スキップしてメイン コンテンツに移動

2013年ムーアのトルネード:トルネードから身を守る方法


私は日本で育ったため、地震、津波、台風などの自然災害の際にどうするべきか、という事は解っているつもりである。どういった規模の災害で、どのような状況であれば、命が無くなる虞がどのくらいなのか?リスクをある程度把握していると信じている。

アメリカの大西洋北西部では、数百年に一回という規模の大地震以外は、自然災害はほとんどない。大雪が降っても、嵐が来ても、洪水に見舞われようとも、命を落とす危険はあろうが、局地的な話である。

米国の南東部にやって来た。この地方ではグレートプレーリー地方ではないにせよ、竜巻(トルネード)が起こりうる。春は竜巻が特に多い季節であり、引っ越してきて既に竜巻警報に遭遇した。新しい土地で、地名も解らず、ウェザーチャンネルを見ても、私が住む場所が危ういのかどうかも解らない。どこに行けば安全なのかの知識もない。テレビもラジオも番組を中断して、警報を知らせる不気味な音が響き渡る。家の奥に逃げろと言う。急にゴルフボール大の雹が降って来て、あたりが暗くなる。そして、間断なく雷が鳴り響く。風が強くなり、雨がバケツをひっくり返したように落ちて来た。視界は不良で、20m先も見えない。停電して、テレビもラジオもない。どうして良いか解らない。トルネードは来るのか?クローゼットの中で待つこと20分。やがて雨が収まり、電気が戻る。トルネード警報も解除され、新しく移り住んだ町でトルネードの危険は去った、とラジオの気象予報士が告げる。正直、かなり焦った。

翌日、同僚に話を聞くと、そんな事は日常茶飯事らしい。私が経験した竜巻警報は、とても些細なものであったようである。いわば、小型の台風が室戸岬に上陸して、暴風警報が出ているので学校は一応休み、くらいの物であったようだ。

その後、トルネードの速報に対してはアンテナを張り巡らしている。ウェザーチャンネルでは、トルネードが発生する確率をToR:Conという数値にしている。例えば、ダラス4/10だとすれば、ダラスから50マイル以内の地域で、40%程度の確率で何らかのトルネードが確認される、といった具合である。

トルネードが来ればどうすれば良いのか?「地下の部屋に籠る」である。これ以上の答えはない。

もし、地下がなければどうするのか?家の最下階の、なるべく奥に囲まった、窓のない部屋で過ごす。たとえば家の奥まった場所にあるトイレ、それもバスタブの中に伏せて身を潜める。トルネードの中心では、猛烈な風が吹き荒れる。例えば、一番強いトルネードであれば時速300KM、新幹線から手を出すようなものである。それに巻き込まれた街路樹、木材や建材、金属片などが空を飛んでいる。それらが家に当たったとしても、家の中心部、例えば壁を3枚ほど隔てれば、助かる可能性は高い訳だ。窓のすぐ横や、シャッターのあるガレージなどは論外で、窓が割れたり、シャッターが剥がれたりすると、大怪我をする。この方法では、改良藤田スケールで4や5のトルネードが運悪く真上を通過すれば、ほぼ助からない。地上の物は根こそぎ引っ剥がされるからだ。

トルネードが多い地域では、トルネードシェルターなるものが売られており、それを常設した家も多い。そういう所に逃げると命が助かる可能性が上がる。

運悪く運転中にトルネードに遭遇した際は、橋梁を見つけ、橋と橋台の下の隙間に隠れると、生存率が上がるそうである。

トルネードは30分ほど前に予報が可能であるうえ、進路が比較的解り易い。トルネードがおこりそうな日は、常にウェザーチャンネルなどをチェックし、どこにトルネードが通るかを見極める必要があろう。可能であれば、トルネードが通過すると予報されている地域から出来うる限り早く逃げ切るという手もある。

地震も怖いが、トルネードも恐ろしい。オクラホマシティー近郊で起こったトルネードにより、ムーアは大ダメージを受けた。ウェザーチャンネルでは、トルネードの発生から、通過、消失までをヘリコプターからライブで完全に中継されていた。恐ろしい光景であった。小学校などが被害を受け、多くの幼い命も犠牲になった。亡くなった方の冥福をお祈りするとともに、迅速なる復興を期待したい。

因みに、ウェザーチャンネルに出てくるグレッグ・フォーブス博士であるが、フォーブス博士はシカゴ大学の偉大なトルネード研究家・藤田「テッド」哲也博士の生徒であり、前述のTor
;Conを開発したのをはじめ、改良藤田スケールの開発にも携わっている。

コメント

このブログの人気の投稿

牛ステーキの部位と食べ方

(広告のクリックお願いします!) 夏になるとステーキを食べたくなる人たちが大勢出てくるのか、友人やその奥さんから牛に関する質問を良く受ける。当ブログの アメリカステーキは何故美味しいのか という偏った記事が一番読者を集めているようである。私自身も牛ステーキが大好きである。アメリカにも美味しい食材がたくさんある。ここパシフィック・ノースウェストでは、生牡蠣、大きな蛤、サーモン、ビンチョウマグロ(アルバコア・ツナ)、銀鱈(ブラックコッドやセーブルと呼ばれる)、ラムのフレンチラックと並び、以下の牛肉類は期待を裏切らない食材である。しかも品質の違いはあれども、どこのスーパーで何時でも手に入ると言う点で、アメリカにおいて牛肉が一番便利なグルメ食材と言っても過言ではないだろう。アメリカ人は幼き頃から牛肉を嗜んでいる為、スーパーのパッケージでどの部位をどのように食べるべきかを知っている。牛のカット法は国によって大きく異なる。アメリカのプライムカットと日本のカットが若干違うため、日本からアメリカに来て間が浅い人は、スーパーなどで牛肉購入時に戸惑うようである。ステーキ用の肉と言う事で、以下に値段順に肉の部位を並べる。 テンダーローイン (Tenderloin) 牛肉の一番柔らかく、脂肪の少ない部位である。フィレミニョンはテンダーローインのショートローイン側(牛の頭側)の一部を指すが、スーパーによってはテンダーローインを全てフィレミニョンと表記している場合もある。理由は、御察しの通り、フランス語で呼べば高級で美味しそうに聞こえるからである。真ん中部分は、シャトーブリアンステーキに使われ、シャトーブリアン(人名を関した調理法の名)とテンダーローイン(牛の部位)をごっちゃにする人も良くみかける。この部位の筋肉は一頭の牛から僅かしか取れない為、自ずと高価になる。  私の意見では、テンダーローインは家庭の「ステーキ料理」としてはかなり難解な材料である。焼いて塩コショウだけをかけると、かなりガッカリしてしまうのだ。高級店に行くと、テンダーローイン系にはソースがかかっている。オ・ポアブルのようにコニャッククリームソースをかけたものや、レッドワインソースをかけたものが出てくる。これらは、バターで脂肪を補っているのだ。が、家庭でこれらの味を模倣することは難しい。...

アメリカで売春や性風俗の話はしてはいけない。大阪には必要である。

アメリカという国は、思っている以上に保守的で宗教的である。アメリカ流のキリスト教的な価値観があり、右も左もその上で戦う。マリファナを推奨したり、同性愛結婚を推奨したり、戦争反対を言ったり、死刑廃止を訴えたり、中絶を支持したりする人達も、キリスト教のアンチテーゼとしての政治的な発言を行っているに過ぎないのだ。「米流キリスト教」の足枷からは抜けられないのだ。アメリカ流のキリスト教的な価値観を理解しない人には、アメリカ社会の政治動向は理解できない。 自由の国と言われるアメリカだが、タブーが数多く存在する。女性問題もその一つである。女性を貶める発言は、完全に「NO、NO」である。政敵を駆逐する際には、その人が女性を軽視していると吹聴すればよい。敵国家を冒涜する際には、その国家が女性の地位を蔑ろにしていると宣伝すればよい。 橋下知事の発言が注目を集めている。慰安婦問題に触れ、米軍に風俗利用を推奨したのだ。これはアメリカでは「NO、NO」である。アメリカでは、売春行為に対する過度な不忍容さがある。アメリカでは、ネバダ州のナイ郡などを除いて、売春は違法である(トリビア:ラスベガス市内では売春は違法!)。政治家や会社経営者が売春行為を行ったことがばれると、ほぼ間違いなく職を追われる。売春などの話に関して綺麗事を述べないことにはアメリカ社会では生き残れない。一般の日本人とはモラルの基準が違うのだ。どのような意見を持っていようと、公の立場のアメリカ人が売春問題について触れることはない。そういうタブーの話題が出てくること自体が不快なのだ。 私は大阪の繁華街で育った人間として、橋下発言はもっともだと思うし、橋下市長の考えている「人間」の快楽主義に沿った社会の在り方が、大阪の繁栄には必要であると考えている。歴史的にも、例えば江戸時代などは日本では「快楽主義」は許容されてきた筈だ。ただ日本人の中にも、こういった話を「攻撃対象」と考えるメディア関係者もいるし、綺麗事を好む視聴者・読者もいるわけだ。私は、橋下市長には大阪の快楽主義に沿った人間臭さを政治信条として、大阪市の発展に寄与して欲しいと考えている。ただ、モラル意識の違う政治基盤との間で、自由奔放な発言を政治摩擦に利用されないように、慎重に発言して欲しいとも思う。 アメリカでは売春行為が違法である。昔の映画に出てくるような、車道やモーテルの前...

アメリカステーキが美味い理由

(注:この記事はミディアムレア以上に焼いたステーキの話であって、生肉の話ではありません。ステーキのレアが好きな人の多くは、単に生肉が好きな場合があります。私も生肉が大好きですが、このページでは牛タタキ風ステーキの話はしていませんので悪しからず。生肉が好きならばわざわざレストランに行かず、 家庭でステーキを食べること をお勧めします。スーパーでニューヨーク・ストリップやリブアイなどと書かれている少し脂の乗った肉を購入して、表面だけを少しだけ焦がして中は生で食べてください。安物のサーロインなどの生焼け肉もポン酢や照り焼き風ソースとも相性がいいですし、ご飯にも合います。この項のステーキの話にそれらの生肉ステーキは含まれていません。ここで扱っているステーキと「ブルーレア」牛たたき風ステーキは根本的に違う食べ物と考えています。牛たたきが美味しいのか、ミディアムに焼いたアメリカのステーキが美味しいのかという話は、軸の違う問題であるため、「りんご」と「みかん」を比べるような不毛な議論です。前置きが長くなりました。) 私は日本の高い和牛ステーキがあまり好きではない。一口目は美味しくて感動するのだが、それは肉ではない。脂の塊を食べており、どちらかと言えばトロなどに近い。日本で年寄りなどに誘われて和牛ステーキを食べさせられることもあるが、肉を食べるという目的の際は、出来ることならご遠慮願いたい。 一方で私はアメリカでステーキを食べることが好きだ。アメリカのステーキは、日本のステーキとはアイディアそのものが異なり、しっかりと赤身を食べさせてくれる。勿論店にもよるのだが(殆どの店は不味い。アウトバ●クやレ●ドロブスターなどのチェーン店でサーロインを注文するとかなりがっかりする事になる。)、かなり美味しいステーキにありつくこともできる。私の友人など、ニューヨークなどに行く度にステーキ屋に脚を運んでいる。最近では、東京などでアメリカンスタイルのステーキを出す店も出てきたようだが、基本的に日本のステーキ屋では美味しい赤身をしっかりと食べさせてはくれなかった。しかしながら、殆どの人は経験上、アメリカ牛のステーキはあまり美味しくないと考えるかもしれない。確かにアメリカでもスーパーで普通に肉を買ってきてミディアムレアに焼くだけではそこまで美味しいステーキは作れない(実はサーロインやニューヨ...