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アメリカで売春や性風俗の話はしてはいけない。大阪には必要である。

アメリカという国は、思っている以上に保守的で宗教的である。アメリカ流のキリスト教的な価値観があり、右も左もその上で戦う。マリファナを推奨したり、同性愛結婚を推奨したり、戦争反対を言ったり、死刑廃止を訴えたり、中絶を支持したりする人達も、キリスト教のアンチテーゼとしての政治的な発言を行っているに過ぎないのだ。「米流キリスト教」の足枷からは抜けられないのだ。アメリカ流のキリスト教的な価値観を理解しない人には、アメリカ社会の政治動向は理解できない。

自由の国と言われるアメリカだが、タブーが数多く存在する。女性問題もその一つである。女性を貶める発言は、完全に「NO、NO」である。政敵を駆逐する際には、その人が女性を軽視していると吹聴すればよい。敵国家を冒涜する際には、その国家が女性の地位を蔑ろにしていると宣伝すればよい。

橋下知事の発言が注目を集めている。慰安婦問題に触れ、米軍に風俗利用を推奨したのだ。これはアメリカでは「NO、NO」である。アメリカでは、売春行為に対する過度な不忍容さがある。アメリカでは、ネバダ州のナイ郡などを除いて、売春は違法である(トリビア:ラスベガス市内では売春は違法!)。政治家や会社経営者が売春行為を行ったことがばれると、ほぼ間違いなく職を追われる。売春などの話に関して綺麗事を述べないことにはアメリカ社会では生き残れない。一般の日本人とはモラルの基準が違うのだ。どのような意見を持っていようと、公の立場のアメリカ人が売春問題について触れることはない。そういうタブーの話題が出てくること自体が不快なのだ。

私は大阪の繁華街で育った人間として、橋下発言はもっともだと思うし、橋下市長の考えている「人間」の快楽主義に沿った社会の在り方が、大阪の繁栄には必要であると考えている。歴史的にも、例えば江戸時代などは日本では「快楽主義」は許容されてきた筈だ。ただ日本人の中にも、こういった話を「攻撃対象」と考えるメディア関係者もいるし、綺麗事を好む視聴者・読者もいるわけだ。私は、橋下市長には大阪の快楽主義に沿った人間臭さを政治信条として、大阪市の発展に寄与して欲しいと考えている。ただ、モラル意識の違う政治基盤との間で、自由奔放な発言を政治摩擦に利用されないように、慎重に発言して欲しいとも思う。

アメリカでは売春行為が違法である。昔の映画に出てくるような、車道やモーテルの前にハイヒールを履いたけばいお姉ちゃんが突っ立っているような光景は、絶滅危惧状態である。高級エスコートは安心して利用できるだろうが、べらぼうに高い。アジア人が経営している小汚い「サウナ」でも売春行為は罷り通っているが、東アジア人か貧困層出身の初老(50代くらい)のおばさん達が相手をしてくれる。手早くサービスを受けたい一般の猛者は、クレイグズリストや地元のフリーペーパーなどを通してエスコート、アウトコール(客のところに行く)やインコール(客が指定された場所に行く)などの違法な売春行為を利用する。最近ではリンクドインなども利用されていたようだ。

アメリカで上記のサービスを受けようとすると他の先進国と比べて、べらぼうに高い事に気付かされるだろう。サービス内容にもよると思われるが、日本のように売春に「準ずる」行為が明瞭会計で一万円以内などという事はあり得ない(売春行為は日本でも違法です!)。何故このような違法行為が蔓延るのか?理由は橋下氏の言うように、猛者の性的なエネルギーをコントロールできないからである。しかし、繰り返しになるが、虎の尾を踏みたいアメリカの公人は、絶対に存在しない。アメリカ人の中にもこういった行為を好む人たちは少なからずいる。そういった人達の多くは、南米、ヨーロッパやアジアに行く。米国は「性風俗遊び」には適さない不毛の地であるのだ。日本人の中には勘違いしている人たちが多いが、アメリカは日本以上に「本音」と「建前」をきっちりと分けている国なのだ。政治の場で「ぶっちゃけ」トークは罷り通らない。

余談だが、南部を中心に一部の州においては、ソドミー法と言う物が未だに存在している。例えばヴァージニア州では、如何なる男女も、オーラルセックスや肛門性交をしてはならない、となっている。これに違反すれば、一年以下の懲役に処せられる。これは結婚しているカップルにも適用される。守られる筈もないこのような法律が存在している事自体、何をかいわんや、である。

閑話休題。「平均」的な話をするが、エリート主義がなく、快楽主義をある程度許容する物分かりの良い日本人。ピューリタン的に快楽主義を認めたがらず、ストイックさの建前の下で、家族の価値を説きながら、離婚率が高かったりするアメリカ。これは、文化的な背景の違いである、とするしかないのだと思う。欧米などと一括りにする人がいるが、ヨーロッパに行くとこれらの常識がまた通用しなくなるのだから面白い。ヨーロッパでは場所ごとにキリスト教を背景とするモラル意識が異なって発展している。宗教戒律的には厳しい筈の南欧の方が性に大らかであったりするのだから、宗教問題のみに注目するのも間違いである。「キリスト教」自体が一枚岩ではないので、アメリカの政治現象を本当の意味での「キリスト教」に源を求めることは間違いだ。ただ、文化と宗教は切っても切れない関係だ。アメリカにはアメリカ流のキリスト教が発展し、人々はそういう文化に縛られている。外野から見ると、滑稽でもあり、羨ましくもある。

日本には日本人がその歴史的コンテクストの中で培ってきた文化がある。我々日本人は、自分たちの文化がどういった物であるかを綺麗事を排除して意識する必要があるだろう。誇れるべきものも、好きでないものも、すべて含めて日本で培われた文化であるのだ。そして、日本の地域ごとに根差したローカルな多様性も考慮するべきだ。それを他国と単純に比較して優劣をつけても仕方ない。多様性こそがグローバリゼーションの合言葉な筈なのだから。

* アメリカにやって来る日本人の中には、パーティーなどの場で風俗に行った経験などを臆面もなく語ってくる人がいます。社会的な地位がある医者やビジネスマンの中にさえ、そういう人達を見かけます。そういった話題を公の場で許容する下地は米国にはありません。お金を出して女性から性的なサービスを受けたなどという話題をした時点で(仮に男同士であっても)最低人間のレッテルが張られます。そういう話題は、本当に仲の良い人たちとマリファナを吸っている時のネタにしてください。不特定多数の人がいる中で、こういう話題は絶対にダメです。性の話題自体は、状況次第で可能です。学生同士や、ユダヤ人社会には常に受け入れられます。ただ一般的に、クリスチャンのエリート層は、大多数の日本人と同じように、性の話も嫌がります。

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