今年は統計がとられて以来、もっともトルネード(竜巻)での死者数が多い年になろうとしている。過去にもっとも死者数が多かったのは1953年の519人であり、今年は既にそれに並んでしまった。トルネードは春から夏までのアメリカの中部から南東部にかけての風物詩である。5月ごろにピークを迎えて、インフラ、住宅、人命などの被害が発生する。はっきり言って、今年の竜巻発生状況は異常の一言だと思う。去年の全米での竜巻発生数は1282であり、今年はこの記事を執筆している時点で既に1364の竜巻が観測されている。竜巻は低気圧や前線の接近によって齎せる物であるため、今年は全体的に大気が不安定であるのであろう。
余談ではあるが、トルネードの緊急速報をテレビなどで見れば、直ぐに地下室に逃げなくてはならない。それが適わない場合は、バスルーム(トイレ)に逃げる。というのは、アメリカではバスルームを家の中心に設計する事が多く(日本では防火法があるので窓際にある事が多い)、外界から最も離れており、家の中でも構造的に安全性が高い場所とされているからだ。
もう一つ余談ではあるが、トルネードが頻発するアメリカでは原発の電気系統を地下の中に埋める。何故なら、考えうる最悪の自然災害のトルネードに関してそれが一番安全だからである。日本は、アメリカの原発の技術や安全基準を何も考えないまま輸入して、地下に電気系統を埋め込んだ。そして何が起こったかは皆が知る通りである。ある地域での安全は、必ずしも他の地域でも通用する訳では無い。サバイバル技術の基礎中の基礎である。
さて、ミズーリ州のジョプリンという街は州の南西に位置し、オクラホマ州やカンザス州との境にある街である。人口は18万人弱のアメリカの片田舎だ。その平和で朴訥とした街に、5月22日の夕食前の時間、竜巻緊急速報が流れた。このトルネードは藤田スケールでEF5というとてつもなく強い竜巻に分類され、規模が最大で1.2KMにもなったという。そして、このトルネードはMultiple Vortex Tornado(多重渦竜巻)と呼ばれるものであったとされている。三つの小さな渦(ツイスター)が、大きな一つのトルネードとなっていたようである。
そして、そのトルネードがジョプリンの街を通過したのは午後5時41分頃だ。竜巻の内部の風速は400KM毎時弱(!)にまで達したと考えられている。普通、竜巻の被害といえば、竜巻が通過した凄く狭い範囲に限定されており、隣の家は無茶苦茶になったが、うちの家は無傷だった、といったような事が起きる。だがジョプリンのトルネードは1.2KMの幅で街を通過し、そこにあるもの全てを破壊しつくして行ったのだ。ニュースの映像を見た時、大船渡や陸前高田の映像が脳裏に過ぎった。それほど酷かったのである。小さな町を襲った竜巻。住民は避難していたのだが、それでも150人ほどの尊い命が失われた。そして街は壊滅した。
一つ気に掛かるのは、日本での報道である。小さなニュースにしかなっていない。被害地の規模事態は比較的小さかったかもしれないが、被害の深刻さで言うとジョプリンの竜巻はとてつもなくマグニチュードが大きな問題であったと考えている。日本のニュースは内向きにばかりなっていないで、こういったニュースをもっと報道するべきだ。何故現地に報道員を派遣しないのか?
東北の津波では世界中で惨状が報道された。そして世界中の人々が東北を支えてくれた。物資や募金や人的支援。そのような物が日本に大量に集まってきた。ジョプリンの街は壊滅した。私達日本人は、外国のこのような自然災害による被害者に対してももう少し積極的にコミットするべきだと思う。いつまでも被害者面をして外に目を向けることなく、菅や東電の失態をあざ笑っていればいいのか?義捐金を貰うだけ貰って、自分達の事だけ考えていればいいのではないだろう。
1 件のコメント:
初めまして!私も同感です。NZ大地震の時もそうでしたが邦人の被害がなければ「トピックス扱い」です。「恩は返さなければならない」と思います。
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