まさに実験が始まろうとしているのだが、麻生氏が次期財務大臣となったのは、非常に面白いと考えている。外国のメディアに対しても、かなり目立っている。安倍氏が首相に再登板したのを見て、自分も財務大臣として活躍する事で、再登板を狙っているのかも知れない。
財務大臣としての会見が開かれたようだが、報道のされ方に非常に違和感があった。会見にのぞんだ記者の質問のレベルが低いのはいつものことであるが、「一段の金融緩和が、世界的な通貨安競争に発展しかねない」という意見に対して麻生大臣はどう思うのかを問われた。
こういった意見に対して「通貨は市場が決めている、私たちは日本の経済成長のために仕事をするだけだ」と言えば良かったのに、麻生氏は反米自虐史観のような意味の解らない受け答えをした。さらに、円安傾向に対して他の国に兎や角言われる筋合いはない、と取られかねない発言をしたようだ。そして、日本の事に干渉するなと言った矢先に、ドルが強くなる事がアメリカの利益である、とアメリカには意見したとされる。これは、ブラジルの大統領ではなく、日本の新しい財務大臣の意見であるのだ。
初めに、記者が質問した「カレンシーウォー」などというのは投機筋が作り出した作り話である。通貨が切り下がる事で喜ぶ産業がある事は確かだ。必要以上に通貨が高くなりすぎると(日本の様に)弊害もある。しかし、通貨安を国の意志としている国など発展途上国だけである。アメリカがドル安を、イギリスがポンド安を望んでいると言った意見が流布されているが、陰謀論以外の何物でもない。中央銀行の政策に対してシティーやウォールストリートの色々な意図が働いてポンド安やドル安に誘導していると言うのが実態である。ドル安やポンド安が政治の意志であり、日本はセーフヘイブン、などとメディアで吹聴しているのは投機筋が儲けるためである。しかも、会見の冒頭には「最近の円高は投機筋の行き過ぎた行動」と述べた矢先に、投機筋のプロパガンダを繰り返したのだ。麻生氏の実力が解るひとコマであった。
最近、安倍や麻生の発言を報道する際、CNBCのアンカーなどはあきれ加減に笑いながら報道している。コメントを求められるゲストも、苦笑しながら解説しているのが面白い。普通の経済学で考えて、安倍-麻生路線はぶっ飛んだ神風特攻にしか映らないのだ。つまり「アベノミクス」は絶対に失敗すると見られているのだ。しかし、それに乗りかかろうとしているのだ。
財政の崖の問題は残っている物の、日本売りは加速し、安倍や麻生が思っている通り、円安は進んでいくだろう。この流れをどこで止められるのか?私たちも恐々と波に乗るしかないのだろう。絶対に崖から落ちるチキンレースと理解しながらも。「2013年の世界ファイナンスニュースの中心は日本になる」、そういって憚らない人達が大勢出てきた。現状の財政状況下での円安誘導と財政出動。経済を齧った事がある人で、これをヤバイと思わない人はいないと思う。
日本の神風特攻「アベノミクス」が凄腕のミセス・ワタナベを含む投機筋に弄ばれて、或いは一般人の理性的な防御策が日本売りを加速させ、インフレ傾向にブレーキがきかなくなった場合、元首相のアホ二人が責任を取ってくれる訳ではない。コントロールできずに破綻するよりは、霞ヶ関が体力のあるうちに人為的にハードランディングさせようと企んでいるのかもしれない。自爆政策を遂行するには、少し知能指数の低い元首相二人を担ぐことが都合が良いという事なのかもしれない。
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