私は民主党が嫌いである。だが、民主党が瓦解して自民党の一党体制に戻る事には違和感を覚える。一党体制では権力が集中するし、権力の集中が腐敗を産むことは皆が知るところである。民主党以外の政党に期待すれば良い、という意見もあろうが、私はその意見にはくみ出来ない。何故なら、自民党と民主党以外のまともなinstitutionが存在していないからである。このinstitutionをどのように翻訳するかは難しい。例えば、エジプトではムシル元大統領が追放されるという「クー」紛いの事が起こったが、民主主義になろうともエジプトにはムスリム同胞団以外の政治institutionが存在しない為、民主主義が機能していなかった。まあ、党としての「体制」とでも翻訳しておこう。民主党が「党としての体制」を失ってしまうと、日本の二大政党制は終わりを告げる。それは日本社会に悲劇をもたらす事になるだろう。
対立軸が無くなってしまったため、参議院後の自民党は変化を望む必要が無くなる。無駄な社会的な抑制が日本には存在しているが、自民党が汗をかいてそれらを変えてくれるとは思えない。数年前、民主党はリベラル色を表に出して政権を握った。しかし、民主党は「夫婦の苗字決定を自由にする(いわゆる夫婦別姓)」などと言った誰にも問題が生じない簡単なリベラル政策にすら取り組まないまま、下野してしまった。今となっては民主党が何をやりたかったのかは解らない。というよりも、やりたい事があったのかすら怪しい。リベラル色の濃い鳩山から、社会主義者の菅直人を挟み、最後は自民党田中派の正当総理大臣のような野田に党代表を任せた。前原のように古き良き保守のような人間もいる。民主党には全く芯が通っていない。
民主党の批判を始めればキリがないのだが、日本の二大政党制度復活の為にも、まずは民主党に頑張ってもらわなければならない。私からすると民主党を復活させる方法は、とても簡単であると思うのだ。民主党の最大のスポンサーは労組である。ならば、労組の使命に違わないような党要綱を作ればいいのだ。
日本社会の対立軸ははっきりしている。会社VSサラリーマンである。労組が共産主義を標榜する古い体質の夢見る夢子ちゃんである事は論を待たないので、民主党が世間のマジョリティーである現代のサラリーマンの為に、自ら労組を現状に合うよう改革していくような政策を立案していくことが求められる。
つまり、最低賃金引き上げ、レイオフの禁止、消費税現状維持、年金制度の充実、雇用を守るなどを徹底的に打ち出すべきであると思うのだ。一方で、会社経営者側の組織、例えば経団連等とは積極的に対立するべきである。法人税の引き下げ、インフレ政策、解雇の自由化、非正規政策、消費税増など、民主党は徹底的に反対するべきである。これらは絶対にぶれない様にしなければならない。党内で違う意見を言う人は、どんなに力がある人であろうとも、すぐに除名するべきだ。党の政策としては、サラリーマンやその家族が直接恩恵を受けられるもの以外は出してはいけない。
一方で、社会問題などはサラリーマンの奥さんを対象にしたソフトなものを打ち出す必要もある。環境問題、医療問題、教育問題など、万人受けするものを強調する。社会的にリベラル色を強めればよい。外交なども「対話」を強調するだけで良いのだ。
これだけでいい。そして、自民党は会社経営者や農家や商店などの自営業者側に立った政党であるとレッテル張りをすればいいのだ。それだけで民主党は次の選挙で勝てる。逆に、これをしないで、原発問題だの、新しい公共だの、官民の連携だの、オープンだの、選挙民の暮らしに関係のないイデオロギー論争にコミットしすぎると、民主党は近いうちに瓦解する。子供手当や高速道路自由化の様な細かい政策は上げる必要すらない。
日本にとって良い政策とは何か、などと「マジで」考えているセンチメンタルな民主党議員が多数いるようである。党員が何を考えても個人の自由であるが、政党政治におけるゲームの仕方を党員に徹底して調教するべきだ。民主主義社会においての政治とは、選挙というルールを用いて、配分の仕方を決め合うだけの汚い仕事である。それに対して、良いも悪いも、公正も不公正もない。「大人の事情」で食うか食われるかだけが存在するのだ。前原や野田、あるいは岡田など、経営者側寄りの政策を出そうとする「まともな連中」を、すぐにでも党から追い出すべきである。その辺の連中は自民党にでもみんなの党にでも行ってもらえばいいのだ。
上述の事をすれば民主党は復活するだろう。そうすれば自民党もきっちりと対立軸に立って政策を出してくると思うし、金魚の糞政党は自ずと消え去ると思う。そうすれば私は納得して自民党に投票するだろう。民主党に復活してもらい、二大政党制にならなければ日本の民主主義は死んでしまうのだ。民主党が一人前のInstitutionになる事を切に願う。
雨が降り続くシアトルに住むブログ主が、カプチーノを飲みながら、時事・経済・政治・食・スポーツ等について社会科学的見地から騙ります。広告のクリックをする事、宜しくお願いします!
7/23/2013
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1 件のコメント:
ブログ拝見させてもらいました☆
シアトルの物価のことについて詳しく書いてくださいますか?
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