以前、このブログで「 海外で成功する日本人、失敗する日本人 」という記事を書いた。私としては「城島憎し」で書いた記事だったのだが、かなりの反響があった。イチローのような天才なら、どこに行こうと成功すると思う。城島も実力以上の契約を勝ち取ったのだから、金銭的には失敗していないという人もいるだろう。川崎が成功したのか否かを論ずるのは早すぎるという意見もある。そもそも「成功」と「失敗」をどう判断するのか?という人類の究極の謎に対して私は全ての人が納得する答えを用意できない。しかし、今の時点で思っている事を書き留めておくのは有意義だと思う。
川崎の現在の立ち位置は、アメリカ野球を代表する、「とある日本人」を思い起こさせる。イチローは別格としても、下手をすると松井よりも知名度が高い「メージャーリーガー」である。それはタナカである。サンフランシスコ・ジャイアンツで昨日にメジャーデビューを果たした田中賢介ではない。イスロー・タナカの事である。
タナカは東京ジャイアンツから、前年に奇跡的に優勝したクリーブランド・インディアンスにやって来た。が、シーズン前半に低空飛行を続けた状態になったのだが、タナカが選手の士気を上げさせ、奇跡の快進撃を突き進む。そう、映画メジャーリーグ2に出てくるイスロー・タナカ(石橋貴明)の事である。因みにタナカは、メジャーリーグ3に出てきたときは、タカ・タナカという至って日本的な名前に変わっていた。
怪しげな東洋人キャラクターとして下手な英語でチームを盛り上げる。でも、守備は堅実で、クラッチヒットで仕事はきっちり。新庄もニューヨークメッツに在籍していた時は、イスロー・タナカと比べられていたが、川崎のタナカぶりはお見事の一言である。
ただ、川崎を見て、日本風にふざけさえすれば外国人受けすると考えてはいけない。川崎は野球に真摯に取り組んでおり、仕事はきっちりとしている。打撃についても、マリナーズに入りたてのスプリングトレーニングでは4割近くを打っており、非力さを十分にカバーできるだけのバッティングセンスを有している。犠打など、チームプレイに徹しているところもチームが喜ぶところだ。仕事をキッチリした上で、英語が出来ないというハンディキャップを埋めるがために、プレイ以外の所で「英語が出来ない外国人」としての武器を使っているのだ。自分の強みと弱みをはっきりと理解しており、完璧なポジショニングをしている。
ただ、ホセ・レイエスが復活したので、今後の活躍の場は狭まると考えて間違いない。レギュラーで使ってもらわなければ、滅私奉公だがクラッチもできるという川崎の打撃は活かされないだろう。昨年もマリナーズでは、シーズン後半にイレギュラーな使われ方をして、打撃成績は悪かった。ブルージェイズにはボナファシオもいるし、今後の展望は明るくない。チームが何らかのトレードをしない限り、残念ながら数週間前に見せたような川崎劇場を見る事は出来なくなると考える。ギボンズ監督も、ここで川崎を含めて中途半端に打撃オーダーを動かし過ぎると、チームのタガが外れてしまう。慎重な采配を望む。
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