5/28/2013

国際金融のトリレンマ:資本移動を犠牲にするのか???

黒田日銀総裁が、かなり面白いスピーチをした。ミルトン・フリードマンが言った「自由な資本移動と金融の安定、および国家単位の金融規制・監督の3つを同時に達成することはできない」という国際金融のトリレンマという考え方があるのだが、この話を態々持ち出したのだ。この話自体は、大学の国際金融のクラスを一つ取れば紹介される話であり、何故固定相場制が上手くいかないのか、などの話につながる。

黒田氏と安倍首相は円を安くすることを公言している。そして、インフレ率2%を達成したうえで長期金利は抑えると言っている。すると、残りの一つを犠牲にする事になる。つまりは、自由な資本の移動である。黒田氏と自民党は、日本から、または日本への自由な資本移動を制限しようと企てるのであろうか?

態々トリレンマの話を持ち出したので、非常に気持ちが悪い。

乙武騒動について考える。障礙者に優しくないのが東京の強み

ツイッター上などで盛り上がっている話題について本ブログで思いを巡らせるのは嫌いなのだが、思う所があるので、自分自身のメモとしてこの記事を書いている。

乙武氏が銀座のトラットリア・ガンゾーというレストランで、エレベーターの止まらない二階まで運んでもらうのを拒否された云々という事件があった。はっきり言ってどうでも良い出来事である。その事件に対して、ツイッター上で人々が自分たちの意見をぶつけて、いわゆる炎上という事態になったという。

それに便乗しようとして、乙武事件がコラムなどで引用され、記事の「フック」として使われている。日経BOに載っていた慎氏の記事など、まさにそれである。慎氏の記事は、ユーモアが全くないうえ、論理展開が無茶苦茶なのと、浅はかな思い込みが鬱陶しいので、コラムは読むに値しないと考えているのだが、コメント欄が面白くて、興味深かった。慎氏は、日本人が不寛容なので障礙者に優しくない、などと面白いことを書いていた。この問題について少し考えてみたい。

私は今まで色々なところに住んできたのだが、特に欧米の先進国で、障礙者の人が公共交通機関を一人で使う事に出くわす。障礙者に手を差し伸べる人が多くて、かなり微笑ましい。助ける人も助け慣れているし、助けられる人も助けられ慣れている。そういう光景を見ると、こちらの気分も良くなる。アメリカでは、軍人系の筋骨隆々とした障礙者が多く、そういう人達にリスペクトを見せるという文化も定着しているし、車椅子を利用する人の割合が日本とは比べ物にならないくらい多い感がある。

老人が公共交通機関に乗って来る事も多い。欧米や台湾では、お年寄りが交通機関に乗ってくると、すすんで席を譲る。非常に気持ちの良い光景だ。だが、私の生まれ故郷、大阪でも人々は老人にすすんで席を譲る。日本であれ、老人には席は譲るものなのだ。

大阪人の私が東京に行くと、人々が冷たく見える。ニュースメディアに洗脳されてしまったのだろうが、東京ではベビーカー、妊婦や老人が来ようとも席を譲らない、らしい。そんな事はない。昼間の比較的空いている時間帯に電車に乗ると、結構みんな席を譲っている。ただ、通勤時間帯に席を譲ったりするのは不可能である。関西であれ、通勤時間帯に御堂筋線の梅田-難波間などで優先されるべき人達を優先することはできない。他にも、路線にもよるが、高齢化したわが国では、乗客がほぼ老人という場合もあり、老人が老人に席を譲る訳にはいかない。

シアトルで、レイクワシントンを越える州道520が課金されるようになってから、朝晩のバスが物凄く混むようになった。立っている人が大勢出て来たのだ。するとどうだろうか?老人がいようと、バスに乗った学生は寝たふりである。いつもは優しい人々が、混雑する公共交通機関内では冷たくなるのだ。パリでもロンドンでもニューヨークでも、電車が物凄く混雑した時に乗ってみればよい。「社会的弱者(この表現が嫌です)」を助けたくても助けられない場合があるのだ。

このコラムで何度も指摘しているが、東京首都圏は世界でぶち抜けた規模の都市圏である。公共交通機関の混雑具合は間違いなく世界一だ。住んだ事がある人なら知っていると思うが、ニューヨークやロンドンなどの交通機関の混み具合は、大阪圏と同等か、それ以下である。絶対的な混雑度が違う。自分が痴漢犯と間違われないように注意することに精一杯であり、あの環境下で人を助けろ、という方が無理である。

優しさとは、何か?品とは、何か?美学とは、何か?これらは文化毎に、そして人々の間でも大きく違う。アメリカに来て、日本とはずいぶん違う「マナー意識」があり、驚いている。まず一つ目に、食事中に何かを取ってもらいたい場合は、自分で取ってはならないというものだ。レストランであれば「給仕」に頼むべきである。欧米のレストランでは、給仕が執拗にテーブルに来て「ごちゃごちゃ」聞いてくるが、あれが欧米でのサービスなのだ。アジア人の感覚とすれば、食事中に鬱陶しい、となる。

家庭でも、塩や胡椒、ナプキンを腕を伸ばして自分で取ってはならない。絶対に、「Could you pass me the salt, please?」と言って、食事をしている相手を煩わせる必要があるのだ。日本人の感覚では、自分で出来る事は、人を煩わせず、自分でするのがマナーである、と考えるかもしれない。

あとは挨拶。相手が忙しかろうとも、欧米人は平気で挨拶をする。忙しいから挨拶をしない、といった行動がマナー違反と考えられる場合もある。日本では、人が忙しい時は挨拶をしないのがマナーであると考えられる場合がある。最後に、欧米では車を運転しているときに、運転手が会話をする相手に目線を合わせてくるのだ。同乗者としては、運転に集中して欲しいのだが、喋っている相手の目を見ることがマナーであると考える欧米人が多いのだ。日本人なら、事故を起こさない事がマナーであると考える人の方が多い、と思うが。これは文化的な違いであろう。

日本では幼少の頃より、「自分で出来ることは自分でしなさい」と習う。「出しゃばるな!」という事も同時に習う。この教育が行き過ぎて、中学生にもなると、生徒たちはクラスで手を上げて質問することをしなくなる。出しゃばる事は悪い事であるからだ。欧米の高等教育に参加し始めた日本人が初めにビックリすることは、欧米人はクラスで出しゃばるのだ。

私は大阪に生まれ、大阪に育った。商売の都、大阪という地では、出しゃばる人間に優しい文化がある。出しゃばりはユニークであり、そういった生き方をリスペクトする文化がある。ユニークな人ほど成功するという考え方が結構浸透している。大阪では、人々は優しい。困っていれば優しく手を差し伸べてくれる人が大勢いる。つまり、お節介な人たちが一杯いるのだ。ただし、それに隠れて詐欺師のように振る舞う人間も大勢いる。つまり、人を信じるも馬鹿、信じないも馬鹿である。神戸の山の手や、京都の人達は、そういうお節介な大阪人気質を侮蔑する。他人に干渉しない事が「品」であるそうだ。神戸や京都の人は、人情味を理解しない冷温動物であるのだろう。

過去何十年にわたり、日本人は、品があり、他人にできるだけ干渉しないで済むような社会になろうと努力してきたのだと思う。結果的にお節介な人たちを排斥し、出る杭を打って来たのだ。「自己完結」が推奨され、「自己完結」な強い生き方に反する者たちは「弱い人間」と見做された。武士は食わねど、の世界である。東京というスマートな街は、そういった流れを加速させ、人々を集めることに成功した。ある意味においては、それは日本の大きな強みであった。私たちは、「東京」のそういった強みを決して否定してはならない。

義理人情に溢れると言われている大阪人の私が思う。人間はみんな弱い。そして、そういう弱い私たちは2種類に分別できる。強い振りが出来る人達と、弱いままの日和見主義的な人達。その2種類しかいないのだ、と。だからこそ「善意」で人々を助けてあげる必要があるし、助けた時に自分の気分が良ければ、それはそれで良いのだ、と。そして東京人のように、自分の事を棚に上げておいて、優しくしてあげない人に批判をするような嫌らしい人間にだけはなりたくないのだ、と。善意なのだから、出来るとき(電車が空いている)は人に優しくしてあげれば良いのだし、出来ない時(電車が混んでる)は仕方ない。

人々が社会的「弱者」を助けるように社会を仕向けようとしたり、社会的弱者に冷たい態度をとる人を吊し上げることが健全な社会だとは思わない。身体障礙者が街に出て来やすいような社会基盤を整えた街を作る事が社会の役目であり、後は人々の善意に期待するしかないのである。障礙者に優しい社会を目指すことは必要である。しかし、そういった街づくりにはコストもかかる。必ずしも東京という世界一大きくて「効率的」な街が障礙者に一番優しい街である必要はない。小さな町こそ、その優位性を生かし、障礙者に優しいことを強みにすれば良い。「日本」=「殺人的に混雑している東京」という馬鹿げた一元論には辟易としている。東京と差別化出来得る可能性がこんなにも簡単に落ちているのだから、小さな自治体がそれを生かさない手はない。多様性とは何かをもう一度真剣に考えてほしい。そして、何よりも障礙者自身が、障礙者でない人達に翻弄されて、冷たい殺人的に混雑した東京という街で、社会の実験台に使われる必要が無いではないか?障礙を持っている人たちや老人たちを、社会的な「弱者」として上から視線で扱い、他人の行動や考え方にまで干渉しようとする人達がおかしいのである。人にはそれぞれ、出来る事と、出来ない事があるのだ。東京にも優しい人たちが一杯いる。ただ、出来ない事は出来ないし、東京には東京の美学があし、他人の目が気になる人も大勢いるのだろう。

大阪はかなり大きな町である。しかし、多くの人々は余り他人の目を気にせず、垢ぬけてお節介である。優しくされたい障礙者や老人には、是非とも大阪に来てほしいと思う。私たちの善意の範疇で、優しくしてあげます。ただ、優しくしてもらったスキに、財布が抜かれていないかにも注意してください。

グリズリーズ、老獪スパーズの前で点数入れられず。

これは2012-2013シーズン・プレイオフの記事です。2014年の記事はこちらから

私の中での優勝候補、グリズリーズが四連敗であっさりと負けた。バスケ好きの私でも、興醒めするくらいの地味な試合で、視聴率を心配してしまった。両チーム、フリースローを外したり、レイアップをミスしたりしていたが、それだけ両者のディフェンスが強かったという事だ。で、スパーズが決勝戦にコマを進めた。私の中では、けっこうあっさりとグリズリーズが勝つと思っていたので、何故グリズリーズが負けたのかを検証したい。

①グリズリーズはゾーンディフェンスを崩せず、それに対応した攻撃ができなかった。スパーズの研ぎ澄まされたディフェンスに阻まれ、ペイントの中でシュートを撃てなかった。ランドルフとガソールはボロボロだった。背が高い三人が中でディフェンスすれば、そりゃ、どうしようもない。

②ディフェンス要因のプリンスとアレンの得点力が無さ過ぎて、無視された。逆に、得点力がある他の三人にディフェンスのリソースが回された。これはパポヴィッチの戦略勝ちである。というか、プレイオフの試合を何度か見れば解る事である。問題は、これに対してホリンズが対策を打たなかったという事に尽きる。

③やっぱり、決めるにはルーディー・ゲイが必要。グリズリーズのディフェンスは光っている。問題の有った時間帯も何度かあるが、あれでもスパーズの攻撃を巧く抑えている。ただ、ディフェンスだけでは勝てない。ルーディー・ゲイをトロントに出したトレードが、こんなところで悔やまれる。ルーディー・ゲイがいれば、攻撃にもっと厚みが出ていただろう。スパーズは、グリーンやボナー程度の選手が簡単に点数を入れて来た。というよりも、マンツーマン+ダブルチームディフェンスをどのように潰せば良いのかを理解しつくしたチームプレイであった。

結局、攻撃力の単調さと、ホリンズの単調さ、パポヴィッチの老獪さ、そしてダンカンとパーカーの好調さが勝因であった。しかし、最後の三戦、スパーズのバスケは決して簡単ではなかった。が、グリズリーズは明らかに一枚(ルーディー・ゲイ?)足りなかったのだ。

グリズリーズは敗れ去り、また来年に挑戦となるのだが、このディフェンス力を解体して欲しくはない。ただ、トニー・アレンはFAであり、チームの中心が抜ける可能性があるのだ。ホリンズは典型的な硬直的な監督であるが、グリズリーズのチームはその良さが出ているだけに、変にチームをいじくって欲しくない。トニー・アレンの代わりに、レイ・アレンのようなシューターを入れると面白いかな?とも思うのだ。

一方で、勝ったスパーズであるが、調子が上がってきている。ジェノブリのプレーは悪かったが、パーカーとダンカンが素晴らしかった。ただ、GS戦の時にも問題だったが、早いシューター相手には、スパーズの組織的なディフェンスも翻弄される。マイアミは身体能力が優れた選手が大勢いる。

5/26/2013

カリフォルニア北部の群発地震

カリフォルニア州のグリーンビルで群発地震が続いている。グリーンビルはサクラメントから150マイルほど北東に行ったカスケード山脈南端の田舎町である。ここで群発地震と聞いて、ピンと来る人もいるだろうが、北にラッセン火山国立公園が位置する。ただ、震央がラッセンから50キロほど離れており、群発地震が「近い将来に危機をもたらす火山活動」によるものとする事は出来ないという。ただ、地下のマグマ活動と地震に全く関係がないとは到底考えられない訳で、引き続き警戒が必要との事だ。しかし、断定はできないが、一連の群発地震は、恐らくはモホークヴァレー断層帯による仕業であると考えているようだ。

ただ、アラスカではクリーブランド火山とパブロフ火山が噴火している。この場所はアジア―北米路線の目抜き通りなので、今後の活動如何によっては、空の航路に支障を生じ得る。サハリン沖ではマグニチュード8.2というかなり大きな地震が起きた。環太平洋火山帯の活動が「活発」になっていると危機を煽りたくなるのも、解らなくもない。

5/24/2013

ワシントン州マウントヴァ―ノン近辺、I-5のスカジット川にかかる橋が崩壊。

ワシントン州のマウントヴァ―ノンと言えば、シアトルから北に車で一時間強、バンクーバーから南に一時間半ほどの位置にあり、チューリップフェスティバルで有名である。サンファンアイランド行きのフェリーに乗る時の中継地でもある。

I-5はカスケーディアを繋ぐ背骨であり、カナダのバンクーバー(正確にはカナダ国境)からエヴァレット、シアトル、タコマ、オリンピアを経由し、ワシントン州のバンクーバー―オレゴン州のポートランド都市圏を繋ぐ。その一部である橋が崩壊したのだから、大変な事態だ。ただ、橋の一部のみが崩壊したうえ、橋自身も高くはなく、死者は出なかった。今後数週間、橋が復旧するまで、カナダと米国太平洋地域の間の交通の便が非常に悪くなる。

今回のニュースをみて、私が一番初めに抱いた感想は、「仕方ないな」である。あの橋であれば、崩壊しても仕方ないと思うのだ。というよりも、高速道路上には崩壊しそうな橋が五万とあるのだ。いつ作ったのか知らないが、物凄く「ちゃちい」作りの橋梁が一杯あるのだ。

シアトル地域で私が一番危惧するのは、ダウンタウン方面から北の大学方面に行く道である。
レイクユニオンの上にかかる高架であり、上り下り合わせて八車線。さらに二重構造であり、下にエクスプレスレーンが通る。遠くベルビューの街からキャスケード山脈も見渡せ、晴れた日の景色は最高だ。ただ、混雑時の渋滞はひどく、気分が悪くなることも多いスポットである。

いつも考えるのだが、シアトル界隈で少し大きめの地震がおこれば、まず間違いなくこの高架は崩落し、多くの死者が出ると予想する。地震が起きなくとも、ミネアポリスで起こったように、ある日突然橋梁が崩壊するような気がしてならない。

モアーのトルネードが学校を破壊した際、トルネードが頻繁に襲う事が分っているにもかかわらず、何故地下室がないのかという議論が巻き起こった。答えは、2億円近くの費用がかかるから、というものであった。アメリカでは、二億円で児童の命が救えたとしても、その金を投資しないという選択が罷り通るのである。

これも一つの考え方かもしれない。ただ、アメリカという国のリスク管理については、日本で育った私には理解できない部分もあるのだ。安全を強化する工事をするから、明日から通行料を課金する、と言われれば、それはそれで文句も言いたくなるのだが(そもそも安全強化の工事をするアメリカの土建屋を信用できるでしょうか?)。

これは考えるよりも意外と難しい問題なのかもしれない。

5/22/2013

モルヒネ投与を減らしていくと??QE4を手仕舞い、株価の調整。

本日のニューヨーク市場は非常に気持ちの悪い値動きをした。バーナンキ議長の証言の前にはダウジョーンズは1万5千5百ほどまで騰がったのだが、バーナンキ議長がQE4を手じまう可能性に言及した後、1万5千4百2十円ほどまで一気に下がった。しかし、それから盛り返したのだが、市場が萎えてしまったのか、午後になると徐々に下げ、最終的には1万5千3百円程で引けたのだ。一日内の中で、最近見たことが無いほどのボラティリティ―が見られた。

市場のコンセンサスは一つだけ。QE4を止めれば、株は下がるという事だ。ウォールストリートは、QE4の手仕舞いの準備が出来ていない。ただ、目下のアメリカ経済は滅茶苦茶良い。株高、住宅高、雇用復活。QE4どころか、利上げ局面にすら近づいている感があるのだ。

先月のヒンデンブルクのオーメンが出た後に少しだけ、そして昨日にポートフォリオをもう一度大幅に見直して株のポジションを下げたのだが、もう少し考え直さなければならなさそうだ。今後、アメリカ経済にとっての良いニュースを、ウォールストリートは「売り」機会と捉えそうだ。残念ながら、アメリカ経済はとても良い。

円安傾向は、アメリカ経済の復調が顕著であり、ますますブレーキがきかなくなりそうだ。短期投資家は別として、中長期でやっている方は、安心してドルを保有されれば良い。

5/21/2013

2013年ムーアのトルネード:トルネードから身を守る方法


私は日本で育ったため、地震、津波、台風などの自然災害の際にどうするべきか、という事は解っているつもりである。どういった規模の災害で、どのような状況であれば、命が無くなる虞がどのくらいなのか?リスクをある程度把握していると信じている。

アメリカの大西洋北西部では、数百年に一回という規模の大地震以外は、自然災害はほとんどない。大雪が降っても、嵐が来ても、洪水に見舞われようとも、命を落とす危険はあろうが、局地的な話である。

米国の南東部にやって来た。この地方ではグレートプレーリー地方ではないにせよ、竜巻(トルネード)が起こりうる。春は竜巻が特に多い季節であり、引っ越してきて既に竜巻警報に遭遇した。新しい土地で、地名も解らず、ウェザーチャンネルを見ても、私が住む場所が危ういのかどうかも解らない。どこに行けば安全なのかの知識もない。テレビもラジオも番組を中断して、警報を知らせる不気味な音が響き渡る。家の奥に逃げろと言う。急にゴルフボール大の雹が降って来て、あたりが暗くなる。そして、間断なく雷が鳴り響く。風が強くなり、雨がバケツをひっくり返したように落ちて来た。視界は不良で、20m先も見えない。停電して、テレビもラジオもない。どうして良いか解らない。トルネードは来るのか?クローゼットの中で待つこと20分。やがて雨が収まり、電気が戻る。トルネード警報も解除され、新しく移り住んだ町でトルネードの危険は去った、とラジオの気象予報士が告げる。正直、かなり焦った。

翌日、同僚に話を聞くと、そんな事は日常茶飯事らしい。私が経験した竜巻警報は、とても些細なものであったようである。いわば、小型の台風が室戸岬に上陸して、暴風警報が出ているので学校は一応休み、くらいの物であったようだ。

その後、トルネードの速報に対してはアンテナを張り巡らしている。ウェザーチャンネルでは、トルネードが発生する確率をToR:Conという数値にしている。例えば、ダラス4/10だとすれば、ダラスから50マイル以内の地域で、40%程度の確率で何らかのトルネードが確認される、といった具合である。

トルネードが来ればどうすれば良いのか?「地下の部屋に籠る」である。これ以上の答えはない。

もし、地下がなければどうするのか?家の最下階の、なるべく奥に囲まった、窓のない部屋で過ごす。たとえば家の奥まった場所にあるトイレ、それもバスタブの中に伏せて身を潜める。トルネードの中心では、猛烈な風が吹き荒れる。例えば、一番強いトルネードであれば時速300KM、新幹線から手を出すようなものである。それに巻き込まれた街路樹、木材や建材、金属片などが空を飛んでいる。それらが家に当たったとしても、家の中心部、例えば壁を3枚ほど隔てれば、助かる可能性は高い訳だ。窓のすぐ横や、シャッターのあるガレージなどは論外で、窓が割れたり、シャッターが剥がれたりすると、大怪我をする。この方法では、改良藤田スケールで4や5のトルネードが運悪く真上を通過すれば、ほぼ助からない。地上の物は根こそぎ引っ剥がされるからだ。

トルネードが多い地域では、トルネードシェルターなるものが売られており、それを常設した家も多い。そういう所に逃げると命が助かる可能性が上がる。

運悪く運転中にトルネードに遭遇した際は、橋梁を見つけ、橋と橋台の下の隙間に隠れると、生存率が上がるそうである。

トルネードは30分ほど前に予報が可能であるうえ、進路が比較的解り易い。トルネードがおこりそうな日は、常にウェザーチャンネルなどをチェックし、どこにトルネードが通るかを見極める必要があろう。可能であれば、トルネードが通過すると予報されている地域から出来うる限り早く逃げ切るという手もある。

地震も怖いが、トルネードも恐ろしい。オクラホマシティー近郊で起こったトルネードにより、ムーアは大ダメージを受けた。ウェザーチャンネルでは、トルネードの発生から、通過、消失までをヘリコプターからライブで完全に中継されていた。恐ろしい光景であった。小学校などが被害を受け、多くの幼い命も犠牲になった。亡くなった方の冥福をお祈りするとともに、迅速なる復興を期待したい。

因みに、ウェザーチャンネルに出てくるグレッグ・フォーブス博士であるが、フォーブス博士はシカゴ大学の偉大なトルネード研究家・藤田「テッド」哲也博士の生徒であり、前述のTor
;Conを開発したのをはじめ、改良藤田スケールの開発にも携わっている。

5/19/2013

アメリカが日本を非難している?マジで?


アメリカでは「日本非難」が渦巻いているらしい。アメリカに住んでいるニュースジャンキーの私にとっては驚くようなニュースである。何故ならそんな話は聞いたことがないからだ。日本人は、「自分たちが苛められている」という論調が余程好きらしい。

右の人も、左の人も勘違いしているが、「日本の従軍慰安婦問題」だけが外国で不当に非難されている、といった事を真剣に信じている人がいる。アメリカ政府は「いかなる人身売買や女性の権利を踏みにじった行為」をCondemnしているのである。このCondemnを「非難する」と日本語に訳した場合、当事者を攻めているように聞こえる。ただ、政府の立場としてのCondemnは、「事が二度と起こらないようにしよう」と言った強い決意である。アメリカは自身の奴隷貿易の過去も、Condemnしている。

勿論、奴隷貿易や侵略行為は、当時は法的には問題なかったわけで、「当時にすらあってはならなかった事」、と言った綺麗事を言っているのではない。現在の常識から考えると人道にもとる行為であるので、将来的にこういった行為が起きない為にCondemnしているのである。後ろ指を差されるだろうが、アメリカの中には、奴隷貿易のおかげでアメリカに住む奴隷の子孫である黒人は良い生活をしている、などと考えている個人もいる。人それぞれ色々な意見がある訳だ。

慰安婦問題について、いわゆる「右」の人の発言が事実描写としては正しいわけで、過去の日本の帝国主義を無批判に否定する左巻きの連中や、韓国の反日団体は完全に歴史事実を改竄している訳だ。こういった論調は論外である。しかし、反日団体の歴史改竄がけしからんからと言って、「今後自衛隊がPKO活動に風俗業者を携えて出動します。日本人を連れていくと高いので、お金で第三国の女性を雇います」とはならない。つまり、日本社会も国家のコンセンサスとして、慰安婦行為をCondemnしているのである。未来永劫に、戦時中にあったような慰安婦「制度」は行わない訳だ。

ただ、国内外の反日団体が姑息なので、慰安婦問題に対して身構えてしまう。こういった普通の日本人の感覚を理解してもらうのは不可能であるし、してもらう必要もない。これは、政治ではなく、主義主張、そして「面子」の問題である。国際政治においては「現在」が大切なのであり、歴史認識など糞とも思っていない。日本の面子を護る為に、一体どの国が「慰安婦止む無し」などと言ってくれるのか?いくら日本が正しかろうと、言う奴がいれば、アホである。

何回も言うが、アメリカは一部の運動家以外、日本の歴史認識に関しては、ほとんど興味がない。この問題に関してステークホルダーではない。日本の面子を護る発言をしても、得るものはゼロである。このニュースは、午後6時からの地上波ニュースでは全く触れもしないし、BBCが30秒ほど時間を割く程度の問題である。この問題に関して、必死に米国の主要なメディアの数少ない論調を聞いたうえで、アメリカ政府の立場を代弁する。

「日本は中国や韓国と面倒くさいからもめるな。大人なんだから、政治の場で歴史認識だの訳の解らないことにこだわるな。日本の歴史認識について、アメリカ人は微塵も興味がないし、安倍さん、21世紀になって過去の事にこだわって、それを政局に据えようとする必要があるの?アメリカも日本も韓国も、人身売買やそれに準ずる行為に関しては(過去はどうであれ)、政府は禁止する立場にあるし、そういった事が起こらないような世界を作っていこう。」という事になる。きわめて常識的だ。ポイントは、これらのサジェスチョンに対する主語が曖昧な点である。いったい、誰に対して「揉めるな!」と説いているのであるのか?政治家に言っているのではないと思われる。


こういった一連の英語報道を見て、日本が不当に貶められていると考える人がいるとすれば、文章読解力がないとしか言いようがない。アメリカが日本に言うな!という人もいる。それはもっともで、アメリカは歴史認識を紐解けば、いくらでもボロが出るのだが、そういうボロを叩くような真似は韓国や中国の反日政治勢力と同じである。アメリカが選んだ道は、綺麗事を言い、過去の臭いものには蓋をするという手段だ。その蓋を開けようとする者は糾弾する。

国家間の報道を見ていると、報道機関がセンセーショナルに翻訳するので、議論が上手く噛み合っておらず、見ていて滑稽である。

5/18/2013

NBA西コンフェレンス決勝:サンアントニオ対メンフィス

これは2012-2013シーズン・プレイオフの記事です。2014年の記事はこちらから

マイケル・ウッドソン率いるニューヨーク・ニックスであるが、見ていてとても詰まらないチームに成り下がってしまった。得点力に物を言わせて、シーズンでは勝てるが、プレイオフのような頭を使わなければいけない場面になると、ボロが出る。インディアナ相手に、誰が誰をディフェンスしなければならないのかなど、チームが意思統一をしていなかった。あれでは負けても仕方ない。勝ったペーサーズ、マイアミを下すことは難しいだろうが、結構苦しめると思う。

さて、愈々明日からスパーズ対グリズリーズの西カンファレンス決勝戦が始まる。いつも通りにマッチアップを見て行こう。

PG:トニー・パーカー対コンリー
SG:ダニー・グリーン(ジノブリ)対◎トニーアレン
SF:レオナード対○プリンス
PF:◎ダンカン対◎ランドルフ
C:スプリッタ―(ディアウ)対◎ガソール

とまあ、こうなるのだが、スパーズはマンツーマンというよりもチームディフェンスを得意とする。昔はスパーズにはロールプレイヤーが一杯いたが、ブルース・ボウエンのようなディフェンス専門の選手は今は昔で、スパーズの選手層は薄くなっている。

二年前はグリズリーズがスパーズをプレイオフの第一戦で下した。あの時に比べて、スパーズは弱っている一方、グリズリーズは纏まりを見せている。グリズリーズ相手には、老獪さよりも、フィジカルさを見せなければいけないのだが、そんな力が今のスパーズにあるのかどうかは疑問である。ただパボビッチは、執拗にマッチアップをずらして来たり、相手が嫌がる事をし続ける。ディフェンス中心の、80対76で決まるような「いやらしい」バスケが楽しみで仕方ない。

4-1であっさりとグリズリーズとみた。

あっ晴れ!ゲイリー・スティーブンス!スローペースでオーブを下す。

オーブがあっさり負けたが、結論から言うと、殿堂入りジョッキーのゲイリー・スティーブンス騎手にしてやられた、という事だ。

今年は逃げ馬がいないと書いたが、スティーブンス騎乗ののオックスボウが逃げた。紅一点ナプラヴニック騎乗のマイルートが続く。しかしだよ、半マイルを48秒で行かれれば、後ろの馬は無理である。こんなに遅いペースになるとは流石のオーブも想像をしていなかったのだろう。

オーブは一枠だったので、揉まれる事も予想されていたが、少頭数なので大丈夫と思っていた。ペースが遅く、焦ったロザリオは、第三コーナー手前で動き出す。内をするすると5番手まで上がっていった。最内からディパーティングがやって来て、中で挟まれて、やる気を無くしてするすると後ろに行く。前の馬は息を入れているので、最悪のパターンである。

直線、そのままオックスボウが逃げ切る。マイルートが続くが、後ろから来たヴェラスケスのイッツマイラッキーデイにかわされて三着(これも騎手の差)。

オーブは、最後の直線で明らかに足を余しているので、鞍上が悪かったとしか言いようがない敗戦である。今年もトリプルクラウンは見えない。

しかし、ゲイリースティーブンス、復帰していきなりG1制覇とは、素晴らしい。他の騎手が青く見えるような騎乗は、流石であるとしか言いようがない。昔、阪神のワールドジョッキーズシリーズの時、スティーブンスの騎乗に驚かされたことが未だに頭に残っている。

勝った最低人気のオックスボウ、父はオーサムアゲイン、母の父はマンノウォー系でティズナウの父であるシーズティズィー。まあ、騎手のおかげのフロックである。


馬鹿げたチップという制度。15%が基本なのか?

10年以上もアメリカに住めば、アメリカの良い所も悪い所も見えるようになる。私がアメリカで最も嫌いなことは、チップを払う事である。チップはアメリカだけの文化ではないのだが、アメリカにおけるレストランでのチップ制度は以下の理由で非常に腹が立つのだ。

ウェイター・ウェイトレスに対するチップの相場は、税金を足す前の額の15%-20%が基準とされており、最低それだけおかなければならない事になっている。もし、15%以下のチップの場合は、チープ(ケチ)だと見做されるという。ウェイターやウェイトレスの給料が低いので、チップをもらわなければやっていけないとする一般論がある。確かに州によっては、連邦最低賃金しか渡しておらず、ウェイターやウェイトレスはチップなしでは食べていけない。因みに、連邦最低賃金は2.13ドル。これは馬鹿げている。一方で、シアトル近郊では最低賃金の9.19ドルが保障されており、チップクレジットは認められていない。これにチップを足すと、かなりの手取りになる。州の政策によって、チップ制度に歪みが生じているのだ。計算上、ウェイターがもらうべき給料を考えると、チップクレジットを最低賃金に勘案していない西海岸地域(ワシントン、オレゴン、カリフォルニア)で15%以上を渡すのはあげ過ぎだと思うのだ。一方で、タックスクレジットのある米南東部やニュージャージー州などでは20%くらいあげなければしんどいだろうなぁ、とも思うわけだ。

レストランの経営者側も、ウェイター達も、チップ制度は維持したい。何故なら、ほとんどの人が、現金で得たチップは申告しないからだ。税金逃れが蔓延っており、チップの大部分は統計上、闇経済となっているのだ。しかも、一部のレストランでは、違法就労者を無賃で雇い、その人たちはチップで全額生活費を賄っている。皆が知っている制度上の不備であるが、当事者たちが一応喜んでいるのであるから仕方ない。

テーブルに着く外食をすると、大体10%の税金をむしり取られる。そこに15%から20%を足すと、25%から35%の余計な出費が食費につくことになる。普段はスーパーやウォルマートやガソリンスタンドで1セント単位の割引に必死になっているくせに、何故レストランでは気が大きくなってチップを弾む人が出てくるのか?結論から言うと、お金にうるさいアメリカ人は思っている以上に少ないという事だ。結構、みんなの財布の紐は緩い。が、一部にはガメツイ人達もいる。アイオワ州立大学の研究によると、チップの平均額(ミーン)は16.1%で、標準偏差は6%であったという。つまり、15%以下しか払っていない人も結構いるのだ。

昔は、朝ごはんや昼ご飯は10%、ディナーで15%と言われた。最近では、バッフェで10%、ランチで15%、ディナーに20%とかいうプロパガンダを説く人たちが増えてきた。勿論、ウェイターの立場で言うと、多ければ多い方が良いだろう。ただ、私自身の時給を鑑みて、テーブル一席だけをサービスして、仮に支払いが40ドルだったとして、8ドル(20%)は貰いすぎだ。ウェイターは普通複数の席を同時にサーブするし、食事を食べても30分程度で席を立つこともある。特に高めのレストランでは、食費も高い。20%渡すのは、正直ふざけていると思う。私は、レストランでウェイトレスがいくら程稼ぐのかを考えることがあるのだが、流行っているレストランのウェイトレスは、多分時給100ドルくらい軽く稼いでいると思う。ただ、多くのウェイターやウェイトレスはそんなに貰っていない。可哀想な人も大勢いる。しつこいようだが、自分が自給900円のアルバイトで日本でウェイターをやっていた事と比較すると、アメリカのウェイター・ウィトレスは貰い過ぎだ。

アジア人やユダヤ人の中には、私のような「ケチ」な意見を抱く人たちが多い。アジアでは基本的に欧米のようなクラス階級意識がなく、ウェイターやウェイトレスを下の立場として扱わないからだ。ウェイターやウェイトレスの生活を考えろ!という人もいるが、それはレストラン経営者が悪いのであり、客の問題ではない。或いは、国の制度の問題だ。だから、レストランでアジア人の客は嫌われる。財布の紐が固い、と。白人や黒人には見栄っ張りな人が多い、というのが真相のような気がするが。

チップがかさむので、外食を控える人も多い。或いは、ファーストフードを利用するという手もある。そうすればチップを払う必要がなく、15%分浮くからだ。これは経済活動にとってはかなりのマイナスであるし、まわりまわってレストランオーナーの収入を削ぐ事になる。国にとっては税金を徴収できないし、違法行為が罷り通る。

で、誰がチップ制度を止めさせたいのか?外食を利用するアメリカ人の大半は、チップ制度をなくして明朗会計にするべきであると考えていると思う。チップ制度を止めさせれば、経済的にもプラスになるだろうし、雇用も増えるはずだ。チップ制度を残して欲しいと考えるのは、逆にレストラン業界従事者である。チップのおかげで、上手くやってると勝手に考えているウェイターやウェイトレスも多い。ファストフードチェーンは、レストランのチップのおかげで自分たちの客が増えていると理解している筈なので、チップ制度の存続を望んでいる。長く続いていた文化なので、急になくせないのだろう。

私は、ケチだと言われようが、ランチ10%、夕食15%を四捨五入して押し通したいと思う。申し訳ないが、チップに20%払うような余裕はない。私は仕事をしてもチップなど貰えないし、給料もそれほど高くない。

PS チップがいくらか計算する際に、税金を二倍にすれば良い、などという人がいる。外食につく税金は場所(市単位)によって全く異なるため、この作戦をする際は気を付けてほしい。18%のGratuityがすでに加算されている場合は、チップは払う必要がない。大人数(6人以上)の際は、チップを多めに払うというのが常識であるといわれている。

チップを弾むのが格好良い、と考える粋な人は多い。人それぞれであるので、そういう人はこの記事を読んで、「大阪出身の糞ケチ野郎のブログが!」と吐き捨てて、自分の心情に沿って行動して頂きたい。アメリカ人に、「どのくらいチップを払うべきか?」と聞くと、綺麗事で「15-20%」と答えるだろう。ただ、本当の支払い額を見ると、かなりばらけている。凄く気前のよい人もいるし、言っている事とやっている事が異なる人もかなり多い。バラつきがあるので、額面通りには受け取らない方がよい。アメリカ人は結構計算できない。

勘定をもらった後、さくっとスマートにお金を払いたいと考える旅行者がいる。しかし、多くのアメリカ人は、勘定をもらった時と、チップを計算するときには、かなりの時間を要する。日本人の感覚からすると信じられないくらいゆっくりと支払いをする(個人的な話だが。私は時間の浪費が大嫌いで、アメリカ人が非効率に支払いをダラダラするのが許せない)。日本人の慣れていない旅行者が、日本の感覚でサクッと支払いをしたいと考えるのだろうが、地元の人は支払いに時間をかけるものである、と覚えておいてほしい。慣れていないのなら、ゆっくりとスマートフォンで15%を計算すればいいのだ(多くのアメリカ人もそうしてる)。

アメリカのレストランでは、ウェイターやウェイトレスが何度も席に寄ってきて、全てOKか聞く。あれは「チップを忘れるなよ!」という催促であると考えてほしい。お洒落なレストランではレシートに18%、20%、25%のチップならいくらですよ、と書いてあることが良くある。だが、細かい話だが、税金を足した値段の18%を計算していたりして、いんちきっぽい事も良くある。ケチナ私は態々税金前の値段の15%を計算しなおしている。(糞ケチ野郎と呼んでください!)

学術的な研究では、ウェイターやウェイトレスのサービス内容とチップに相関関係は余りなかったらしい。寧ろ、ウェイターやウェイトレスの容姿などとチップの額が比例するようだ。アメリカのレストランを利用した人なら解るだろうが、ウェイターやウェイトレスは必至でチップの値段を上げようと頑張っている。が、計算して15%丁度を渡しておけば、何の問題もない。世の中はそこまで甘くないのだ。

5/17/2013

プリークネス、オーブに死角なし。

クラシックの二冠目、プリークネスが今週にある。結論から言うと、オーブ(Orb)が勝つで仕方がないと思う。一番難しいと思ったケンタッキーを勝てた。今回は9頭立て。一枠が気になるが、普通に回ってくれれば良い。小回りのピムリコを前に行って1900mを逃げ切れる馬がいそうな雰囲気もないし、1.0倍の一番人気もやむなしである。まあ、プリークネスはそんなに荒れないので大丈夫だろう。血統的にベルモントでこその馬。健康にあと二回走ってくれれば、35年ぶりの快挙になる筈である。好評の馬柱はこちらから。

5/16/2013

橋下風俗発言と外圧。遅れているアメリカ社会


少し前にも、ありもしない外圧を日本人が恐れているという話をした。今回の橋下風俗発言を聞いていて、同じような感覚を持ったので、その話の続きをする。

個人的な話であるが、仕事柄、日本の人達から、アメリカで働く私のところに、日本の役所関係の人に話しをして欲しいと言われることが多々ある。日本人同士で話をすると「どうぞご理解ください」などと言われて、役所関係者は聞く耳を持たないという事である。しかし、私が要望や質問の草案を作って、適当なアメリカ人の署名を入れて日本の役所に届けてもらうだけで、役所関係者は真摯に対応してくれるのだ。いかに日本が欧米の影を恐れているのかが解るエピソードである。(外圧を気にしすぎるというよりも、日本の役所関係者や政治家は、一般の日本人の話を、上から目線で無視することなく、もう少し真面目に聞くべきだと思う。完全に国民は嘗められているのであろう。)

で、橋下市長は、大阪市民によって選ばれた政治家である。マジョリティーの大阪市民は橋下氏を応援している訳だ。当たり前だが、応援している理由は人それぞれ違う。大雑把に総じると、橋下氏が建前論をこき下ろし、本音を語る政治家である、という印象に対して、多くの大阪市民が酔狂しているのだと考える。橋下氏は選挙民の心をきっちりと掴んだ名マーケターなのだ。

大阪に住んでもない人間が、橋下氏が政治家に値しない人物であるとこき下ろしている記事を読んだりする。勿論、人それぞれ、どんな意見を抱いてもいい。ただ、外野は勝手に言っておけば良い。橋下氏は大阪市民の大多数に支持されたわけであり、品が無いなどと言ったことも含めて大阪市民は支持している訳である。品がないから橋下氏の政治家としての能力がないなどと言う意見は、大阪のマジョリティーの選挙民を馬鹿にしているのも同じである。橋下氏が建前に縛られることのない「喧嘩の出来る」人間だと見せているため、橋下氏を市長として選んだのだ。橋下市長が嫌いでごちゃごちゃいう人達は、平松前市長でも携えて、京都にでも出て行けばいいのだ。

政治家は「建前」を言うものであり、「本音」を言う事は人間として劣っている、などと言った馬鹿げた事を信じている人にも出くわす。正直、救いようがない人達である。民主主義社会において、政治家は単なる水商売である。どの国であれ、政治ほど汚れたものはない。政治に必要なのは知性ではない。民主主義のわが国において、政治家の力は「人気」に左右される。人気を取ってなんぼの商売だ。そこに、格も品もへっちゃくれもないのである。マーケティングに長けた者が勝つ弱肉強食の世界が、民主主義社会の政治なのだ。橋下氏は人気を集めている、つまり優秀な政治家なのだ。(そういった意味で、政治家は性風俗業従事者と共通することが多い。)

許由ではないが、マツリゴトの話は汚れているので、聞けば穎水で耳を洗わなければならない。政治は綺麗なものではない。目的(金)の為なら何でもする(体を売る)物なのだ。政治家こそが立派なプロスティテュート(売春婦)なのであり、それ故に政治家は尊敬に値するのである。

米高官に対して、風俗を使えば如何か、などという意見を言ったという事であるが、これは「ナイスジョブ」であると思う。綺麗事を抜きにして、まさに正論なのだ。こういった正論を言いたいアメリカ人は百万といるが、態々虎の尾を踏む勇気など誰にもない。管理売春に賛成したい層は意外と少なくない。米軍内の女性士官に対する痴漢事件が、確認されているだけで普通の社会の二倍以上に上る、などといったニュースが報道が最近されている。こういった時に、管理売春を解禁すればどうか?と心の中で考える人は多い筈だ。しかし、先日書いたように、アメリカの公人は決してそれを口にしない。

ただ、こういった事を外国人に外野から言ってもらえば、溜飲が下るアメリカ人がどれほどいるのだろうか?アメリカ社会にも、自身のタブーを破る外圧が必要であり、橋下発言はそうなり得たナイスなサジェスチョンであり得るのだ。しかし、橋下発言は日本の英字メディア以外では完全に無視されている。自由などと言いながら、実際は同調圧力が強いアメリカ社会の歪みが、こういう所にも露呈されているのである。

ニュースを見ていると、日本が保守的で右寄りで女性を蔑ろにしているから風俗を許容しているなどといった馬鹿げた意見を読んだ。一方で、売春を認めて税金を取っているオランダやスイス、ドイツはリベラルだという。どう考えてもダブルスタンダードだと思いませんか?ただ単に、アメリカが売春問題に対してナイーブで保守的なのである。アメリカでは、銃問題にせよ、中絶問題にせよ、物凄く保守的であり、そういった層に配慮して、ニューズメディアも報道を自主規制している。この風俗問題にしても同じであるのだ。

米国の報道官などにこういう事をわざわざ質問すれば、怒った顔をして「No!」と言われるのは火を見るよりも明らかである。人気取りが必要でない公人は、立場上、ふざけた意見に物分かりが良い振りをしたところで何も得るものがない。一般論、つまりは綺麗事を言うしかないのである。記者が煽動するために質問したのである。しかし、報道官の発言を日本に対する攻撃と受け止めるのは、被害妄想以外の何物でもない。

風営法による風俗営業には、性的なサービスを行うもの以外、ギャンブルなども含まれている。性風俗という従来の法律隠語が庶民にはかなり浸透している。性風俗と言っても、女性だけが搾取をされている訳ではなく、マーケットが狭いとはいえ、性的なサービスを行う男性も存在している。突き詰めて考えれば、女性問題と性産業問題はイコールではない。こういった問題において、快楽主義を許容している日本は「無駄に保守的なアメリカ」の30歩先を行くリベラルさを有している。私は、これは誇るべきことであると考えている。こういう事を、アメリカに認めてもらう必要はない。アメリカ人が怒っているのではなく、アメリカ人はこの記事を黙殺し、日本のメディアが日本国内向けに騒いでるに過ぎない。冷泉氏のようにプリンストン大学で教えているかのような経歴詐称紛いの事をして記事を書いている人が、日本版のニューズウィークで「米国は日本を厳しく見ているぞ!」みたいなことを風潮しているのが、この問題の真相なのである。

私たちは、自分たちの先達が作って来た快楽主義を良しとする文化を、自分たちで磨いていけばいいのである。戦後、日本では売春行為と性風俗を分けて、独自の文化を発展させた。私は、こういった自由闊達で柔軟な日本社会が大好きです。アメリカが世界の常識ではない。宗教的な二元論が強いアメリカは、禁欲主義を良しととしたり、国連の決まりに逆らってマリファナを解禁したり、人身売買に不賛成である立場ながら第三国からの養子を推奨したり、かなりわがままな政策を押し通している。アメリカに追従するでも、反発するでもなく、アメリカの政治を理解して、日本は普通に友人として上手く付き合えばいいのだ。私たちは、アメリカに気に入ってもらおうとするのはやめるべきだし、叱ってもらう必要もないのだ。アメリカは比較的常識的な大きな島国なのである。そして、アメリカ人の意見は、決して一枚岩ではない。

サクラメント・キングス、サクラメントに残留!シアトルには来ない!

NBAのオーナー達が、サクラメント・キングスをシアトルに移して、シアトルスーパーソニックスという名前に変えるという案件に対して、多数決で反対に押し切られた。よって、キングスは暫くサクラメントに残ることになる。これは良い決断だと思う。現サクラメント市長である、元フェニックス・サンズのポイントガード、ケビン・ジョンソンも大喜びである。一方で、NBAチェアマンのスターンは苦虫を噛み潰したよう顔をしていた。ざまあ見腐れ、である。サンダーが負けた日、フィッシャーがグリズリーズのバスに乗り込んで一緒にメンフィスに帰ったという情報もある(フィッシャーの勝ち馬に乗る行動を皮肉ったジョークです)。

グリズリーズがサンダーをオクラホマシティーで点数以上にあっさりと下した。サンダーにはケビン・デュラントとニック・コリソンという元スーパーソニックがいるが、段々と新しい組織になりつつある。冗談にしても、オクラホマ・スーパーソニックスとは呼び難くなってきた。しかし、サンダーのオーナーであるクレイ・ベネットは、優勝リングを手にするに値しない男である。サンダーが負けて、清々する。

しかしサンダーだが、先は暗い。勿論、ウェストブルックが帰ってくれば、シーズンでは威張れるチームになる。デュラントとウェストブルックのコンビに、イバカが中にいれば、点数は取れるからだ。しかし、落ち着いたボール回しが出来ない。ヒューストン・ロケッツやサンアントニオ・スパーズのようなチームで攻撃するバスケが出来ないのだ。困れば、デュラントかウェストブルックにボールを回して、一人で点数を入れに行くようなバスケでは、チャンピオンリングは奪えない。真ん中に、ディフェンスもオフェンスもできる選手を一人入れなければ、話にならない。例えば、タイソン・チャンドラーなんかどうだろうか(本当はサンダーに来るはずだったのに、健康検診でトレードがご破算になった経緯がある)?

5/14/2013

アメリカで売春や性風俗の話はしてはいけない。大阪には必要である。

アメリカという国は、思っている以上に保守的で宗教的である。アメリカ流のキリスト教的な価値観があり、右も左もその上で戦う。マリファナを推奨したり、同性愛結婚を推奨したり、戦争反対を言ったり、死刑廃止を訴えたり、中絶を支持したりする人達も、キリスト教のアンチテーゼとしての政治的な発言を行っているに過ぎないのだ。「米流キリスト教」の足枷からは抜けられないのだ。アメリカ流のキリスト教的な価値観を理解しない人には、アメリカ社会の政治動向は理解できない。

自由の国と言われるアメリカだが、タブーが数多く存在する。女性問題もその一つである。女性を貶める発言は、完全に「NO、NO」である。政敵を駆逐する際には、その人が女性を軽視していると吹聴すればよい。敵国家を冒涜する際には、その国家が女性の地位を蔑ろにしていると宣伝すればよい。

橋下知事の発言が注目を集めている。慰安婦問題に触れ、米軍に風俗利用を推奨したのだ。これはアメリカでは「NO、NO」である。アメリカでは、売春行為に対する過度な不忍容さがある。アメリカでは、ネバダ州のナイ郡などを除いて、売春は違法である(トリビア:ラスベガス市内では売春は違法!)。政治家や会社経営者が売春行為を行ったことがばれると、ほぼ間違いなく職を追われる。売春などの話に関して綺麗事を述べないことにはアメリカ社会では生き残れない。一般の日本人とはモラルの基準が違うのだ。どのような意見を持っていようと、公の立場のアメリカ人が売春問題について触れることはない。そういうタブーの話題が出てくること自体が不快なのだ。

私は大阪の繁華街で育った人間として、橋下発言はもっともだと思うし、橋下市長の考えている「人間」の快楽主義に沿った社会の在り方が、大阪の繁栄には必要であると考えている。歴史的にも、例えば江戸時代などは日本では「快楽主義」は許容されてきた筈だ。ただ日本人の中にも、こういった話を「攻撃対象」と考えるメディア関係者もいるし、綺麗事を好む視聴者・読者もいるわけだ。私は、橋下市長には大阪の快楽主義に沿った人間臭さを政治信条として、大阪市の発展に寄与して欲しいと考えている。ただ、モラル意識の違う政治基盤との間で、自由奔放な発言を政治摩擦に利用されないように、慎重に発言して欲しいとも思う。

アメリカでは売春行為が違法である。昔の映画に出てくるような、車道やモーテルの前にハイヒールを履いたけばいお姉ちゃんが突っ立っているような光景は、絶滅危惧状態である。高級エスコートは安心して利用できるだろうが、べらぼうに高い。アジア人が経営している小汚い「サウナ」でも売春行為は罷り通っているが、東アジア人か貧困層出身の初老(50代くらい)のおばさん達が相手をしてくれる。手早くサービスを受けたい一般の猛者は、クレイグズリストや地元のフリーペーパーなどを通してエスコート、アウトコール(客のところに行く)やインコール(客が指定された場所に行く)などの違法な売春行為を利用する。最近ではリンクドインなども利用されていたようだ。

アメリカで上記のサービスを受けようとすると他の先進国と比べて、べらぼうに高い事に気付かされるだろう。サービス内容にもよると思われるが、日本のように売春に「準ずる」行為が明瞭会計で一万円以内などという事はあり得ない(売春行為は日本でも違法です!)。何故このような違法行為が蔓延るのか?理由は橋下氏の言うように、猛者の性的なエネルギーをコントロールできないからである。しかし、繰り返しになるが、虎の尾を踏みたいアメリカの公人は、絶対に存在しない。アメリカ人の中にもこういった行為を好む人たちは少なからずいる。そういった人達の多くは、南米、ヨーロッパやアジアに行く。米国は「性風俗遊び」には適さない不毛の地であるのだ。日本人の中には勘違いしている人たちが多いが、アメリカは日本以上に「本音」と「建前」をきっちりと分けている国なのだ。政治の場で「ぶっちゃけ」トークは罷り通らない。

余談だが、南部を中心に一部の州においては、ソドミー法と言う物が未だに存在している。例えばヴァージニア州では、如何なる男女も、オーラルセックスや肛門性交をしてはならない、となっている。これに違反すれば、一年以下の懲役に処せられる。これは結婚しているカップルにも適用される。守られる筈もないこのような法律が存在している事自体、何をかいわんや、である。

閑話休題。「平均」的な話をするが、エリート主義がなく、快楽主義をある程度許容する物分かりの良い日本人。ピューリタン的に快楽主義を認めたがらず、ストイックさの建前の下で、家族の価値を説きながら、離婚率が高かったりするアメリカ。これは、文化的な背景の違いである、とするしかないのだと思う。欧米などと一括りにする人がいるが、ヨーロッパに行くとこれらの常識がまた通用しなくなるのだから面白い。ヨーロッパでは場所ごとにキリスト教を背景とするモラル意識が異なって発展している。宗教戒律的には厳しい筈の南欧の方が性に大らかであったりするのだから、宗教問題のみに注目するのも間違いである。「キリスト教」自体が一枚岩ではないので、アメリカの政治現象を本当の意味での「キリスト教」に源を求めることは間違いだ。ただ、文化と宗教は切っても切れない関係だ。アメリカにはアメリカ流のキリスト教が発展し、人々はそういう文化に縛られている。外野から見ると、滑稽でもあり、羨ましくもある。

日本には日本人がその歴史的コンテクストの中で培ってきた文化がある。我々日本人は、自分たちの文化がどういった物であるかを綺麗事を排除して意識する必要があるだろう。誇れるべきものも、好きでないものも、すべて含めて日本で培われた文化であるのだ。そして、日本の地域ごとに根差したローカルな多様性も考慮するべきだ。それを他国と単純に比較して優劣をつけても仕方ない。多様性こそがグローバリゼーションの合言葉な筈なのだから。

* アメリカにやって来る日本人の中には、パーティーなどの場で風俗に行った経験などを臆面もなく語ってくる人がいます。社会的な地位がある医者やビジネスマンの中にさえ、そういう人達を見かけます。そういった話題を公の場で許容する下地は米国にはありません。お金を出して女性から性的なサービスを受けたなどという話題をした時点で(仮に男同士であっても)最低人間のレッテルが張られます。そういう話題は、本当に仲の良い人たちとマリファナを吸っている時のネタにしてください。不特定多数の人がいる中で、こういう話題は絶対にダメです。性の話題自体は、状況次第で可能です。学生同士や、ユダヤ人社会には常に受け入れられます。ただ一般的に、クリスチャンのエリート層は、大多数の日本人と同じように、性の話も嫌がります。

5/13/2013

トロント・メープルリーフズ、ボストン・ブルーインズに追いつかれ、敗れる

メープルリーフズを応援していたのだが、第三ピリオドが始まった時点で、4-1で勝ったと思った。しかし、4-2と詰められ、残り二分からエンプティ―ネットで5対6で来たブルーインズは一分以内に2点をもぎ取って同点にして、延長戦に縺れ込む。黄色いタオルを氷上に投げ入れるボストンの低俗なファンにイラついたが、延長戦でバージェルホンにあっさりとこの日二点目のゴールデンゴールを決められて御陀仏。ジェームス・ライマーが神がかり的なセーブを続けていただけに、残念である。カナダチームがまた一つ消えた。

バンクーバー・カナックスは苦手のシャークス相手に早々と姿を消している。短いレギュラーシーズンを二位で回ったモントリオール・キャナディエンスはオタワ・セネターズとのフレンチカナダ同士のフィジカルな潰し合いに敗れてしまった。勝ったオタワは、次戦は優勝候補、シドニー・クロスビーを擁するピッツバーグ・ペンギンズとの戦いである。

5/12/2013

円安を阻む「外圧」は、神様の影。そんなもんは存在しないのです。


ウェブ上のエコノミスト達の記事を読んでいて面白いなぁ、と感じる。というのは、為替相場の事に関して、やたらと諸外国の意見を気にしているという事である。こういった意見を言う人達は、真剣に政府が為替に対して影響力を持っていると信じているのであろうか?或いは、そういう事を風潮して、為替市場を誘導しようと頑張っているのだろうか?

エコノミストの中には、まともなエコノミストと、インチキエコノミストがいる。私はロイターの外国為替フォーラムの記事を良く読むのだが、まともな記事を書いている代表が鎌倉大輔氏や河野龍太郎氏である。インチキな記事を書いている人は大勢いるのだが、佐々木融氏などが代表と言える。まともなエコノミストは、データを整理し、理路整然と為替の流れを説明する。どこまでが解っていることで、どこからは解らないのかも、きちんと説明してある。一方で、インチキエコノミストの面々は「噂」や「市場モメンタム」に重きを置く。多分、経済学の知識に乏しいのだろうと思われる。インチキエコノミストたちの間で「外圧による円の下落不可能論」が喧しいのだ。

さて、1ドルがついに100円の心理ラインを割って来た。私としては意外と遅かったと思っているのだが、新聞紙上では早すぎる為替の動きなどと描写されている。白川さんをクビにして、無制限量的緩和などといったマーケティング手法をとれば、こうなることは火を見るよりも明らかであった。どころか、公的債務が大きいことをつかれ、そのうちストップが取れなくなる。これは、黒田総裁と安倍首相のアクションによる因果関係ではなく、投資家に遊ばれて、急激な為替の変化が生まれている訳だ。

世界に跨る根本的な問題は、金が余って余って仕方がない、という事である。そして、それらの金が世界の人々に不均一に散らばっているという事である。使う必要がないユーロダラーのようなものが、ホットマネーとなって何処かから何処かに動いていく。それによって、21世紀の我々の経済は決定されるのである。中央銀行や政府の力は物凄く小さい。寧ろ、ホットマネーは政府から金を掠め取ろうと必死に頑張っている訳だ。

さて、アメリカ経済が着実に復調していることから、世界のホットマネーのポートフォリオが変わりつつある。一部の金が日経などに流れており、円を売る流れに拍車を駆けている。どこぞの政府が円安を容認するのか、容認しないのか。政府や中央銀行ごときに世界経済が制御できているのであれば、2007年から2008年にかけて我々が目撃したような金融市場の大暴落は、そもそも起こっていない。金融を緩和した程度でインフレになれば、失われた20年など経験していないし、極度な円高など起こらなかった筈なのだ。

まあ、エコノミストは、自分たちの所属機関が急な為替の浮き沈みに対応できず、焦っているだけかも知れないが。或いは「日本は外圧に常に脅かされている」というような、情けないトーンでニュースを作れば、日本の視聴者が喜び、メディアは儲かるのかも知れない。

5/10/2013

日本の物価は異様に安い(2):衣食住編

物価の安い高いを比較する際、EIUの生活費の高い都市ランキングなどが発表されている。それによると、2012年度の世界140都市で、生活費が一番高い都市は東京であり、第二位は大阪であった。この統計を見て、東京や大阪の生活費が、オスロ(4位)、ズーリック(7位)やジュネーヴァ(10位)よりも高いと考えるナイーブな人がいるのだろう。知っている人であれば、はっきりと言うだろう。そんなアホな!と。この統計は、あくまでも欧米人が雇用者を海外赴任する際の費用ランキングの目安であり、現地の物価を反映している訳ではない。

衣食住が生活の基本であるが、グローバル化が進んだ世の中において、「衣」に関しては、世界中で大差はない。アメリカが安い。ソウルや香港や台北や東京は安いものもあるが、ブランドものはかなりの値段がする。ヨーロッパは思っているよりも安い。ただ、税金の差があり、高税の地域では物価が高く感じる。ただ衣服の税抜価格に関しての価格差は無視しても良いほどのものである。発展途上国、たとえば中国などでブランド品を買うと無茶苦茶高い。

住であるが、これがかなりミスリーディングである。東京で働く外国人は赤坂のなんとかヒルズとかに住む。すると、軽く20万から50万くらいの家賃となる。下手をすると、100万くらいするところもあるが、東京で働く外国人は、会社を通してこういった物件に入ることができる。しかしながら、普通の一般の東京で働く人は2LDKでも10万円前後の物件に住んでいる。便利さを追求した東京という町で、人々は広さを犠牲にしている訳だ。びっくりするのは、12万円ほどの家賃に「東京の家賃は高すぎる!」などと不平不満を言う人達がいる。部屋をシェアしないで、トイレと風呂がついていて、比較的新しい環境で12万円前後で住めるのなら、国際的には決して高くない。香港やシンガポールも、東京に肉薄した、もしくは東京以上の家賃相場だ。台北やソウルに行くと、東京の半額くらいになる。上海や北京では安い所に外国人が住むのは無理であり、1000ドルから2000ドルを家賃として計上する必要がある。

ニューヨークの便利な場所(ダウンタウンに地下鉄で20分以内)でワンベッドルームのアパートに住めば、月2500から5000ドルくらいする。サンフランシスコでもNYと余り変わらないくらいである。シアトルなら、ダウンタウンで2500から4000ドル、少し離れれば900から1800ドルの間くらいになる。これが、アメリカの田舎に行くとぐっと安くなり、500から1000くらいの間でワンベッドルームが借りられる。が、文化的な生活が送れないほどの田舎での生活を強いられる。アメリカで他人から隔離されて一人で暮らす場合は最低月1000ドルを家賃として考えなければならない。シェアなどをすると、500ドルくらいからで住めるだろう。これよりも安いものを探すのは、ほぼ不可能である。パリやローマやミランもシアトルと似たような相場だ。ドイツに行くと、少し安くなる。ロンドンはNY並に高く、北ヨーロッパはサンフランシスコ並みである。東京のように5-6万円で一人暮らしはできない。ただし、1ドルは100円、1.2ユーロ、1.5ポンドと考えている。安全が保障されていない街では、外国人用の賃貸はおしなべて高いものだ。シドニーやバンクーバーのような、新興都市の家賃がブル相場である事も付け加えておく。

重要な点は、一人で住むのなら、アジアであれば広さを犠牲にして、割安で済むという事だ。欧米では、安く住みたいのなら他人と同居するしかない。欧米では他人とシェアするシステムが発展しているため、容易に相手を探せるが、アジアではヒッピー以外には「シェアの文化」は浸透していない。こういった文化的背景を抜きにして、住居費を比べるのは難しい。

食であるが、これはアジアが圧倒的に安い。バンコクや台北なら、ビジネスランチが300円ほどで食べられる。東京なら900円、大阪なら750円、ソウルや香港で700円、シンガポールでも800円ほどだ。上海や北京が意外に高く、まともなものを食べると(段ボール入りの饅頭や、鼠の串焼きを食べるのであれば話は別である)、台北よりも高くつく。これらの街の食事は、文化的背景が似ているため、比べ得る。知っていると思うが、アジアでは、欧米の舶来の物はまだまだ高い。フレンチ料理、ステーキなど、こういうものは、店の雰囲気にもよるがNYの倍はする。

アメリカの食費は、ユニットプライスで見ると安いが、支払いは高くなる。マクドナルドなどの$1メニューなどもあるが、まともな人は普通にセットを買っている。ランチを食べられるレストランで食事をすると、チップと税金を入れると10ドルは支払わなくてはならない。私が渡米した10年前は、7$+アルファでランチが食べられたのに、インフレのせいか随分と高くなったものだ。量が少ないが安いという物は売られていない。

フランス、イタリア、ドイツ、イギリスはアメリカと似ている。店の中に入って食事をすると、チップと税金を入れると10ユーロ(或いは6-8ポンド)は支払わなくてはならない。そのためか、ピッツアテリア、クレープ屋、ケバブ屋、サンドイッチ屋など、お持ち帰りが出来る店が流行る訳だ。その辺りだと、半額で食事を摂れるからだ。そういった店の殆どは、中東出身者に運営されていることも書いておかなければならない。イギリスなど、パブに行くと、食べ物が意外に安いし、美味しいことも書き記しておく必要があろう。スカンジナビアやスイスは糞高い。バーガーキング以外で食事をすると、一番安いものを食べても2000円は覚悟しなければならない。

ここまで読めば、如何に日本が安いのか解ってもらえると思う。フレンチレストランのランチセット(コーヒーとデザート付)が1200円で提供されている国などない。食事に関しては、質と価格と迅速さにおいて、日本に勝てる国は東南アジアの一部の国を除いて、ない。

次回は、教育、医療、交通、各種サービスなどについて考えたい。

5/08/2013

第二戦のグリズリーズ、第四クオーターに仕事をきっちり。サンダーを撃破。

これは2012-2013シーズン・プレイオフの記事です。2014年の記事はこちらから

オクラホマシティー・サンダーとメンフィス・グリズリーズの第二戦。第一戦を僅差で落としたグリズリーズが面目なるのかに注目が集まった。

ただ、以前の記事でも述べたことだが、グリズリーズ得意のフィジカルなディフェンスが第三クオーターまでは影を潜めた。余りのミスマッチぶりに、とても詰まらないバスケットボールを見せられる事になってしまった。

ディフェンスに定評があるテイション・プリンスがデュラントを徹底的にディフェンスするのだが、いくら頑張ろうともデュラントを完全に止めるのは不可能である。しかも、プリンスがシュートを外しまくったので、グリズリーズのホリンズ監督は、プリンスを下げてトニー・アレンにデュラントのディフェンスをさせた。トニー・アレンはオール・ディフェンダーのファーストチームに選ばれた程のディフェンスのエキスパートである。しかし、身長の高いデュラントにトニー・アレンをマッチアップさせることには、無理がある。無駄なファウルを何個かとられ、ベンチに帰らざるを得ないような状況になった。トニー・アレン自身もかなりイラつきが目立った。で、ファウルが重なり、ポンデクスターがデュラントのディフェンス担当になった。これは面白くない。

スコット・ブルックは、マッチアップの隙をついて、スモールバスケットに集中した。イバカをセンターにし、PFにデュラント、SFにケビン・マーティン、そしてガードにフィッシャーとセフォロシャというふざけた面子で試合に臨んだ。その結果、ザック・ランドルフがデュラントをガードするという見たくないバスケを見せられた。一方、マーク・ガソールをデュラントがガードするのだが、明らかなミスマッチであり、第二クオーターは点数の取り合いになってしまった。

こんな詰まらない試合を見るくらいならバンクーバーのホッケーでも見た方がマシだ!とも思ったが、第四クオーターに入って、漸く試合が面白くなった。プリンスがデュラントに張り付き、トニー・アレンがセフォロシャを無視して、デュラントにダブルチームをかける。内は、マーク・ガソールとZ坊のコンビ対コリソンとイバカのコンビで押し合いをする。コンリーはフィッシャー相手に点取りに徹する。激しいフィジカルな試合になり、かなり面白かった。ホリンズはディフェンスの時はアレンとプリンスを使い、攻撃時にはポンデクスターとベイレスを入れる。自分達のロールがはっきりと解る采配であったのではないか?

が、グリズリーズはもっと簡単に勝てた試合だと思う。グリズリーズの先発5人の息がぴったりなので、いじくり回したくないのは解る。第一クオーターからダブルチームをする必要もない。やはり、トニー・アレンをシックスマンとして使う方が賢いと思う。一方で、サンダーはマーティンの不調が誤算だった。ただ、調子の良い時のマーティンは点数を入れまくる。どうやってマーティンを使うかが勝負の分かれ目だろう。瞬間湯沸かし器のパーキンスの代わりにきっちりとディフェンスできるコリソンを、試合のカギとなるような場面で入れておくのも正解だ。

中四日空くが、メンフィスではグリズリーズがもう少し簡単なバスケをさせて貰えるだろう。クリッパーズ戦の方がもっと緊迫感があって面白かった。カリー率いるゴールデンステーツの猛攻を、第四クオーターとオーバータイムに大逆転で撃破した王者サンアントニオスパーズとの西カンファレンス決勝戦が今から楽しみで仕方ない。


5/06/2013

アベノミクスが目指すもの:日本の物価は異様に安い(1)

ホッケー、バスケ、競馬と5月はスポーツ観戦で忙しい。しかし、ニューヨークダウがテクニカル的に天井を打った感があり、株価が夏に調整をする前に「物価」の話を纏めておきたいと思う。

アベノミクスが成功したかどうか?などという無意味な論議が喧しい。金融界の目的は中央銀行に量的緩和をさせる事であり、その結果、安い資金を投資に回して様々な「プライス(ヴァリューではない!!)」が動いている。株やREITや外為に投資している人たちは得をしている事であろうし、円安の恩恵を受けて喜んでいる会社もあることだろう。停滞気味だった国内の投資環境に大きな変化を起こしたという意味で、アベノミクスは成功であると論じる人たちがいる。一方で、人為的なプライス上昇がもたらす未来の「調整」を案じ、アベノミクスは成功したとは言えない、などと論じる人達もいる。給与水準や雇用が劇的に改善されていない一面を捉えて、アベノミクスは失敗した、などと言う人達も目立つ。 

全ての意見の元になっている「現象の描写」に関しては、全く反駁の余地はない。アセットプライスは概ね騰がっているし、円は安くなっているし、外国製品の値段は昇がっているが、給与水準はさほど伸びていない。近い未来に大規模の「調整」があることもほぼ間違いない。人々の意見の違いは、結局、何を成功とし、何を失敗とするのか?という所に帰結する。 金融屋やデイトレーダーにすれば、アセットプライスを揚げてさえしてくれれば成功であるし、輸入業者に取れば円安にしてくれさえすれば成功なのである。一方で、「株をやっていない主婦」や「給与が変わらない公務員」にとってみれば、食品の物価やガソリンの値段が昇がれば、文句の一つも言いたくなるのだ。

 要点から言うと「2%のインフレ」がポイントとなる。しかし「アホ」でも解ると思うが、日本国内のすべての価格が2%昇がったとしても、何の意味もないわけだ。本当に騰がらなければいけないものは、「儲け」である。私はかねてより、当ブログで、日本の物価が驚くほど安くなっている、という話をし続けている。外国人の中には、80年代に聞いた話をいまだに覚えており、「日本の物価は信じられないくらい高い」と信じて止まない人達がいる。しかし日本に一旦住んでみると、東京の物価が思ったほど高くないことに驚くわけだ。

 物価の比較をする時に、ビジネススクールのインターナショナルビジネスのクラスでは「ビッグマック指数」なるものを教える。アイディアとしては、ビッグマックは世界中でほぼ同じものが提供されており、その値段によって各国の購買力の比較が可能であるという事だ。価格でいうと、スイス、ノルウェー、スウェーデン、ブラジル、デンマークなどの順に税抜価格が高い。日本の価格は2012年の調査時点で、12位のアメリカに続いて13位となっている。

 同じ「エコノミスト誌」に、普通の平均的な人が何分働けばビッグマックを一つ食べられるか、という統計も載っている。これによると、東京の人は9分働くだけでビッグマックを食べられることになる。世界で一番短い時間でビッグマックが食べられるのだ。二位が香港で10分、3位がニューヨークの10分。4位がマクドナルドの本社があるシカゴの11分だ。マニラやデリでは一時間強働かなければ、ビッグマックにありつけない。

この統計から判断すると、日本人の給与が世界でも高い部類に入るのか、あるいは食費が安いのか、という事が類推される。ただ、日本では藤田田氏の努力により、舶来の高級なマクドナルドという食べ物が、デフレの代名詞に貶められた経緯があり、「価格」だけに注目すると足元を掬われる。 

ビッグマックの材料費は、助成金、税金、運賃などで上下されようが、世界でそんなに変わるものではない。私たちは「価格―コスト=利益」という式を常に考えなければならない。利益が多ければ、経済は回っているという事である。一方、利益が低ければ、経済に赤信号が灯っているという事だ。コスト要因としては、光熱費、地代、マーケティングなどの運営諸費用そして人件費が多くを占めている。「税抜価格―(光熱費+地代+運営諸費用)=人に残るお金」となるのだが、東京の光熱費と地代は世界的にみても高い部類である。という事は、ビッグマック一つを売った時の「人に残るお金」が日本では異常に低いという事ができる。 アベノミクスでは「人に残るお金を如何にして増やすか」という事が至上命題となるべきである。物価2%というのはただのマーケティングスローガンなので、如何にしてヴァリューアディドを増やしていくかが問われる。 

長くなったので、物価の話は数回に分けたい。今回の記事では、「価格」に注目しすぎると、本質を理解できないという話をしたかった。

5/05/2013

メンフィス対オクラホマシティー:プレイオフ第二ラウンド

これは2012-2013シーズン・プレイオフの記事です。2014年の記事はこちらから

ケンタッキーダービーは泥々のシチュエーションの中、オーブが力通り後ろから捲って押し切った。こういう馬場になれば、綺麗な血が物を言ったのかもしれない。この馬は、故障さえなければ、アメリカ競馬はスターに困らない。古馬戦線になってもきっちりと活躍するだろう。それどころか、久々の三冠馬になるのではないかと考えている。ケンタッキーはスピード馬が優勢のため、ベルモントが鬼門なのだが、オーブはベルモント向きの馬なのだ。次の狭いピムリコのプリークネスを少頭数に乗じて勝ちさえすれば、久しぶりの快挙となるだろう。

 ホッケーもプレイオフになったが、我がカナックスは二連敗。二戦目は、ラスト一分にキーパーを下げたシャークスに同点にされ、延長で負けるという最悪のパターン。この辺の話はまた機会があれば取り上げよう。 

さて、バスケットはプレイオフの第二ラウンドだ。ロケッツは、デルフィーノを欠いて、万事休す。サンダーが勝ちあがった。グリズリーズはクリッパーズを二連敗のあと四連勝で下した。バスケはマッチアップなので、「主力」のマッチアップを見て行きたい。

 サンダー対グリズリーズ
PG:ジャクソン(フィッシャー)対◎コンリー
SG:◎セフォロシャ(マーティン)対◎トニーアレン
SF:○デュラント対◎プリンス
PF:◎イバカ(◎コリソン)対○ランドルフ
C:パーキンス対◎ガソール 

注:◎はディフェンスに定評がある選手。○はディフェンスが普通に巧い選手。勿論、ディフェンスの巧さは人それぞれに特色がある。

勿論、この面々を中心にアジャストされるのだが、サンダーの方が多彩なメンツを揃えていることがわかる。一方のグリズリーズは先発メンバーが完全に固定されている。 さて、マッチアップだが、トニーアレンとセフォロシャが無駄にマッチアップしているのだ。セフォロシャのディフェンスはコンリーに向かうことになるだろうし、トニーアレンはケビンマーティン待ちになるのだろうか?パーキンスではガソールを下せそうにない。だが、ガソールのディフェンスを誰に向けるのか?マッチアップ的には面白くないが、余剰乗員を持つグリズリーズが簡単にサンダーを下せそうだ。

ただ、当たり前の話だが、ケビンマーティンとケビンデュラントの二人が点数を入れだせば、サンダーは勝てる。マーティンのディフェンスをどうするのか?これがこのシリーズのポイントとなるのではないだろうか? 

去年も言った事だと思うが、本当ならばシアトル対バンクーバーのカスケーディア対決であったはずなのに、南部の田舎にやってきた両チーム。しかし、アメリカの南部の経済が着実に発展し、北部の経済が見かけ以上に衰退していることを考えると(この話は今後ブログでしっかりと書きます)、仕方ないのかな、とも思う訳です。

5/03/2013

2013年ケンタッキーダービー、前に行けるヴェラザーノに期待


ロケッツ対サンダー、クリッパーズ対グリズリーズが同じ時間に試合が組まれているため、ESPNとESPN2を行ったり来たりする忙しい夜になりそうだ。

今年のケンタッキーダービーだが、メンバー的に面白みに欠ける感がある。例年の事ではあるが、BCフューチャーズの面々は故障で回避。新手の新興勢力(リズンスター)達からどの馬が良いのかを決めなければならない。ただ、オールウェザーがほとんど廃止されたことによって、キーンランドのブルーグラスS以外のプレップレースは額面通りに受け入れられるのは良いことである。いつまでリンクが持つかは知らないが、ケンタッキーダービーの馬柱はここから手に入れてください。OKを押すと、アクティブの画面が出てきます。プリントを押すとPDFで保存できます。

さて、展開なのだが、今年はダービー特有のきついレースにはなりそうにない。ヴェラザーノ、フォーリングスカイ、イッツマイラッキーデイ、そしてゴールドセンツあたりが簡単に前に行けそうである。ジャイアントフィニッシュ、オーブ、そしてオーバーアナライズあたりが先行集団につける。これより後ろの馬は、正直きついだろう。

ゆっくりとした展開にさえなれば、良い位置にいる馬同士の瞬発力勝負となる。で、結論。◎はヴェラスケス騎乗のヴェラザーノ。モアザンレディーを父に持ち、全走ではウッドメモリアルを先行から快勝。ここも同じように勝負を運べるはず。○はイッツマイラッキーデイ。父のロイヤーロンは人気にも関わらず、バーバロ相手にボロ負けした。ただ、ダンジグ系の血が騒ぎ、前に行けば逃げ切れる。▲には大穴で大外のヴィジャックを押す。後ろから差せるならこの馬くらい。祖父ハーランズホリデイ、父は新規種牡馬のイントゥミスチーフという血統(ハーランズホリデイの孫が既に走っているのですね)。鞍上ゴメスの剛腕に期待。△にゴールドセンツ。この馬も父はイントゥミスチーフ。鞍上のクリッガーは競馬界では珍しい黒人で、黒人として1902年以来のダービーを勝つのか?などとメディアを賑わしている。×は一番人気であろうオーブ。父はマリブームーンで祖父APインディー。母方の祖父はアンブライドルドと血統が綺麗すぎて逆に心配。

この時期のケンタッキーは天気が悪いことで知られている。金曜日の時点で、シカゴからメキシコ湾にまで伸びる停滞前線があり、それがゆっくりと東に向かっている。もし雨が降るようならば混戦を極めるだろうが、予報では天気はどうにか持ちそうだ。

5/01/2013

ロケッツ、崖っぷちから手負いのサンダーに二連勝

これは2012-2013シーズン・プレイオフの記事です。2014年の記事はこちらから

ベバリーの強引なスティールで膝を壊し、手術によって長期離脱を余儀なくされたウェストブルックを欠くサンダー。3戦全勝で挑んだ4戦目をヒューストンで落とした。

で、5戦目。サンダーがロケッツ相手に、なんと、まったく勝負にならない。フランシスコ・ガルシアがケビン・デュラントをがっちりとガードすれば、サンダーの得点力は消え去ってしまった。ウェストブルックがいれば、こういう時は早いドリブルで突破してきてレイアウトを狙ってくるのだろう。しかし、ウェストブルックがいないサンダーは、デュラントに頼るか、外に出して誰かが強引に3PTを打つくらいしか攻撃オプションがないのである。3PTシュートは3割くらいしか入らないので、ヒューストンが外から中から攻撃を続ければ、自ずと点数差が開いてくる。

サンダーのディフェンスは、ハーデンとパーソンズを意識しすぎた感がある。その他の選手ががら空きで、ガルシア、アーロン・ブルック、そしてベバリーがかなり楽にバスケットできたのだと思う。さらには、センターのオマー・アシークがインサイドで点数をぼこぼこ入れられるので、サンダーは手も足も出せなかった。

こういう時に、フィッシャーやセフォロシャあたりが立て続けに3PTでも入れられれば、流れも変わったのかもしれないが、それもこの日はなかった。

ヒューストンはジャーミー・リンが出ないことが、結局は功を奏しているのである。そして、ハーデンにPGをさせない事が、さらに好環境を生み出していると考える。リンもハーデンも生粋のSGであり、PGの技術が劣る(「普通の」パスが下手)のではないのかと筆者は勘ぐっている。

しかし、サンダーの見せたみっともないバスケに腹が立った。アシークに執拗にファウルをして、フリースローを投げさせるというものだ。あれは、弱いチームや学生がやる事で、3-1で勝っている昨年の王者が新鋭のチームにやる事ではない。それほどサンダーは余裕がないということか?アシークもそこまでフリースローが下手ではないし、意味のない作戦だったと思う。一回や二回なら解からなくもないが、一体何回ファウルしたのか?いい加減にしてほしい。

第4戦も目が離せない。第二戦も第三戦も、ヒューストンが負けたとはいえ、最後は3点差の好ゲームであった。シリーズは終わってみなければ解らないが、正直ロケッツが勝ちあがるのは難しいと思う。ケビン・デュラントの調子さえ良ければ、いくら他の場所のマッチアップでロケッツの力が優ろうとも、結構簡単に勝てるのではないか?

ただ、どちらが勝ちあがろうとも、メンフィスは下せないと思う。ヒューストン対メンフィスなら、かなり面白い試合になると思う。一方、手負いのサンダー対グリズリーズなら、一方的な展開になってしまうと思う。メンフィスがクリッパーズ相手に勝ちあがると確定したわけではないが、今年のプレイオフはメンフィスが良い所まで行くのではないだろうか?