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7/13/2013
違和感だけが残ったジョージ・ジマーマンのケース、結審へ。
ジマーマン事件、特集
米国で現在、お茶の間(笑)を賑わせたある事件の判決が下されようとしている。その事件とは、2012年の二月に、ジョージ・ズィマーマン(George Zimmerman)というゲートコミュニティー(要するに分譲住宅地の入り口に警備員がいる所)の自警組織のボランティアが、トレヴォン・マーチン(Trayvon Matin)という17歳の黒人の子供を射殺したものである。
ジマーマンは父がドイツ系の白人で、母はペルー人であり、ヒスパニック系のアメリカ人である。ジマーマンはマーティンを打ち殺したとき、そして警察に電話した時に、アフリカ系アメリカ人を蔑視するような発言をしたため、この事件は人種間問題に発展した。
もう一つ事件をややこしくしているのは、フロリダでも採用されていたふざけた法律である。スタンド・ユア・グラウンド法と言われるものだ。非合法行為により身の危険を感じた者が、殺傷能力のある武器を使って身を守ったとしても、罪状には問われない、という法律である。多くの州で採用されている 正当防衛と、南部を中心に採用されているスタンドユアグラウンド法は大きく異なる。正当防衛の下では、喧嘩になった時に、相手を殺傷する前に、逃げる事を優先させる義務が生じる。だが、スタンドユアグラウンド法の下では、命の危険を感じる状況下においては、逃げる事を最優先する必要はなく、相手を死に至らしめても罪状には問われない。防衛する権利が銃を所持する権利と重なり、解釈の余地を残す法律となっているのである。ただ後述するが、今回のジマーマンの行動は正当防衛の範囲内であり、スタンドユアグラウンドが発動したかどうかも怪しいケースである。
自警組織のジマーマンは、コンビニで買い物をして父親のガールフレンドの家に帰る途中の丸腰のトレボン・マーチンが分譲住宅地の敷地内の裏側の路地を歩いているのを見た。ただ、マーチンはマリファナを吸ってラリパッパか或いは家の中を物色している様子で、ジマーマンの弁護士によると、その事でマーチンを怪しく思ったという事である。一方、ジンマーマンを差別主義者として見立てる論調もある。ジマーマンは「黒人」がいたので、肌の色から怪しい奴であると判断したと主張されている。 ジマーマンは車を停めて、中から911(警察)に電話した。その時点で、マーチンが事件を起こしているような事実はなかったため、警察はジマーマンの行き過ぎた追跡行動を窘めたのだが、ジマーマンは車から降りて追いかけた。どのように追いかけたのかは色々な話が出ており、事実は解りかねる。そして、マーチンと何らかの接触をしたようである。他の人が警察にかけた電話に記録された時の録音によると、大声でジマーマンかマーティンか、どちらかは不明であるが、甲高い声で助けを求め続けている。その後、一発の銃声がする。警察が到着した時には、マーチンは帰らぬ人となっていた。 ジマーマンは仰向けになり、武器を持ったままの状態で呆然としており、警察によって武器から手をほどいてもらったという。
ジマーマンは警察で軽い取り調べを受けた後、マーティンに明らかに殴られた跡などがあったために、上記の正当防衛としてその晩のうちに解放された。人を殺してもアメリカではそんなもんであるという事実が、銃規制派などを逆なでした。 一方、高校生を殺されたという悲しみは理解できる物の、マーチンの友人や家族がメディアである事ない事を主張し、マスメディアは「黒人蔑視」が事件の背景であるように報道を始める。私などがニュースを見ると、かなり偏った報道であるな、と思う事もあった。
で、ジマーマンは恐らくは政治的な圧力により再逮捕され、一度釈放しておいたジマーマンを第二級殺人で告訴した訳だ。最悪、終身刑という重いものである。 だが、銃規制派、アフリカ系アメリカ人、そして人種問題にうるさい人たちは、すべてメディアの報道を都合よく信じ、黒人差別主義者が丸腰の高校生を射殺したというイメージを信じていたように思う。 だが、裁判が始まると、どうもメディアの報道とは話が違うのだ。ジマーマンは不良の高校生に馬乗りで殴られたので、銃を使った、というのが真相のようだ。マーチンを擁護する人達の証言は、信用しかねるような物も多く含まれていた。しかもフロリダでは、銃を所持する権利も、身の危険が及んだ際に武器を使う権利も認められているのだ。
ジマーマンという人間が丸腰の高校生を射殺したことは、結果論的にはモラルにもとる行為であると思う。いくら不良であったとはいえ、自分の子供を殺されたマーチンの親など、いたたまれないだろう。コンビニに行った17歳が射殺に巻き込まれるような社会はイカレテいる。しかし不幸にも、銃社会のアメリカでは十分に有り得る事態なのだ。フロリダでは法的に許されている訳であり、この騒動自体が法律の不備が招いた混乱だという事も出来る。逆に、マリファナの所持や吸引はフロリダでは違法行為であるわけだし、マーチンがジマーマンを殴る事も許されない。私が思うに、法律の不備を政争に使われた中で、ジマーマンはどのような判決が出ようとも犠牲者であると思う。間もなく素人の陪審員により、ジマーマンへの刑が決められることだろう。
この事件を見ていると、所謂慰安婦問題などともダブルところがある。法律的には問題ないが、モラル的にはどうなのか?そういった事を政争に使われれば、モラル的に劣る側は、常に防御側に立たされ、社会的制裁を加えられることになる。タックスヘイブンを使った税金回避などもこういう問題であろう。法律の抜け目を用いた行動は許されないのか?法社会なのだから、政治家が混乱が起きないように、法律を整備するべきであるし、こういう問題で個人を陥れてマスメディアが騒ぐ構造こそがモラルハザードのように思うのだが。
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