米国の債務問題だが、選挙前ということで、民主党と共和党の間で揉めている。以前にも書いたのだが、これはただのチキンレースなので問題は絶対に解決する。問題を長引かせる為にやっているだけなのだが、漸く本日ダウが199ドルの下落をして「ええ加減にせえや」というメッセージを発し始めたが、為替相場以外のウォールストリート(NY)は基本的にメインストリート(DC)を無視している。為替相場がテクニカル重視で不快な動きをする事は、そのうちホットマネーやユーロカレンシーと絡ませてレポートするので待っていて欲しい。
日本発の新聞記事を読んでみると「米国債は信用できない」などといった面白い意見が溢れ返っている。「こんな事を続けていると格付けが下げられるぞ」などと言った意見も出始めている。しかし待って欲しい。何故、共和党と民主党はこの問題で揉めているのかと言う根本的な原因は何なのか、という事を考えて欲しい。アメリカは借金を減らすために、増税と支出カットに取り組んでいるのだ。つまり長期的に米国債の信用を取り戻す為に、議会が紛糾しているのである。共和党は大手企業に支持されているので、増税という選択肢を取りたくない。しかも共和党が選挙に勝つには、政府を信じない低所得者ティーパーティーの支持が不可欠と信じており、増税には頑なに反対する姿勢を見せている。一方、労働者の味方である民主党は、金持ちには増税しろというスタンスを貫き、医療保険や年金には手をつけるなと声高に言うわけだ。優れた選挙パフォーマンスだが、米国のサイレントマジョリティーは民主党と共和党の間のチキンレースに辟易としているわけだ。
考え方によると、この問題は非常に面白い。国家の債務について真剣に議会で議論すれば、増税をするのか歳出を減らすかで、色々な利害関係が絡んで紛糾するのは当たり前であろう。しかし、なんらかの合意が形成されれば、それは国家の債務問題に対する緩やかな解決策となるわけだ。しかし経済誌以外の新聞記事は、議会が紛糾していることで格付けが下げられる恐れがある、というような結論になっている。とすると、日本のように問題を先送って、リスクを将来に投げかけるほうが良いという事になるのだろうか?国の債務問題に関して、少なくとも真剣に議論をしているアメリカのやり方が健全なのだと思う。アメリカは人口も増えており、潜在成長率も高い。百万が一、短期的な政治的部分デフォルトが今回起きようとも、アメリカの債務は柔軟に解決できそうなので、健常だと言える。逆に言えばAAAの格付けは当たり前だという事になる。
翻って、日本である。民主党は増税の話を進めてきた。携帯電話税はある意味賢いし、税収増加に役立つと思う。ただ、増税は今後考え得る支出増のためだと言っているので、どうしようもない。日本はそんな悠長なことを言ってられない。我が国は、増税して、しかも支出を削らなければならないのだ。それも早急に。さもなければ、ある日突然ホットマネーに仕掛けられ(恐らく今回の円高は、すでに日本がホットマネーの標的になっている節がある)、国の財産をごっそりと持っていかれるような事態になりかねないのだ。
アメリカのチキンレースを馬鹿にする前に、自分の国の債務問題を真剣に考える。中国が高鉄で起こるべくして事故ったのを「ほれ見たことか、ざまあ見ろ」と言う前に、自分の国の無意味なリニアモーターカー計画を停めさせる。頭の足りない菅首相を馬鹿にしている前に、真剣に日本のエネルギー政策を感情論を除いて討論する。人の事を言ったり、頭の悪い人達の揚げ足を取っている前に、自分や自分の属する社会の事を真剣に考えたほうが良いと思う。
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