ラベル 国際経済 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 国際経済 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

5/27/2021

ビットコインの値上がり構造はネズミ講

 爆騰していたビットコインが5月になってから軟調である。最高値から半値くらいになったこともある。クリプトカレンシーの下がり局面で「ざまあみろ」と思った人は結構多いと思う。何もしていないのに、夕飯が美味しくなってしまうのだ。

アセットというものは、基本的に適正価値というものが存在するというのが私の考え方である。適正価値よりも価格が極端に高い場合は、手を出してはいけないし、適正価値よりも価格が低いアセットは積極的に買い入れる。株価の適正価値はEBITDAを利率で割れば良いし、不動産の適正価値は家賃収入を年利で割れば良いし、コモディティーに関しては最終商品の市場価格に需給を考慮して計算する。

で、クリプトカレンシーだが、そういった適正価値を計算する方法がない。ビットコインに関しては、マイニング価格に紐づける方法が提案されているのだが、経済学を学んだ人間を納得させるようなものではない。それではクリプトの価格はどうして決まっているのだろうか?

将来的にもっと高くで買う人がいるから、今買わなきゃいけないよ。買う人が増えるから、安いうちにかっておこう。値段があがるから買う。まあ、よくある話である。この値上がり構造は、結局はねずみ講(ポンジースキーム)である。買い手を二人探せば、値段が倍になる。買い手を探し続ける限り、値段は倍々ゲームだ。ねずみ講に参加している人間は、もちろんクリプトを信じ続け、一人でも参加者を増やそうとする。クリプトを持っている人たちが目の色を変えて、クリプトの未来や、現在流通している貨幣がいかに糞かという事を力説してくれる。

ねずみ講の怖さは、上手く行っている時は参加者が増えるが、ダメな時は一気に逆流が起こるという事である。クリプトするくらいなら競馬でもしてる方がよほど健康的だと思うので、私はクリプト持ってません。イーロン・マスクとかまでがクリプトのねずみ講を煽っているのが腹立たしいが、テスラは2,3年前には倒産しかけてた会社だという事は忘れてはなりません(ソフトバンクも同じ)。


7/26/2016

バンクーバーの住宅取得税、外国人は+15%!

バンクーバーが面白い事をした。ご存知の通り、バンクーバーの不動産市場は外国からのホットマネーの流入で異様に過熱しており、普通のカナダ人には手が出ないレベルになっている。何度か、バンクーバーの不動産は終わったのかな、とも思う現象があったのだが、そういう心配も杞憂で終わっていた。ブリティッシュコロンビア大学の先生が、最近、まだ若いのに急に退官して引っ越したのだが、家を売り払ってバンクーバーの外で余生を楽しむという事だった。

で、バンクーバー都市圏で不動産を買う外国人は住宅取得税が15%引き上げられる。2億の家を買えば、300万円余分に払う必要が出て来るという訳だ。現時点では、2千万円までは1%、それから2億までが2%、そしてそれ以上は5%の住宅取得税がかかった。で、外国人が不動産を買うときは、プラスで15%かかるという事である。

中華系の金持ちは、住宅を取得しても、貸しもしないで持っている人がいるので、人が住んでいない部屋を賃貸として活性化する税制変更もして欲しい。例えば、空き物件の固定資産税を大幅に上げるとか、である。

オーストラリアや香港でも同様な措置が取られたが、その後はある程度住宅市場が冷却した。バンクーバーは北米一高い町となってしまったが、お金持ちの外国人はトロントに向かうのか、はたまたシアトルに来てくれるのか?

10/13/2013

白人の負け組がアメリカデフォルトを画策する

アメリカの議会が捻じれており、政府の一部がシャットダウンしている事はご存知の事と思う。私の周りにも色々な影響が出ている。研究を続けている政府系研究機関の職員とはメールでのやり取りが出来なくなっている。在東京のアメリカ出先機関に所用で連絡したところ、日本の現地スタッフしかおらず、アメリカ人職員は働いていないと言われた。さらに、政府系のホームページに載っているセンサスや貿易などのデータ、他の文献などにもアクセスできなくなっている。と言っても、個人的な影響は限定的であるので、私としては知ったこっちゃあ無い。しかし、例えば友人の奥さんはDCで某省庁に勤めているのだが、二週間仕事に行かなくて給料が出ないのは我慢できるが、その間の保険代などを自己負担する必要があり、恐らく50万円くらいの出費になるだろう、と嘆いていた。そういうのを聞くと気の毒に思うが、私からは遠い場所での話しである。

しかし、アメリカ国債が仮にデフォルトすると、話が違ってくる。デフォルトの定義は色々あるという事は昔に述べたが、デフォルトは「支払いの不履行」とも訳されており、一度でも支払いを怠れば債権はデフォルトした事になる。債権の格付けは、支払いの履行可能度で決められる為、一度でも不払いが起これば、格付けが下げられる。今回の問題は、内政的な理由があるにせよ、支払い能力が十分にあるにも関わらず、議会が踏み倒すかも知れないという悪質な物であり、決して看過される問題ではない。米国債の「信用」はガタ落ちする。

資産の現在価値を計算するためには、「割引率」を用いて未来の価格を現在価格に換算するのだが、リスクフリー資産とされている米国債を割引率の基準とする。つまり、米国債の価格が下がれば、他の資産価格を暴落させてしまうのだ。それも世界規模で。そういう意味で、アメリカのデフォルトは決してあってはならない。議会もその辺りは理解しているものと信じている。

ティーパーティーに支持された一部の共和党下院議員が、世界の資産価格を人質として、オバマケアを阻止しようとしたり、自分たちの支援者に媚を売ろうとしたりしている行動は、モラル的に最低である。オバマケアは既に議会を通過した法案である。「人質」を使い、既に通過した法案を捻り潰そうとする行為は、民主主義の根本にもとる行為である。

ティーパーティーとは一体何者なのか?結局は、白人負け組連中であり、政府が自分たちの生活を脅かしていると考えている。連邦政府こそが自分たちの敵だと考えているのである。アメリカは広い。金持ちの街もあれば、負け組の白人だけが住む街や、貧乏な黒人のみが住む街もある。南部や中西部の田舎町を中心に、グローバリゼーションの波からとり残されているような地域では、白人の下層の人達の恨みの捌け口として、草の根レベルのティーパーティー運動が起こっているのである。

企業を優遇する共和党は、金持ち層からだけの支持では過半数を取れない事が解っているため、宗教の力や貧困層を取り込むことで、選挙を優位に戦っていた。つまり党内に、「金持ちの為の共和党」と「貧乏白人の為の共和党」という二つの異なるイデオロギーを抱えてきたのだ。その矛盾が現在爆発している。共和党の貧乏白人に支持されて当選した議員たちが、古き良き共和党員に白色テロを実行し、党を、そして議会を、そしてアメリカを、さらには世界経済まで乗っ取ったのである。

グローバリゼーションの波に飲まれ、冷や水を飲まされ続けていた貧乏な白人の草の根運動が功を制したのだ。憎いのは社会主義社で黒人大統領であるオバマ。憎いのは外国人や非白人。憎いのは連邦政府。憎いのは売国政治家である民主党議員、そして共和党の売国議員。家族を守り、朴訥にキリスト教を信じる、心優しい自分たちの時代がついに来た、というわけだ。

このような政治テロに世界は揺り動かされている。このような愚かな「色物」たちに「アメリカ国債の支払い履行」という人質を取られた。アメリカの色々な矛盾が世界の不安定さを助長している。オバマは内政の拗れで、自身が重要であると説くアジアのアセアン会議にすら参加できなかった。一方、アセアンでは習近平が着実に力を誇示している。周辺国は、その出方や厚かましさを恐れつつも、経済的な協力を請い願うという、皮肉な外交が展開されている。

癌の治療に四苦八苦する病床にうつ伏すアメリカという「駁」。「駁」がいない事を良い事に、張り子の虎で調子に乗る中国共産党。世界はかくも面白い。

いくらティーパーティー議員が調子に乗ったところで、デフォルトにはならないだろう。ただし、前述の野球プレイオフの予想くらい外れる事があるので、楽観的に気を付けてほしい。まあ、気を付けたところで、米国国債のデフォルトというイベントに対して打つ手はなさそうだが。

8/09/2013

シアトルの生活費:全米で本当に高いのか?

シアトルの物価はどんなものか?シアトルは全米の中でどの程度高いのか?生活の仕方は人それぞれであり、この問いに対する明確な答えを用意することは出来ない。ただ一般論として、平均的なアメリカ人がどの程度の生活費をそれぞれの項目に使っているかを都市ごとに見ていただきたい。シアトルで大学か大学院を出て平均的な一般職に就くと、年収は50,000ほどである。色々天引きされるので、一か月の手取りはおよそ2500ドルだ。この人が出来る生活と、月に$2500(25万円)の仕送りを貰える日本人との生活に、そう差はない筈だ。この人がアメリカの違う街に移り住み、同じような生活を期待すれば、一体いくら位くらいかかるのかを纏めたのが次の表になる。年収が解りにくければ、その横に一か月の仕送り換算が載っている。これを生活費と考えて貰えればよい。シアトルを100%として他の街の物価を計算している。まあ、参考程度に使ってほしい。



シアトルは電気水道代が全米でも一番安いが、車・交通関連や保険・医療関連の値段が高い事が解るだろう。食料品については、東部ほど高くないが、南部よりはずっと高い。家賃は、北東部やカリフォルニアよりは安いが、他の多くの街よりは高い、という事になる。(注意:シアトルはソフトウェア産業を中心に景気が良く、家賃相場は年間5%くらい騰がっています。この記事を書いた当時よりも高くなっている可能性が高いです。)

米国南部はかなり物価が安い。私も現在はアトランタ近郊に住んでいるのだが、家賃などは間違いなく安い。ただ、食料・雑貨などについては、金額的には僅かに安くとも、質の悪いものしか買えないような気もする。田舎で生活すると、競争がない為、結構強気な値段設定をするし、ちょっとした用事で近くの大都会まで行く必要があり、コスト的にはバカにならない。後述するが、一回日本に帰ると、航空券が高く、今まで貯めていたお金は全部パーである。

まあ、だらだらと長くなっているが、シアトルでESLに通ったとして月に最低いくらかかるかを下に記述した。学費には教科書代も入れておいた。家賃は、1人で住むか、ルームメイトとシェアするか、下宿するかでかなり変わって来る。1人暮らしならもっと高く、シェアすると若干安いと考えてほしい。

電気水道インターネットなどについても同じである。食料雑貨については、日本人は宇和島屋に行ってしまうので高くつく。交通に関しては、バスパスを買えば月に45ドル、車があればガソリン代や駐車場、そして車の保険代が高くつく。ただし車があれば遠出ができ、賢く買い物が出来たり、家賃の安い場所に住めたりするメリットもある。外食には、昼飯代(7-12ドル)やコーヒー代(3.5ドル)などを定期的に捻出し、安価な夕食(10ドル―15ドル)をたまに食べると仮定した。5ドル以下とか、3ドル以下とか、昼飯代を安く上げるのは、車でもあってマクドナルドのダラーメニューなどを利用しない限り至難の業である。コンビニ弁当程度のものでも、6ドル以上は軽くすると考えてほしい。シアトル近辺の場合、外食税が10%、消費税は9パーセントで、スーパーなどで加工されていない食料品(つまり、サンドイッチヤ弁当など以外の食料品)を買った場合は消費税は加算されない。



上記は最低生活費だけを羅列したものである。往復の日本からの航空運賃を合わせると、一年間で車無しで32,000ドルを仕送ってもらえれば、ESLの学生として、最低限の「文化的な生活」を送ることになる。外食を控えたり、マルチャンのラーメンを夕食にしたりすると、もう少し削れるかもしれない。ただし、こういう「ひもじい生活」を送ると、色々な経験を犠牲にしなければならず、留学する意味が失われる可能性がある。態々アメリカに来て短期間勉強するのであれば、出来るだけ「遊んで」経験を積んだり、人々との友好の輪を広げたりしてしなければ、人生の中での大きな何かを見失う事になる。

というわけで、少しばかり遊んでほしいのだが、遊びには色々な種類がある。毎週末の行事としては、ハッピーアワー、中華料理満喫、カラオケ、野球観戦など、色々なチョイスがある。一回20-30ドルか?シアトル近郊には、国立公園、キャンプ場やスキー場など、日帰りで行ける遊び場が溢れている。一回で100ドルくらい見ておけばよいし、満足度も高い。少し遠出をして、ブリティッシュコロンビア、イエローストーンやバンフにまで足を運んでみるのも良いだろう。一回で300-400ドルかかる。ただし近場の「山」に飽きてきて、違う事をしたくなるとかなりコストがかかる。ビーチで泳ぎたければハワイやロスカボスまで行かなければならない。カリフォルニアや米国東部に行くのもお金がかかる。こういう遊びをすると800-1000ドルくらいは最低みておかなければならない。

シアトルの長所は、日本へ近いという事だ。カリフォルニア程ではないにせよ、日本行きの航空運賃は比較的安い。最近では東京への往復だと、$1000くらいが基本になっているようだが、東海岸や米国南部から日本に行くとなると軽く1.5倍はするだろう。

全てを考慮して、日本人としてアメリカで気持ち良く一、二年程度過ごすのであれば、総合的にシアトルは安い方であると考えて問題ないだろう。一年間ESLに通いながら結構遊んだ場合、車無しで35,000ドルくらい。車有りで40,000くらいかかるというのが私の計算である。この額は年収500万から600万に相当する。基本的にアルバイトは出来ないが、東京で1人暮らしをしながら学校に通いバイトもしないで悠々自適な生活をすればもっとかかるだろう。これを人生の経験として高いと受け止めるか、安いと受け止めるか?その判断は読者に委ねる。

ただし、現在の米国は現在の日本に比べて物の値動きが激しい事に注意が必要だ。まあ、どこに行こうと、安くしようと思えば賢く安くできるし、贅沢しようと思えばいくらでも贅沢できるので、ここに書いてある事を鵜呑みにされる事は望まない。この記事は、あくまでも学生用の物であり、仕事をしながら子育て生活するとなると、シアトルは馬鹿高い。まあ、その辺の話は機会があれば書く。

追記(2015年年末の時点):1ドルは120円くらいになっています。また、学費は10%ほど値上がりしています。家賃は、2割ほど値上がりしています。

5/28/2013

国際金融のトリレンマ:資本移動を犠牲にするのか???

黒田日銀総裁が、かなり面白いスピーチをした。ミルトン・フリードマンが言った「自由な資本移動と金融の安定、および国家単位の金融規制・監督の3つを同時に達成することはできない」という国際金融のトリレンマという考え方があるのだが、この話を態々持ち出したのだ。この話自体は、大学の国際金融のクラスを一つ取れば紹介される話であり、何故固定相場制が上手くいかないのか、などの話につながる。

黒田氏と安倍首相は円を安くすることを公言している。そして、インフレ率2%を達成したうえで長期金利は抑えると言っている。すると、残りの一つを犠牲にする事になる。つまりは、自由な資本の移動である。黒田氏と自民党は、日本から、または日本への自由な資本移動を制限しようと企てるのであろうか?

態々トリレンマの話を持ち出したので、非常に気持ちが悪い。

11/21/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(2):国債バブル崩壊へ

前回は現状認識を説明した。出来る事など限られており、何をしても茨の道である認識は地震の前から変わっていない。ただ実際にギリシャなどの問題が起こってしまったため、国家破綻がリスクとして投資家に認知され始めたことは事実である。

民主党が下野するのが事実上決定しているため、円が安くなり株価が上がっている。皮肉家達は「円が安くなっているのは、安倍晋三のリフレ政策を警戒しているため」と扱き下ろす。そしてそれに乗り掛かる無節操な投資家が後を絶たない。

前回説明したが、デフレ退治は十年以上にわたって試みられているが、成功した試しは無い。元を辿れば、速水が良いデフレなどとふざけた事を言って対策を打たなかった事が全て悪い。一度デフレになれば、それをインフレに戻す事は容易な事ではないのだ。ただ、今回の安倍次期総裁の政策は、デフレ退治と言う意味で成功しそうだ。それを少し説明する。

デフレ下では国内の投資の回収が困難で、市場にお金が回せにくくなっている。そこに資金供給を無理矢理すると、小泉時代の様に円キャリートレードが起こって円安になった。が、外的要因で円キャリートレードが巻き戻り、円高方面にぶれてしまった。その穴埋めに、市中の銀行は日銀から低金利で資金を借りまくり、国債を買うという無意味は投資を始めたわけだ。国債の需要が高まり、国債の利率は低いままだ。日銀が資金を注入しても、銀行はせっせと国債を買うため、市場にお金は回らずインフレも起きない。

「円高」・「国債の低利率」・「現金保有欲」は現状ではセットである。どれかを切り崩せば、上手くインフレに誘導する事が出来るかもしれない。一番簡単なのは、為替を操作する事だ。円を人為的に低くする事は決して難しい事ではないのである。

で、安倍総裁のリーダーシップで外圧を省みずに円安政策を押し通したとする。株価はまちがいなく上がるだろう。さらに安倍氏が言うように、日銀に圧力をかけて量的緩和を行い、市中の銀行にお金を流すとする。すると銀行は二つの選択肢をとる。一つ目は円安の方向性なので、円キャリートレードを再び始めるという事だ。そしてもう一つは国債ではなくリスクの高い株などを買うという事だ。そうするのが理性的な行動である。そうなると銀行が国債を買わなくなる。すると国債の引き受け手が無くなってしまう。40兆円の歳入に90兆円の歳出。50兆円分の国債を引き受けてもらわなければ国家の首は回らない。

日銀は無担保コール翌日物のレートは変動させる事ができるが、長期国債のレートは市場が決める。引き受け手がなければ、国債の利率を上げて売るしかない。円キャリートレードや株式市場キャピタルゲイン率を考慮した利率にせざるを得ない。長期国債の利率があがると、国債のフェアヴァリューが下がる。すると、銀行や保険会社は無駄に国債を保有しているので、国債を売ろうとする圧力が掛かってくる。国債バブルの崩壊である。

国債の売り圧力がおこり、国債の買い手がつかなければ、利率をどんどん上げるしかない。長期国債の金利はローンの利子に影響するので、住宅ローンなどが高騰する。今までの低利子で固定していたような政府発行のローンが焦げ付き始める。フラット35などは機能しなくなり、税金で救済しなければならない。さらに国債を保有している市中の銀行は大赤字を被る。国債の値段が下がればアセット価格が下がってしまうからだ。最終的にゆうちょが経営危機に陥る。ここで日本経済はジ・エンドとなる。

日本国の信用が揺らぎ、円がさらに売られる。1ドル200円や300円といった事も考えられるかもしれない。こうなれば歳出を大幅に削らざるを得ず、年金などがカットされる。南欧の様にデモが起ころうとも、多くの公務員もカットせざるを得ないだろう。50兆円分の歳出カットは相当な血を流さざるを得ない。助成金は悉く断たれ、多くの保護産業が傾く。ハードランディングした日本は相当の膿を出す事を強いられる。物の値段は高くなり、生活は苦しくなる。失業者も飛躍的に増える。同時に経済は悪化する。これをスタグフレーションと呼ぶ。日本のGDP(PPP)は中流国家並みに落ちる。

安倍が目論むリフレはこういったハードランディングのシナリオを短期で引き起こす可能性がある。国債バブルが弾けて、日本社会は苦渋を舐めなければならない。多くの経済学者は、これを予想しているので警鐘を鳴らしている。中にはこういったリスクを望む連中もいるだろう。逆張りして儲けようとたくらむ連中達だ。どちらかと言えばドルで金を貰っている私も、日本が破綻してくれた方が儲かる可能性が高く、嬉しいというのが本音である。普通に暮らす日本国民は、誰の言葉を聞かなければいけないのかを真剣に考えてほしいと思う。

残念ながら日銀はこの未曾有の危機に対しては何も出来ない。ただ日銀は金を刷り続けるので、ハイパーインフレはまず起こらない。

さてあなたならどうしますか?自己防御するしかないのだが、一番怖いのは資本の移動が制限される可能性すらあるという事だ。国債バブルの破裂は既に仕込まれている危機であり、安倍首相の誕生はハードランディングを引き起こす可能性が高い訳だ。体力のあるうちにハードランディングをしたいと考えている有識者が多い事にも驚かされる。この問題は急に出てきたものではない。問題の本質は政治的に早期解決のしようがないので、マグマの吹き溜まりは時間が経つごとに大きくなっている。確かに早く爆発してくれた方が混乱のインテンシティーが低い。

私はこの記事において、安倍氏の政策が発火の引き金になる可能性があると指摘をしているのだ。残念ながら日本の財政問題はすでに手遅れである。安倍は前回に首相だったときにこういった政策を取るべきだったのだと思う。しかし、時は既に遅すぎた。最終章では、嘘と本当を検証する。



PS 安倍氏のブレーンは時計泥棒の高橋洋一氏であろうが、浜田宏一氏も安倍を応援しているようだ。浜田氏はインフレの方がデフレよりも良いという極当たり前の事を言っているだけで、どうすればデフレからインフレになるかには触れていない。私は浜田氏の授業を受けた事があるのだが、酷い授業だった。日本の記者クラブがいかに官僚の意に適うように出来ているかという事を、ワシントンポストからゲストを招いて紹介していた。ある週は、堺屋太一をゲストスピーカーとして日本からわざわざ呼んできて、無茶苦茶な講義をさせた。日本人の私にとっては、面白いと言えば面白かったのだが、他の同級生は授業のレベルの低さに驚き、時間の無駄だと嘆いていた。

その授業のせいで私は堺屋太一氏を完全に小馬鹿にしている。堺屋太一こと池口小太郎は、ただの文系物書きであり、経済通ではない。維新の経済政策を堺屋太一がブレーンとして引き受けているらしいが、それは間違った人選だと思う。維新は原・上山・竹中という比較的物分りの良いまともな人材から、古賀さんのように微妙な人から、堺屋・高橋・飯田といったイデオロギー系の思い込みの激しい人までをブレーンとして使っており、全体的に考えるとかなりバランスが悪い。

余談は長くなったが、浜田氏は勉強が出来るタイプであるのは間違いないが、授業を通して、経済が実際にどういう風に動いているのかなどに疎いとしか思えなかった。インタビュー記事などを読んでも、ずれた話しかしていない。どころか、肩書きに物を言わせて、偉そうな事ばかり言っている嫌味な人間としか思えないのだ。授業中も、ずっとにやついている癖に、人を小馬鹿にしたような上から目線が目立ち、アメリカで受ける授業としては異色尽くめだった。あらゆる意味で物凄く日本っぽい授業だったし、調子に乗って浜田教授の授業に参加した事を後悔した。

日銀のせいでデフレになったと言う事実を否定する人はいない。日銀が間違った政策をとった事も否定しない。デフレよりもインフレが良いというのは諸手を挙げて賛成する。教授の肩書きを使わなくとも、浜田氏の主張は極当たり前のものである。しかし、デフレになってから何をするべきか、という意見には浜田氏はきちっと答えていない。

魑魅魍魎が跋扈する市場において、浜田氏が何を見ているのかは不明である。その癖、学会の外の人間を小馬鹿にするような発言を続ける一方、明らかに基礎知識を欠いている産経の田村秀男氏を褒めるなど、ちょっとぶっ飛んでいる。年寄りの戯言に付き合えるほどの優しい状況ではない。こういう事は書きたくないが、若かったときは、もっとシャープな方だったのかも知れない。浜田教授が歳をめされる前に授業を取りたかったものである。

浜田氏は小便の臭いのするニューヘイブンの街で年金を得て老後を過ごしてお墓に入って逃げ切れば良いのだが、若い日本国民の多くはスタグフレーションで大ダメージを被る可能性があるのだ。浜田氏は日本が破綻した暁には、逆に喜んで強くなった米ドルを持って日本に帰ってきて余生を楽しむのかも知れないが。或いは、どこかに名誉職があるのだろうか?イエールの教授職をあの歳になっても手放さないなど、名誉に相当拘っておられるのかも知れない。

11/01/2011

中国バブル崩壊の予兆?

前々から言っている事だが、ギリシアの問題は一応の解決を見せた。政治が解決しようと思えばいつでも解決しえた問題であったからだ。ユーロは理想論で営む社会実験であり、今後様々な事象を是正していかなければならない。ヨーロッパ中央銀行を作ったり、国境を越えた労働市場の自由化を促進したりといった事だ。ただそれらは各国の政治として微妙な問題であり、紆余曲折を経るものと思われる。しかし解決方法を皆が知っているので、マーケットが乱高下しようが、絶対に解決する問題であるのだ。

現在の世界には幾つかの大きな地雷がある。1)アメリカ債権問題、2)日本の債権問題、3)ユーロの構造問題、4)中国バブル、5)新興国バブル、そして6)資源バブルである。1~3をひとくくりにして発展国のソブリン危機、4~6をひとくくりにしてリスクテーキング・アルタナティブ・インベストメントとして扱っても良いかもしれない。グローバル経済において、経済は根のレベルでは総て繋がっているのである。

ギリシアの問題が踊り場を越えると、中国経済に黄信号が燈っているというニュースが次々に出てきた。温州商人のニュースを以前紹介したが、中国経済減速のニュースが統計の数字になって表われ始めている。ブルームバーグによれば、中国の住宅価格指数が9月に0.03%下落したのに続き、10月には0.23%落ちたというのだ。100都市のうち、北京や上海を含む58の都市で不動産が下落しているという。イケイケドンドンだった中国の住宅・建築市場に翳りが見え出したのだ。

最近、香港のディベロッパーの株価下落のニュースが喧しかったが、バークレーは香港の住宅価格がハードランディングのシナリオ下で45%は下がるだろうと予想し始めた。香港政府の統計によると、9ヶ月連続で香港では住宅売買数が下がっており、6月から9月にかけて既に3%住宅価格が下がっているという。香港の不動産市況を見れば、東京や大阪の不動産価格の安さに驚いたものだが、盛者必衰の理をあらわすのは世の常である。

温州の新幹線事故以降、9割の公共事業がストップしていると言うし、主要な港には物品の在庫が溜まり、コンテナ船が着岸できないという話しも聞く。港の倉庫に積まれた物品を引き取ってもらおうと客に電話をすると、電話は既に通じないらしい。

この傾向が続き、共産党政府が魔法を使わなければ、「バブル崩壊」がいよいよ現実の物となる。「ざまあ見ろ、中共!」とハナで笑いたいところだが、ここまでインテグレイトされたグローバル社会では「対岸の火事」というコンセプトは存在しない。蝶がハワイで羽ばたけば、オクラホマでハリケーンが起きるのである。では中国資産バブル崩壊で何が起きるのか?以下に起きそうなことを列挙した。上の項目ほど可能性が高く、下に行くほど可能性が低くなる。

• シンガポール・香港・台北・ソウル・シドニー・バンクーバーなど中国マネーで潤っていた発展都市の不動産価格の急落
• 資源価格の急落
• 世界株安
• キャリートレードをしていたアメリカドルへの回帰、相対的な米ドル高騰
• ベトナム・インド・インドネシアなどに投資が避難
• 東京や大阪の不動産価格の上昇
• 株安が一段楽した後、日本国債の長期割引率の高騰

さあ、あなたは自分の身を護る為に何をするだろうか?

サウジはポンコツ。何も出来ない

フーシ派がマユン島を占領して、紅海の入り口をコントロールしており、ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)がトランプに米軍がフーシを攻撃するように要請したとのニュースが流れた。トランプは断ったという。このニュースを受けて、原油は暴騰。 サウジはアラブ諸国の雄じゃないの?このくらい、...