11/29/2012

新党「甘言・金魚の糞(くそ)党」を立ち上げたい


ニコニコ動画で党首討論を見た。海外に住んでいると、日本のテレビを見る事が適わず、こういった場を活用する以外に党首の生の声を聞くことができない。しかし金魚の糞のような党首がいっぱいおり、鬱陶しかった。「恫喝宗男氏」や「なんとなくクリスタル氏」の意見を聞くのは時間の無駄だ。しかも一番主張を聞きたかった石原氏は得意の宮本武蔵作戦で雲隠れ。民主党と自民党の一対一で討論させればいいのであって、こういった「無駄に平等な場」は必要ない。

皮肉の意味も込めて、私も是非とも新しい政党を立ち上げたい。党名は「甘言・金魚の糞(くそ)党」。応援お願いしたい。早速、我ながら完璧なマニフェストを考案した。



消費税
消費税は庶民の敵。断固として反対。そもそも景気が悪いときに消費税は導入するべきではない。

雇用
雇用を徹底的に守る。新卒者の雇用を大企業に働きかける。雇用の確保こそ安心に繋がる。小泉改革に端を発した格差社会を是正し、安心な日本を作る。

エネルギー政策
原発は反対。ゼロにする。代替エネルギーの開発を進める一方で、エネルギー効率を上げるサステナブルな社会を実現。

医療
医療サービスを充実させる。日本全国一律のサービス。コストを安くする。幸福な社会の実現。

年金・保険
組織を簡潔化し、今の制度を維持できるように努める。老後の心配をせずに済む、安心の社会の実現。

行政・公務員
行政の無駄をなくす。官僚の言いなりにはならない、政治主導。天下りの禁止。公務員の給与体系を民間並みに。中央から地方へ。議員の数も長期的には減らす。

教育
教育立国を目指す。教育こそが未来の日本の宝である。研究開発に予算をつけ、イノベーションを起こす。

育児・子育て・少子化対策
お母さんが心配しなくてすむ社会に。デイケアなどを増やす。子供に優しい社会の実現。安心して子供を生んで貰えるようにする。子育て休暇の充実。

安全
安全な社会作り。凶悪犯罪を減らす。きれいで、住みやすく、安心できる社会を作る。安心できるコミュニティー作り。

食の安全
日本の食料自給率をあげる。原発などの影響で被害を受けた農業を復興。日本の農林水産業を守ります。

防災
自然災害に強い日本を作る。防波堤などを積極的に迅速に推進。

環境
地球温暖化などの国際条約に積極的にコミット。自然代替エネルギーを増やし、世界に誇れる社会にする。

地域主権
地方を復活させる。震災で被災した東北地域には重点的に復興予算をつける。地方商店街のシャッター街に再び活気を!

外交
近隣国家とコミュニケーションをとり、仲良くする。問題を起こさないような体制作り。TPPには反対。嫌がっている人が大勢いるのに、このような法案は通せない。他の枠組みを活用。グローバリゼーションの波に埋もれないように、日本を活性化させる。沖縄の基地問題も解決します。

経済
日本はものづくりの国。日本の製造業を守り抜きます。製造業を守るため、円安政策を実施。資金繰りに困っている中小企業を支援。

財政問題
長期的な視野で取り組む必要があるが、景気対策を優先するべき。庶民は苦しんでいる。消費税増税などあり得ない。



甘言・金魚の糞(くそ)党は、日本の安心・安全を高め、住み良い社会を目指します。大政党である「自民党」にも「民主党」にも出来なかった安心の政策を実行します。是非とも、あなたの清き一票を金魚の糞(くそ)に!





全体主義者の意見

石原慎太郎代表も「金融政策は日銀プロパーの問題ではない」とし、個人金融資産が約1500兆円あり、「なぜこのカネを政府が使えなかったのか。日銀がたくさんカネを刷ってもどこかに滞るだけで、こういうことを見直さなければ景気は復活してこない」と、問題点を挙げた。(ロイター11月30日)


→ 亀井静香さんといい、青嵐会の人達は「日本国民の金は日本国政府の金である」と信じているようです。

11/28/2012

経済音痴が人前で歌を歌えば皆が迷惑。最低ボーカルレッスンを受けてからにして欲しい。


周りにいるエリート連中に、あまりにも経済音痴が多いと言う話をした。今朝、日経ビジネスの小峰教授の記事をたまたま読んでいると、まさに私が言いたいような問題が載っていて驚いた。

経済音痴といわれる人には、よくよく観察すると二つの異なるタイプの人達がいる事に気づく。

一つ目は、「お金」に全く興味がない人。「商売」、「経済」、「株」などの話題を嫌うタイプである。この人達は小さい頃から「お金は汚いもの」であると教えられているのだろう。汚いお金の話をする「欲深い連中たち」は、ユダヤ人となにわ商人だけと相場が決まっているものだ。こういったお金に関心がないタイプの人達は、歌うのが嫌いなのでカラオケに行かない人と考えていいだろう。筋がきっちりと通っている。

二つ目のタイプは、大学一年生レベルのマクロやミクロ経済学を一通りきちんと理解していない癖に、経済について一家言あるタイプの人だ。偏った本を読んで、間違った知識を持っている。前提の間違いや、論理矛盾を指摘すると、「違う経済学もある」とくる。経済学は色々あるだろうが、論理矛盾は経済学とは関係ない。それを指摘すると「経済学は不完全な学問であり、経済学を齧っている連中は信用できない」とくる。このタイプの人達は性質が悪い。解らなければ、解らないと言えば良いが、新聞の記事などに詳しい。経済通ぶりたければ少なくとも経済学の基本くらいは抑えておいて欲しい。経済の話を経済学の視点で喋っていたのに、社会学や国際比較論ならまだしも、歴史学、あるいはモラル論や陰謀論に話を摩り替えられると、その時点でコミュニケーションが成り立たなくなる。こういったタイプは、音痴の癖にカラオケが好きな人と考えると解り易いかもしれない。ハタ迷惑、この上ない。

問題は、二つ目のタイプが世の中に数多くいるという事だ。経済は経済学者だけのものではなく、社会全てが経済活動からの利益を享受している。よって、総ての人がそれなりに意見があるのは当たり前の事だ。生活が苦しけりゃ、そりゃ文句の一つも二つも言いたい。

だが、巷に出回る「トンでも本」や「トンでも記事」に洗脳されているとしか思えない人達が大勢出てくる。暇な通勤時間に陰謀経済論の類の記事を読んだり、経済批判の書を読んだりする。基礎知識がないので、「大袈裟な論調」や「明らかな嘘」を無防備に鵜呑みにしてしまうのだろう。さらに判官贔屓からか、経済学を齧っているエリート連中が我々の社会を貶めている、と信じ込む人も出てくる。ああいう本の作者連中は、本を売るために書いているのであり、正しい事を書いている訳ではない。トンでも本の著者も家族を養っていかなければならず、生活がかかっているのである。目立つ事で政治家やテレビのコメンテーターになりたいとでも考えている輩もいるだろう。それに唆されているうちは、まだまだ尻が青い。

餅は餅屋の搗いたものが一番美味い。経済政策の事は経済のプロに任せるしかない。素人は選挙で社会の方向さえ見ればよいのである。経済政策を選挙の核にしようとするなど、ちょっと無理がある。素人の文句を経済運営に組み入れようとしても、経済運営はひとつのシステムなので、碌でもない事になる。そして金儲けしたい連中にコロッと騙されて、税金を掠め取られるのがオチだ。一般の大衆が判断ツールを十分に有していないので、選挙は甘い事を言ったもん勝ちの世界である。

理想論ではあるが、大学か高校かは知らないが、日本社会は国民に正当な経済学のイロハを教える責任があると思う。「英語コミュニケーション」、「会計金融入門」、「ミクロ経済入門」、「マクロ経済入門」、「基礎コンピュータ言語」、「統計学入門」。このくらいは現代社会で生きて行く上で必要最低限の知識であり、社会がある程度の基礎をきっちりと教える必要があると考える。「古典」や「物理」や「サンデル教授の倫理学」の時間を削ってでも、これらは教えてしかるべきものだ。選挙民に強制的にこれらのクラスを取らせてから選挙をさせたいものである。むしろ、こういった基礎知識を試すテストでもして、合格点が取れなかったら選挙権を取り上げればよい(勿論、ただの暴論です)。

経済論議をしたければ、経済の基礎を最低でも学べ。人前で歌を歌いたかったら、まずは発声練習くらいは受けろ。ジャイアンみたいなリサイタルを開いて、歌を広場で披露すれば皆が迷惑する。最低限の知識無しに行う批判を、社会ではクレーマーによる不平不満という。

11/27/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(4): 残念ながら何をしても無駄。時、既に遅し。


インフレが良いのかデフレが良いのか?無意味な二元論になっているので、話を整理したい。

  1.         デフレが継続するよりもソフトなインフレが継続する方が経済的に健全である。むしろデフレが長期的に継続するような事態はあってはならない。
  2.         日本は需給ギャップが開ききっており、デフレスパイラルの状態にある。
  3.       日本も金融政策を行い易くするためにインフレ状態になるべきである。
  4.       日本の景気は停滞している。景気を浮揚させるべきである。「経済成長」しなければならない。

2. については経済学の定義上、若干の異論が発生するかもしれない。だが、この四つの意見の根幹について異議を唱える経済学者或いはエコノミストがいるとすれば連れて来て欲しい。もしいるとすれば「反資本主義者」か「目立ちたいだけの道化師」かのどちらかである。

「日本経済を成長させたい」という事に反駁する人はいない。経済成長は最優先の命題である。そして経済を理解している総ての人が、二義的に、日本はデフレ状態から抜け出した方が良い、と考えている。

日銀と政治の失政、そして外的要因により、日本は「デフレスパイラル状態」に陥ってしまっている。近代社会ではあってはならない「デフレスパイラル状態」に日本だけがなってしまっているのである。他のどの国も経験しておらず、経済学教科書の終わりの方にしか載っていなかった、抜け出す方法がいまだに確立されていない、マクロ経済運営にとってはあってはならない最悪の「デフレスパイラル状態」を日本は現在進行形で経験しているのだ。注意しなければならないのは、戦後の欧州もアメリカもデフレスパイラルには未だに陥っていない。日本とは状況が全く違う。

所謂リフレ派は、上記四点の相関関係と因果関係を誤魔化した上で、デフレだから不景気になっている。従ってインフレにすれば好景気になる!と面白い事を言っているわけだ。意識的に「デフレスパイラル状態」に陥っている事実を無視しているのである。

所謂リフレ派が言うように、日本経済を無理矢理インフレに持っていく事は可能である。お金を血眼にして「際限なく」刷りまくれば、やがていつかはインフレになるだろう。或いは、諸外国に眉を顰められるのを覚悟で無茶苦茶な円安に誘導したり、需要を無理矢理供給とマッチさせるような無茶苦茶な財政支出をすれば、デフレ状態は一時的にせよ解消する。

所謂反リフレ派のレッテルを張られている人達は、上記のような政策を日本がとるべきではないと主張する。数十年築いてきた「フェアな日本」という国の信用が無茶苦茶な政策により失われる事になるし、副作用がきつ過ぎて「インフレになったは良いが成長が阻害された」という本末転倒な事態が発生すると言っているのだ。このブログで紹介してきた国債バブルの崩壊などは、考えうる典型的な副作用である。

日銀は副作用を恐れており、「人為的に」インフレを起こしてデフレ脱却をする事には消極的であると考えられる。日銀が言うように、政策などを用いて社会の柔軟性を高めるなどの副作用の少ない成長ツールが色々残っており、まずはそれを実践するべきだ。ただ残念ながら、既得権益にメスを入れざるを得ず、政治家にとってはやり難い成長政策が目白押しである。正規労働者の権利を削ぐ形で正規と非正規間の雇用格差をなくしたりすることもひとつであろう。しかし日本型長期雇用慣行を改悪するなど、政治家にとっては口が避けても言い出せないものだ。

私は日本経済の先行きに大きな懸念を抱いている。言うに及ばず、財政問題が理由である。潜在成長率が低下してしまっているので、増税と歳出削減を徹底するしか解決方法がなかった訳であるが、政治的に行き詰ったまま15年の歳月が流れた。問題は膨れ上がり、破裂の瞬間を今か今かと待っている状態である。残念ながらいまさら何をやっても遅すぎる。安倍さんがハードランディングさせようとも、他の総理大臣が数年間引き伸ばそうとも、この問題が破裂するのは間違いない。何時破裂するかだけの問題でしかないのだ。

最近この話題をシアトルにいる周りの日本人達に振っているのだが、周りの人達は一流大学を出て高等教育を修了している人達ばかりであるにもかかわらず、驚くほど経済問題に疎い。「お金の事を話題にするのはみっともない。大阪人やユダヤ人でもあるまいし。」などと言われて育ってきたのかもしれない。そして、その通り。私は大阪人である。だが、経済が理由で、我々日本人の社会は相当な血を流すことになる。あなたも、私も、相当な痛みを経験する事になる。

言いたい事は尽きないが「後の祭り」だ。財政問題を解決する事はできないだろうし、カミカゼが吹く事もない。誰がやったとしても、遅かれ(5年くらい)早かれ(半年以内)、日本国債バブル破裂に端を発するスタグフレーションが発生する。日本経済はハードランディングを体験し、社会はかなり酷い事になる。むしろ、ハードランディング後の事を考える方が建設的である。

私は今から五年ほど前の安倍政権の頃にはここまで悲観的ではなかった。財政削減と成長路線で日本はなんとかバブルのツケを払えると信じていた。しかし安倍首相は郵政自由化反対組を復党させたり、小泉改革の格差問題などと言うありもしない問題をでっちあげられたりして、参議院戦でボロ負けした。そして改革路線から成長否定路線へと大きく舵きりを余儀なくされたのである。改革を殺した安倍元総理を再び登板させようとしている自民党は、はっきり言ってトチ狂っている。リフレ派か反リフレ派かというどうでも良い二元論ではなく、現実を皆には直視して欲しい。残念だが、もう無理である。あなたが無事であれば、国債バブルが崩壊した焼け野原の日本を頑張って一緒に立て直しましょう!

11/26/2012

「厳しい条件付き」で、維新の会を支持する


民主党は、野田首相が良識派ぶろうとも「社会保障を充実させる大きな政府」を標榜している事は明らかである。自民党は、小泉的な小さな政府を目指すのではなく、明らかに安倍次期首相は「公共事業を充実させる大きな政府」を標榜している。財政を見てもらえばいいが、この期に及んで大きな政府は不可能である。この二大政党は未来の日本人を全く代弁していない。

私は「個人の権利」についても「経済政策」に関しても、自由を推し進めてくれる政党に日本を率いて欲しいと感じている。

日本社会はもっと自由になるべきである。警察などの匙加減で立件が決められたり、変化する社会に追いついていない法体系を変えようともしないなど、明らかに「個人の権利」はおざなりにされている。女性の社会進出や、社会的なフレキシビリティー、サイバー空間内での権利と義務、増え続ける在日外国人勤労者などに関する権利と義務の規定など、現代の法体系は柔軟さを発揮していない。最低限守るべき事のみを残し、後は規制を緩和していくといった大胆な改革が望まれる。

日本の経済政策も、もっと自由にしてしかるべきだ。霞ヶ関(法律を作る側)と暴力団(法律を無視できる側)が日本で一番イノベーティブな集団である事実が、日本の規制体系の不備を如実に物語っている。加えて、無駄にややこしい税制は勿論の事、二重三重の行政も整理して効率化しなければならない。

こういったリバタリアン的な考え方の需要はある筈であるが、残念ながら受け皿が見当たらない。むしろ、そういった主義主張が生かされないような政治システムの不備が見受けられ、どの党が政権をとろうとも、多分何も変えられないし、変わらない。現状の政治システムは金属疲労を起こしており、抜本的な改革が必要である。

「みんなの党」が割りと近い気がするのだが、「みんなの党」は誰がやっても破綻することが見えている経済政策のことしかアジェンダで言っていない。個人の権利に関して「みんなの党」は何も言っていない。たとえば「観光促進のため、特定地方の特区でマリファナの合法化のような法律さえ許可します」などと言ってくれると「みんなの党」に票を入れやすくなるのだが。個人の自由に国が関与しません、と声高に言って欲しい。

維新の会であるが、私は橋下市長の考え方が好きである。言われているように危なっかしさは残るが、目指す方向は完全なリバタリアンである。「労組憎し」で国家主義のような主張をしているが、良く聞いてみると、個人や経済の自由を高め「小さい政府」を標榜していることが明らかである。

しかし維新の会は青嵐会・志帥会連合軍とくっついてしまった。元自民党の青嵐会や志帥会はただの保守派である。管理したがりの国家主義者である。橋下氏の主張がこのような国家主義と相容れるとは思えない。

維新の会の本来の選挙公約に書いてあった事をもう一度思い返す。憲法改正、並びに衆議院定数を240まで削減、そして参議院の廃止である。という事は、今回当選する議員はただの捨石に過ぎず、誰が議院になろうとも数だけ合わせれば良いという見方もできる。数だけ合わせて、上記三政策を押し通す。そして定数を削減した上で、もう一度真面目な選挙戦をやりなおせばいいのである。そういった意味で今回の選挙では、みんなの党とじゃんけんで候補者を選んでも良いのだし、タレント候補などを入れてもかまわない。戦前生まれの頑固ジジイのようなのがいたって構わない。そのあたりをはっきりさせてくれれば、諸手を挙げて維新の会を応援するだろう。ただ、国会議員の職に一度ついた人が、そんなに簡単に美味しい席を手放すとは到底思えないのだが。

「今回の選挙は「議院定数削減」と「憲法改正に布石をつけるための日本国憲法第96条の改正」のためだけに数合わせをします。維新の会は上記二つだけを通す事を目的としてこの選挙を戦っており、二年以内に一旦解散して、新たな議員数の枠組みで政策論争に注目した選挙を、太陽やみんなの党とも袂を分けた上で行います。そうしなければ日本の政治システムの閉塞感は打破できません。」そうはっきりと宣言するべきだ。そして、維新の会の候補者がそれに完全に同意して誓約書を書くという条件をもって、私は維新の会を支持する。みんなの党も、そういった前提の上であれば、選挙協力に合意すると思う。そうじゃなければ、現状の維新の会はただの烏合の衆であり、老害を含む屑政党である。現状のままでは、まずあり得ないだろうが、維新が第一政党になろうとも、烏合の衆であった民主党と同じ轍を踏むだけである。

11/24/2012

専門家を優遇する社会に。官僚は政治家のおもちゃではない

民主主義とは「素人」が意思決定をするという意味ではない。選挙では「国が目指す方向」さえ決めれば良いのであって、専門的な事は「専門家」に任せるべきだと思う。

原発問題を含むエネルギー問題を国民投票で決めるとか、税制と歳出のあり方を国民が決めるとか、集団的自衛権の問題を国民に決めさせるとか、余りにも幼稚で大衆に迎合した意見である。情報が限られている国民にとって、これらの事を責任を持って決定する事は不可能である。私はエネルギー問題と経済問題についてある程度の基本知識を携えているつもりである。しかし個人では入手し得ないデーターもあり、情報を全て集めうる事は出来ず、公表されている情報の真偽を確認する術もなく、意思決定を下す事は不可能である。従って、このブログに思い込みの意見を書くのが関の山だ。

政治家連中もただの素人である。政治家の資源は限られているし、総ての事を理解し得るほど社会は単純ではない。それでは政治家はどうやって政策を作るのか?例えば、政策秘書に政策を作らせるのかも知れない。政治家の秘書をしている友人が数人いるのだが、思い込みの激しいニート上がりばかりである。まともに社会に出たり、勉学に励んだりした事のない人物が秘書をしている場合も多い。普通社会で失格の烙印を押されたような秘書たちが、ヤフーニュースなどを元に政策を練っているのが日本政治の現状である。政治主導とは笑わせてくれる。

そういった素人政治を打破するため、ブレーンを雇えばどうだろうか?しかし、まともなコンサルやシンクタンクを雇おうと思えば物凄く金がかかる。そんな金を政治家個人は持っていない。アメリカの政治家のように個人政治家が自前の政策チームを作り、コンサルを雇ったり、NPOを従えるほど、日本社会は豊かではない。金を出さずに寄ってくるブレーンとなると、売名目的のインチキ学者が殆どとなる。派閥の勉強会などには、一応まともなブレーンの人達もやって来るようではあるが。

ところが、与党になった瞬間にブレーンを無料で使うことが出来るのだ。そのブレーンの名を官僚と呼ぶ。この事実は非常に恐ろしい。つまり与党にならない限り、まともな情報を得る事すら出来ないのである。選挙のたびに与党の政策がまともで、野党の政策がぶっ飛んでいるのもこういった経緯があるからだ。まともなブレーンを携える与党と、お花畑政策を言い放つ野党。「政策で党を選べ」とは、笑わせてくれる。

私はこのシステムは二つの理由でおかしいと思う。一つ目は情報のバイアスの問題だ。二つ目は「ただ乗り」問題だ。

情報のバイアスの問題から始める。霞ヶ関で働く殆どの官僚は選挙を経ておらず、身分が安定している。そして一つの組織に浸っているため、官僚個人が優秀であろうとも、柔軟な視点を持ち得ない可能性がある。またエージェンシーの問題が発生し、官僚は国家と言うよりも自分たちに都合の良いシステムを推す可能性がある。こういった理由で「官僚から政治を取り戻すべきである」などという意見が罷り通る訳だ。

与党等による「ただ乗り」問題に移る。官僚は行政の仕事をする存在であり、政治家や政党の利益のために存在するものではない。官僚は国民が所有し、官僚のシステムは税金で運営されている。与党が党利党略、あるいは個人のために官僚をブレーンとして利用する場合には、それ相応の「コンサル料」を払うべきだと思う。また野党時代の長妻氏の様に、政治家が無駄な質問をこしらえて、官僚たちに答えを用意させる事もあるが、これもしかるべき質問料を払うべきだと思う。官僚が政治家の馬鹿な質問に答えるために、一体どれほどの時間を割いているのかご存知だろうか?官僚は国民の為にあるのであって、政治家のおもちゃではない。

こういった弊害を防ぐために、政党が官僚をブレーンとしてパートタイム・またはフルタイムで雇わなければいけないシステムにすればどうか?ほとんどの政治家が党利党略のみで動いており、国民の事など興味がないにも拘らず、日本が誇る優秀な頭脳をただ使いすることは許されない。自分達が気に入った官僚を霞ヶ関から借りる形で、ブレーンとして組み入れることができるシステムにすればよい。使える官僚をブレーンとして採用したければ、政党間で競合して高い年棒を払わざるを得ない。しかし使えないブレーンや無駄な省庁のブレーンは需要が低く、今までどおりの給料で霞ヶ関の棺おけのようなビルで働かなくてはならない。ブレーン同士が切磋琢磨するので、党利を代表すると言うことは起きにくくなる。良い官僚をブレーンとして雇う事は党の存続にも関わる。もちろん、官僚を雇うことが気に入らない人は、外のコンサルを雇えばよい。ただし、誰を雇っているのかの透明性は確保しなくてはならない。それを、見える政治と呼ぶ。

官僚側からすれば、天下り先などを探さなくとも高給の仕事が手に入る。となると「反天下り」や「歳出削減」などと言ったタブー政策すら提唱することが可能になる。しかも、キャリアの途中でコンサル的な仕事を経験できるため、官僚自体の経験値を上げる事も出来る。

反対に党の経営には相当のお金がかかるようになり、ふざけた政党は生き残る事が出来なくなるだろう。「雨後のたけのこ」や「金魚の糞」を防ぐ意味でも、そのくらいで丁度いいと思う。まともなブレーンが入れば、政治家やその秘書連中も勉強せざるを得ず、政党の質も上がると思われる。官僚と対峙出来る人材以外は残りえない。そういう事無しに政治の質を正しても、政治家にはリソースすらないので、現状はどうしようもない。アホに精神論をふりかざそうと、アホのままなのだ。アホなら高い金を出そうとも、まともな家庭教師が必要である。現状では、詐欺師連中がアホによってきて「無料で勉強を教えてあげよう!」などとあり得ない事を言っているのである。「いんちき」だが優しい詐欺師に、アホは喜び、洗脳されてしまう。

法律を多少換えなければならないが、霞ヶ関の良い部分を残したまま、部分的な猟官制へと移行できるかもしれない。そして頭脳に対して新しいマーケットを作ると言う意味でも有用な制度だ。日本国の経済を押し上げるためには、需要を喚起する必要があったはずだ。そうすれば税金の負担も減るし、政治家連中ごときに官僚が弄ばれて資源を無駄にする事もなくなる。政党は必死で外部からお金を集めてくればよい。霞ヶ関は日本の宝だ。現状は、その宝を持ち腐れているだけだ。(勿論霞ヶ関にも糞は一杯います。ただ、永田町ほどはいません。)

維新の会に面白さを感じるのは、橋下のリーダーシップの取り方と、ブレーンたちの顔である。そして、ブレーンは顔は見せるが、舞台には上がらない。それがあるべき姿だと思う。

「素人」はいらない。日本もそろそろ「専門家」を尊び、「専門家」を育てられる社会になって欲しいと願う。

11/23/2012

歴史は繰り返し、私たちはどんどん貧しくなる

世の中は皮肉なものである。

麻生政権末期の自民党は、それまでの無茶苦茶な自民党の政策を反省もせず、マニフェストにはまともな事ばかり書いた。一方の野党である民主党は衆愚的な出来もしない事を書き連ねた。で、自民党は惨敗した。だが、選挙民が民主党の政策に釣られたのではなく、自民党にお灸を据えたいと思って民主党を選んだだけの話だと思う。あのマニフェストが実行可能だと信じていたのは、頭にお花が咲いている鳩山さんだけだったのではないだろうか?お笑いマニフェストを実行できなかったと言う意味で、野田首相は噓吐き呼ばわりされている。

今回は、野田首相は、それまでの民主党の無茶苦茶な政治を反省もせず、マニフェストには民主党の非主流である花斉会的よりのまともな事ばかりを書く予定のようだ。一方の自民党は、安倍首相が大麻草でも吸っているのかと思うような事を言っている。淡々と出来る事だけを書いていても当選するのに、態々虎の尾を踏みに行くような、実行不可能な事を書いている。それでも自民党は政権に返り咲くだろう。何故なら、選挙民はマニフェストの事など気にすらしていないからだ。選挙民は民主党にお灸を据えたいだけで、自民党に票を入れる。安倍次期首相なりに深く考えて、本気で自分の政策は実行可能だと思っているのかもしれない。

2015年、景気が大きく後退した日本で再び衆議院選挙が行われている。お尻を拭く貧乏くじを任せられた第98代の自民党の内閣総理大臣は衆議院選挙でカラ約束した無茶苦茶なマニフェストのせいで噓吐き呼ばわりされている。景気も良くならないし、憲法改正もできなかったではないか、と。選挙ではリベラル連合が出来もしないようなマニフェストを携えて、次の与党政権にならんとしているところであった。勝ち馬に乗るために大勢の自民党議員が他の党に合流して生き残りを掛けていた。

考えるだけで腹が立ってくる。真剣に政策を吟味して、政権を任せる政党を選んで欲しい。政策が無茶苦茶なのが解っていたので、民主党は勘違いしている鳩山を担いだ。政策が実行不可能なので、頭の弱い安倍晋三にババを掴ませようとしている。自分達の目的は与党になって利権作り。そうとしか考えられない。

PS 安倍さんのリフレ政策を批判していると、友人が本を貸してくれた。三橋貴明の「日本の復活うんぬん」という本だ。余裕があれば笑い転げるところだったのだろうが、最近忙しいからか、読んでいて腹が立ってきた。私の主張に合っているので楽しく読める経済書と、自分の嫌いな主張が載っているので読んでいて面白くない経済書がある。しかしこの本は、面白いとか面白くないとか、それ以前の問題であった。作者は明らかに経済学を理解しておらず、書かれている多くの内容は支離滅裂しており、読む価値もない。よって、好き嫌いすら評価しようがない。安倍さんはアホだとは思っていたけど、こういう本を本気で信じているの?この三橋某という作者、マッチョな事を書いて本を売りたいだけじゃないでしょうか?そもそもこの人、経済学の基本を理解してるのか?こういうトンでも本を出して、恥ずかしくないのでしょうか?この本が日本で売れていると言うのだから救いようがありません。或いは、お笑い本としてネタ作りに買っている人が大勢いるのかも知れません。こういうインチキ自称エコノミストに影響されている総理候補の安倍氏は…我が国は大丈夫なのでしょうか?

11/22/2012

リフレ政策で日本経済崩壊(3):トンでも論と極端な話を斬る


「国債バブル崩壊などあり得ない」と言う意見を良く聞く。勿論「崩壊」などと言ったキャッチーな言葉で危機を煽っているため、俄かには信じられないのも仕方ない。ハイパーインフレや国家破綻などの極端な話も出てくる。少しだけ「嘘」と「本当」を整理しておく必要があろう。勿論、最悪の場合はかなり酷い事が起こるし、想定外の事態が起こらないとは断言できない。何故ならパニックになり、行政が処理に失敗する可能性があるからだ。ただ、起こりうるシナリオと、あり得ないシナリオは区別しなければならない。国債バブル崩壊とは、長期国債の需要が減り、長期金利が若干上がる事で、色々な資産のフェアヴァリュー(適正価格)が減少し、日本の実体経済に多大な影響を与える事態が起こる、と言うだけの単純な話である。ただ、そのマグニチュードは恐ろしく大きい。

ありえそうにない話①「崩壊」:ある日突然、目に見える形で国債バブルが崩壊する。ブラックマンデーのようなパニックになるような事態。これは無いとは言えないが相当可能性は低い。国債バブルの崩壊はゆっくりと長期金利が上がっていく局面で、投資家がゆっくりと資産アロケーションを換える事からじわじわと起こると思われる。「崩壊」というような突然の出来事ではなく、長い坂道を転がり落ちる。やがて、メディアなどに取り上げられだすとパニック売りに発展するかも知れない、というのが実態に即していると思う。ただしパニックにならなくとも、人為的に長期金利が少しだけでも上がれば、日本経済は相当なダメージを喰らう事に注意が必要。

ありえそうにない話②「国家破綻・ハイパーインフレ」:ハイパーインフレで国家が破綻するという話は嘘である。ハイパーインフレがあるとすれば、国債バブルが崩壊した後、ゆうちょ銀行などの破綻により日本経済がめちゃくちゃになって、日銀や政府が「通貨切り下げ」や「資本流出の制限」などの不必要な政策をした場合に限られている。ハイパーインフレが日本経済を無茶苦茶にするのではなく、日本経済が無茶苦茶になった後に僅かではあるが財政破綻などに端を発するハイパーインフレが来る可能性がある、という程度の話だ。国家破綻は定義にも寄るが、不景気のハードランディングと言う意味ならそれは起こる。国債を返済できないことが国家破綻だとすれば、それはまず起こらない。

ありえそうにない話③「現在はデフレで景気が悪いので、インフレになれば景気は良くなるはず」:誤解があるようだが、インフレ並びにデフレの定義づけが非常に難しい。普通は価格だけに注目しており、株価が上がれば株価インフレ、資産が上がれば資産インフレ、急激な円安になれば輸入品インフレやコモディティーインフレとなる。好景気・不景気に注目している場合は、需給ギャップの話をしている。不景気とは供給過剰・需要不足状態で「儲け」が減っている状態を言う。国債崩壊シナリオがおこり、円安が主な原因で価格の上昇が起こるのだろうが、需給ギャップは絶対に埋まらない。故に儲け(GDP)は増えず、円安によって消費者価格が上がろうとも、景気は当たり前だが回復しない。典型的なスタグフレーション状態となる。2007年のサブプライム崩壊前夜はこれに近い状態であった。ただ、サブプライムショックで急激な円高とコモディティー安に襲われて、ラッキーにもスタグフレーションの悪化を免れた。

無茶苦茶な意見①「日本はアメリカ国債を多量に持っているので売れば問題は発生しない」:長期国債が1-2%上がるだけで、あらゆる資産の適正価格が崩れるので、日本の実体経済に大ダメージが波及する。国債バブル崩壊は資金不足が原因で起こる問題ではないので、外債を売却して円を集めたところで何も出来ない。勿論、外貨準備が大量にあるのでハイパーインフレなどが起こる可能性は非常に低い。日銀が全ての長期国債を吸収して長期利率を抑えるのなら話は別だが、そんな事をすれば他のところで問題が起こるだけで、根本的な問題解決には全く寄与しない。

無茶苦茶な意見②「日本は個人貯蓄額が多いので、経済危機は起こりえない」:国債バブルが崩壊すると、個人から国への資産移動がおこる。そしてそれを経済危機と呼ぶ訳だ。個人の金は国の金ではない。上記の意見を言ってる人間(例えば亀井氏)は、個人の金は国の金だと考えているのだろうか?危機が起これば、否応なく国が個人の金を掠めとる。例えば、郵貯銀などが経営危機を起こすと、結果的に税金が使われる。結局は個人の資産が国債崩壊ならびにその波及危機の穴埋めに使われる訳である。穴埋めの方法は、税金や過度のインフレ(事実上の資産税)などである。

無茶苦茶な意見③「日本では国債を安心して日本人が消化しているので、財政破綻はありえず、国債の値段が下がる事はあり得ない」:この意見は寝ぼけていると言うか、実態を知らない人の意見である。戦後の日本では日本人が買っているにもかかわらず、国債の値段は何度も暴落している(例えばロクイチ国債)。データからも明らかなように大手の民間銀行はすでに長期国債の保有率を低くしており、皆が考えるほど「愛国的な行動」はとっていない。国債は国内だけで消化されているので(本当はそんな事はない)、極端な財政破綻はないかも知れない。が、財政破綻がなくとも金利が多少上がるだけで、フェアヴァリュー毀損の含み損が実体経済に影響を及ぼす。

無茶苦茶な意見④「オバマは輸出したいのでバーナンキと共にドル安政策を実行している。国際政治的に円安には出来ない」:これは陰謀論か、あるいは日本劣勢史観のどちらかである。アメリカはインフレ期待を殺さず、消費者物価がマイナスにならないように、「Anything but a deflation(デフレ以外なら何でもあり)」で政策をやっているだけである。その結果、複数の指数が市場で総合的に判断されて、ドル安になっている訳だ。現在ドルキャリートレードが起こっており、それの巻き返しが起こればドルは物凄く高ぶれする可能性がある。ちょうど2007年夏に日本円が経験したように。アメリカ国家ドル安陰謀論を唱えている人は、思い込みの激しい人であろう。日本は独歩ゼロ金利を続けた上で、円キャリートレードによる独歩円安を体験したが、他の国の経済が崩れて円キャリートレードの巻き戻しがおこり、自業自得で円高になったのが事の発端である。日本が円安になっても、それは日本の国内問題であり、色々な方面から苦言を発せられるかもしれないが、日本国家が解決方法を模索するしかない訳だ。いずれにせよ、国債暴落のシナリオが起ころうとも、90年代後半の韓国の様にIMFにコントロールされるような事態になる可能性はまず無い。

十中八九本当の話①「トリプル安」:国債と円は間違いなく安くなる。だが、株まで絶対に安くなるのか?と問われれば、銀行株などは安くなるだろうが、他のものまでは解らない。総ては連動しているので、多分パニック売りが出ると思う。安くなれば輸出株を中心に「買い」である。

この記事の執筆時点で、長期金利の利率は10年物が0.78%20年物が1.68%という異常な低い値である。市場が合理的であると信じている人達は、国債の利率が低止まりしているのは投資家がデフレを見越しているから、と屁理屈をこねるのかも知れない。だが、普通に常識的に考えると、国債はバブル水準である。外資が長期国債を意図的に買いためている節がある、といった噂すら立っている。日銀による操作なのか、自由化されていない金融制度か、硬直化したルーティンか、謎の外的要因か、複合的な要因で長期国債の利率が不思議なほどの低水準に抑えられていると考えた方が自然である。ちょっとだけ長期金利があがるだけで、国債のみに留まらず、幅広い資産の価値が減り、日本経済は大打撃を受ける。それが国債の崩壊問題だ。経済は繋がっているので、それを期に他の場所まで色々な問題が波及するだけの事である。

オーストラリアで最初の一匹を見つけるまで、黒鳥(ブラックスワン)はいないと考えるのが「合理的」な思考であった訳だ。ただ、国債バブルの話はブラックスワンとは言えない。主要な経済学者やエコノミストの大半が国債バブルの危険性を指摘している。ただバブルであるので、流れに乗ればもっと儲かると買い足している人もいる。それはそれで合理的な判断だ。むしろ「国債は大丈夫」とか本を売るために妄信的に言っている人達は、怪しげなお茶の間の似非エコノミスト達だけなのだが。

国債バブルの崩壊は、何もノストラダムスやマヤ暦か何かのオカルト「地球最後の日」とか、ハルマゲドンで核戦争が起こり人類が滅亡するとかの極端な事を言っているわけではないのだ。時期は特定できないが、そのうち強い地震が都心で必ず起こるので、火事や家屋の倒壊で数万人が死にますよ、と言っているだけである。日銀の試算では、金利1%上昇で銀行だけでも8.3兆円の評価損失が出るらしい。2%騰がると、GDPがマイナスに転じるくらいの評価損が出るという。それ以上だと、もっと酷い事になるだろう。日銀のシナリオは保有債権だけに限定させた最低限の予測であり、金利上昇でフェアヴァリューが毀損するものは国債のみに限らない。後始末如何によっては、二次的な被害でダメージが雪だるま式に増える可能性は十分にある。破綻のような終末シナリオでないにしても、国債崩壊が日本経済に与える影響は凄まじく大きい。

最終回に続く

11/21/2012

反TPPと減税日本?ただの野合

がちがち全体主義の亀井のところと、リバタリアンの化けの皮を被っていた脱税日本が合流すると発表になった。前のチャートを見てもらえば良いが、正反対に位置する両者である。これを節操の無い野合と言わないでなんと言うのだろうか?こういう奴等を税金で喰わせるというのが常軌を逸脱している。小林興起は逃げ切りやがったか。

リフレ政策で日本経済崩壊(2):国債バブル崩壊へ

前回は現状認識を説明した。出来る事など限られており、何をしても茨の道である認識は地震の前から変わっていない。ただ実際にギリシャなどの問題が起こってしまったため、国家破綻がリスクとして投資家に認知され始めたことは事実である。

民主党が下野するのが事実上決定しているため、円が安くなり株価が上がっている。皮肉家達は「円が安くなっているのは、安倍晋三のリフレ政策を警戒しているため」と扱き下ろす。そしてそれに乗り掛かる無節操な投資家が後を絶たない。

前回説明したが、デフレ退治は十年以上にわたって試みられているが、成功した試しは無い。元を辿れば、速水が良いデフレなどとふざけた事を言って対策を打たなかった事が全て悪い。一度デフレになれば、それをインフレに戻す事は容易な事ではないのだ。ただ、今回の安倍次期総裁の政策は、デフレ退治と言う意味で成功しそうだ。それを少し説明する。

デフレ下では国内の投資の回収が困難で、市場にお金が回せにくくなっている。そこに資金供給を無理矢理すると、小泉時代の様に円キャリートレードが起こって円安になった。が、外的要因で円キャリートレードが巻き戻り、円高方面にぶれてしまった。その穴埋めに、市中の銀行は日銀から低金利で資金を借りまくり、国債を買うという無意味は投資を始めたわけだ。国債の需要が高まり、国債の利率は低いままだ。日銀が資金を注入しても、銀行はせっせと国債を買うため、市場にお金は回らずインフレも起きない。

「円高」・「国債の低利率」・「現金保有欲」は現状ではセットである。どれかを切り崩せば、上手くインフレに誘導する事が出来るかもしれない。一番簡単なのは、為替を操作する事だ。円を人為的に低くする事は決して難しい事ではないのである。

で、安倍総裁のリーダーシップで外圧を省みずに円安政策を押し通したとする。株価はまちがいなく上がるだろう。さらに安倍氏が言うように、日銀に圧力をかけて量的緩和を行い、市中の銀行にお金を流すとする。すると銀行は二つの選択肢をとる。一つ目は円安の方向性なので、円キャリートレードを再び始めるという事だ。そしてもう一つは国債ではなくリスクの高い株などを買うという事だ。そうするのが理性的な行動である。そうなると銀行が国債を買わなくなる。すると国債の引き受け手が無くなってしまう。40兆円の歳入に90兆円の歳出。50兆円分の国債を引き受けてもらわなければ国家の首は回らない。

日銀は無担保コール翌日物のレートは変動させる事ができるが、長期国債のレートは市場が決める。引き受け手がなければ、国債の利率を上げて売るしかない。円キャリートレードや株式市場キャピタルゲイン率を考慮した利率にせざるを得ない。長期国債の利率があがると、国債のフェアヴァリューが下がる。すると、銀行や保険会社は無駄に国債を保有しているので、国債を売ろうとする圧力が掛かってくる。国債バブルの崩壊である。

国債の売り圧力がおこり、国債の買い手がつかなければ、利率をどんどん上げるしかない。長期国債の金利はローンの利子に影響するので、住宅ローンなどが高騰する。今までの低利子で固定していたような政府発行のローンが焦げ付き始める。フラット35などは機能しなくなり、税金で救済しなければならない。さらに国債を保有している市中の銀行は大赤字を被る。国債の値段が下がればアセット価格が下がってしまうからだ。最終的にゆうちょが経営危機に陥る。ここで日本経済はジ・エンドとなる。

日本国の信用が揺らぎ、円がさらに売られる。1ドル200円や300円といった事も考えられるかもしれない。こうなれば歳出を大幅に削らざるを得ず、年金などがカットされる。南欧の様にデモが起ころうとも、多くの公務員もカットせざるを得ないだろう。50兆円分の歳出カットは相当な血を流さざるを得ない。助成金は悉く断たれ、多くの保護産業が傾く。ハードランディングした日本は相当の膿を出す事を強いられる。物の値段は高くなり、生活は苦しくなる。失業者も飛躍的に増える。同時に経済は悪化する。これをスタグフレーションと呼ぶ。日本のGDP(PPP)は中流国家並みに落ちる。

安倍が目論むリフレはこういったハードランディングのシナリオを短期で引き起こす可能性がある。国債バブルが弾けて、日本社会は苦渋を舐めなければならない。多くの経済学者は、これを予想しているので警鐘を鳴らしている。中にはこういったリスクを望む連中もいるだろう。逆張りして儲けようとたくらむ連中達だ。どちらかと言えばドルで金を貰っている私も、日本が破綻してくれた方が儲かる可能性が高く、嬉しいというのが本音である。普通に暮らす日本国民は、誰の言葉を聞かなければいけないのかを真剣に考えてほしいと思う。

残念ながら日銀はこの未曾有の危機に対しては何も出来ない。ただ日銀は金を刷り続けるので、ハイパーインフレはまず起こらない。

さてあなたならどうしますか?自己防御するしかないのだが、一番怖いのは資本の移動が制限される可能性すらあるという事だ。国債バブルの破裂は既に仕込まれている危機であり、安倍首相の誕生はハードランディングを引き起こす可能性が高い訳だ。体力のあるうちにハードランディングをしたいと考えている有識者が多い事にも驚かされる。この問題は急に出てきたものではない。問題の本質は政治的に早期解決のしようがないので、マグマの吹き溜まりは時間が経つごとに大きくなっている。確かに早く爆発してくれた方が混乱のインテンシティーが低い。

私はこの記事において、安倍氏の政策が発火の引き金になる可能性があると指摘をしているのだ。残念ながら日本の財政問題はすでに手遅れである。安倍は前回に首相だったときにこういった政策を取るべきだったのだと思う。しかし、時は既に遅すぎた。最終章では、嘘と本当を検証する。



PS 安倍氏のブレーンは時計泥棒の高橋洋一氏であろうが、浜田宏一氏も安倍を応援しているようだ。浜田氏はインフレの方がデフレよりも良いという極当たり前の事を言っているだけで、どうすればデフレからインフレになるかには触れていない。私は浜田氏の授業を受けた事があるのだが、酷い授業だった。日本の記者クラブがいかに官僚の意に適うように出来ているかという事を、ワシントンポストからゲストを招いて紹介していた。ある週は、堺屋太一をゲストスピーカーとして日本からわざわざ呼んできて、無茶苦茶な講義をさせた。日本人の私にとっては、面白いと言えば面白かったのだが、他の同級生は授業のレベルの低さに驚き、時間の無駄だと嘆いていた。

その授業のせいで私は堺屋太一氏を完全に小馬鹿にしている。堺屋太一こと池口小太郎は、ただの文系物書きであり、経済通ではない。維新の経済政策を堺屋太一がブレーンとして引き受けているらしいが、それは間違った人選だと思う。維新は原・上山・竹中という比較的物分りの良いまともな人材から、古賀さんのように微妙な人から、堺屋・高橋・飯田といったイデオロギー系の思い込みの激しい人までをブレーンとして使っており、全体的に考えるとかなりバランスが悪い。

余談は長くなったが、浜田氏は勉強が出来るタイプであるのは間違いないが、授業を通して、経済が実際にどういう風に動いているのかなどに疎いとしか思えなかった。インタビュー記事などを読んでも、ずれた話しかしていない。どころか、肩書きに物を言わせて、偉そうな事ばかり言っている嫌味な人間としか思えないのだ。授業中も、ずっとにやついている癖に、人を小馬鹿にしたような上から目線が目立ち、アメリカで受ける授業としては異色尽くめだった。あらゆる意味で物凄く日本っぽい授業だったし、調子に乗って浜田教授の授業に参加した事を後悔した。

日銀のせいでデフレになったと言う事実を否定する人はいない。日銀が間違った政策をとった事も否定しない。デフレよりもインフレが良いというのは諸手を挙げて賛成する。教授の肩書きを使わなくとも、浜田氏の主張は極当たり前のものである。しかし、デフレになってから何をするべきか、という意見には浜田氏はきちっと答えていない。

魑魅魍魎が跋扈する市場において、浜田氏が何を見ているのかは不明である。その癖、学会の外の人間を小馬鹿にするような発言を続ける一方、明らかに基礎知識を欠いている産経の田村秀男氏を褒めるなど、ちょっとぶっ飛んでいる。年寄りの戯言に付き合えるほどの優しい状況ではない。こういう事は書きたくないが、若かったときは、もっとシャープな方だったのかも知れない。浜田教授が歳をめされる前に授業を取りたかったものである。

浜田氏は小便の臭いのするニューヘイブンの街で年金を得て老後を過ごしてお墓に入って逃げ切れば良いのだが、若い日本国民の多くはスタグフレーションで大ダメージを被る可能性があるのだ。浜田氏は日本が破綻した暁には、逆に喜んで強くなった米ドルを持って日本に帰ってきて余生を楽しむのかも知れないが。或いは、どこかに名誉職があるのだろうか?イエールの教授職をあの歳になっても手放さないなど、名誉に相当拘っておられるのかも知れない。

リフレ政策で日本経済崩壊(1):現状認識編


今から数年後、2012の終わりに行われた選挙こそが日本という国家の曲がり角であった、と認識されるようになるのではないだろうか。

まず現状認識をきちんとしておく。日本は太平洋戦争に負けた。復興で景気が一気に良くなった。そして戦争で焼け野原になったために、最新の投資を入れる事ができ、国際競争力がついた。しかも共産主義の殻に引き籠る国が後を立たず、資本主義社会の一員としてアジアで重要な位置を占める事に成功する(棚からボタ餅)。田中角栄が土建利権を手にいれ、「田中派」対「岸派」の抗争が始まる。日本の経済が強くなり、景気が停滞しているアメリカと摩擦が起きる。プラザ合意で円高開始。利率を引き下げ、土地バブルが起こる。日銀澄田総裁(戦犯1)が1987年一月の2.5%から90年の6%まで利率を急に上げて、バブル崩壊。利率を徐々に下げるが不良債権問題が尾を引く。宮澤(戦犯2)が銀行に公的資金注入を三重野総裁(戦犯3)と模索したが、世論とマスコミ(一番の戦犯)の反対を受けて実行せず。ソ連崩壊後の社会主義勢力のグローバル化に伴い、今までのインチキ保護政策の化けの皮が剥がれ、デフレ圧力はさらに高まる。無能松下(戦犯4)の後を継いで、速水(戦犯5)がゼロ金利政策を開始。良いデフレなどというトンでも論を展開。デフレになった時点で流動性の罠に嵌り、金融政策は武器を失い、完全に終了。公共事業で財政出動しても、なんともならず。ただ利権問題が日本の財政をさらに苦しめただけ。

60年を掻い摘み、何故デフレになったのかを紹介した。戦犯は他にも大勢いるが、ご容赦願いたい。

デフレが日本を苦しめているという意見に反対する人は誰もいないと思う。デフレが経済にとって良いなどと言う人は、速水元日銀総裁と与謝野馨くらいのものだろう。デフレーションに陥った際に、ゼロ金利政策をとると流動性の罠に陥ることは明白である。デフレにしないために手を打つのが、財務省と日銀の最低限の仕事であった。誤解が多いが、FRBのバーナンキが何故あのような政策をとっているのかというと、「Nothing but a deflation (デフレ以外なら何でも良い)」という事である。ゼロ金利やQEはデフレに「陥らない為」にやっている政策であるのだ。
 だが日本は違う。既にデフレに「なっている」のだ。一度陥ると脱出する事が極めて難しいと大学一年生の教科書に書かれている「デフレ」状態にあるのだ。デフレから脱却したいと万人が考えている。しかし需給ギャップを「持続可能に」穴埋めする事に手を拱いており、15年ほど経っても何もならない。デフレになった時点で、時既に遅し。日本経済は失敗してしまったのだ。

量的緩和で資金を供給しているのだが、デフレ下でどこかに漏れている。日銀の思惑通り、金は市場に流通していないのだ。流動性の罠の元では貨幣を供給しても、現金保有が好まれるので、金が市場に回らない。(だが後述の様に国債が積極的に買われており、厳密な教科書の意味通りの流動性の罠ではない。)小泉政権のときは円キャリートレードが盛んに行われたし、現在では国債が買われている。
 寧ろ、貨幣供給が国債バブルを助長している節すらある訳である。期待インフレ率がある程度高くなって、現金保有嗜好を人々が捨てない限りは、金融政策は全く機能しないわけだ。現金とほぼ同等のアセットである国債が捌けている事実がこの理論を正当化している。これだけ日本の財政状況が悪いにもかかわらず、利子率が低く留まっている事は、「国債バブル」以外の何物でもない。そしてその原因を作ったのは、規制緩和を怠った政府と、デフレ「以降」に無駄に資金供給した日銀の責任である。国債バブルはパンパンに膨らみきり、破裂を待っている状態だ。

円高が日本経済を苦しめているという議論がある。この議論については賛成も反対もある。円が高ければ輸入する側には得であるし、円が安ければ輸出する側には損である。外的要因により、円が実際以上に買い被られ過ぎなのではないか、という意見もある。私は円キャリートレードの巻き返しの自業自得と見ているのだが、その議論はどうでも良い。もし為替がファンダメンタルからかけ離れているとすれば、鞘取り機会があり、ほくそ笑んでいる業界がある。その一方で競争力を失っている業界があるのもまた真実だ。ただ、昨今の金融工学を駆使すれば、それらをヘッジする事も可能であるのだが。

上の意見を踏まえて、一部の業界を潤すために円安に誘導したいという考え方がある。為替を操作して、円安に誘導することは容易い。或いは、やろうと思えば、明日から固定相場にすることもできるだろう。ただ、意味がないのでやらない。為替相場は一過性のものなので、そのうちあるべき場所に返ると考えられている。国際金融のトリレンマという考え方があり、為替の安定、独立した金融政策、自由な資本移動のうち、二つのものしか達成できない。普通の国家では、為替を自由にしている。しかし為替を操作したいとなれば、自由な資本移動は犠牲に出来ないので、独立した金融政策を放棄せざるをえなくなるのだ。

ただ日銀の独立性を保たないのは危険性を孕む。政治家の仕事は配分である。よって、自分を支持する人間にお金を配りたい欲望に駆られるものだ。日銀は政治家が暴走しないように目をきかせる仕事である。所謂日銀の独立性である。そういった規制機関を排除して、政治家のやりたい放題にしようというのが、安倍氏の政策である。政治家の多くが、安倍氏の意見に賛同するのは、本音なのだと思う。小うるさい厳しい先生がいなくなれば、普通の子供は喜ぶものだ。

長くなったので一度切る。今回は日本の現状認識と言うことで記事を書いた。次回では、安倍のリフレ政策で、具体的に何が起きるのかを考える。最終章では、嘘と本当を検証する。

11/20/2012

安倍に日本国を代表する総理大臣の資格はない



私は安倍晋三に総理大臣の器があるとは認めていない。

歴代の総理大臣を見た時、好き嫌いを全く度外視して、仕事の出来た出来ないで優良可をつけるとする。すると、
優:中曽根、橋本、小泉、野田
良:竹下
可:鈴木、海部、宮澤、小渕
不可:細川、羽田、村山、森、安倍、福田、麻生、
採点不能:宇野、鳩山

安倍元首相は間違いなく不可の烙印を押せる総理大臣であった。何故、安倍は総理大臣の資格はないのか?

初めに、安倍は健康状態が万全でない。大腸炎は自分の免疫で自分の大腸が攻撃されて炎症を起こす病気であり、不治の病である。現在は症状が出ていないが、ストレス如何によって大腸並びに他の部位に症状が出る可能性もある。その時は一体どうするのか?健康に問題がある人間に、コマンダーインチーフは務まらない。(大腸を切り落としたので大丈夫と言う噂もあるのだが、膵臓など他の臓器に問題が起こる可能性はある。)

次に、安倍はリーダーとして向いていない。小泉が自民党総裁任期切れを期に総理大臣を勇退した後、路線を踏襲する筈だった。だが、党内外から染み出た存在すらしない格差拡大批判に負けて、規制緩和・自己責任路線を放棄した。最終的には、岸派支配の自民党路線を長老達の手に戻して悪しき自民党を復活させた。

第三に、安倍は自民党の世襲議員である。それ自体は悪くない。しかし、憲法改正が左派勢力に対抗する自民党の建前であったという歴史があり、親の世代が力を尽くした憲法改正を夢見ている節がある。日本憲法は明らかに時代遅れの代物であり、時代に合わせた大幅な修正が必要とされているのは間違いない。私は是非とも憲法改正はやり遂げて欲しいと考えている。例えば奇怪な日本語を誰にでも理解可能な現代日本語にすること、憲法改正手続きを変えること、自衛隊を認めること、天皇の地位を明確化すること、冗長な議会の規定を憲法の外で決められるようにすること、など常識の範囲内での改正であれば時間をかけなくとも出来るはずだし、やるべきである。しかし優先順位で言うと、かなり下位の問題となる。財政・社会保障に関する問題、公務員制度改革、統治機構の改革、景気浮揚のための規制緩和など、早急に実施するべき問題が山の様にある。最終的に憲法改正は絶対に避けて通れない問題ではあるが、感けている時間は無い。

安倍はいまだに教育を良くして「美しい国」を目指すなどと言っている。人の教育を良くする前に、自分の学歴を良くするべきだった。私は教育というものに懐疑的である。教育を国家がサポートする必要性は二つしかない。それは、教育が生産性向上に貢献するため、そして教育がイノベーションにつながる可能性があるためである。だからこそ、国家は教育に金をかける意味があるのだ。この二つを達成できない限り、教育とは時間の拘束であり、社会的なコストに過ぎない。イノベーションと言う見地から教育を考えると、教育は基本的に自由であるからこそ意味がある物であると思う。国が教育要綱を作るような国でイノベーションは起こりえない。ある程度の基本的な枠組みはあってしかるべきだと思うが、いまある枠組み以上の枠組みを作る必要性がわからない。むしろ、規制を緩和して自由にし、コストを削るべきだと思う。良い教育は金がかかる。必要最低限の公教育は寧ろ負担を軽くするべきである。

最後に、安倍は経済を理解していない。安倍の財政問題や経済問題のスピーチを聞いていると、何もわかっていないのではないか、と疑う。現状を理解していないリフレ論争についてはまた違う機会に書く。多くの経済学者が指摘しているように、安倍のリフレ政策はお笑いの類である。一方で景気浮揚を狙って公共工事の財政出動を指示しているが、これでは元の木阿弥だ。安倍は自民党の政権下で色々やって失敗した事を再びやろうとしているのだ。民主党のコンクリートから人へが失敗したから、またコンクリートに戻すという幼稚な案である。今頃土建屋はほくそ笑んでいる事であろう。まあ財政がこれだけ悪いので、誰が何をやっても無駄であるのだが。残念ながら経済政策は遅すぎた。あきらめるしかないのかも知れない。

石破が比較的まともな有権者目線の政治家であり、安倍が頭の悪いただの坊ちゃんだ、と言う事を知らない自民党の議員はいなかったと思う。だからこそ、自民党の長老は安倍を神輿として担いだのであろう。民主党の自滅のおかげで自民党は左団扇の選挙が出来る。しかも反民主党以外の確たる争点も無く、有権者の関心は薄い。利益団体が強い自民党や公明党には有利である。皆が嫌った汚い金権自民党体制は死んでいない。石破ではなく、ポンコツ無能の安倍を選んだという時点で自民党は馬脚を現しているのだ。

11/17/2012

百花繚乱と言うより、主義主張は本当にあるの?

第三局は野合だ!などとの意見が挙がっているが、それはもっともだと思う。ただ、自民党や民主党自身も野合である。(因みに中国語で「野合」とは、アウトドアで性行為をする事の隠語だというのはご存知でしょうか?)ノーラン・チャートの分析に従って、既存の政党を分別してみた。私は右上を支持しているので、そういった政党が一緒になればいいと思っている。勿論、政治家個人の好き嫌いはあるだろう。減税日本のスタンスは好きだが、河村は嫌い、とかである。前原派の立ち位置は良いが、前原は情けない、などである。だが日本は政党政治のシステムをとるため、政党に基づいて投票する義務がある。そして、政党は野合をしない責任がある。

みんなの党、共産党や維新の会が個人的自由をどの程度推進してくれるのかは正直良く解らない。或いは石原の所や民主党の前原派が経済的自由をどう考えているのかは謎である。でも、まあ、この図はある程度のリアリティーを反映しているものと思う。

第三局だけではなく、政党再編しかない、と思うのだが....
左上が所謂「左翼」であり、右下が所謂「右翼」である。主流派は、左上から右下の対角線上で動く。普通の文脈で使うところの左右はそういったところから来ている。

一般的な経済学の前提は「個人の選択の自由」と「自由な市場」として教育を受けているので、一般の経済学者は自由至上主義的な考え方をする。ただお茶の間で人気を博そうとすれば、少し違ったポジションを取る必要がある。森永さんのように左上に陣取る人達、そして三橋某の様に下のポジションを取る人達。まあ色々出てくるわけだ。

一方、全く興味は無いのだが、21世紀の社会でいまだにイデオロギーを唱えている人達も大勢いる。桜井さんや八木某のように右下のポジションを取るのが、良く使われる意味での右翼となる。しかし、個人的な自由を認めないのに経済は自由にさせろ、などという捩れた意見は正直意味が解らない。保守主義を自認していたが、経済的な自由を認めたくないという、頑固な連中は必ず出現する。そうなると、おぼっちゃまくんの作者の様に、左下のポジションになってしまうのだ。筋は物凄く通っている。一方、左巻きの人達は左上のポジションをとる。個人の自由は優先するが、経済は管理しろ、という可笑しな主張を始めるわけだ。

まあ、皆がそこまで極端な事を言っている訳でもない。このチャートの中心が絶対不動の自民党田中派であったりするのは、偶然ではない。まあ、こういったチャートを元に、有権者も真面目に政治の事について考えて欲しいと思う。

11/16/2012

イスラエルとテロ集団ハマスの紛争が泥沼化。テロリストを征伐へ


中東のイスラム国家では、血で権力を奪って自分達の主義主張を通す事しか考えていない連中が蔓延っている。シーア派(イラン・シリア)とスンニ派(その他のアラブ)の流血の争いは全ての人達が知るところである。まともな金持ち達は自分たちが巻き添えになる事を嫌い、ただ沈黙する。そして、アホな男たちが筋肉に物を言わせて、他人を服従させようとする。そういった血みどろのムスリム国家を纏め上げる唯一の手段が「反イスラエル」という切り札だ。

それは、韓国や中共が国内政治に行き詰ったときに「反日」を掲げてお茶を濁す事にあまりにも似ている。ただ、日本の場合は、海を隔てた対岸で過激なパフォーマンスをされているだけなので、直接的な人的被害まで被るには至っていない。しかも過激であれ、銃器を発砲するような事もないので、まあ勝手にやってくれ、という訳だ。

しかしイスラエルはそうとも言っていられない。自国内に自分達のコントロールが効かないパレスチナ自治区という「半人前国家」があり、ヨルダン川西岸地区とガザ地区という二つの地域に分かれている。自治区内の政治は血で汚れている。ガザストリップではハマースとファタハの流血の覇権争いが繰り返されたわけだが、最終的にハマースが武力をもってガザ地区を制圧した。しかもシーア派のイランから武器等を提供されている。つまりハマースと言う完全なるテロリストたちが支配するのがガザ地区である。2008年にはハマースがイラン等から仕入れたロケット砲でイスラエルを攻撃し始めた。早速イスラエルは反撃を試みるわけだが、ハマース側は攻撃をやめないどころか、エスカレートさせた。イスラエル国軍は武器庫を重点的に攻撃したわけだが、このハマースの糞野郎たちは子供や病人を盾として、学校や病院にロケット砲等の武器を隠しているのだ。正真正銘の小汚いテロリストだ。ガザ地区では民間人を含む1300人ほどの人命が失われた。対するイスラエル軍は市民3人を含む13人の犠牲者を出した。自分達の同胞に大勢犠牲を出してまでハマースがイスラエルを攻撃した理由は全く理解できない。

今回はハマースがシリアの反体制派を支援し始めた事で、武器を中心に支援してもらっていたシーア派のイランとの関係が破綻した。で、行き詰ってしまったのだ。それでイスラエルをロケット砲で再び攻撃し始めたようだ。ハマース、アホである。何も考えていないし、人の命を蝿の命くらいにしか思っていないのだろう。で、イスラエルに空爆され返されるわけだ。トップの連中がピンポイントで狙われて殺害される。やめりゃいいのに、エスカレートしてどんどんロケット砲を撃ち始める。人命被害は出ていないとはいえ、最大都市でかつ非公式の首都である北部のテルアビブにまでロケット砲が着弾している。つまり、ロケット砲の威力が極端に増しているわけである。ハマースは何を求めてイスラエルを攻撃しているのか、全く意味不明である。イスラエルでは予備兵の招集が終了しており、全員待機している。もし、ハマースが攻撃を止めなければ、下手をすると地上軍の導入など、最悪事態が考えられる。ハマースは政治が行き詰ったからイスラエルを攻撃しただけだと思う。守るべき自国民を犠牲にしてまで、無茶苦茶な事をしている糞キチガイだ。

残念ながら日本のメディアでは、テロリストであるハマースの悪事がきちんと記事に載せられていない。欧米のメディアでも、リベラルなところ(BBC,NYタイムズなど)はこの経緯をきちんと説明せずに、ガザストリップでムスリム系民間人の被害者が出ている事だけを馬鹿の一つ覚えの様に報道している。もう一度言う。ハマスはキチガイテロリスト集団である。イスラエルの主張とテロリストの主張、どっちが正しいと思っているのか?答えは言う必要もない。ムスリム内での利権争いに四苦八苦すると、コーランの聖戦を言い訳に武力攻撃を仕掛けるキチガイテロリスト集団がハマースである。

日本の中東ニュースを読んでいて思うのは、論調が欧米での尖閣問題の扱われ方と似ているという事だ。欧米のメディアが、尖閣問題を放送する際、帝国主義下で日本が奪取した島を、中国政府が領有権を主張している、と。日本は真摯な対応すらせず、中国人民は憤慨している、と。これは全く事実ではなく、実態は日本に中国が言い掛かりをしているだけだ。こじらそうとして、パフォーマンスを仕掛けてきているのだ。そして、メディアがまんまと引っかかっている。しかし欧米のメディアでは、独裁共産拝金国家の主張をそのまま流している訳だ。中立ぶらなければいけないのが原因だ。日本のメディアも、遠い中東の話では中立ぶる。「イスラエルのガザ侵攻」。この表現が何をかいわんやである。実態は、「イスラエル国軍によるガザ地区内でのテロリスト帰討作戦」である。

「イスラエルは選挙を控えて、ネタニヤーフがユダヤ系右派を取り込むために戦争を始めた。」「ユダヤ人が支配しているウォール街も大統領選挙前後から戦争の危険性を噂していたではないか!」などと言う人もいるが、その論調は次の主張と同じだ。「野田政権は支持率が低下しているから中国を怒らせてタカ派ぶって支持率を上げようとしている!」

テロリストや独裁国家の意味不明な自己よがりの主張ではなく、まともな普通の国家(日本、イスラエル、アメリカ、ドイツ、英国)の主張をきっちりと伝えるべきである。残念ながら、まともな普通の国家からは、リベラルな意見も出てくる。中国と仲良くせよ、タカ派のネタニヤーフは人殺し、といった物だ。どちらがまともなのか?私には火を見るより明らかである。中立のふりをするというのは、テロリストや独裁国家におもねる行為に他ならない。

民間の人達(卵)が犠牲になる(壁に当たって潰れる)事はあってはならない、と言う人がいるかもしれない。しかし、その人達がキチガイのハマースを支持している訳だ。犠牲になっている人や残された家族は可哀想だと思う。しかし社会の一員としての責任が無いとは言わせない。執政しているおかしな連中が、聖戦や何やを言い訳に自分達の権力を誇示している。イスラエル域内に住む穏健なアラブ庶民も大勢いるのに、パレスチナに残って可笑しな連中を直接的であれ間接的であれ支持する人たち。気の毒ではあるが、100%の被害者では決して無いのだ。

これは選挙を前に日本の人達も認識しなければ行けないことだ。どのような形であれ政府は国民が支持しているものだ、という常識をだ。能無し政府やキチガイ政府。静謐を保ってそれらの行動を許したり、支えたりしている事は、社会の一員の責任でもある。

いずれにせよ、今回は楽観的には考えていない。地上作戦が始まるなど、前回よりもエスカレートする可能性がある。中東の春でアラブ国家に信用の置けない政権が出来ているので、それらがイスラエルにとってどのような対応をするかも読めない。自国通貨が暴落して、ただでさえ緊張感が漂っているイランが何をしてくるのかも読めない。

日本メディアも対岸の火事とは考えずに、真摯にこのニュースを日本国民に伝えて欲しい。人道的なさわりだけでなく、きっちりと中東問題の深刻な馬鹿さ加減に焦点を当ててほしい。私は、金と米ドルを買いたして戦争相場にでも備えるべきか。