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10/04/2023

すかいらーく系の飲茶食べ放題:桃菜、激マズ

私は点心(ディムサム)が好きで仕方ない。日本に帰ってから美味しいディムサムが食べられていないので、不満が溜まっていた。

近所にすかいらーく系の桃菜という飲茶食べ放題を標榜する店が出来た。いつも人が並んでいるし、良い噂も聞いたので、ちょっと高めではあるが行ってきた。迷わず一番上位の食べ放題を選択した。食べ放題に気分が高揚する。

ザーサイやクラゲがまずは運ばれてきたが、「あぁ」といきなりテンションが下がる。パンチの利かないスカスカの味付けに、歯ごたえも微妙。

その後、小籠包が運ばれてくる。皮がふにゃふにゃ。中のスープは旨味にかける。肉々しさもない。醤油や酢をつけると、その味に完全に負ける。味気がないを通り越し、「不味い」と表現しても差支えがない。その後、変わり種小籠包が来たが、ベースが不味いので、それにポルチーニだなんだを入れても、不味いものは不味い。

シュウマイはふにゃふにゃ。肉々しさはない。歯ごたえを野菜で胡麻化しているが、こってり感もなく、食べるのが嫌になるレベル。不味いものを口に詰め込むという行為に、自戒の念が出てきた。

腸粉は皮がふにゃふにゃすぎるし、醤油にコクが足りない。咸水角も外の皮がイケてないし、具のパンチもない。もっとラードや香辛料を入れないと話にならない。

ホタテ、トンポーロー、リブ、全然ダメ。食べるのが嫌になるレベル。

ルーローファンを食べると、砂糖がかかっただけの豚肉がのったご飯が出てくる。ラードの濃くもないし、豚脂もない。たくあんも無い。不味いルーローファンを初めて食べた。

チャーハンと胡麻団子あたりは、食べられるレベルのものが出てきたが、それでも微妙。

杏仁豆腐は粉で作ったのがまるわかり。美味しさを求めないという事で、愛玉を数杯たのみ、口をごまかして一時間弱で終了。


隣の席のカップル、美味い美味い言ってたが、舌が馬鹿になってるのかもしれない。

多分、企業努力して、豚脂とか香辛料を極力減らしているのだと思う。ただ、そのあたりを削ると、飲茶らしさがなくなって、何を食べているのか不明。形やスタイルだけ似せた、コクも旨味も足りない偽物を、決して安くない価格で提供してる意味不明なレストランである。これで客が入るのだから、日本の食のレベルがやばくなってるんだと思う。不味いものを食べると、普通は腹が立つが、だんだんと可笑しくなってきた。

アメリカの食べ放題中華レストランとかの方が、余程おいしい気がする。桃菜、全然ダメ。


2/06/2022

百貨店の唐揚げはコスパが悪すぎる

 百貨店に唐揚げ屋が良く出ている。で、しょっちゅう入れ替わる。華鳥とかなら解るが、地方の聞いたことない店とか、TKOのパワハラ木下の母親の店とか、そういう類の微妙な唐揚げ屋が入れ替わり入っている。で、どこかのブランド鶏を使って、油は米油とかオリーブ油とか、変わったブランド醤油を使っているとか、そういうので売っている。

半額とかになっていれば、マーケティング調査がてらに味見をする。百貨店で買う唐揚げとか、家に帰ってきたらサクサク感もないので、その辺りは全く期待できない。ヘルシオで温めて、味わってみる。「美味しい!」みたいなレベルの唐揚げに出くわした事はない。不味くはない程度の物が多く、味付けが全然出来ていないケースも多い。良くこれで商売できるな、と。しょうーもない唐揚げ一つが100円以上するような計算になるので、半額でも高すぎる。普通の定価で買ってる人はアホじゃないか、と思うのだ。

唐揚げなんて、結局は下味と、揚げてからどれだけ早く食べるか、だけ。揚げ方を失敗しなければ、家で揚げた唐揚げの方が断然美味しい。生姜、にんにく、砂糖、醤油、お好みで出汁系の味の素に、きっちりと一晩漬けておく。で、片栗粉を揚げる一時間以上前に鶏全体にまぶす。一時間以上置いてから、油で揚げる。大豆がたっぷり入った油に、ごま油少々と、豚の脂(ラード)を足すのが、舌の満足度的には最強だと思う。くどいのが嫌な人もいると思うので、この辺りはお好みで。

まあ、自宅で調理するのがめんどいので買うのだと思うが、庶民の味の唐揚げを、デパ地下なんかで買うものではないと思うのだ。商店街で長くやってる唐揚げ屋の唐揚げを買って、帰って直ぐに食べるのが美味しい。これを超えられるような唐揚げが、百貨店には売られていない。しかも糞高い。百貨店の唐揚げは、美味しくなく、コスパは最悪だ。

6/09/2018

アンソニー・ボーデインが自殺

アンソニー・ボーディンが自殺した。どこに行こうとしたのか?パーツアンノーンに旅立っていった。

トラベルチャンネルの頃から、私はアンソニー・ボーディンの番組が好きだった。かなりひねた物の見方と、紛い物を馬鹿にする姿勢は、私のスポットに合致する。

一度、大学のブックストアーにボーディンがやってきた時、私は態々見に行った。テレビよりもずっと痩せて長身なアンソニー・ボーディンが、いつもの調子で喋っていた。

61歳で自殺したと言う事だが、信じられないという感じはせず、「まああり得るか」、と思ってしまう。薬物にまみれていたことや、酒を溺愛していることは、番組内でも堂々と公言していた。

ボーディンの新しい番組がなくなる。

このブログも、実は世界の食を紹介しようとして、アンソニー・ボーディンに感化されて始めたものだと言う事を、今告白しておく。

大きな喪失感に、ただただ悲しい。

11/07/2016

ムール貝は値段相応でイマイチ

私は海鮮が好きなのだが、アメリカやヨーロッパでは海鮮が高価である。そんな中、ムール貝はどこのスーパーでも売られており手に入りやすい。場所によっては生の物も簡単に手に入る。ヨーロッパに住んでいたころは市場でムール貝を良く手に入れた。ここシアトルでは、ペンコーブなどの牡蠣の産地でムール貝が養殖されており、スーパーマーケットで何時でも買える手軽な海鮮食材である。ムール貝は、フランス語由来の料理用語であり、日本語ではイガイやカラス貝と呼ばれている。英語では「マッスル」と呼ばれており、ムール貝によく似たものも含まれている。

で、私はムール貝が好きでも嫌いでもない。まあ、手に入りやすいので良く食べるのだが、美味しくて積極的に食べたいものでもないのだ。ミル貝やアワビとは比べたくもないが、ワインで蒸してもクラム(ハマグリ)ほどの出汁は出ない。身からはホタテやホッキガイや牡蠣のような甘くて濃厚な味はしない。まあ値段が安いので、それ相応のアジしかしないのかも知れない。調理しすぎると身はスカスカ。スープは薄い。かといって早めに上げてしまうと、臭さが勝ってしまう。

貝殻が大きいので、料理の見た目は派手になるし、食べやすい。調理も簡単。適当に殻を洗って、糸みたいなやつをちぎって綺麗にして、後は火を入れるだけ。ベルギーの路上で売ってるような、ただのワイン蒸しにしてバクバク食べるが、「めっちゃ美味い!」とまではお世辞にも言えない。ムール貝の単独でパスタやリゾットを作って食べてみると「もう少しお金を出してハマグリにしておけば良かった」といつも後悔してしまう。私は満足して食べるために、ホタテ出汁顆粒なんかを白ワインに入れてから蒸して、味を誤魔化している。エビなど他の海鮮類で出汁を取ったついでに、見た目を重視するためにムール貝を使うのはレストランのやり方だ。タイ料理とかに入っているナンプラーとかで強烈に味付けした奴も悪くない。食べ放題で出て来るチーズやマヨネーズを乗せたやつなんか、貝の味はせず、カロリー摂取するための料理に成り下がっている。

いずれにせよ、ムール貝は値段相応の中途半端な食材であると覚えておいて欲しい。冷凍ものならどこででも買えるが、まあ残念ながら猫の餌程度の代物である。

10/27/2015

世界の食のレベルが高い都市、独断のトップ20 ランキング

* この記事では、食堂や屋台も含め「外食を食べられる場所」という意味で「レストラン」という言葉を使うので注意してほしい。

旅先での楽しみといえば、食事がどうしても上位に来る。食事の味はレストランによりけりであり、美味しいところも、イマイチのところもあるだろう。しかし、食事業界の競争が激しく、全体的にレストランのレベルが高い街というものがある。今回はそれを経験と主観に基づき、ランキングとしてみた。行った事がない街は入っていない。このリストには載っていないものの、裾野が広く美味しい料理が溢れている街をご存知であれば、是非とも教えて頂きたい。

20位 ニューヨーク
NYは何でもある。が、ほとんどのものが一歩届かない。食材にしても、調理技術にしても、少し足りないのだ。ただ、何でも揃っており、知ってさえいれば美味しいものにありつける。中華やイタリア料理。そのあたりに美味しいものが揃う。ラテン系、ユダヤ系などのストリートフードも悪くない。高いレストランは外れも多いが、悪くないのも多々ある。大都会で競争が激しいためか、全米の中では比較的安い食べ物が多いのもNYの特徴だ。ピッツアに関しては、店にもよるが、本場のイタリアよりも美味しいところもある。蛇足だが、ランキングに入れなかった北米の街で食事が悪くない場所として、ポートランドORやプロビデンスRIがあげられる。

19位 ブリュッセル
ブリュッセルの真ん中にはレストラン地区がある。パリに比べると値段は低めに設定されているが、工夫がとぼしい卒のないフレンチ風の料理が出てくる。ワッフルとかも有名だ。「美味しい」か、と問われれば、ちょっと難しいところである。

18位 北京
中国の都市として唯一のランク入り。上海や広州などと比べると、北京は比較的マシなものが揃っている。高級レストランはなかなかの店が多いが、普通の屋台などは、安全性の問題から躊躇することもあるので、本来であればランキング外にしても良い。

17位 トロント・バンクーバー(カナダ大都市)
バンクーバーでは香港や台湾からの移民が美味しい中華レストランを営業する。中華系経営のいんちき和食レストランも、それはそれで悪くない。トロントは人種の坩堝であり、移民一世が作る色々な国の料理が食べられる。ただ、どれも本場には遠く及ばず、「ワオ」という言葉を発する確率は少ない。国境の南に位置するアメリカの北部都市よりはずっと良い。

16位 東京
日本の事情を知らない外国人にアンケートをとると、東京は世界の5本の指に入るグルメタウンという事になっている。外国料理(イタリアン、フレンチ、中華)など、高級な店はなかなかである。が、普通一般のレストランに入ると、濃い味付けをしたハズレが意外に多い。濃い口醤油と鰹節の味で、料理が下品になっている。天ぷら、ラーメンや握り寿司などの、本来の意味での和食でないものが有名なことからも、他の日本の町に比べて料理の文化は浅はかであると結論付ける。良い食材は高級レストランにとられてしまい、庶民はお零れにしか預かれない。本当なら東京は10位以内でも良い(どう考えてもニューオーリンズよりは上だろう)が、東京のランクが低いのは、世間の認識とのギャップを強調したいという私のバイアスがかかっているためだ。

15位 シンガポール・ペナン(マレーシア)
トロピカルな食材と、南方系の華僑の腕が出くわして、とても美味しい中華料理が出来上がった。海南鶏飯、シンガポールフライドヌードルにチリクラブ。福建系や客家系の人たちが作り出した伝統が、ホーカーズであれ、高級レストランであれ、シンガポールの中華風料理に生きている。シンガポールのマレー系の料理はペナンに由来するものが多い。ただ、ジョージタウンに行って色々試したが、マレー風の料理を食べると、がっかりすることも多かった。

14位 モントリオール・ケベック(フレンチカナダ)
フランス文化の影響を受けたモントリオールは、やはり全体的にレベルの高いレストランが多い。ケベックシティーに行けばもっと美味しいものを食べられるという根強い意見もあるが、かなりの高位にランクさせる。

13位 メキシコ湾沿いのアメリカ南部
テキサスのバーベキューは牛を使う。ブリスケットのジューシーさは筆舌に尽くしがたい。フロリダ北部からアラバマ、ミシシッピ。フライドチキン、フライドオクラ、豆、グリーンズ、ナマズに生牡蠣。安い食材を上手に使う。アメリカ北部は食事が良くないが、南には古きよきアメリカが残っている。

12位 ボローニャ(北イタリア)
イタリア料理を食べて文句を言う人はいない。万人受けする味であり、外れは極端に少ない。北は肉類や乳製品を南よりも多用する傾向にあり、私の中では後述の南には勝てない。私が訪れた中ではボローニャがかなりレベルが高かった。どの料理にも安っぽい赤ワインが合うのだ。ワイン的にはピエモンテやトスカーナに決まっている。

11位 バルセロナ(地中海沿いの「スペイン」の街)
スペインの料理は美味しい。バルセロナはカタローニャでありスペインではないのだろうが、私にとっては美味しければ何でも良い。ワイン、海鮮、ハム類、野菜。どれをとっても新鮮であり、町全体の食に対する情熱は賞賛に値する。値段も安い。タパスで小腹を膨らませるというのが正しい地球の歩き方だろう。

10位 ニューオーリンズ
アメリカにあり、アメリカらしからぬ街、ニューオーリンズ。フランス人の植民地として栄えただけあって、食は素晴らしい。ニューオーリンズで給されるのはケイジャン料理やクレオール料理であり、一般的な南部料理とは全く違う。ガンボ、エトフェ、ザリガニなどなど。スパイスの効き方といい、ケイジャンの食事は何度食べても飽きない。ジャズを聴いて、ケイジャンを食べて、通りでダイキリーを飲む。最高だ。

9位 ソウル
ソウルは美味しい。屋台とかでも、安っぽくて味の濃い料理は、まあまあ美味しい。上品なのもそこそこあるし、はずれも少ない。ああいうのが好きな人も多いだろうが、個人的にはベスト5入りはしない。

8位 サイゴン
フォーとかバンミーとかゴイクンが頭に浮かぶが、ベトナム料理は素晴らしい。他の国ほど辛いものを使わないが、きっちりと出汁をとり、新鮮なものにこだわる。やはり、フランス人の影響なのか、イーストミーツウェスト的な料理も多い。トロピカルなハーブ系の使い方も上手い。ホーチミンシティーもよいが、北のハノイの方が食事が美味しいという人も多い。

7位 サンセバスチャン
スペインのグルメ都市として、サンセバスチャンの名前はかなり知られるようになった。タパスを食べ歩き、飲み歩くのは、ある種感動を覚える。サンセバスチャンはグルメの町として豪勢な食事を用意しお金を課すようになったが、スペインの他の町では、ドリンクさえ注文すればいまだにタパスは食べ放題のところも多い。

6位 南イタリア
イタリア料理が嫌いな人がいるだろうか?そして、海の幸をある程度使ってもらうと、ランキングが自ずと高くなる。甘いトマトソース、モッツアレラ、豚のモツ。海の幸をふんだんに使うフルーティディマーレ。ローマとかでさえも、美味しいものには事欠かないが、ナポリとかだけでなく、さらに南に行けばもっと美味しい。ローマがあるラッツイオ周辺は山の起伏がなくて、ワインは全然ダメ。唯一飲めるのはフラスカーティの白くらい。全般的に南は赤ワインは全然駄目。白中心で。料理も白と合うのを頼もう。

5位 バンコク
パッタイ、クッティオ、カオマンガーイ、ソムタム。言うまでもなく、タイの屋台料理もレベルが高い。生牡蠣とか蟹カレーだとか、タイ風にすれば何でも美味しい。北に行って、もち米を多用したり、昆虫を使ったような料理も出てくるが、あれはあれで旨い。食材豊富なタイは、屋台でもレストランでも、なんでも美味しい。ハズレを引くほうが難しい。

4位 パリ
万人受けするイタリア料理よりも、フレンチを食べるほうが心が躍る。料理にイノベーションが垣間見え、あっと驚かせてくれるのだから、楽しくて仕方ない。パリのサンドミニクあたりは世界の五本の指に入る優良ランチ地域である。フランスはレストランの裾野が広いので、加工食品が発達している。フォアグラのテリーヌとか、サラミのセットなどは、おそらく工場で作ってレストランに支給しているためか、どこに行ってもそれなりに美味しい。ただ、日本人の中には、ある種類のフレンチ料理が重すぎたり、チーズっぽかったり、味気がなかったりするようだ。言い方を変えると、ハズレの店に結構出くわしてしまうのがフランスの難点である。リヨンがパリよりもずっと美味しいという話を聞くが、行ったことがないので解らない。

3位 台南・台北
台湾では何を食べても美味しい。屋台やその辺のレストランは、美味しいだけでなく、安い。陽春麺に黒白切をつけてみる。魯肉飯や台南油飯とスープを掻きこむ。夜市でジャンクフードを漁る。最高である。ただ、異国料理や高級店には外れも多い。台湾でイタリア料理や日本料理を試してみるとよい。がっかりすること間違いなしである。台湾では、安い地元のものの方がずーっと美味しい。台北101とかQスクエアの小奇麗な店は、大概イマイチだ。マーケティングに長ける鼎泰豊で一食無駄にしないで欲しい。MRTに乗って、台北市よりも南(永和・中和)や西(三重・板橋)で降りて、色々なものをトライして欲しい。驚くほどの掘り出し物にありつけるだろう。余談だが、台南の方が台北よりもさらに食を理解しているなぁ、と私は思っている。

2位 香港
香港は誰もが知るグルメタウンだ。飲茶、屋台の味、デザート類、朝ごはんの御粥に本格海鮮料理。何をとっても美味しいし、外れを引くことなど、先ず考えられない。さらに、英国の植民地であった香港では異国料理のレベルも高い。訳の解らない変わったレストランに入っても、台北のように外れを引くことはない。日本料理なども値段は別として、かなりまともなものが数多く存在する。

1位 大阪市
世界一のグルメタウン、それは大阪で間違いないと思う。私は大阪出身でバイアスがかかっているとか、そういう事ではない。大阪の食の文化と情熱が、他の都市と比べて抜きん出ているのである。市場に行ってみるとよい。食材の新鮮さが見て取れると思う。あまり物事を知らない人に「大阪はお好み焼きとか、たこ焼きとか、うどんとか、串カツとか、美味しいものが色々あって良いね」と言われる事がある。私は鼻で嗤って、あえて反論しない。知らん人は知らんでいいのだが、大阪の食文化の懐の深さは、そういう所にあるのではない。大阪には本物の日本料理を育てた下地があり、その技術や知識が、他の料理にも波及しているのだ。だから、和洋ジャンクを問わず、どのレスランを訪れても、ハズレにあたらない。世の中には「お得な料理」と「美味しい料理」があるが、大阪では「お得で美味しく一段上の料理」が気軽に食べられる。「ケバい調味料」をなるべく使わない、昆布でとった出汁を活かした上品な和食。瀬戸内で取れる新鮮な海の幸。ここ数十年は、東京でも大阪の味を食べられるようになっているが、人気の和食店は結局「関西系」だ。本物を知りたい人は一週間くらい大阪に滞在され、色々な店や市場など、特に市内中心部の割烹を回られることをお勧めする。

ただし、京都は入れていない。京都の和食は、上品さは光っているものの、無理やり京野菜とか鱧とか湯葉とかを使って、伝統を守り抜き独自色を出そうとし過ぎて敷居が高い。湯豆腐とかお茶漬けとか、形にこだわり過ぎている嫌いがある。世界には美味しいものが色々あるのだから、そういったものを積極的に用いれば良いではないか?大阪はうまいもんを提供しようと、よき伝統と革新が混じった素晴らしい食文化を持つ。牛フィレが美味しいのなら、それをカツにして和食として出せば良い。そういう大阪気質が好きなのだ。中途半端にお客さんの財布が緩い神戸は外れが多い。やはり、けちんぼが多く、競争が激しい大阪市内が抜けている。寿司、天婦羅、ラーメン、蕎麦。そういうものを和食と思っている外国人観光客は東京だけ観光しておけばよい。

旅先では、ハズレのレストランにあたる事が多く、結構がっかりさせられる。今後はハズレの話も書いていこうと思う。ただ、インターネット環境が整いすぎて、最近では狙ったレストランに皆行くので、ハズレることが少なくなっているようだ。そして、フランチャイズ店の進出で、不味くない店が増えてきた。だが、旅の醍醐味は、その辺の訳のわからない店にふらっと入って、その土地の文化と味を味わうことにあると私は信じている。このランキングは、ふらっと入った普通の店に感動させられる確率、と考えて欲しい。絶対的に美味しいレストランが存在するかどうかではない。

食のレベルが高い都市というのは、歴史、食産業の裾野の広さ、そして消費者の嗜好によって決められている。歴史的に食を愛し、新鮮な物を消費者に届ける物流を発達させ、食に五月蠅い消費者が不適なものを駆逐する。そういう皆の努力が、食に対する魅力的な都市を作り上げているのである。

2/15/2015

串カツは大阪名物?そんなアホな!

東京に滞在していると、大阪名物と宣伝している串カツ屋を何件も目にした。

私は大阪市の出身だが、子供の時に串カツを食べた記憶などない。高校くらいになって、怖いもん見たさにあいりん地区や新世界を「旅行」し、友達に押し切られて串カツ屋に入った事が一回だけある。揚げもんの油っぽさと、具の安っぽさと、釜ヶ崎地区のイメージ的な問題も手伝って、正直「気持ち悪い」感じがした。揚げモンは何を食べても大体同じような味なのだが、予想通りの味だった。店から出たら、油っこさで、やはり気持ち悪くなった。それ以来、私は串カツ屋で串カツを食べた事がない。

私は東南アジアの貧困者が住む街など、色々な所を訪れ、それぞれの場所で色々なものを食べている。美味しい物もあれば、不味い物もある。ただ、大阪の釜ヶ崎地域や新世界などには、足を踏み入れる気にもならない。物理的、生理学的な理由と言うよりは、心理的な蔑視感の為であると思われる。大阪に育った人間として、色々な物を刷り込まれてしまったのだ。そういう感情はなくすべきだと思うが、これだけはどうにもならない。説明できないが生理的に気持ち悪いのだ。これを差別的だというのであれば、私はそのレッテルを受け入れよう。

串カツは新世界名物のキワモノ料理であって、大阪名物と言われる事に反感を覚える。母親が手を抜きたい土曜日の昼飯の定番である「お好み焼き」や、学校帰りにつまむ「たこ焼き」とはわけが違うと思う。串カツは、新世界に観光でやってきた人たちや、ギャンブルや大衆芸能に溺れたニコヨン、あるいは生活保護受給者の食べ物であり、大阪の庶民の味ではない。飛田本通り商店街で、ママチャリに乗った腹巻をしたおっさんが立ち食いをしに暖簾を潜り、安物の油のどうしようもない匂いが脳裏をよぎる。串カツは心理的に気持ち悪い料理であり、大阪出身の私は串カツを食べない。

高級串カツ店とか、ありえない。別に「てんぷら」や「一品の揚げモン」でええやんか。串カツだけ食べるのって、頭おかしい。大阪に旅行してわざわざ串カツ屋に行く人達は、情報弱者としか思えない。

5/26/2014

フィレミニョンを「牛タタキ」として楽しもう!

私は大昔のエントリーで、フィレミニョン(テンダーローイン)について、ステーキとしてはコストパフォーマンスに合わないと申し上げた。フィレミニョンを鉄板(フライパン)でミディアムレアに焼いて、塩胡椒をしただけでは味気がなくて詰まらないからだ。レストランのフィレミニョンには色々なソースがかかっているが、あれらを家庭で再現するのは難しい。

しかしフィレミニョンを「牛のタタキ」だと割り切り、生肉ないしはブルーレアとして食べれば、こんなに美味しいものは無い。欧米の田舎町に住んでおり、新鮮な刺身用の魚が手に入らないような人にとっては、フィレミニョンは「日本人好みの赤味の刺身」として重宝できると思う。

それでは、フィレミニョンのタタキの作り方を論じたい。まず、フィレミニョンをスーパーで買うのだが、大きめの物が良い。小さいと、焼いた時に火が通り過ぎて、牛タタキにならない。そして、完全な赤い肉よりも、右の写真にあるように白い筋(つまり脂)が多い物の方が美味しい。そういうサシ入りの物は値段が高いだろう。小さな二切れで25ドルとか、そのくらいするかも知れない。牛肉の美味しさは新鮮さとは相関性が薄いので、アメリカ在住の人ならばスーパーマーケットの「Manager’s Special(安売り)」を買ってお金をセーブするというのも賢い選択であろう。


ミディアムレアステーキにする場合は、最低でも食べる1時間くらい前には冷蔵庫の外に出しておいた方が良いのだが、中身が生の「タタキ」を作るので、まあ調理30分くらい前に外に出して貰えば良いだろうか?調理した後に、中が「冷たいまま」という事だけは避けたいが、そこまでこだわる必要もないかと思う。冷凍したものを使う場合は、調理時には完全に「自然解凍」できている事が必須である。ステーキを作る時には電子レンジで解凍しないで欲しい。何故なら、電子レンジはステーキの内部を温めるので、肉が台無しになってしまうからだ。夕食で食べるなら、お昼ごろに冷凍庫から肉を取り出しておくとかして、自然に解凍する必要がある。

さて、調理前にケチらずに塩胡椒をしたならば、後は焼くだけだ。

フライパンを用意する。フライパンには「ちょっと多め」の油を敷く(最低でも大匙3杯)。油をしかないと焦げるし、味が淡白になりすぎるからだ。牛肉を焼くのであれば牛脂で焼くのが一番素材を大事に出来ると、私は考えている。ただし日本とは違い、欧米ではステーキを買っても牛脂をつけてくれない。そこで、リブアイなどを買った時に、余剰についている牛脂を冷凍庫で保存しておき、赤味の多いステーキを焼くときに使う事にしている。ベーコンを使う人もいるが、あれは邪道だ。バターを使うと後述の「日本人好みのソース」と喧嘩してしまうので、これもダメ。胡麻油は醤油系ソースとは相性が良い。意外に美味しく仕上がるのが、テンプラなどの揚げ物に使った後の油である(極端に古いものは駄目)が、調理する人にとっては匂いがキツイ。まあ、ベジタブルオイルでも、オリーブオイルでも、何でも良い。

さて、大蒜(ニンニク)を二かけほどスライスし、弱火でじっくりと油に味を移す。この時にあまりフライパンの温度を上げ過ぎない事!大蒜が焦げてしまう。ニンニクがキツネ色をすれば、大蒜を取り出し、強火にして油の温度を一気に上げる。そして、肉を入れる。1分半ほど肉に触らずに待つ。そして、焼いた側をチェックする。完全に「クリスプ(表面がカリッとなる事)」になったと思えば、裏返す。そうでなければ、もう少し焼く。裏返して2分ほど触らずに待つ(肉を入れてフライパンの温度が下がっているので、裏面を焼く方が通常は時間がかかる)。そして、同じように焼いた面をチェックする。OKであれば、横を焦がしていく。フィレミニョンは太いので、横側すべてにきちんと焦げ目をつけていきたい。その後、好みの問題だが、フライパンの上で適当に何度か裏返したり、押してみたり(フィレミニョンは軟らかいので、結構ぺちゃんこになる)して、出来上がり。理想は、肉の内部が生ではあるが、人肌より若干高くなっているくらいが一番おいしいような気がする。

肉を焼く理由は二つだけだ。一つ目は、表面をクリスプに焦がし、食感を良くし、肉汁を閉じ込める。二つ目は、牛肉の表面についている雑菌を殺す。タタキである以上、中は生でないと美味しくないので、二つの目的が達成された時点で肉をフライパンから引き上げる。つまり、焼き過ぎると台無しになるという事だ。ただし、厚いフィレミニョンを使えば、焼きすぎたくらいでも中まで火が通らない。料理に自信がない人ほど、厚めのフィレミニョンを使った方が良い。

肉をマナ板に載せる。そして、最低二分ほど待つ。そして、焼き肉に出てくるくらいの太さに切る。で、出来上がり。これをサラダなどと一緒に食べてください。肉は、表面に塩味しかついていないので、お好みのソースをかけることになる。どれが一番あうとかは、個人の問題なので、色々なソースを食卓に並べた方が良いと思う。レモンや刻み葱、すり生姜、大根おろし、パクチー(香菜)なども一緒に出して欲しい。炊きたてのご飯も忘れずに。フィレミニョンのとろける様な食感を楽しめる事だろう。(右の写真の肉は、正直焼き過ぎである。ここまで焼けば、刺身好きの日本人にとってはがっかりした食感になってしまう。)

以下に家庭で手に入る日本人好みのソースを列挙する。

1) わさび醤油(ワザビと醤油の日本人の定番)
2) 生姜醤油(醤油に生姜のすりおろし)
3) ポン酢+大根おろし
4) ゴマだれ(炒ったゴマをすって、醤油とすし酢を少々。でも、市販のゴマダレを買った方が「味の素」が効いていて美味しい)
5) タイ風ナンプラー味(ナンプラー大匙3、すし酢1、砂糖小匙1、生姜すりおろし、ニンニクすりおろし、香菜、ネギ)
6) スイートチリソース(アジア系のスーパーなどで売っている。右の写真を参照。甘く、全然辛くない。サラダや生もやしとも合う)
7) バルサミコソース(安物のバルサミコを小さなフライパンで熱し、容量が三分の一になれば火を止める。蒸発しすぎるとフライパンがダメになるので気をつけて。甘酸っぱい。一口目はとても美味しいが、すぐに飽きます。)
8)邪道ではあるが各種焼肉のたれ(味の素が効いていて、いい感じです)
9)アメリカのスーパーで売っているホースラディッシュ入りクリームソース(「洋食」として食べるのなら美味しいですが、ご飯には合いません)

このレシピを食べて「牛ステーキ」は美味しいとは言って欲しくない。これはあくまでも「牛テンダーローイン(フィレミニョン)のタタキ」である。ミディアムレアに塩胡椒をして、フォークとナイフで食べるステーキとは意が異なる料理である。

12/20/2013

並の豚肉にさえ劣る「仔牛肉」という高級食材

このブログはアメリカの「痛い食生活」を少しでも誤魔化すために、食べ物の楽しい話題を中心に書こうと思って始めたのだが、スポーツやどうでも良い政治や経済の話題にばかり感けており、食べ物の話題がおざなりになっている。久々の食の話題だ。

クリスマスシーズンという事もあり、欧米人がクリスマスシーズンに好んで食べる食材について語ってみようと思う。その食材とは、仔牛である。英語ではVeal(ヴィール)と呼ぶ。ヴィールは豚肉の様な白い色をしており、普通の牛肉に比べて値段が馬鹿高い。欧米ではクリスマスシーズンにVealを調理する家庭が結構ある。日本でも、フランスレストランなどに行き「仔牛のソテー、春アスパラガス和え」とか「仔牛の赤ワイン煮込みブルゴーニュ風」などと書かれていれば、誰でも美味しそうに思ってしまう。しかも、「子牛」ではなくて「仔牛」というのがミソである。

仔牛料理の「簡単な」レシピを紹介したい。
まずは一般的な食べ方から。仔牛のカツレツ・ミラネーゼである。仔牛のロース肉を買ってきて、塩胡椒して、小麦粉、卵とパルメジャンチーズとパン粉に潜らせて、オリーブオイルで揚げれば出来上がりだ。レモンを絞って食べる(ただレモンは仔牛の味と全く合わない)。
続いてはドイツ南部で習ったクリスマス風のレシピだ。仔牛の一口大厚切りロース肉に塩胡椒をして小麦粉をまぶし、セージとパンチェッタ(なければベーコン)で巻き、オリーブオイルを入れたフライパンで焼く。以上で出来上がりだ。恐らく、これはイタリア料理のスカロピーネをアレンジしたレシピだと思われる。

上述の料理が「仔牛のカツレツ・ミラノ風」とか「仔牛のセージ風味パンチェッタ巻きロースト」などとレストランで書かれていれば、思わず注文してしまうだろう。

しかし、ちょっと待った!私は仔牛という食材が大嫌いだ。確かに、軟らかいし、脂も少ない。逆に言えば、蛋白すぎると批判できる。酪農農家にとって、乳牛はメスしか要らないので、仔牛肉はホルスタインの雄を早く処分する賢い方法であろう。珍しく、なんとなく美味しそうだ。

しかし、若い肉である仔牛は脂の乗りが悪く、深い味わいがしない。仔牛が美味しくない理由は、ボジョレヌーボーが薄すぎて深い味わいを楽しめないのと同じことだと思う。

科学的に言うと、あらゆるタンパク質に味の差はなく、肉の味は全て脂が由来である。訳の解らない赤みの肉に牛脂を注入すると高級ホテルの献立になるカラクリは、こういう科学的な理由からである。蛋白で脂がない仔牛肉をステーキやローストにすれば、味が薄すぎて箸がすすまない。絶対に成牛を使うべきだ。成牛特有の脂が料理を美味しくするのである。もし、何も知らない人が仔牛のステーキを食べれば「味気ない独特な豚肉だなぁ」と感じるだろう。仔牛のステーキが、ニューヨークストリップステーキやリブアイよりも値段が高く、しかもそれにお金を出す人がいるという理由は理解に苦しむ。

たまにレストランで悪くない仔牛料理に出会う人もいるようだが、それは牛脂やバターやオリーブオイルや砂糖などで調理師が巧く仔牛の淡白であるという欠点を補っているのだ。良く言えば調理師の腕が巧い、悪く言えば素材の良さを蔑ろにした料理、という事になる。伝統あるフランス料理には「ピケ」という技法がある。仔牛肉にコクを加えるため、ピケ針で脂肪を差し込み、淡白さを誤魔化す(あれ?これって流行りの牛脂注入肉??)。

「仔牛のカツレツ・ミラノ風」とか「仔牛のセージ風味パンチェッタ巻きロースト」など、食べるに値しない料理である。「パルメジャンチーズ入り豚カツ」とか「豚ロースのセージ風味パンチェッタ巻きロースト」にすれば、100倍楽しく食べられるだろう。病気か何かの理由で、動物由来の脂を食べる事が出来ないと信じている老人を除いて、仔牛肉は驚くほどコストパフォーマンスに劣る食材である。レストランで仔牛を注文してグルメぶっている人がいれば、鼻先で笑ってやって欲しいのだ。まあ、鶏の胸肉とか、七面鳥とか、ウェルダンのフィレミニョンとか、淡白な肉が好きと言って憚らない人達が数多くいるのも確かであるが、その人たちはきっと私とは違う神様を信じているのであろう(笑)。

6/16/2012

牛ステーキの部位と食べ方


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夏になるとステーキを食べたくなる人たちが大勢出てくるのか、友人やその奥さんから牛に関する質問を良く受ける。当ブログのアメリカステーキは何故美味しいのかという偏った記事が一番読者を集めているようである。私自身も牛ステーキが大好きである。アメリカにも美味しい食材がたくさんある。ここパシフィック・ノースウェストでは、生牡蠣、大きな蛤、サーモン、ビンチョウマグロ(アルバコア・ツナ)、銀鱈(ブラックコッドやセーブルと呼ばれる)、ラムのフレンチラックと並び、以下の牛肉類は期待を裏切らない食材である。しかも品質の違いはあれども、どこのスーパーで何時でも手に入ると言う点で、アメリカにおいて牛肉が一番便利なグルメ食材と言っても過言ではないだろう。アメリカ人は幼き頃から牛肉を嗜んでいる為、スーパーのパッケージでどの部位をどのように食べるべきかを知っている。牛のカット法は国によって大きく異なる。アメリカのプライムカットと日本のカットが若干違うため、日本からアメリカに来て間が浅い人は、スーパーなどで牛肉購入時に戸惑うようである。ステーキ用の肉と言う事で、以下に値段順に肉の部位を並べる。










  • テンダーローイン(Tenderloin)
  • 牛肉の一番柔らかく、脂肪の少ない部位である。フィレミニョンはテンダーローインのショートローイン側(牛の頭側)の一部を指すが、スーパーによってはテンダーローインを全てフィレミニョンと表記している場合もある。理由は、御察しの通り、フランス語で呼べば高級で美味しそうに聞こえるからである。真ん中部分は、シャトーブリアンステーキに使われ、シャトーブリアン(人名を関した調理法の名)とテンダーローイン(牛の部位)をごっちゃにする人も良くみかける。この部位の筋肉は一頭の牛から僅かしか取れない為、自ずと高価になる。

     私の意見では、テンダーローインは家庭の「ステーキ料理」としてはかなり難解な材料である。焼いて塩コショウだけをかけると、かなりガッカリしてしまうのだ。高級店に行くと、テンダーローイン系にはソースがかかっている。オ・ポアブルのようにコニャッククリームソースをかけたものや、レッドワインソースをかけたものが出てくる。これらは、バターで脂肪を補っているのだ。が、家庭でこれらの味を模倣することは難しい。ベーコン巻きのテンダーローインなどもあるが、脂肪分が少なく柔らかいというキャッチがテンダーローインの売りの筈なのに、豚の脂肪分で淡白さを補うという、意図不明の料理になってしまう。公然の秘密だが、日本のステーキ屋の味がさっぱりしているテンダーローインステーキは、注射器で牛脂を注入してジューシーさを補っている。
     テンダーローインは「安物」と「高級でサシが入っているもの」で、味が天国と地獄ほど違う。ただ、サシが入ったテンダーローインを買おうとすれば、大枚をはたく必要が出てくるだろう。火を通した牛ステーキを食べる事が目的であれば、スーパーで高価なテンダーローインを買う事は避けるべきだ。ただし、テンダーローインは生肉として食べると驚くほど美味しいので、テンダーローインで牛タタキを作る方法という記事のリンクを貼っておく。テンダーローインは刺身(カルパッチョ)かタタキとして食すのが最適ではないか?というのが私の結論だ。











  • Tボーンステーキ(T-Bone)
  • このステーキはT字型の骨に二つのステーキがついており、一度で二度美味しい。小さい側は上述のテンダーローイン。大きい側は後述のショートローインである。ショートローイン側の脂肪分がテンダーローイン側の淡白な味を補う。ガーリック風味のミディアムレアで塩コショウだけで美味しく食べられる。単発で一度だけステーキを食べるとして、値段がリブアイよりも高いとなれば、私はTボーンよりも次のリブアイをお勧めする。薄く切ったものをステーキにすると中まで焼けすぎて全体的に食感がイマイチになるので、厚めの物を買いたいものだ。調理法は後述のNYステーキ(ショートローイン)と同様で良い。











  • リブアイ(Rib Eye)
  • 日本ではリブロースと呼ばれている部位である。 ステーキに詳しくなければ、リブアイを買っておけばまず後悔しない。リブアイを食べて文句を言う日本人はまずいないのだ。見た目からして、脂肪分が適度に入っており、ジューシーで美味しそうだ。家でステーキを作るなら、調理するかなり前に冷蔵庫から出し室温に戻し、調理直前に塩コショウをふっておく(ケチらない事!)。牛脂を外して溶かし、にんにくを入れて高温にする。表面を焦がし、三、四分くらい放っておくと、大概の人が喜ぶシューシーなミディアムレアのリブアイになる。「サシ(牛脂)」の量が多ければ、ちょっと長めに焼いたほうが美味しいような気がする。基本的に、赤みはレアのまま、脂はきっちりと焼く方が美味しい、と信じている。フライパンは洗わずに、野菜類や麺類をそのまま炒めると、脂肪や肉汁を余す事なく食べられる。

     脂肪分が多い為フライパンよりも直火で焼いたほうが美味しく調理できる。従って、BBQにも合う。逆に肉の中の脂肪分が多すぎるのがリブアイの欠点でもある。ニンニク抜きの塩コショウだけでも美味しいのだが、タレにつけるとより美味しくなる。この辺りの判断は難しいのだが、リブアイはステーキよりも寧ろ「焼き肉用」であるという根強い意見がある。タレに数時間つけておくと美味しく、さらに柔らかくなり、値段は張るがショートリブよりも数段上であろう。
     日系のスーパーなどで、リブアイの薄切りが売られている。あれをすき焼きやしゃぶしゃぶなどに使おうとする人は以前記述したように、肉の味が解らない可哀想な人達だ。
     肉をガツンと食べたい時はショートローイン系のステーキの方が食べ応えがある、と言うより私は次の「ニューヨークストリップステーキ」がステーキの王様だと信じて疑わない。












  • ショートローイン(Short Loin)別名ニューヨークストリップ
  • ショートローインは地域によって呼称が違う。ストリップステーキ、特にニューヨークスストリップ(NewYorkStrip)として売っている場合が多いが、カンザスシティーステーキなどと呼ばれる事もあるようだ。南部などでは、NYというヤンキーの街の名前を嫌うのか、ただのローインとして売られている場合が多い。テンダーローインと違い、大きなカットで売られている。骨がついている場合とついていない場合がある。一方の側に脂肪が固まっているのが特徴だ。早くに冷蔵庫から取り出して(季節にもよるが1時間くらい前)、室温にする。リブアイと一緒で、事前に塩コショウしておく(ケチらない事!)。余分な牛脂をトリミングして、フライパンで溶かしてゆっくりとニンニクを炒める。溶けた脂に香りがつけば、箸かトング(ハサミ)で肉を持ち、脂肪分がついた側を二分ぐらいしつこく焼く。それから、両方の表面を焦がす。そして暫くフライパンに3-4分も乗せたままにすれば完璧なレアのショートローインの出来上がり。赤みが多いので、焼きすぎるよりも生が残るくらいが美味しい。

     フライパンに油が結構残るので、麺や野菜を入れて副菜として調理して欲しい。肉は焼き立てすぐというよりも、2~3分経った頃の方が肉汁が暴れずに逆に美味しくなるのだが、勿論時間が経ち過ぎれば肉が台無しになる。従って、野菜や麺類(スパゲッティー、ショートパスタ、中華系の焼きそばなど)は肉が焼きあがる前に用意を済ませておき、肉を取り出した後は2-3分ほど炒めるだけで出来上がる状態にしておく必要がある。 物凄く貧乏臭い話だが、 ショートローインやTボーンの骨は、屑野菜と煮る事でソースやスープ用になるので取っておくことも出来る。私の一番好きなステーキと言えば、ニューヨークストリップの骨付きのレアである。ステーキは薄いと中まで焼けすぎるし、食感の変化が乏しいのでいけない。なるべく厚めのものを買って、少しじっくり目に焼くが中は少し生、といった位が絶対に美味しい。よだれが出てきた。











  • サーローイン(Sirloin)
  • 安物のレストランのステーキメニューで、日本人がアメリカでがっかりするのがサーロインステーキだ。サーロインは腰の上と言う意味であり、トップサーロイン、ボトムサーロイン(トライティップTri-Tip)とサーロインに分けられる。どれも片側に明らかな脂肪層がついているが、上述の肉のような肉中の脂肪分が少ない。日本の牛の切り方では、ニューヨークストリップなどもサーロインとなるため、サーロインが高級な肉と言うイメージを持つ人が大勢いる。が、アメリカ風のプライマルカットでは、サーロインはギリギリステーキで食べられる程度の安い部類の肉である。上述のショートローインと同じような調理法で、ステーキとして塩コショウだけで食べても悪くない。
     ただ肉質にもよるが、脂肪分が足りなかったりする為、物足りないと感じることも多い。そんな時は、醤油やポン酢、赤ワインソースなどの調味料を使い、味を誤魔化すことになる。糖分を入れて甘くするか、脂肪分を足せば、グレードの劣る肉は美味しくなる。
     私のお気に入りのメニューを紹介しよう。塩を少なめにふってサーロイン肉を少しだけ置いておく。先ず余分な牛脂をトリミングし、それを溶かしてニンニクを炒める。そして、ニンニクは焦げる前にどけておき、フライパンを高温にし、肉の四方を充分に焦がす。砂糖を1スプーン入れカラメル化させ、醤油を同量入れる。少し煮立てて、まな板の上で二分ほど放置し、包丁で切る(こうすると肉汁が溢れない)。レアな肉をサラダの上に載せるか、熱々のご飯の上に乗せて丼として食べる。トライティップなどの中には、全体に脂肪が満遍なく乗ったものがあり、塩コショウだけでもかなり美味しく頂ける。











  • 上記の肉よりも劣るもの
  • 最近ではフラットアイアンステーキやデンバーカットなど、聞きなれない肉が良く売られている。安物の肉をそのまま売ると損するので、ステーキクラスのカットとして売り始めたものだ。安いレストランではこれらの肉をステーキとして供しているようだ。ランプやチャックのステーキ用にしても、然りである。安いといっても、これらの肉はそこまで安くない。なら1ドルか2ドル余分に払って、もう少し上等な肉を買った方が満足度を総合的に判断すると「お得」と思われる。ラウンドなどで、驚くほどのサシが入った大きな肉の塊を売っている事もある。おそらくは日本でいうイチボの部位なのだが、こういうのはステーキ用としては最適だ。ただ目を鍛える必要があるので、初心者にはお勧めできない。

    プレートやフランクは基本的にステーキ用ではない。ただ、日本ではこれらの肉の一部をカルビとして扱っている。オーブンでローストするショートリブ(アバラ肉)などもこの部位から来る。だがカルビも薄切りであるように、焼くのであれば薄く切らねばならない。その上、質が落ちる肉の性で、タレに長時間浸けて肉質を柔らかくしなければ話にならない。そういった意味で、これらの肉はステーキ用というよりは、BBQやロースト用であると言えるかも知れない。たまに驚くほど上質の焼肉グレードのプレートやフランクがスーパーで安く売られているので、目を光らせて欲しい。繰り返すが、安物の肉は、基本的にたれ等で一晩ほどマリネにしてからじっくりと調理して欲しい。

    勿論、部位よりも牛肉そのものの質が味を決定することは言うまでもない。USDA(米農務省)が牛のグレード表記を義務付けている。US Prime, US Choice, US Select, US Standard, US Commercialの順に質が悪くなっていく。経験上、これらは美味しさと相関関係が高い。プライムやチョイスなら、まあ、ガッカリしない。店の牛の管理体質も味に影響するので、その店の肉が信用できるかどうかは、ある程度試さなければわからない。同じ系列のスーパーでも、店舗が違えば肉の質がかなり違ったりするものであるからだ。ワギュー、コービービーフ(神戸牛)、あるいはアンガスなどと言うのは、牛の種類であり、牛の美味しさとの相関関係は試さなくては解らない。コービービーフの癖に柔らかくない、アンガスと書いてあったが不味かった、などと言う事はしょっちゅう起こることだ。最後に、ジューシーさを求めている人が、グラスフィードと書かれている牛肉を買うと、かなりがっかりします。

    焼き加減
     焼き加減が解らないという人が良くいる。焼き加減は個人の好みの問題である。生っぽいのが好きな人もいれば、良く焼けた物が好きな人もいる。牛肉は焼き過ぎても普通に食べられるし、中が生でもお腹を壊すことはない。もし焼けすぎだと思えば次に作る時は焼く時間を短くすればよいし、生過ぎると感じれば焼き直せば良い。焼き方の好みに個人差があるので、絶対に失敗しない万人受けするステーキの焼き方など存在しない。
     個人的には、外はカリッとクリスピー、中は生に近い人肌、といった所が好きである。さらに、ステーキの厚さで焼き時間は驚くほど変わってしまう。厚い場合など、一度焼いたら20分ほど寝かしておいて、二度焼きした方が上手くいったりする。そして塩加減も意外と難しい。何度か試して経験を積むことだ。始めて牛ステーキを焼いて、自分好みの納得できるほどの焼き加減になるという事はまずあり得ないだろう。
     偉そうな事を書いている私も、未だに五回に一回くらいは自分が思っている焼き加減には決まらない。毎回同じように出来ないからこそ、ステーキと言う料理は深いのだ。こぼれ話だが、チェーン系のレストランでは、温度計を使って焼き加減が均一になるように調節している。基本的には、肉を早め(1時間くらい)に冷蔵庫から出して室温に戻しておくこと、そして高温で一気に外を焦がす事。この辺りは守った方が美味しく焼ける可能性が高くなる。試行錯誤を繰り返しながら、色々な部位のステーキを焼いて、自分好みの焼き方や部位を見つけて欲しい。そうする事で、あなたも牛ステーキの魅力に引き込まれるだろう。

    6/13/2012

    「しゃぶしゃぶ」は肉の素材を蔑ろにした完全なる欠陥料理

    日本人の友人の家に誘われ、関東風のすき焼きが出てきた。私は関西出身だから関東風が嫌とか、そういう問題ではなく、食すことを目的としていない汁で薄切りの牛肉片を煮込むと言う料理に、箸を浸けるのも嫌になった。二週間ほど前にはしゃぶしゃぶを御馳走になった。私はしゃぶしゃぶが大嫌いだ。正直、辟易とした。しかし、すき焼きやしゃぶしゃぶを金科玉条の如く拝める人たちが結構いる。すき焼き論を「関西」VS「関東」といった狭小な好き嫌いの括りで論ずることが多く、かなり苛立っている。薄く切った肉を水で煮るのは大罪だ。「しゃぶしゃぶ」と「煮るすき焼き」がどれほど素材を馬鹿にした料理かを今から説く。

    日本人がアメリカ人の食習慣を馬鹿にすることが良くある。ロブスターや海老や蟹などを水でボイルし、殻や頭やミソや汁を捨ててしまうことだ。折角スープが出ているのに、勿体無い、という事になる。この意見に対して、私は100%賛成する。その捨てる殻をくれるなら、私なら濃厚なビスケを作るのに、と考える。

    もう一つ。欧米人がケチャップやドレッシングを料理に塗りたくっているのを見たことがないだろうか?或いは、日本に来た欧米人が米飯に醤油をたっぷりと浸けて食べているのを見たことがあるだろうか?あれも馬鹿にされて然りだ。素材の良さを無視して、化学調味料や濃い味で味覚を誤魔化しているのだ。

    しかし日本人も完全に同じ間違いを犯している。それは鍋系の食べ物を食す時におこる。「しゃぶしゃぶ」は中でも最悪の部類だ。いくら短時間であろうとも肉の薄切りをお湯に通すことで、肉の旨味が湯の中に逃げてしまう。旨味が逃げた肉片を、濃厚な胡麻ダレや紅葉卸入りのポン酢に浸けて食べる。ドレッシングを食べているのか、何を食べているのか解らない。しかも水に何度も潜らせるため、タレの濃さが食べる毎に薄くなって化学調味料をふんだんに使ったたれの味が徐々に薄くなる。

    一方で殆どの野菜は「しゃぶしゃぶ」で食べると言う訳にはいかない。定番の白菜は煮込めば煮込む程美味しくなる野菜であるし、ニンジンや椎茸もある程度煮た方が美味しくなる。豆腐や糸蒟蒻等も長時間湯につけておく必要がある。長時間湯に浸けたからといって、溶け出した肉の旨味や昆布汁を吸うことを野菜に期待できない。ただ柔らかく甘くなるだけだ。何の変哲もない湯で茹でた温野菜をタレにつけて食べるだけだ。胡麻ダレは肉にこそ合うが、野菜を食べるには味が濃すぎる。さらに、胡麻ダレに野菜をつけると、胡麻ダレが薄まり、いよいよ使い物にならなくなる。また、牛肉は湯に通すごとに灰汁が出るし、豚肉は生では怖いのでついつい長時間湯に浸けて肉質が固くなりがちになる。食べ終わるころ、湯には肉汁や野菜の旨みが出ているはずだ。だがしゃぶしゃぶの廃湯は捨てるものであり、飲む事はまずない。このような欠陥料理がレベルの高い和食の高級料理として君臨してきた事自体がお笑いである。海老やロブスターに一家言ある食通の日本人が、グルメのふりをして、万札叩いて「しゃぶしゃぶ」を食べると言うのは滑稽である。脂恐怖症の人達が、しゃぶしゃぶがさっぱりしていて美味しいとのたまう可能性も考えられるだろう。だが脂肪分過多である霜降り肉を使うのであれば、本末転倒もいい所である。

    しゃぶしゃぶは欧米人に意外と受けが悪い。しゃぶしゃぶを食べるくらいなら、天麩羅や焼肉が良いという。肉の味が解っているからなのか、ただ脂っこい物が好きなだけかは微妙だが、そういった反応がある事は特筆に値するだろう。閑話休題。

    しゃぶしゃぶが美味しくないのと同じ理由で、私は水炊き系の料理も軽蔑してしまう。すき焼きについても、関東風の割り下を使ったものは論外だ。煮るのであれば肉汁が染み出たスープまできちんと食べれるものでなければいけない。その点、関西風のすき焼きは、そこまで悪くない。すき焼き鍋を高温にし、牛脂を溶かす。少し厚めに切った肉を表面だけ焦がし、即砂糖を入れる。砂糖がカラメル化した時点で、醤油か出汁醤油を「じゅっと」させ、すぐに肉を取り出す。火が通り切っていない肉をその時点で卵に絡めて食べても良いし、野菜が出来てからもう一度鍋に戻しても良い。残った甘ったるく脂っぽい醤油に、白菜などの野菜を入れれば、野菜の水が出る。それをひたすら煮るのだ。先ほど取り出した肉から少し肉汁が出ているので、汁だけ鍋に戻す。そこに旨味が詰まっているのだ。白菜や蒟蒻や椎茸や玉葱は長い目に、葱や水菜や春菊は短めに煮る。食べる直前に火を止めてから、牛肉を温めることを目的として鍋に戻す。牛肉は既に調理済みなのでそれ以上火を通すことはご法度だ。そして卵はなるべく使わずに食べる。卵に落とせば、黄身と砂糖醤油の濃厚な味しか解らなくなり、他の味が死んでしまう。こうすれば、「比較的」牛肉の美味さを失わずにすき焼きができる。ただ砂糖と醤油を合わせた濃い味など、要するに高度成長期の幼稚な戦後風味である。あまり高級な肉を使う必要はない。貧乏臭い味であるが、B級グルメとして関西風のすき焼きは秀逸である。

    薄切りの肉を手に入れてしまった場合、鍋物にするよりも、炒め物にした方が旨味が料理に回る。火力が弱い場合は一度高温で出来得る限り炒めた肉を取り出してから、野菜を炒めるのが正解である。「しゃぶしゃぶ」、割り下で長時間「煮るすき焼き」や「水炊き料理」などは肉の料理方法がわからない人達が惰性で作る最悪の料理方法だと言わざるを得ない。中華風の火鍋類、例えば「麻辣火鍋」などについても同様の事が言える。折角私達の為に犠牲になった動物達。その肉の旨味を完全に生かせているかどうかを常に考えて欲しい。しゃぶしゃぶやすき焼きは、先入観から高価なイメージがある上、家庭でも簡単に作れてしまう。しかし素材の良さを殺して、ドレッシングや濃い味で味覚を誤魔化すという、二つの大罪を犯した料理であるのだ。

    12/14/2011

    寒くなって「おでん」とは違う「関東煮き」を食べたくなる

    ホリデイシーズン入りしてしまい、年末も重なるとあって、かなり慌しい生活を送っている。しかも、今年はラニーニャの影響で雪が早くから降り始め、スキー場に頻繁に通っており、ブログ更新が怠っている。共和党の大統領候補者選び、ユーロ問題、アメリカ株が何故騰がるか、台湾選挙など、書きたいことが山ほどあるのだが、なかなか筆が進まない。

    さて、閑話休題。寒い季節になって暖かいものが食べたくなった。何度もしつこいくらい書くが、味は個人の好き嫌い、異なった生活背景、その時の体の調子などが影響するため、「絶対的な美味しい物」はあり得ないという立場を私は取っている。蛇足だが、マクドナルドやコンビニの商品が安いだけではなく、多くの人々に受け入れられる理由は、リスクが最も少ない最小公約数の味を探しているからである。あれはあれで平均的に「美味しい」わけだ。エクスキュースはこの位にして、個人的な見解を書く。

    関西と関東で食べ物はどちらが美味しいのか、と言われた場合、私は概ね関西の方が圧倒的にレベルが高い、と答えている。詳しくは書かないが、それは私が関西人であるというバイアスに由来するからだ。しかし関西と関東の食べ物を比べて、関東のほうが圧倒的に文化や歴史で優れており、懐が深いと考えられる食べ物も数多く存在する。ラーメン、握り寿司、そば、天婦羅。関西でこれらの物を食べるとがっかりする確率が高いが、関東では美味しい店にありつけるチャンスが高い。

    今日のテーマは「関東煮き(かんとうだき)」である。最近はコンビニなどで売られている「おでん」がスタンダードになってしまい、薄い味の「おでん」が主流になっている。味の素と塩で煮たおでんのことだ。あれを関西風のおでんだと勘違いしている人が多いが、それは少し違う。関西で食べる「関東炊き」はかなり味の濃いギトギトした物であり、私はそういう「関東炊き」が大好きだ。

    子供の頃食べた関東炊きは、「鯨のコロ」と牛スジ肉が必ず入っており、醤油も濃い口を使っており、鍋の底など見えなかった。場合によっては豚バラブロックなどが入っている事もあり、かなり濃厚な汁であった。近所の屋台や市場の店などで売られている関東煮きも(良く買い食いをした)、かなり濃厚な味である。そこに大根、蒟蒻、ゆで卵、揚げ豆腐、蛸、そして天ぷら(西日本では魚の練り物を天ぷらと呼ぶ。例えば牛蒡天など)類が入る訳である。関東煮きというのだから、関東風の濃い味なのだろうと考えていた。濃い味が染みこんだ関東煮きは冬の私の一番の好物であった。

    店で売っている「おでん」の汁がうどんの出汁のように薄い事が気になっていた。冷凍食品やコンビニの影響だと思う。そして、最近では大阪界隈でも薄い汁のおでんを出す店が増えている。私は薄い汁のおでんがあまり好きではない。薄い汁のおでんでは和気藹々と寒い冬の食卓を楽しめない。味の薄いおでんを食べると、和風の高級店にスーツのまま行って、付け出しで出てくるがんもどきを食べているような気分になる。私はそういうおでんの食べ方は好きではない。コロや牛筋をガツガツ食べて、ゆで卵の黄身を濃いスープに溶かしてご飯と一緒に頬張りたいのだ。

    中華圏でよく食べられている物だが、台湾の屋台では、滷味(ルーウェイ)というものが売られている。屋台に並んでいる材料を指定すると、店の人がその場で漢方臭のする黒いスープ(八角、桂皮、クローブなどが使われている)で茹でてくれる。揚げ豆腐、天ぷら、キノコ類、アスパラや三度豆、はたまたインスタントラーメンから鴨の血など、多岐に渡る食材から好きなものを選ぶわけだ。濃厚なスープに色々入れる。私は好きだ。

    滷味(ルーウェイ)は実は魯味(ルーウェイ)であり、魯とは現在の山東省、あるいは古くの魯の国を指す物だという説もある。中国の東北部の寒い地域で体を温めるために食べられていた料理であると言うのだ。とすれば、濃厚な魯味(ルーウェイ)が日本が満州地域に進出した際に日本に輸入され、中国の「関東」地域の食べ物、つまり「関東煮き」として紹介されたと言う事は充分にあり得る訳である。

    関東煮きは実は「広東」煮きを間違えたという話もあるが、いずれにしても中国から伝わったのは間違いない。冬の大阪で食べていた私の好きな味の濃い関東煮きは中国ルーツであるようだ。最終的には同じものを指す言葉になったとはいえ「田楽」から名前をとったと言われている「おでん」と「関東煮き」は全く異なる物であった可能性もあるだろう。少なくとも大阪出身の私にとって「関東煮き」と「おでん」は完全に異なる物である。

    シアトルの宇和島屋で仕方なしに冷凍のおでんを買った。例の透明スープである。私はスーパーで牛シャンク(牛のすね肉)を買い、大根、卵、蒟蒻と共に味の素満載の出汁を4-5時間煮込む。スープの色は浅いままだが、少なくともマシな出汁が出ている。しかし冷凍物の天ぷら類は犬の餌のような味しかしない。次は豚バラブロックでも入れてみよう。

    台湾のコンビニで、おでんもどきが関東煮として売られているのはくやしい。関東煮はどちらかと言えば滷味の事なのに。ファミリーマートやセブンイレブンは、色の薄いおでんを台湾語の「黒輪(オレン)」という元の名前に戻して欲しい。

    7/04/2011

    ジョーイー・チェスナッツ予想通りの五連覇

    本日は独立記念日。独立記念日といえば、バーベキュー、花火、そしてホットドッグの早食いコンテストである。朝からESPNでネーサンズのホットドッグ早食いコンテストを見た。ニューヨーク、ブルックリンはコーニーアイランドのネイサンズの前には人々が溢れ返り、この汚く下らないホットドッグ早食い競争を見ようと集まっている。

    ただの馬鹿コンテストなのに、ESPNでは科学的な見地からホットドッグの早食いを検証したり、わざと仰々しく見せようとする。下らないものを仰々しく祭り上げるのは、アメリカでも質の良い冗談と考えられている。で、参加者の紹介だが、今年も小林尊は参加しない。ジョーイー・チェスナッツに唯一対峙できる人類はタケル・コバヤシだけなので、コバヤシが参加しない時点でチェスナッツの5連覇は約束されているも同然だ。結果が解っている競争ほどつまらない物はない。面白いのは、今年は中国人を三人(一人の名前は広東語だったが)参加させており、無理矢理インターナショナルな雰囲気を作ろうとしている。

    で、早食いコンテストが始まったわけだが、隣のパット・バートレッティが意外にも善戦する。5分経過時点ではチェスナッツとそんなに差はなかった。しかし、皆の食べ方の汚いこと。ホットドッグのバンを水につけて、口にほおばる。気持ちが悪くなって、テレビを凝視できずに私は席を立った。で、10分経過して戻ってきたら、やっぱりチェスナッツが余裕で勝っていた。62個のホットドッグを食べて5連勝を飾ったわけだが、自身が2009年に記録した68個のワールドレコードからは程遠かった。やはり、コバヤシと二人で競り合う様子を見たかった。

    この競争であるが、マンネリなので、主催者は盛り上げ方を考えるべきだ。独立記念日の朝に見るものがないので一応見てるという人は多いが、もう少し工夫すればもっと面白くなると思う。小林を締め出した経緯など、主催者の頭の悪さが目立つのはいただけない。

    どうでもいいが、独立記念日にアメリカ人のハート(心)を打ち砕き、6連覇を果たしたタケル・コバヤシは日本人の至宝である。タケル・コバヤシの業績は、イチロー・スズキと並んで評されるべきだろう。イチローが今年のオールスター出場を逃したように、コバヤシもチェスナッツの追撃に勝てず、一時代が終わった感はある。コバヤシ氏の活躍は国民栄誉賞ものである。(因みに初めてネーサンズ早食いコンテストで優勝した日本人は1997年のヒロフミ・ナカジマであり、コバヤシは3人目の日本人チャンピオン。)

    読み返して思うが、ここまでどうでも良い記事をよく書いたものだと自分でも感心している。

    7/02/2011

    バーベキュー(サーモン・牛肉編)

    バーベキューのシーズンになった。アメリカ人は7月4日の独立記念日にバーベキューを食べて、夜は花火を見るのがお決まりなのだ(ESPNでホットドッグ早食いコンテストも見る?)。ただ、一般のミドルクラス・アメリカンのバーベキューは、ホットドッグやハンバーガーパテを焼くだけで詰まらない。もう少しいい物を食べたいではないか。

    バーベキューは、肉、魚、野菜などを適当に切ってシーズニングして、直火で焼くだけの料理なので説明など不要であると思っているのだが、意外と質問を多く受ける。その中でも、サーモンと牛肉についての質問を頻繁に受ける。一体どういった食材を使うべきなのか、と。

    このブログでは以前から言っているように「究極のメニュー」なるものは存在し得ない、という立場をとっている。「好き・嫌い」など所詮は個人の好みに由来するため、「美味しいか、美味しくないか」などといった議論は、完全なる主観でしか判断できない。油っぽいものが好きな人もいれば、そうでない人もいる。塩っ気があれば何だって美味しいという人もいれば、醤油をかければなんでも美味い、と語る人もいる。アメリカ人の多くは、ソースに砂糖を入れて甘くすれば大体喜ぶ(例えば照り焼きソース)。周りの雰囲気や、一緒に食べる人によって味や好みが変わってしまうのは認知に支配されている人間の悲しい性である。それを理解した上で読んで欲しい。

    私はベニジャケが好きだ。所謂、サッカイサーモンと呼ばれている物である。初夏のサッカイサーモンをスーパーなどで購入する。アラスカのカッパーリバー産のものが有名である。スーパーでは三枚に卸してあるので、店員さんに言ってフィレを一枚丸ごと買う。大体、長さが70-80cmくらいであり、2パウンドから3パウンドくらいで売られている。1パウンドが12ドルとすれば、24-36ドルくらいで買える計算になる。

    家に帰ったら、まず洗う。そして、骨を刺抜きで抜く。鱗が皮に残っているのなら、それも取り除く。最後にキッチンペーパーで余分な水分を拭き取り、皮と身の両側にきっちりと塩及び粗引き黒胡椒を振り掛ける。塩は決してケチらない事。サーモンを調理する際には白ワインやレモンを反射的に使いたい人が出てくるが、新鮮なベニジャケを手に入れているならば、あまり小細工しない方が良い結果になる場合が多いので、止めておいて欲しい。シーズニングした後、一時間ほど塩が身に染みるのを待つ。余分な水分も塩の浸透圧で外に出てくる。その間にバーベキューの火力を調整しておけばよい。

    愈々ベニジャケを焼く。鱗側を網に乗せる。始めは直火が当たらないように火を調整して、蓋をして、5分ほど待つ。やがて蓋を開け、火を強める。理由は皮を少しだけ焦がすためだ。それだけの理由なので、皮が美味くパリッと焦げた時点で火は弱めて欲しい。火が通ったと思えば(自信が無ければ真ん中にナイフを入れて中身を見ればよい。)、両手にフライ返しを持ち、思いきりよく一気にひっくり返し、身の側を強火で少しだけ焦がす。2-3分も焼けば出来上がりだ。鮭は火が通るのが極めて早いので、あまり焼きすぎないこと。大きな皿にとり、食べる前にお好みでレモンを振りかける(私はレモンを使わないほうがいいと思うが、好みの問題だろう)。実に簡単である。そしてグルメは皮から食べる。

    シヌーク(キングサーモン)はジューシーである。調理法によってはサッカイよりも美味しくなるのだが、普通にバーベキューをすると中がパサついてしまうことが良くある。脂をいかに落としながら、中をふっくらさせるかがシヌーク調理の鍵である。私はシヌークをバーベキューする時には白ワインに浸したり、色々事前に小細工するのだが、面倒な人はシヌークではなくサッカイを買うことをお勧めする。シヌークを豪快にバーベキューして食べた後で、「やはり小さく切って味付けしてから焼いたほうが良かった」、などと反省する事が結構起こりえるのだ。コーホー(ギンジャケ)についても、シーズニングをきっちりとした方が味を引き出しやすいと考えているので、バーベキューの初心者向きではない。

    サーモンに続いて牛肉の話をする。基本的には脂が乗った肉を買ってくるのが良い。リブアイステーキ、Tボーン、などがバーベキューに向いている(普通にステーキにしても美味しいのだが)。Tボーンやニューヨークストリップを使う場合はは、二十分前に塩と粗引き黒胡椒を両面にたっぷりかけて、後は強火で焼くだけだ。レアで食べるのが美味しい。そして、調理者が食べる人達のために切ってあげるのがいいと思う。醤油やポン酢、ステーキソースは肉本来の味をぼやけさせるので使う必要がない。逆に、リブアイはかなり「タレ」に合う。5-6時間ほどタレに漬けておいてからバーベキューするとビックリするくらい美味しい。脂肪が大目の上等のリブアイを買えば、少し長い目に焼いたほうが美味しい。

    後はカルビやフランクなど牛の下部だろう。カルビはショートリブなどの名前で売っている。これらはステーキには適さない肉であり、タレに浸けた上でゆっくりと時間をかけて加熱する必要がある。アメリカのバーベキュー調理器は、オーブンのような使い方が出来るため、これらの肉の調理には最適だ。スーパーではカルビソースの中ですでにマリネされている物も売られているので面倒くさい人はそういったものを選んで欲しい。骨付き、あるいは骨無し、そしてやや大きな肉片で売られている。マリネされていないショートリブを買ったのであれば、ジップロックの袋に入れて、醤油、蜂蜜(なければ砂糖)、梨(林檎)のすりおろし、生姜のすりおろし、にんにくと葱の刻み、タマネギのすりおろし、ごま油、好みで味噌かコチュジャンを入れて、一日冷蔵庫で寝かせる。それを中火でじっくりめに焼く。貧乏臭いかもしれないが、私は骨の周りの筋が好きなので、かなり長めに焼いた方が美味しいと個人的に考えている。

    赤みが多くて脂が比較的少ない部位、例えばフィレミニョンや安物のサーロインなどはバーベキューには向いていないし、美味しく食べようと思えば、小細工がいる(フィレミニョンはワインソースや甘めの果物ソースで絡めて、レアでたべるのが好きである。サーロインはポン酢か砂糖醤油を絡めてサラダに載せるのが好きだ。)。網で焼いて塩コショウだけではどうしても足りない感じがするので、私ならバーベキューにはパスしたい。前述のニューヨークステーキも、ステーキで食べたほうがバーベキューで食べるよりも美味しさが際立つと思う。

    上で書いたのは、比較的高級食材であるので、もし予算が合わない場合は、安めの脂肪分が多い肉を使い、強火で焼いて、バーベキューソースをかけて誤魔化す。焼肉のタレ、テリヤキソース、ポン酢でもよい。(白飯があれば、私はこの食べ方が好きです。)

    集まる人間や予算に応じて、色々試して欲しい。プライムリブを時間をかけて作ったり、クラムベイクなど海鮮を豪快に焼いたり、色々なスタイルのバーベキューがある。バーベキューをしない夏などあり得ないではないか。

    6/29/2011

    ポートランドの海南鶏飯(カオマンガイ)


    アメリカは発展国としては物価が極端に安い。物が溢れている為に市場原理が機能している事と、不法移民を利用して安い労働力で三次産業が成り立っている事、インフラが発展している為にサプライチェーンの最適化がしやすい、など色々な事が考えられる。オレゴン州はシアトル市があるワシントン州の南に位置している。コンピューターや家電製品、車のタイヤなどをまとめて購入する際、シアトルからポートランドまで3時間ほどドライブがてらにオレゴンに行く事がある。オレゴン州では消費税がゼロ%であるのだ。ワシントン州は10%弱なので、オレゴン州で買い物をすると1割ほど安い事になる。ポートランド周辺のショッピングモールに行くと、最近では北京語を巻き舌で話す人達で溢れ返っている。ショッピングセンターに勇んで出かけて買い物をしようとするのだが、その人達の熱気に押されて、買い物する気が失せてしまうというのが最近の私のパターンである。

    まあ前置きはどうでもいいのだが、用事があってポートランドに数日滞在した。別にショッピングには興味ないのだが、私はポートランドを愛して止まない。何故なら、ポートランドのB級グルメは非常にレベルが高いからだ。ポートランドのダウンタウンには食べ物を売るカートが集結しており、色々なB級グルメが堪能できる。しかも、外食税はゼロである。

    アメリカのストリートフード10傑に選ばれた事もあるという、Nong’s Khao Man Gaiを食べる。英語でチキンアンドライス、$6としてある。11時30分で昼食には早いが、既に人が並んでいて、かなり期待がもてる。紙に包んで出てきた物は、カオマンガイ、所謂「海南鶏飯(ハイナンチーファン)」であった。中国海南島出身の人が考案し、シンガポール名物の海南鶏飯が、タイの屋台でカオマンガイとして進化し、オレゴン州はポートランドでそれを味わえるのだ。なんと世界は狭いのか。

    鶏はふっくらと茹でた物をきっちりと冷やしてあり、チューイーな歯応えが良い。鶏の出汁で似たタイ米はジューシーであり、香菜(シャンツァイ)と胡瓜が載っている。それに秘伝の生姜魚醤をかけて食べる。生姜魚醤だけでご飯三杯はいけそうだ。噂に違わず、鶏の出汁でしっかりと味付けをしている温かいご飯と冷たくキリリとしている鶏の組み合わせは何とも言えない。B級グルメの王道とでも言っておこう。

    しかもスープがついてくる。鶏出汁に、酸菜(スワンツァイ)を入れた酸っぱいスープ。まさに東南アジアの屋台の味だ。子供を背負った若いお母さんが作り、排気ガスの臭いがする蒸し暑い夜に外で食べる、あの何ともいえない味なのだ。6ドルの昼飯にこれだけ心躍るのは久々の事である。中国人の多さに辟易して一旦止めた買い物をする元気が再び湧いてきた。

    世界の各地からアメリカに渡って来る人達。その人達のプライドが垣間見えるポートランドのストリートフード。是非お試しください。

    8/23/2008

    歪な街ローマに見え隠れする関西との共通点

    関西地域が停滞して久しい事は何度もこのブログで書いている。関西地域には競争力が全く無い。というのも、関西全域が魅力が無い都市圏と化してしまったからだろう。大阪に本社機能を構えていた企業は挙って首都圏に移転してしまった。周りを見ていると優秀な人材から順に関西を離れていった。私もたまに大阪に里帰りするのだが、廃れ行く自分が育った土地を見ると、かなり鬱になってしまうのだ。私は関西の風土や文化が好きではあるが、正直言って関西に戻りたいとは到底思えない。

    関西の地方自治体の政治を見ていると、様々な疑問が浮かび上がる。小学生が考えてもおかしな事に自治体は税金を注ぎ、努力をしている人間に対しては非常に冷たい政策を執っている。ごねた人間が得をする、正義のかけらもない社会を地方自治体は必死で作り出し、それを平等と呼ばせる。問題は確実に存在し、多くの人(少なくとも関西人)はそれを理解している。それらの問題に真摯に取り組み、企業活動や社会の効率化を図れば、関西はまだ捨てたものでは無いはずだ。しかしそれらの処々の問題は、「言ってはいけない」問題として取り扱われ、決して公に晒される事はない。タブーや禁断を21世紀の情報化社会でも必死に守ろうとし、そしてタブーがゆえに政治のサボタージュが起こる。はっきりと存在するものを「無い」と言い張り、その根本的な問題を無視し、表層のどうでも良い物だけをいじくる政治。勿論、何かを変えれば、そこにまた蟻は群がる。そして、努力した人たちはやる気をなくし、ますます地域全体がどす黒く染まる。存在しないはずのもを必死に残したい勢力が存在し、それら負の遺産とともに社会が真綿で首を締め付けるがごとく凋落していく様子。こんな街に誰が住みたいのだろうか?

    私はこの夏をローマで過ごしている。ローマの日常を見ていると、私は関西のどす黒い禁断の社会構造と比較せずにはいれなくなってしまう。ローマで生活すると、否が應にもヨーロッパ社会の負の遺産である階級社会を垣間見てしまう。貧しい人と、知的階級がはっきりと二分しており、その間を自由に行き来することは出来ない。貧民の子供は貧民であることを約束されており、EU統合以降にイタリアに入ってきた移民の連中が貧民たちに混じる。アメリカの格差社会はアメリカンドリームと呼ばれる一発逆転が可能だが、それとは全く違う生まれたときに既に豊かさ決まっている階級社会。これはまるで関西に存在する、あの存在しないはずの階級社会のようだ。古い町並みや、遺跡群。そして、観光産業で生業を建てる街、ローマ。階級社会が足枷になり古都を蝕む。もしや、この街は京都そのものではないか?ただ住んでいる人々は、京都人ではなく、泉州人のように見えるのだが。

    生活のにおいがする筈の無い観光の街に、泥臭い生活臭がこみ上げる。人々の稼ぎは少ないものの、物価は観光地の値段である。朝の地下鉄、北部の優秀な人達がスーツに身を包んで役所に出勤する横で、アコーディオンを弾きおひねりを乞う人がいる。ローマの若者たちはマナーの欠片もなく大声で地下鉄ではしゃいでいる。その風景に違和感を覚える観光客たちが眉を顰める。競合力の全く無い街、ローマ。

    ピラミデから西に行くと、テスタッチョと呼ばれる地区がある。元々、屠殺場があった場所と聞き、関西出身の私は少し緊張して街を歩いた。市場の近くのトラットリア(安物レストラン)の外の席に腰を掛ける。ペンネアル・アッラビアータをプリモに、そしてトリッパ・アラ・ロマーナと呼ばれる、臓物の煮込みをセコンドで注文する。そのような歴史のある街では、やはり臓物のようなものが出てくるのは古今東西一緒なのか?赤ワインをがぶがぶ一人で飲む。待てど暮らせど注文した物は出てこない。既に小一時間が経過している。ローマで効率を叫んでも仕方ない。通りを行きかう人々を目に、一人でレストランに来たことを後悔する。夏といえども、夜風は肌寒い。空腹と寂しさに嫌な感じにアルコールが回る。

    やがて、アッラビアータが出てきた。ペンネは上手く湯掻かれていた。そして、それにしても辛い。非常に出来のいい仕上げだった。乾燥させた単純なペペロンチーノだけの辛さではない。恐らくは熟成させたペペロンチーノを使って深い味わいを出しているのだろう。非常に出来の良い一品だ。

    プリモに続きセコンドのトリッパがやって来た。牛の胃袋は柔らか過ぎず、硬すぎる事もなく、歯ごたえを残した最高の出来だ。トマトソースの味に、妙にコクが残る。このコクはチーズか?かと言って、しつこくも無い。トマトソースの酸味と、たまねぎや香草の匂いが、臓物特有の匂いを完全に消している。これだけで十分に満足できる仕上げだった。

    しかし、会計で30ユーロは高すぎる。だが、これがローマでは水準だ。隣席の人達は私よりも豪華な物を食べながら、私の半額も払っていないことも気になる。人々が歪な形で助け合い、価格を歪める。非効率と、一部市民のたかり体質が歪さに拍車をかける。この国が何故にG8に入れてもらっているのかは理解に苦しむ。私は思う。いくら美味しくとも、一人で食べるくらいなら、レストランに行かずに、アパートで自分で作ったほうがマシだった、と。そして考える。ローマに生まれるくらいなら、まだ大阪に生まれたほうが良かったのかも知れない、と。

    7/19/2007

    回顧主義と昭和の味

    6月の初め、ある一軒の日本食レストランが静かに暖簾を下ろした。そのレストランの名は「たこ八」。セーフコフィールドや宇和島屋に近いインターナショナルディストリクトにあった。私にとって、たこ八はシアトルで最も愛していたレストランの一つであったので、非常に悲しかった。悲しいにも増して、たこ八がなくなるという事実に、虚無感を痛烈に感じてしまった。確かに時間は移ろうものであるし、捉えることは出来ないものだ。大好きだった店は時間の波の中に消えてしまった。そして、僕たちは汗水垂らして未来へと走り続けている。しかし、その未来に「たこ八」は決して存在しない。

    アメリカで、日本食レストランといえば寿司屋と同意語になっているのが実情だが、たこ八は日本で俗に言う「洋食」を中心としたメニューを組んでいる。ハンバーグや鳥の唐揚げ、コロッケ、エビフライなどが主な料理としてメニューに名を連ねる。しかし、さば塩、鍋物、いなり寿司といった純日本的な料理も多くある。平たく言ってしまえば、定食屋なのだ。

    お店は30人強が座れる広さだ。ご主人と奥さん、娘さんが切り盛りしている。ご主人と奥さんは見た目は物凄く若いのだが、すでに70才代であったという。特に奥さんは、元モデルをしていたという事もあってか、本当の年齢よりは20歳くらい若く見える。本人たちはまだまだやりたい所だったのだろうが、周りが心配して、店を畳む事になったという。世の中はそういう物だ。実際に事を行っている人はただひたすら何かに向かって走り続ける。そして、何もやってない周りの外野はとやかく口を挟む。

    私はいつも決まって「トリプル」と呼ばれるセットを注文する。鳥の唐揚げとコロッケ、さらにハンバーグがついている。揚げ物は程よく揚がっているし、素材のジューシーさをきっちりと残している。ドミグラスソースは非常に上品な味を出している。御飯は焼き飯かカレーのうちから選択できる。焼き飯はベーコンとキャベツ、人参を炒めたお袋の味だし、カレーも昔懐かしい味だ。さらに、サラダがついてるのだが、キャベツの千切りに大きなハムが乗ってボリュームたっぷりだ。日本ではありふれたメニューかもしれないが、アメリカでは中々探せないメニューである。しかも味も格別だ。ご主人の気合いの入れようがはっきりと舌に伝わってくる。

    私はたこ八に行くと、子供の頃、阪急百貨店の大食堂にお祖父さんと良く行った事を思い出す。混雑する大食堂で運ばれてくるハンバーグステーキ。実際の所、美味しいと思ったことなど一度もなかった。だが、たこ八で食べる美味しい料理には、昭和の時代が終わろうとしていた僕の幼少の頃の記憶がソースとして乗っているのだ。無くなってしまった物特有の懐かしさとでも言おうか?そして、その味は既に日本で絶滅に瀕している。安っぽいフランチャイズの店や似非イタリアンが跋扈する21世紀初頭の我が日本では、町の洋食屋さんは生き伸びることが出来なかった。それは自然の摂理である、弱肉強食の原則にのっとった公平な競争の結果だ。海を隔てて遠く離れたシアトルの町の片隅に残っていた昭和の味。予想外の宝物だったのだが、やがてそれは失われてしまった。

    昭和の時代は遠くに過ぎて行ってしまった。次に私が納得に足る鳥の唐揚げやハンバーグを食べることが出来るのはいつの日になるだろうか?昨年大阪に帰ったとき、梅田の阪急百貨店は改装を始めていた。時代は極端に早いペースで動いている。他の人達と同様、私の日常もその流れに対応するべく忙しいものである。たこ八はその忙しさを時折忘れさせてくれた。時代を懐古する物を失うという事が、虚無以外のなんだと言うのだろう?店は無くなってしまったが、たこ八の残像は古い阪急百貨店の大食堂と共に私の心の奥にきっちりとしまっておきたい。

    12/24/2006

    アメリカステーキが美味い理由

    (注:この記事はミディアムレア以上に焼いたステーキの話であって、生肉の話ではありません。ステーキのレアが好きな人の多くは、単に生肉が好きな場合があります。私も生肉が大好きですが、このページでは牛タタキ風ステーキの話はしていませんので悪しからず。生肉が好きならばわざわざレストランに行かず、家庭でステーキを食べることをお勧めします。スーパーでニューヨーク・ストリップやリブアイなどと書かれている少し脂の乗った肉を購入して、表面だけを少しだけ焦がして中は生で食べてください。安物のサーロインなどの生焼け肉もポン酢や照り焼き風ソースとも相性がいいですし、ご飯にも合います。この項のステーキの話にそれらの生肉ステーキは含まれていません。ここで扱っているステーキと「ブルーレア」牛たたき風ステーキは根本的に違う食べ物と考えています。牛たたきが美味しいのか、ミディアムに焼いたアメリカのステーキが美味しいのかという話は、軸の違う問題であるため、「りんご」と「みかん」を比べるような不毛な議論です。前置きが長くなりました。)



    私は日本の高い和牛ステーキがあまり好きではない。一口目は美味しくて感動するのだが、それは肉ではない。脂の塊を食べており、どちらかと言えばトロなどに近い。日本で年寄りなどに誘われて和牛ステーキを食べさせられることもあるが、肉を食べるという目的の際は、出来ることならご遠慮願いたい。

    一方で私はアメリカでステーキを食べることが好きだ。アメリカのステーキは、日本のステーキとはアイディアそのものが異なり、しっかりと赤身を食べさせてくれる。勿論店にもよるのだが(殆どの店は不味い。アウトバ●クやレ●ドロブスターなどのチェーン店でサーロインを注文するとかなりがっかりする事になる。)、かなり美味しいステーキにありつくこともできる。私の友人など、ニューヨークなどに行く度にステーキ屋に脚を運んでいる。最近では、東京などでアメリカンスタイルのステーキを出す店も出てきたようだが、基本的に日本のステーキ屋では美味しい赤身をしっかりと食べさせてはくれなかった。しかしながら、殆どの人は経験上、アメリカ牛のステーキはあまり美味しくないと考えるかもしれない。確かにアメリカでもスーパーで普通に肉を買ってきてミディアムレアに焼くだけではそこまで美味しいステーキは作れない(実はサーロインやニューヨークストリップやリブアイの牛肉を買ってきていつもステーキを家で作っています。ただし極レアで食べます。)。あくまで、アメリカの美味しいステーキ屋で食べるミディアムレアのステーキが格段に美味しいのだ。

    何故、ある種のアメリカのステーキ屋はそんなに美味しい赤身を提供できるのか?勿論、牛のグレードは言うまでもないが、一番大切なことは、熟成方法だ。新鮮な肉を焼いても美味しくない。牛肉はきっちりと熟成させることで旨味が増すのだ。特に、ドライエイジド(Dry Aged)と呼ばれる、冷暗所でじっくりと一ヶ月近くかけて肉を寝かせる方法を取ると、赤身の味が格段に美味しくなる。残念ながらドライエイジドの肉はその辺に出回っているわけではない。アメリカにおいて、効率を追い求めた現在の流通では、肉は直ぐに真空パッキングされ、真空パッケージ内で熟成されることになる。これは、ドライエイジドに対して、ウェットエイジド(Wet Aged)と呼ばれる。この方法でも確かに赤身の旨味は多少増すが、ドライエイジドほどの濃厚な味を求めることは出来ない。

    アメリカの高級レストランでは、レストラン独自にドライエイジド法で牛肉を寝かせている。だから値は張るのだが、確かに美味しいステーキを出してくれる。しかも大きさが良い。1パウンド、つまり450gのステーキがスタンダードとなる。脂が多い和牛はレアで食べる方が美味しいが、ドライエイジドの1パウンドもあるステーキなら、ミディアムあたりで中身がうっすらと半生くらいの焼き方が一番合う。(アメリカ人がオーバークックするのか、日本人が生を好みすぎるのか解りませんが、アメリカのレストランでミディアムレアを頼むと、9割以上の確率で、日本ならミディアム以上に焼いた物が出てくると覚悟してください。)

    普通、ドライエイジドのステーキ肉など、アメリカのスーパーでは売られていない。しかし、クリスマスを前にして、ホールフーズ(Whole Foods)と呼ばれる高級スーパーチェーンでドライエイジドのリブアイステーキが売られていた。1パウンドで20ドル近くしたが、店で食べることを思えば安い。フライパンで強火で表面をしっかりと焼き、オーブンの中に数分入れる。肉汁と赤ワインとマッシュルームでソースを作った。アメリカの牛肉ステーキは本当に美味しい。結局、ステーキの味など肉次第なのだ。

    バーベキューにはどういう肉を選ぶべきかについて


    12/10/2006

    海外の日本レストラン認証制度という馬鹿げた案

    農林水産省が今回実施するという世界の和食レストランの認証制度は非常に面白い。誰がこのような馬鹿げた考えを思いついたのか知れないが、このような事に税金が使われるのであれば、断じて反対するべきである。日本にはやたらと認証制度が多いが、政府の雇用を約束するために認証やライセンスを次々と交付している。特に、役人は天下り先を増やす事に躍起であり、そのような裏の背景は絶対に見逃してはならない。一般的に認証やライセンスは、市民生活やビジネスの機会を大きく退かすものであり、社会コストを上げ競争を阻害する以外に何の役にも立たない。日本では、政府や政府系の組織が遂行する認証や資格に基づく試験や手続きなどで、一体いくらのお金を無駄にしているだろうか?一体どれだけの時間を人々から奪っているのだろうか?

    海外では和食と呼べないものを出す日本料理店がたくさんあり、農林水産省はそれを憂いているという。確かに、アジア系の人が経営する店には酷いものもある。だから、なんだと言うのか?おかしな料理を出そうとも、美味しければそれで良いし、不味い料理を出していれば店は潰れる。それだけの話だ。政府がでしゃばる隙間は全くない。

    日本でも、インチキなイタリア料理、フランス料理、そして中華料理が横行している。本場のものからはかけ離れていると言う意味でインチキではあるが、中にはびっくりするほど良い味の店もあろう。美味しいところはインチキでも残っているし、ブームに便乗した不味いところは潰れていく。そして、料理とは、インチキなものから、次の新しいものが生まれるべきものだ。イタリア政府がわざわざイタリアの税金を使って日本に来て、それらの料理店をチェックするだろうか?馬鹿げている。フランスのミッシュランの例があるが、ミッシュランはプライベートカンパニーで政府ではない。

    そもそも、日本料理が何なのかという議論がそもそも抜け落ちている。カリフォルニアロールは日本料理なのか?餃子は日本料理なのか?神戸牛は日本料理なのか?テリヤキは日本料理なのか?全く馬鹿げた議論だ。私に言わせてもらえれば、日本の和食ですら本来のものからは大きく変わっている。例えば、ポルトガル語に起源を持つ南蛮由来の「天婦羅」が日本料理なのか?で、それがどうしたと言うのだ?与太話としては面白いが、根本的には全くどうでもいい話であると同時に、政府が口出しするべき問題ではない。

    確かに多くの「本格的」高級日本料理店は、日本から大量に食材や酒を輸入しているようだ。松岡大臣にとっては、日本の農業振興の絶好の機会だと考えるのかもしれない。そういった店に認証を与えることは、日本の誇りだ。たとえ税金が大量に投入されたとしても。松岡利勝は、地元の葱やイグサを護るために、セーフガードを発動したいわく付の人物だ。役人は先ほども述べたが、無駄な組織を一杯作って天下り先を確保したいわけだ。全く持って馬鹿げている。

    今回の海外日本食レストラン認証有識者会議メンバーには、「ぐるなび」やJTBの社長も名前を連ねている。本当に面白いプロジェクトであると思うのであれば、政府がやらずに、JTBや「ぐるなび」が自分たちでやればいいのだ。ミッシュランのように。こんなことは、民間或いはNPOがやる事である。このような趣旨に対するスポンサーを募ってするプロジェクトではないか。政府主導でやるという馬鹿げた考え自体がまるで時代遅れであり、時代遅れの権化のような松岡大臣を指名した阿倍首相の人を遣う手腕には正直落胆している。

    12/01/2006

    西に美味いピッツアは在らず

    シアトルには美味しい珈琲屋が沢山ある。しかしどこを探しても美味しいピッツアを出す店は見当たらない。カリフォルニアも含め、残念ながらアメリカの西海岸では美味しいピザ屋は存在しないようだ。

    ピッツアは下衆い食べ物である。故に下衆く食べるべきなのだ。ピッツアの歴史はそう古くない。丁度、今日食べている殆どの料理がそうである様に。ピッツアはナポリの貧民が生み出した料理である。当時は観賞用であり、食べられることがなかった新大陸からやって来たポモドーロ(トマト)をパン生地の上に乗せて、余った食材と共に焼いたものが始まりと伝えられている。ピッツアはまさに庶民食として誕生したのだ。

    イタリア移民と共に、ピッツアはアメリカにも伝えられた。新大陸から来たトマトソースが再びアメリカに再輸出されるのは皮肉なことだ。ニューヨークではナポリ風の薄い生地の上にトマトソースやチーズを乗せるニューヨーク・ピッツアが発展していく。一方シカゴでは、厚いパン生地を使ったシカゴ・ピッツアが主流となる。やがて、ピッツアは全米中に普及し、アメリカ人の最も一般的な食べ物となったのだ。私は個人的に、ニューヨークスタイルを好んでいる。

    ピッツアは皆で楽しく囲んで、出来立てのアツアツを食べるべきものだ。数人でピッツア屋に行き、直径50-60センチほどのピッツアを注文する。ピッツアが焼きあがるまでは、ビールを飲みながら楽しくやる。やがて、石釜から出来立てのボリュームのあるピッツアが運ばれてくる。とろけるチーズを皆で切り分け、ビールやコーラと共に流し込む。それこそがピッツアであり、そのような雰囲気がある前提で、さらに味の事を吟味するべきだ。舌の上で美味いだけのピッツアはピッツアではない。東京の表参道界隈や、南カリフォルニアのレストランなどでは、イタリア風の小さめの皮が薄いパリッとしたパンチェッタやゴルゴンゾーラなどを乗せた“高級”なピッツアが流行っているが、あれはいくら美味しくとも紛い物である。庶民の食べ物と言うピッツアのコンセプトからはかけ離れた、違う世界の食べ物だ。ピッツアは、友人たちや家族と共に食べるべきである。決して恋人とデートで食べるものではない。

    ニューヨークからメトロノースで終点まで行く。裕福なことで知れらているコネティカット州だが、そのニューヘイブンと呼ばれる小さな街は荒れ果てている。中心には大学があり、その付近だけは妙に綺麗だ。裕福さと貧困さが同居しており、アメリカ社会の歪んだ縮図のような嫌な街だ。冬場は気温は氷点下10度くらいまで下がる日もあるし、雪もすぐに積もる。娯楽は殆どなく、楽しみはと言えば、仲間とピッツア屋やマイクロブリュワリー付のバーに繰り出す事だ。街には有名なピッツア屋が数店ある。人気のあるピッツア屋は常に混んでいる。雪積もる寒空の下、半時間は待つ覚悟が必要だ。ボストンビールのサミュエルアダムスを注文する。クラムのホワイトソースピッツアなる物があるが、これはお勧めできない。クラシックに、イタリアンボンバーを頼む。トマトソースベースのピッツアで、カナダベーコン、イタリアンソーセージ、数種類の野菜が乗っている。勿論、上にはとろけるチーズがたっぷり。石の釜から取り出されたアツアツのピッツア。皆で揃って楽しく食べるには最適だ。

    ビール、ピッツア、そして友人たち。東海岸に置いて来た物を、暮らしやすいシアトルの地で思い出す。地獄のような街だったが、時間が経つとそれもまた懐かしくなる。シアトルには雪が積もり、雪を見ているとニューイングランドで過ごした日々を思い出した。妙に美味いピッツアが食べたくなった。しかしこの街では美味いピッツアがないのだ。

    Modern Apizza
    874 State Street
    New Haven, CT

    11/25/2006

    四川料理を楽しむ


    感謝祭に七面鳥を作った話をしたが、三日経った現在、いまだ半分も終わっていない。部屋中に七面鳥の脂の臭いが漂い、吐き気すらする。仕方なく七面鳥の焼汁と肉を使って、シチューとカレーの二品を拵え冷凍した。気分が悪くて仕方ないので、美食の話に移りたい。

    一般的に多くの中国系の人に最も人気がある料理は、四川料理であろう。川菜と呼ばれており、八大菜系の一つである。説明するまでもなく、四川料理は「辛さ」を売りにしており、麻婆豆腐などが代表料理として挙げられよう。辛いだけと思われがちだが、上品さも兼ね備えている。酢などを駆使して、甘酸っぱさを出したりもするのだ。代表料理と言えば、宮保鶏丁(鶏とカシューナッツのぴり辛炒め?)、青椒肉絲(チンジャオロースー)、回鍋肉(ホイコーロー)などであろう。

    広東料理と比べると、四川料理はかなり高級感があり、値段も張るというイメージがある。最近では、地域色を前面に出した中国料理のレストランは少なくなったと言うものの、看板に四川料理を掲げている店はやはり高級店が多いように思う。私は四川省には未だ足を運んだことがあらず、一度本場の味を食べてみたいと思っている。次の中国への旅では、何とか理由を見つけて成都か重慶(現在は四川省からは独立して直轄市である)に行ってみたい。

    北京でかなりレベルの高い四川料理に巡り合った。それはやはり比較的高級店であった。建国門路と東三環にある北京中国大飯店(チャイナワールドホテル)には国貿商城という高級ショッピングモールが隣接する。ルイヴィトン、ジバンシー、カルティエ、ラルフローレン、プラダ、ヒューゴボス、フェンディ、ケンゾー等いかにもなブランドの店が目白押しだ。ちなみに、実際にブランド品を買っている客の殆どは外国人であった。外国マネーと失業率を低く抑えるために人為的に操作されえいる中国経済の話はまた何時の機会かにおいておいて、とりあえず、その二階にある四川料理のレストランに入る。

    料理よりも値の張る龍井茶を注文し、やがて料理が運ばれてくる。熱い胡麻油が運ばれてきて、その中に服務員が牛肉や野菜を放り込む。サラダも、服務員がその場で棒棒鶏ドレッシングをカクテルして提供する。非常に面白い。コールドディッシュも歯ごたえを残したクラゲにピリ辛ソースがなんとも言えず繊細だった。何よりも驚いたのが宮保鶏丁。この料理は世界どこでも食べられるのだが、こんなに繊細な宮保鶏丁を食べたのは初めてだった。きっちりとした甘酢にでしゃばり過ぎない辛さを絡めた秀作だった。

    食後は豆花。服務員が豆乳を持ってきて、焼け石を中に入れ豆乳を暖かくし、直ぐに取り出す。蓋をして数分経てば、豆乳が固まっている。そこに、ピーナッツ、蜂蜜、韮ソースなどの中からお好みのものをトッピングとして載せる。豆の味がはっきりと出ており、非常に美味しかった。

    余談だが、横浜にある四川料理を売りとするどこぞの店もそうだが、日本では四川料理にケチャップがふんだんに使用されている。私がこのレストランを評価する理由の一つが、ケチャップや化学調味料に頼らずに繊細な味を保っているという事実であると言うことは、特筆に価しよう。

    俏江南四川餐庁 (サウスビューティーレストラン)
    建国門外大街一号 国貿商場2階 L220
    中華人民共和国 北京市

    サウジはポンコツ。何も出来ない

    フーシ派がマユン島を占領して、紅海の入り口をコントロールしており、ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)がトランプに米軍がフーシを攻撃するように要請したとのニュースが流れた。トランプは断ったという。このニュースを受けて、原油は暴騰。 サウジはアラブ諸国の雄じゃないの?このくらい、...