和で資金を供給しているのだが、デフレ下でどこかに漏れている。日銀の思惑通り、金は市場に流通していないのだ。流動性の罠の元では貨幣を供給しても、現金保有が好まれるので、金が市場に回らない。(だが後述の様に国債が積極的に買われており、厳密な教科書の意味通りの流動性の罠ではない。)小泉政権のときは円キャリートレードが盛んに行われたし、現在では国債が買われている。
 寧ろ、貨幣供給が国債バブルを助長している節すらある訳である。期待インフレ率がある程度高くなって、現金保有嗜好を人々が捨てない限りは、金融政策は全く機能しないわけだ。現金とほぼ同等のアセットである国債が捌けている事実がこの理論を正当化している。これだけ日本の財政状況が悪いにもかかわらず、利子率が低く留まっている事は、「国債バブル」以外の何物でもない。そしてその原因を作ったのは、規制緩和を怠った政府と、デフレ「以降」に無駄に資金供給した日銀の責任である。国債バブルはパンパンに膨らみきり、破裂を待っている状態だ。

円高が日本経済を苦しめているという議論がある。この議論については賛成も反対もある。円が高ければ輸入する側には得であるし、円が安ければ輸出する側には損である。外的要因により、円が実際以上に買い被られ過ぎなのではないか、という意見もある。私は円キャリートレードの巻き返しの自業自得と見ているのだが、その議論はどうでも良い。もし為替がファンダメンタルからかけ離れているとすれば、鞘取り機会があり、ほくそ笑んでいる業界がある。その一方で競争力を失っている業界があるのもまた真実だ。ただ、昨今の金融工学を駆使すれば、それらをヘッジする事も可能であるのだが。

上の意見を踏まえて、一部の業界を潤すために円安に誘導したいという考え方がある。為替を操作して、円安に誘導することは容易い。或いは、やろうと思えば、明日から固定相場にすることもできるだろう。ただ、意味がないのでやらない。為替相場は一過性のものなので、そのうちあるべき場所に返ると考えられている。国際金融のトリレンマという考え方があり、為替の安定、独立した金融政策、自由な資本移動のうち、二つのものしか達成できない。普通の国家では、為替を自由にしている。しかし為替を操作したいとなれば、自由な資本移動は犠牲に出来ないので、独立した金融政策を放棄せざるをえなくなるのだ。

ただ日銀の独立性を保たないのは危険性を孕む。政治家の仕事は配分である。よって、自分を支持する人間にお金を配りたい欲望に駆られるものだ。日銀は政治家が暴走しないように目をきかせる仕事である。所謂日銀の独立性である。そういった規制機関を排除して、政治家のやりたい放題にしようというのが、安倍氏の政策である。政治家の多くが、安倍氏の意見に賛同するのは、本音なのだと思う。小うるさい厳しい先生がいなくなれば、普通の子供は喜ぶものだ。

長くなったので一度切る。今回は日本の現状認識と言うことで記事を書いた。次回では、安倍のリフレ政策で、具体的に何が起きるのかを考える。最終章では、嘘と本当を検証する。

3/30/2012

長期金利上昇局面:円安と資産価値上昇は必ず起こる

今週末はいよいよ大学バスケの準決勝だ。オハイオステートとカンザスの一戦は面白い試合になりそうだ。ジェイホークスがバックアイズを負かすとみた。ルイビルとケンタッキーの同州対戦は地元では盛り上がっているのだろうが、ケンタッキーがあっさり勝つとみた。スポーツにばかりうつつを抜かして、経済や政治の記事が少ないと言う趣旨のお叱りの意見を頂いた。古い読者もいるので、たまに経済の話を書く事にする。

日本経済が好調だ。全ての指標が良くなっている。地震のことは勿論であるが、過去数年は社会主義首謀者の政争に経済が巻き込まれ、社会全体が安定さを欠き、経済が無意味に悪くなっていた。野田政権がごく普通のあるべき政権運営をやっているため、その谷底からゆっくりと着実に回復している感がある。外環境のおかげで、円が必要以上の強さを見せたことで、購買力も上がり、世界的な材料価格の上昇を相殺することが出来た。

ただ景気が回復してくると、私たちは昔のツケを払わなければならなくなる。旧態依然とした自民党「おらが」優遇政権がたっぷりと50年に渡ってため続けたツケが膨れ上がっており、その返済を迫られる事態になってしまうからだ。

具体的にはどう言う事か?経済が回復しだすと、長期国債の需要が落ち、長期金利が上がり出すのだ。長期金利上昇が問題を誘発する事になる。長期金利の上昇は、長期国債の価値を落とすため、長期国債の需要がさらに萎んでしまい、市場ではますます長期金利が上がり、均衡点に達するまで金利が上昇し続けることになる。

銀行や生保は馬鹿ではないので、自分たちが損をしないために、長期国債から短期国債や、リスクを伴う株や不動産などにポートフォリオをシフトさせることになる。政府は長期国債購入を銀行や生保などに強引にやらせていたが、銀行も「ババ」を引くほど馬鹿ではないのだ。長期金利が上昇してくると、ババを引かないために、大手が理性的な行動に走り、長期国債価値の急落と長期国債金利の急上昇は避けられない事態となる。

政府は指を加えて見ているのか?答えはイエスである。為替が変動する日本で、長期金利をコントロールすることは恐らく無理である。まともな政府は短期金利はコントロールできるが、長期金利はコントロールできない。長期金利は市場が決めるのだ。イールドカーブが急になってくると、短期でお金を借りて、不動産や株にお金を入れる行動が加速する。長期国債が売れないので、円は安くなる。不動産や株価の上昇と円安の影響で、目に見えて物価が上昇する。で、日銀の答えは、短期金利の上昇だ。最終的に金利をあげるしかなくなってしまう訳だ。

円はますます安くなるし、株価や不動産はますます上がる。そして、国債は売る人が増え、まともな人は買わない。

ここまでは恐ろしいシナリオでも何でもない。ただの経済サイクルの話である。しかし、問題は日本の経済状況が過去20年間どうであったのか、という事だ。デフレになれたポートフォリオを一般の人達は組んでいた。つまり、現金保有だ。その流れが一変するような事態になり、混乱が起こってしまう。経済の事が解らない人達が再び馬鹿を見る可能性があるのだ。

もう一つ、何故経済サイクルの普通の出来事が起これば恐ろしい話になるのか?それは過去20年の間に政府がインチキをしまくった事の綻びがほどけるからである。具体例は枚挙に暇がないが、フラット25、中小企業支援政策、農林中金などが行っている融資など、政府が絡んだインチキ金利政策が世の中に溢れている。この辺りが全て含み損を出し、政府のバランスシートを傷つける。金利が上昇すれば、政府が大きな含み損を抱えて、納税者に大きな負担が発生してしまうのだ。残念ながら、政府が今まで何十年もに渡り実施してきた無駄な政策は、必ず我々にブーメランのように返って来る。

本当に恐ろしいことは、この絶対にやって来る危機について、銀行も証券会社も財務省も日銀もはっきりと認識していることである。そして、必ずババを掴まされる連中が出てきて「想定外であった」と嘯いてみせるのだ。

サウジはポンコツ。何も出来ない

フーシ派がマユン島を占領して、紅海の入り口をコントロールしており、ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)がトランプに米軍がフーシを攻撃するように要請したとのニュースが流れた。トランプは断ったという。このニュースを受けて、原油は暴騰。 サウジはアラブ諸国の雄じゃないの?このくらい、...