12/24/2006

アメリカステーキが美味い理由

(注:この記事はミディアムレア以上に焼いたステーキの話であって、生肉の話ではありません。ステーキのレアが好きな人の多くは、単に生肉が好きな場合があります。私も生肉が大好きですが、このページでは牛タタキ風ステーキの話はしていませんので悪しからず。生肉が好きならばわざわざレストランに行かず、家庭でステーキを食べることをお勧めします。スーパーでニューヨーク・ストリップやリブアイなどと書かれている少し脂の乗った肉を購入して、表面だけを少しだけ焦がして中は生で食べてください。安物のサーロインなどの生焼け肉もポン酢や照り焼き風ソースとも相性がいいですし、ご飯にも合います。この項のステーキの話にそれらの生肉ステーキは含まれていません。ここで扱っているステーキと「ブルーレア」牛たたき風ステーキは根本的に違う食べ物と考えています。牛たたきが美味しいのか、ミディアムに焼いたアメリカのステーキが美味しいのかという話は、軸の違う問題であるため、「りんご」と「みかん」を比べるような不毛な議論です。前置きが長くなりました。)



私は日本の高い和牛ステーキがあまり好きではない。一口目は美味しくて感動するのだが、それは肉ではない。脂の塊を食べており、どちらかと言えばトロなどに近い。日本で年寄りなどに誘われて和牛ステーキを食べさせられることもあるが、肉を食べるという目的の際は、出来ることならご遠慮願いたい。

一方で私はアメリカでステーキを食べることが好きだ。アメリカのステーキは、日本のステーキとはアイディアそのものが異なり、しっかりと赤身を食べさせてくれる。勿論店にもよるのだが(殆どの店は不味い。アウトバ●クやレ●ドロブスターなどのチェーン店でサーロインを注文するとかなりがっかりする事になる。)、かなり美味しいステーキにありつくこともできる。私の友人など、ニューヨークなどに行く度にステーキ屋に脚を運んでいる。最近では、東京などでアメリカンスタイルのステーキを出す店も出てきたようだが、基本的に日本のステーキ屋では美味しい赤身をしっかりと食べさせてはくれなかった。しかしながら、殆どの人は経験上、アメリカ牛のステーキはあまり美味しくないと考えるかもしれない。確かにアメリカでもスーパーで普通に肉を買ってきてミディアムレアに焼くだけではそこまで美味しいステーキは作れない(実はサーロインやニューヨークストリップやリブアイの牛肉を買ってきていつもステーキを家で作っています。ただし極レアで食べます。)。あくまで、アメリカの美味しいステーキ屋で食べるミディアムレアのステーキが格段に美味しいのだ。

何故、ある種のアメリカのステーキ屋はそんなに美味しい赤身を提供できるのか?勿論、牛のグレードは言うまでもないが、一番大切なことは、熟成方法だ。新鮮な肉を焼いても美味しくない。牛肉はきっちりと熟成させることで旨味が増すのだ。特に、ドライエイジド(Dry Aged)と呼ばれる、冷暗所でじっくりと一ヶ月近くかけて肉を寝かせる方法を取ると、赤身の味が格段に美味しくなる。残念ながらドライエイジドの肉はその辺に出回っているわけではない。アメリカにおいて、効率を追い求めた現在の流通では、肉は直ぐに真空パッキングされ、真空パッケージ内で熟成されることになる。これは、ドライエイジドに対して、ウェットエイジド(Wet Aged)と呼ばれる。この方法でも確かに赤身の旨味は多少増すが、ドライエイジドほどの濃厚な味を求めることは出来ない。

アメリカの高級レストランでは、レストラン独自にドライエイジド法で牛肉を寝かせている。だから値は張るのだが、確かに美味しいステーキを出してくれる。しかも大きさが良い。1パウンド、つまり450gのステーキがスタンダードとなる。脂が多い和牛はレアで食べる方が美味しいが、ドライエイジドの1パウンドもあるステーキなら、ミディアムあたりで中身がうっすらと半生くらいの焼き方が一番合う。(アメリカ人がオーバークックするのか、日本人が生を好みすぎるのか解りませんが、アメリカのレストランでミディアムレアを頼むと、9割以上の確率で、日本ならミディアム以上に焼いた物が出てくると覚悟してください。)

普通、ドライエイジドのステーキ肉など、アメリカのスーパーでは売られていない。しかし、クリスマスを前にして、ホールフーズ(Whole Foods)と呼ばれる高級スーパーチェーンでドライエイジドのリブアイステーキが売られていた。1パウンドで20ドル近くしたが、店で食べることを思えば安い。フライパンで強火で表面をしっかりと焼き、オーブンの中に数分入れる。肉汁と赤ワインとマッシュルームでソースを作った。アメリカの牛肉ステーキは本当に美味しい。結局、ステーキの味など肉次第なのだ。

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