5/12/2013

円安を阻む「外圧」は、神様の影。そんなもんは存在しないのです。


ウェブ上のエコノミスト達の記事を読んでいて面白いなぁ、と感じる。というのは、為替相場の事に関して、やたらと諸外国の意見を気にしているという事である。こういった意見を言う人達は、真剣に政府が為替に対して影響力を持っていると信じているのであろうか?或いは、そういう事を風潮して、為替市場を誘導しようと頑張っているのだろうか?

エコノミストの中には、まともなエコノミストと、インチキエコノミストがいる。私はロイターの外国為替フォーラムの記事を良く読むのだが、まともな記事を書いている代表が鎌倉大輔氏や河野龍太郎氏である。インチキな記事を書いている人は大勢いるのだが、佐々木融氏などが代表と言える。まともなエコノミストは、データを整理し、理路整然と為替の流れを説明する。どこまでが解っていることで、どこからは解らないのかも、きちんと説明してある。一方で、インチキエコノミストの面々は「噂」や「市場モメンタム」に重きを置く。多分、経済学の知識に乏しいのだろうと思われる。インチキエコノミストたちの間で「外圧による円の下落不可能論」が喧しいのだ。

さて、1ドルがついに100円の心理ラインを割って来た。私としては意外と遅かったと思っているのだが、新聞紙上では早すぎる為替の動きなどと描写されている。白川さんをクビにして、無制限量的緩和などといったマーケティング手法をとれば、こうなることは火を見るよりも明らかであった。どころか、公的債務が大きいことをつかれ、そのうちストップが取れなくなる。これは、黒田総裁と安倍首相のアクションによる因果関係ではなく、投資家に遊ばれて、急激な為替の変化が生まれている訳だ。

世界に跨る根本的な問題は、金が余って余って仕方がない、という事である。そして、それらの金が世界の人々に不均一に散らばっているという事である。使う必要がないユーロダラーのようなものが、ホットマネーとなって何処かから何処かに動いていく。それによって、21世紀の我々の経済は決定されるのである。中央銀行や政府の力は物凄く小さい。寧ろ、ホットマネーは政府から金を掠め取ろうと必死に頑張っている訳だ。

さて、アメリカ経済が着実に復調していることから、世界のホットマネーのポートフォリオが変わりつつある。一部の金が日経などに流れており、円を売る流れに拍車を駆けている。どこぞの政府が円安を容認するのか、容認しないのか。政府や中央銀行ごときに世界経済が制御できているのであれば、2007年から2008年にかけて我々が目撃したような金融市場の大暴落は、そもそも起こっていない。金融を緩和した程度でインフレになれば、失われた20年など経験していないし、極度な円高など起こらなかった筈なのだ。

まあ、エコノミストは、自分たちの所属機関が急な為替の浮き沈みに対応できず、焦っているだけかも知れないが。或いは「日本は外圧に常に脅かされている」というような、情けないトーンでニュースを作れば、日本の視聴者が喜び、メディアは儲かるのかも知れない。

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