7/23/2011

100人近く殺しても、ノルウェーでは最長21年の服役

ノルウェーのオスロ市内での「肥料を使った爆破事件」および「労働党キャンプにおいての青少年大虐殺事件」であるが、このような事はどこででも起こりうると思う。社会に対する不満だの、移民政策がいけないだの、キリスト教保守系だの、原因については色々言われている。労働党主催の青少年キャンプを狙ったことなど、まあどういった物を敵視していたかは明白だ。平和で豊かななノルウェーでこんな事が起こるわけがないと信じられていた、などと言った的外れの意見も聞くが、こういうことは当たり前のように起こりえる。(日本で地下鉄サリン事件が発生した際も、世界の多くのメディアは日本でそのような事件がおこるわけが無い、などと呑気な事を言っていた。)ただ、犯人が綿密に計画をほどこしていて、とても効率的に青年達を撃ち殺したという事で、今回の事件は際立っている。無実の人々を大勢殺すことをテロリズムと呼ぶならば、この事件は間違いなくテロリズムである。

私がびっくりしたのは、このとんちきテロリストが、ノルウェーの刑事法によれば最悪の場合においても21年(!)の服役で赦されるという事である。これがヨーロッパ社会なのだ。私はこのブログ上で事情の全く異なったヨーロッパの猿真似はするなと警鐘を鳴らし続けているのはこういうことである。日本の一部のインテリ層はヨーロッパのシステムを日本に輸入したがるが、北ヨーロッパのシステムが良いとは限らない。

ノルウェーは、北海油田のおかげで近年特に潤っており、世界でも一人当たりの富がもっとも高い国のひとつである。一人当たりのGDP額面価格でみると世界二位。その分物価も高く、一人当たりの購買価格平均(PPP)GDPではシンガポールの下の4位に落ちる。まあそんなことはどうでもいいが、国の富に関係なく、こういうことはキチガイの個人やエキセントリックな団体により世界中のどこででも起きるということだ。そして、そういった奇妙な結束や考え方に引かれてしまう個人も多くいるという事がこの世の現実なのである。

こういう事がおこるたびに、村上春樹の小説が頭を過ぎる。閉じた世界に潜ってしまい、出口を見つけられない人達の。そしてリトルピープルなどの言葉に踊らされて、システムのルールに忠実となる人達だ。阪神大震災を目の当たりにし、そしてオウム真理教の事件を多感な思春期に経験し、村上春樹の小説を好んで読み漁り、その結果として、いまだにシアトルで根無し草のように浮かれた生活を送っている自分がいるわけだ。個人的な回想で申し訳ない。

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