7/24/2011

リスクを取って大飯4号と高浜4号の定期検査を1ヶ月半遅らせる事は出来なかったのか?

「合理主義市場経済」の想定の下では「リスク」を増やせば「リターン」が高くなる。合理主義市場経済とは、権利を金銭で取引する事ができ、関係者全てが全ての情報を有しており、取引にかかるコストが掛からない時の事を言う。

この関係が成り立たない事件が起きると、左翼的思想の人や経済学に疎くて正義感の強い人達は、「市場経済は糞だ!」などとシュプレヒコールを上げる。例えば、福島第一の問題であるが、東京電力はリスクを無視して、リターンのみを享受していた、よって市場経済に問題がある、などと言った意見を言う人が出てくるのだ。サブプライムの問題の際にも、サブプライムのリスクが解っていたくせに、どうなっているんだ!などと言った声が聞かれた。

これは短期利益を追求した結果でも、市場原理が働いていなかったからでもない。結論は「合理主義」が歪められているからだ。「リスク」と「リターン」のトレードオフは、一個人には常に成り立つはずだ。しかし、ここで古典的なエージェントの問題が発生する。要は、会社の利益と個人の利益、会社のリスクと個人のリスクが合致しないような事態が多々発生するのだ。どんな人々も、常に個人の利益を最大化することに全力を尽くす傾向があるので、個人の懐を肥やした故に、会社が大損を被る、といった問題が発生してしまうのだ。東京電力の利益と、政府(社会)の利益が同じ方向に向かわなかったこともエージェントの問題であった。

それを規制するのが法律である。そして、会社はコーポレートガバナンスを的確に行い、会社の利益と個人の利益、そして個人のリスクと会社のリスクを同じようにする仕組みを行わなければならない。

ただ日本中、あるいは世界中を見渡せばわかるが、政府はどちらかというと大企業に有利なように法律を曲げて、会社にリスクを負わせないようにする傾向がある。例えば、東京電力の原子力損害賠償の件などは、一体国は何の権限があってあのような馬鹿げた法律を作ったのか意味不明である。ソフトバンクに対して行おうとしている太陽光エネルギー完全買取政策にしても、こんな国民側から見て不平等な政策はあり得ない。

リスクとリターンをきちんと判断して、そういった事に対して的確な判断を下すことを政治に求める。そして、リスクとリターンの間のエージェンシー問題が発生しないような法律作りを政府に願いたい。

何故だかは解らないが、定期点検中の原発を稼動させることが出来ない状況になっている。マスコミは面白がって煽っているのだろうが、これがどのような結末を招くのかを理解しているのか?関西では7月21日に高浜原発の4号機が、そして大飯原発の4号機も22日から定期検査に入った。現在の状況を鑑みると、4ヶ月での再稼動など、不可能な事は解っている。そうならば、何故、経産省や自民党、或いは民主党からでもいいので、有志が名乗り上げ、超法規的に定期検査入りを1ヶ月半(8月の中ごろが電力のピークに当たる)遅らせよう、というような運動を行わなかったのか?勿論、一部から叩かれるかもしれない。しかし、それが本当に日本の社会のためになったかも知れなかったわけだ。感情論に左右されて、国の国益も無視し、選挙の事だけを考えてリスクを取らない政治家。そして、何も基本的にはしたくない霞ヶ関。あかんわ。

原発は遅かれ早かれ日本からは消え行く運命にあるだろう。しかし、エネルギー政策をハードランディングで乗り切ろうとし、これを選挙に使おうとしている浅ましい考え方に腹を立てているのだ。そして、誰も国益を語らず、リスクを取ろうともしない。リーダーシップさえも発揮しようとしない。一体どうなっているのか?我が国をメルトダウンさせたいのか?

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