11/06/2026

アメリカ社会は言行不一致

日本社会では、「言行不一致」はモラルに悖る行為である。実行が伴わないまま、口から出まかせをいう事は非常に恥ずかしい。軽率に口から物を発するくらいであれば、寡黙を貫く事こそが美徳であるというような風潮さえある。学校に通う日本のちびっ子たちも、中学生に上がる頃には、このあたりの道徳観を理解し、ADD以外の子は教室で質問する事すら避けるようになる。政治家も言行が不一致であれば、メディアに徹底的にたたかれてしまう。口から発することが比較的信用できる社会となる。「本音」と「建て前」が分かれていると、道徳観が劣る人間であるというようなレッテルさえ張られかねない。本音と建て前を分けるのは「甘えの構造」所以であるというようなエキセントリックな厳しい指摘をするような厳しい人まで現れ、そういう書物が人々にうける。

この常識は、島国日本のガラパゴスだと思っている。世界のほとんどの地域では、二枚舌が当たり前である。言っていることは立派だが、何もやってない/やっていることは違う、と言うような人たちで溢れている。政治に関しても、表向きに語られる「綺麗事」と、人々が実際に取る「行動」の間には、常に大きな隔たりがある。本音と建て前をわざと乖離させているというよりも、日本のように二枚舌を道徳悪ときめつけるような社会風潮が無いのだと思う。本音と建て前が乖離しているのが世界の常識であり、他国の社会現象やニュースを見るときは、この観点は重要であることには留意して欲しい。外国ニュースのレトリックを文字通り受け取ってはいけない。

アメリカは「本音」と「建て前」を完全に分ける社会である。というよりも、「本音」を語ってはいけない文化である。ポジティブな「建て前」以外を話すのは、モラルに悖るというような文化だと理解している。だからこそ、社会の本音を語ることが多いニュース番組は評判が悪く、子供に見せたくない番組となってしまう。

他人への罵詈雑言を呼吸のように発するトランプは、モラルに悖る人間である。ただ、綺麗ごとを言ってきた二枚舌社会へのアンチテーゼという意味では、非常に面白い政治家となりうると考えられた。で、トランプを担いで共和党は力を取り戻した。

トランプは、物価を下げ、税金を削り、無駄を削減し、戦争を終わらせ、政府を効率化し、違法移民を取り締まり、薬物をなくし、関税で儲けたお金を国民に還元し、工場をアメリカに戻す、と約束した。伝統的な共和党の正統派の人からすると、トランプは毛色が違う変なおっさんである。ただ、MAGA派を中心とする社会の落後者が、熱くなって共和党を支持してくれているので、共和党政権にさえなれば、共和党のアジェンダを推し進められる。トランプは理想的な傀儡である。小さな社会、個人の自由、法律を文面通りに順守する社会、保守的な宗教感への国家の不干渉、市場経済の重視と政府の不干渉、みたいな共和党のヴァリューを推し進めるぞ、と。ただ、トランプは、関税とか、他国への干渉とか、ホワイトハウスの改修とか、無駄な事ばかり言っているなぁ、と勿論感じている。口で言っているだけだからと、保守のまともな連中はトランプに面従腹背で文句を垂れなかった。誰も「王様は裸だ」と言わなかったのである。

第二次トランプ政権。トランプは自分の虚栄心のためのレガシーづくりに固執し、GOPの理念から掛け離れた事を実行しようとしている。関税、外国政策への干渉、ホワイトハウスや凱旋門や地図の書き換え。いい加減にして欲しい。トランプが言っていた良い政策は、悉く議会が潰してきた。John Thune率いる共和党の上院議員は、政府の効率化や予算削減を拒み、DOGEを潰してしまった。大山鳴動して、結局、政府は焼け部取って、支出は増えている。一体何をやっているのだ?

共和党の上院が負けたのは当たり前。トランプのやりたかった事が、共和党の上院の反発のために潰されたのだから。

トランプ政権が支持されなかったのも当たり前。保守本流のアジェンダから外れ過ぎたのだから。

民主党のアジェンダが採用されたのか?違う。プロジェクト2025と言わないまでも、まともに保守本流のアジェンダを通せよ、と。政府を効率化せよ、とアメリカ国民は叫んでいる。焼け太った政府をスリム化せよ、と。民主党のアジェンダを心の底から支持したのは、一部の都市住人や、苦労を知らない若者だけである。



アメリカ社会は言行不一致

日本社会では、「言行不一致」はモラルに悖る行為である。実行が伴わないまま、口から出まかせをいう事は非常に恥ずかしい。軽率に口から物を発するくらいであれば、寡黙を貫く事こそが美徳であるというような風潮さえある。学校に通う日本のちびっ子たちも、中学生に上がる頃には、このあたりの道徳観...