6/29/2011

昭和の臭いがするお笑いリニアモーターカー計画

日本経済が悪くなって打開策が見えない状態で20年ほどやって来た。日本のエスタブリッシュメント層の驚くほど多くの人達が、オリンピックや新幹線を経済起爆剤として使いたいと考えているようだ。そういうニュースを見るたびに、「あほちゃうか?」と考えてしまう。

中央新幹線、いわゆる中央リニア計画は、すでに規定路線となってきた感がある。大阪と東京を1時間で結ぶと言うことで、夢の鉄道と目されている訳だ。確かに東京-大阪間が1時間になれば、「のぞみ」の2時間35分から片道1時間35分短くなり便利になる。それにかかる総投資額が約10兆円。そして、品川から新大阪までの路線が開通するのが最短で2045年。まともな人なら、そこまで聞いた時点で「はい、お疲れ様!」と言うだろう。

現時点で大阪-東京間は3時間弱であり、飛行機なら45分である。片道が平均で1万5000円弱。そこに、新大阪から品川まで1時間で1万7千円のリニアモーターカーが加わる。航空会社と鉄道のカニバリゼーションを起こすのみでなく、JR内でカニバリゼーションが起きる。

大体JR東海は本当にリニア計画が自分達の会社に利益になると考えているのだろうか?JR東海は東海道新幹線の減価償却がそろそろ終了するので、新たな投資先を探したいと表向きは騙っている。しかし経営陣は退社後の利権が欲しいだけだろう。自分がやめた後の会社はどうなってもいいが、退社後は利権でヌクヌクとしたい、という事だと思う。典型的なエージェンシー問題だ。そこに利権に飢えた政治家や土建屋が群がっていると言う、典型的な「角栄型」日本利権構造が未だに続いているのだ。

東京と大阪間のビジネス出張の需要が今後増えるとでも思っているのだろうか?今後は日本の競争力低下に伴って、そのような需要も徐々に収縮していくのがオチである。ビジネス客が減れば、東京-大阪間の人の往来の需要を埋める可能性は、個人客にかかると考えられるが、その人達は簡便性よりも価格優先だ。

のぞみを増発して簡便性を向上させた上に、新幹線の運賃を下げて、乗客に還元したほうが日本の社会にとって役に立つと思う。ビジネス客用のビジネスクラスは今のままの価格に据え置いて、もう少し色々なサービスを向上させる。そして、狭いが低価格のエコノミー車両を作ってエコノミー席は片道を3500円+スーツケース代金くらいにすれば良い。

リニアモーターカーや東京オリンピックが未来の日本経済の起爆剤になるとでも真剣に考えているような人がいるとすれば、ただの昭和解雇主義者か、勉強をしていないケインジアンか、利権が欲しいだけのゴキブリのうちのいずれかだろう。原発全て廃止とか言っている前に、無理矢理押し切られそうなリニア計画を辞めさせるべきだ。国交省は意地でも東京-大阪間の運輸運賃を1万5千円前後で固定して価格競争を辞めさせようとしている。政府のマーケットへの無駄な干渉を辞めさせるべきだ。非常に便利な夜行バスなどが跋扈して、現実は価格自体が既に崩れているのだから。

しかし格安夜行バスだが、あれは運輸バスでは無くてツアー企画だという事を御存知だろうか?そのため、運転士以外の添乗員が一人ついていて、一応マイクで色々説明する。ああいう面倒くさいことをしないと許可が降りないのだ。日本の無駄な認可制度はいい加減にして欲しい。

マスコミは直線ルートにするか、迂回ルートにするか、などと馬鹿げたことを言っているが、「計画廃止」という選択肢がある事も私達にはっきりと示唆して欲しい。これほど対費用効果が少ない無駄な投資はないだろう。例えば、空港まで新幹線を伸ばして、日本航空の株主になるなど、もっと会社と日本社会両方のためになるような事にお金を裂いたらどうなのか?

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