インフレが良いのかデフレが良いのか?無意味な二元論になっているので、話を整理したい。
- デフレが継続するよりもソフトなインフレが継続する方が経済的に健全である。むしろデフレが長期的に継続するような事態はあってはならない。
- 日本は需給ギャップが開ききっており、デフレスパイラルの状態にある。
- 日本も金融政策を行い易くするためにインフレ状態になるべきである。
- 日本の景気は停滞している。景気を浮揚させるべきである。「経済成長」しなければならない。
2. については経済学の定義上、若干の異論が発生するかもしれない。だが、この四つの意見の根幹について異議を唱える経済学者或いはエコノミストがいるとすれば連れて来て欲しい。もしいるとすれば「反資本主義者」か「目立ちたいだけの道化師」かのどちらかである。
「日本経済を成長させたい」という事に反駁する人はいない。経済成長は最優先の命題である。そして経済を理解している総ての人が、二義的に、日本はデフレ状態から抜け出した方が良い、と考えている。
日銀と政治の失政、そして外的要因により、日本は「デフレスパイラル状態」に陥ってしまっている。近代社会ではあってはならない「デフレスパイラル状態」に日本だけがなってしまっているのである。他のどの国も経験しておらず、経済学教科書の終わりの方にしか載っていなかった、抜け出す方法がいまだに確立されていない、マクロ経済運営にとってはあってはならない最悪の「デフレスパイラル状態」を日本は現在進行形で経験しているのだ。注意しなければならないのは、戦後の欧州もアメリカもデフレスパイラルには未だに陥っていない。日本とは状況が全く違う。
所謂リフレ派は、上記四点の相関関係と因果関係を誤魔化した上で、デフレだから不景気になっている。従ってインフレにすれば好景気になる!と面白い事を言っているわけだ。意識的に「デフレスパイラル状態」に陥っている事実を無視しているのである。
所謂リフレ派が言うように、日本経済を無理矢理インフレに持っていく事は可能である。お金を血眼にして「際限なく」刷りまくれば、やがていつかはインフレになるだろう。或いは、諸外国に眉を顰められるのを覚悟で無茶苦茶な円安に誘導したり、需要を無理矢理供給とマッチさせるような無茶苦茶な財政支出をすれば、デフレ状態は一時的にせよ解消する。
所謂反リフレ派のレッテルを張られている人達は、上記のような政策を日本がとるべきではないと主張する。数十年築いてきた「フェアな日本」という国の信用が無茶苦茶な政策により失われる事になるし、副作用がきつ過ぎて「インフレになったは良いが成長が阻害された」という本末転倒な事態が発生すると言っているのだ。このブログで紹介してきた国債バブルの崩壊などは、考えうる典型的な副作用である。
日銀は副作用を恐れており、「人為的に」インフレを起こしてデフレ脱却をする事には消極的であると考えられる。日銀が言うように、政策などを用いて社会の柔軟性を高めるなどの副作用の少ない成長ツールが色々残っており、まずはそれを実践するべきだ。ただ残念ながら、既得権益にメスを入れざるを得ず、政治家にとってはやり難い成長政策が目白押しである。正規労働者の権利を削ぐ形で正規と非正規間の雇用格差をなくしたりすることもひとつであろう。しかし日本型長期雇用慣行を改悪するなど、政治家にとっては口が避けても言い出せないものだ。
私は日本経済の先行きに大きな懸念を抱いている。言うに及ばず、財政問題が理由である。潜在成長率が低下してしまっているので、増税と歳出削減を徹底するしか解決方法がなかった訳であるが、政治的に行き詰ったまま15年の歳月が流れた。問題は膨れ上がり、破裂の瞬間を今か今かと待っている状態である。残念ながらいまさら何をやっても遅すぎる。安倍さんがハードランディングさせようとも、他の総理大臣が数年間引き伸ばそうとも、この問題が破裂するのは間違いない。何時破裂するかだけの問題でしかないのだ。
最近この話題をシアトルにいる周りの日本人達に振っているのだが、周りの人達は一流大学を出て高等教育を修了している人達ばかりであるにもかかわらず、驚くほど経済問題に疎い。「お金の事を話題にするのはみっともない。大阪人やユダヤ人でもあるまいし。」などと言われて育ってきたのかもしれない。そして、その通り。私は大阪人である。だが、経済が理由で、我々日本人の社会は相当な血を流すことになる。あなたも、私も、相当な痛みを経験する事になる。
言いたい事は尽きないが「後の祭り」だ。財政問題を解決する事はできないだろうし、カミカゼが吹く事もない。誰がやったとしても、遅かれ(5年くらい)早かれ(半年以内)、日本国債バブル破裂に端を発するスタグフレーションが発生する。日本経済はハードランディングを体験し、社会はかなり酷い事になる。むしろ、ハードランディング後の事を考える方が建設的である。
私は今から五年ほど前の安倍政権の頃にはここまで悲観的ではなかった。財政削減と成長路線で日本はなんとかバブルのツケを払えると信じていた。しかし安倍首相は郵政自由化反対組を復党させたり、小泉改革の格差問題などと言うありもしない問題をでっちあげられたりして、参議院戦でボロ負けした。そして改革路線から成長否定路線へと大きく舵きりを余儀なくされたのである。改革を殺した安倍元総理を再び登板させようとしている自民党は、はっきり言ってトチ狂っている。リフレ派か反リフレ派かというどうでも良い二元論ではなく、現実を皆には直視して欲しい。残念だが、もう無理である。あなたが無事であれば、国債バブルが崩壊した焼け野原の日本を頑張って一緒に立て直しましょう!
0 件のコメント:
コメントを投稿