12/03/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(7):社会は国民がつくるもの、クレームは何も産まない。

日銀など政策決定者の本当の政策目的は、長期金利が高騰しないようにすることであるのだと思われる。長期金利の高騰は、金融機関における巨額の損失発生だけではなく、日本国中の資産価値を下落させるという破滅的な影響をもたらすからである。そのために日銀による長期国債の購入が必要なのだ。しかし、その政策が長期金利を低下させるにあたり、副作用として物価は低水準に留まっている(いわゆるデフレ)。この方法以外に、財政赤字の多い日本が生き残る道は考えられない。白川総裁はそれを完全に理解しているのだが、市場の暴走を恐れて手の内をばらす事はできない。よって、ああいう奥歯に物が挟まっているような態度を取っているのだろう。白川総裁が日銀の総裁であり続け、きちんと独立性を保たれた上で意思決定をしてくれるのであれば、「最悪の事態」だけは回避できそうであった。 

しかし、ここに来て政権交代である。クレーマーになる事は容易い。特に民主党を批判する事はアホにでもできる。自民党は漁夫の利であっさりと政権復帰を果たす事になりそうだ。ただ安倍首相の遊説を掻い摘んでチェックしていると、上記の日銀政策を無視して物価上昇を政策目標として掲げているのだ。それは非常に危うい。 日本の財政については回復不可能であると考えるに至っており、遅かれ早かれ長期金利は上昇し始め、円は暴落する。どうせ日本経済はハードランディングに陥るので、どうでも良いと言えばそこまでなのだが、それでも安倍首相の金融政策については危惧している。安倍氏はネット右翼化したのか、過激な政策を提言している。大方の識者は、これを口先だけの実現不可能な政策と捉えているようだが、マーケット的には様々な思惑が生まれやすい「面白い」環境になっており、評価は立場によって変わってくると思う。 

12月16日の選挙の後、間違いなく自民党に政権が移譲され、安倍氏が次期首相に返り咲く事だろう。安倍氏が言っている政策を仮に実行すると、日本財政は間違いなくハードランディングする。今言っている政策を実行しなければ、来年の参議院で自民党はボロ負けし、再び国会が捩れる。またもや一年以内に首相交代であろう。 私がこのブログ上に書いている事など、ほとんどのエコノミストにとっては常識の範疇である。ただ、どのような結論が日本マーケットに待ち伏せしているのか、非常に興味深い。

いずれにせよ、日本型の民主主義が非常に脆く危ういものであるかを皆が知るようになった事だろうと思う。政治家は自分の身の上が第一であり、国民の事などを真剣に考えている節もないし、考える能力もないようである。政治不信と財政問題は、落ちるところまで落ちなければ仕方がないようである。

 最近はCNBCに張り付いて、毎日冷や冷やしながらマーケットを注視しており、本業が疎かになっている。クリスマス前の忙しい時期であるので、一旦このあたりで国債崩壊に関する連載は打ち切ろうと思う。「安倍さんはアホだ。」「日本の財政はとんでもなく悪く、解決のしようがない。」「金利が騰がれば資産価値が下がる。」私は、識者の中では常識の事柄を主張しているだけだ。そんな解りきった事を、一銭にもならない匿名ブログの上に書いている私は、間違いなく安倍さんよりもずっとアホである。しかもアメリカに滞在しているのを言い訳に、選挙権すら行使しないつもりである。どうしようもない最低野郎である。 

それでも、何故このような記事を書くのか?それは長期金利が騰がって資産価値が下がって日本経済が酷い事になったときに、日本国民に「想定外」という言葉を使って欲しくないからである。公共事業やハコモノバラマキ政策を認めた事も、銀行に公的資金を入れずに不良債権問題を長引かせた事も、小泉改革を否定してバラマキを再開させた事も、頭のおかしい反資本主義者を首相に仕立て上げた事も、総ては民意であった。今回の選挙で自民党を選ぶという事も、公共事業の増加や安易なリフレ政策を民意で追認するという意味である。よって、国民が日本経済のハードランディングを選択するという事なのだ。これは想定外ではない。民主主義の我が国においては、国民が私たちの国のあり方を決定している事を決して忘れないで欲しい。 

批判するための批判、或いは現実解決策に対するモラルを盾にした批判がマスコミに溢れている。酷い場合はレッテル張りをして個人攻撃をする。対抗案を出さずに、責任を取らなくても良い批判はクレーマーがする事である。クレームをつければ社会が良くなるのであれば、私は喜んでクレームに加担する。しかしクレームは憎悪を生み、主義主張を固めて柔軟性を台無しにし、不安定さのみを齎す。不平不満が溜まるのは仕方がないだろうが、国民の責任は権力に対してクレームをつける事ではなく、永田町や霞ヶ関とともに社会を良くするべく義務を果たす事だ。こんな甘えた考えを抱いている私は、恐らくどうしようもない馬鹿なのだと思う。

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