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6/29/2011
ポートランドの海南鶏飯(カオマンガイ)
アメリカは発展国としては物価が極端に安い。物が溢れている為に市場原理が機能している事と、不法移民を利用して安い労働力で三次産業が成り立っている事、インフラが発展している為にサプライチェーンの最適化がしやすい、など色々な事が考えられる。オレゴン州はシアトル市があるワシントン州の南に位置している。コンピューターや家電製品、車のタイヤなどをまとめて購入する際、シアトルからポートランドまで3時間ほどドライブがてらにオレゴンに行く事がある。オレゴン州では消費税がゼロ%であるのだ。ワシントン州は10%弱なので、オレゴン州で買い物をすると1割ほど安い事になる。ポートランド周辺のショッピングモールに行くと、最近では北京語を巻き舌で話す人達で溢れ返っている。ショッピングセンターに勇んで出かけて買い物をしようとするのだが、その人達の熱気に押されて、買い物する気が失せてしまうというのが最近の私のパターンである。
まあ前置きはどうでもいいのだが、用事があってポートランドに数日滞在した。別にショッピングには興味ないのだが、私はポートランドを愛して止まない。何故なら、ポートランドのB級グルメは非常にレベルが高いからだ。ポートランドのダウンタウンには食べ物を売るカートが集結しており、色々なB級グルメが堪能できる。しかも、外食税はゼロである。
アメリカのストリートフード10傑に選ばれた事もあるという、Nong’s Khao Man Gaiを食べる。英語でチキンアンドライス、$6としてある。11時30分で昼食には早いが、既に人が並んでいて、かなり期待がもてる。紙に包んで出てきた物は、カオマンガイ、所謂「海南鶏飯(ハイナンチーファン)」であった。中国海南島出身の人が考案し、シンガポール名物の海南鶏飯が、タイの屋台でカオマンガイとして進化し、オレゴン州はポートランドでそれを味わえるのだ。なんと世界は狭いのか。
鶏はふっくらと茹でた物をきっちりと冷やしてあり、チューイーな歯応えが良い。鶏の出汁で似たタイ米はジューシーであり、香菜(シャンツァイ)と胡瓜が載っている。それに秘伝の生姜魚醤をかけて食べる。生姜魚醤だけでご飯三杯はいけそうだ。噂に違わず、鶏の出汁でしっかりと味付けをしている温かいご飯と冷たくキリリとしている鶏の組み合わせは何とも言えない。B級グルメの王道とでも言っておこう。
しかもスープがついてくる。鶏出汁に、酸菜(スワンツァイ)を入れた酸っぱいスープ。まさに東南アジアの屋台の味だ。子供を背負った若いお母さんが作り、排気ガスの臭いがする蒸し暑い夜に外で食べる、あの何ともいえない味なのだ。6ドルの昼飯にこれだけ心躍るのは久々の事である。中国人の多さに辟易して一旦止めた買い物をする元気が再び湧いてきた。
世界の各地からアメリカに渡って来る人達。その人達のプライドが垣間見えるポートランドのストリートフード。是非お試しください。
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