シアトル・シーホークスが、QBのアレックス・スミスを欠くサンフランシスコ・フォーティーナイナーズをシアトルのセンチュリーズ・フィールドであっさりと42-13で下して、二年振りのプレイオフ進出を手中にした。
同一リーグの好敵手との試合という事で、ゴールデンチケットとなった12月23日の試合である。シアトルでは、チケット売り場から一定以上離れてさえいれば「ダフ行為」は合法である。ダフ屋やネットオークションによって、この日のチケットは一番安いチケットで197ドル。平均は457ドルとなった。中には、2000ドルで買った「バブリー」な人もいたようである。
昨年はクオーターバックのジャクソンが話しにならず、テネシー・タイタンズに移ったハッセルバックの穴を埋められないまま、シーズンはあっさりと終了した。
今期は誰をクオーターバックで使うのかも不明なまま、プレシーズンが始まった。監督のピート・キャロルはグリーンベイから獲ってきたマット・フリンではなく、なんとルーキーのラッセル・ウィルソンをQBに指名したのだ。背が低いウィルソンは、ドラフト三巡目での指名であり、そこまでは期待されていなかった。昨年のジャクソンよりは断然に良いまでも、ルーキー特有の甘い試合が目立ち、二歩進んで三歩交代するような内容のフットボールが続き、4勝4敗で10月を終えた。シーホークスはウィルソンでは勝てない、などというスポーツアナリストも現れた。
しかし、そこからである。ラッセル・ウィルソンは持ち前の機動性に富んだ動きを生かす。しかも、パスの精度が確実に上がってきた。ここぞと言う時には大きなプレーまで決めるようになる。フロリダで惜しい星を落としたものの、シーホークスの連勝が止まらない。12月に入ってからは無敵である。アリゾナ相手に58-0という高校生VSプロのような点数差を決めると、カナダのトロントでのバッファロー戦では二週連続で50点という恐ろしい鬼記録を残す。
そして、相手は手負いだったと言うものの、同地区一位のナイナーズを下し、プレーオフ進出を決めたのだ。圧倒的な内容であった。コーチであるピート・キャロルも大はしゃぎである。
ラッセル・ウィルソンは、白人と黒人のあいの子。会見では白人のような喋り方をし、物凄く知性が溢れる。白人のごつい奴が多い中で、有色の小さなQBという珍しいポジションを取り、かなりキャラ立ちしている。このシーズンを通して、ラッセル・ウィルソンのファンになりました。 ラッセルウィルソンのおかげで、タイトエンドやランニングバックの動きすら良くなっている節がある。今年のシーホークスを文字通り「変えてしまった」と言えよう。まさにサプライズである。
さて、ルーキーオブザイヤーはRGIIIこと、ワシントン・レッドスキンズの黒人QBで駄目チームをプレーオフに導こうとしているロバート・グリフィン三世で確定かと思われているかも知れないが、ラッセル・ウィルソンも十分な資格を持つ。どころか、ペイトンマニングが抜けた後の最下位インディアナポリス・コルツをプレイオフに導こうとしているスタンフォード出身のQBアンドリュー・ラックを含めて、今年はルーキークオーターバックの当たり年である。三つ巴のルーキー・オブ・ザ・イヤーになりそうで、レベルの高い争いである。
さて順調にこのままいけば、プレーオフの第一戦はロバート・グリフィンIIIのレッドスキンズとシーホークスがDCで対峙する事になるかも知れない。ルーキー同士の真打ち対決の様相も呈する。「期待通りの黄金ルーキー」対「小さな雑草の新星」。かなり面白い試合になる事請け合いだ。楽しみが増えてきた。
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