レイカースを離れたメタ・ワールドピース氏(笑)が、ニックスとサインしたという事である。ワールドピース氏を獲ろうとは、ニューヨーク・ニックスは面白いチームである。NBAの話はこの辺で置いておこう。
ジマーマン事件、特集
で、アメリカの人種差別の問題だ。アメリカでは人種差別の問題は、いまだにタブーであるし、「隠れ人種差別主義者」が年上の層を中心に、結構いる。アメリカも広い。シアトル界隈では、アフリカ系アメリカ人が比較的少ないので、人種差別的な問題を感じる事はなかった。しかし、ニューイングランドに住んでいた時は自分が外国人であると日々思い知らされた。現在は米国の南部にいるが、人々は以外にも優しいという物の、ほんの数十年前まで黒人を迫害していた傷跡は未だに残っている。
アメリカでは、奴隷制度が敷かれており、1800年代半ばまではアフリカ大陸から大量の黒人奴隷を新大陸に連れてきたわけだ。しかし、1865年に内戦である南北戦争が終結し、北軍が勝ちをおさめ、合衆国憲法を修正し、憲法上は黒人奴隷の解放が実現した。
しかし、憲法は公民権を与えただけであって、「私人」や「民間企業」による差別を禁止した訳ではないと解釈された為、20世紀の前半はアメリカ全土で人種差別が罷り通っていた。黒人だけではない。アジア人なども、カリフォルニア州では白人と結婚できないが、ワシントン州では白人とでも結婚できる、などと言った人種隔離政策のようなものが幅を利かせていたわけである。
二つの大戦中は軍隊の内部などでも、白人と黒人で制度的な差別が蔓延していた。1948年になり、初めて軍隊内での人種隔離を禁止する命令が下されたもののベトナム戦争までは白人と黒人の混合部隊は実現していない。
50年代はアメリカ南部ではジムクロウ法の影響もあり、黒人差別が色濃く残っていた。しかし、マーチン・ルーサー・キング牧師の公民権運動を経て、1964年にようやく、ジョンソンが公民権法を制定させ、黒人差別が米全土で禁止されるようになる。
つまり、アメリカでは黒人差別が終わってから、50年も経っていないのである。古い人々の記憶の中には、差別が許されていた時代が色濃く残っている。そして、差別問題で「左」と「右」に分かれて政争を繰り広げられたことも覚えている訳だ。
日本でも、戦争の是非や在日問題が、一種のタブーだった時代が長く続いた。そして、現役世代が完全にボケ始めたころになって、漸く自由に議論できる風潮になった。草の根レベルでは、小林よしのりが果たした役割がかなり大きいと思っている。「戦争論」だけでなく、「差別論」なども、戦争問題や差別問題のタブーを取っ払い、左と右の拗れを消し去って、戦後意識を本格的に終わらせた偉業であると考えている。
しかし、アメリカでは、小さい時に差別社会で育った人たちがいまだに現役である。先月には、フードチャンネルで南部料理を紹介するポーラ・ディーンと言うカリスマお料理タレントが、黒人蔑視発言(注:ニガーと言っただけ)をしたという事で、フードチャンネルと契約を切られてしまった。過剰とも言えるニュースメディアの反応を見ていると、正直、違和感を抱くが、人種差別を受けて育った人たちが大勢生きている事を考えると、複雑な気持ちにもなる。
アメリカの若い子供と接していると、人種の垣根はあまり見られないと思う。まあ、オバマ大統領が当選したことでも、人種差別時代からは大きく変化したのであろう。しかし一方で、中年より上の人達は、いまだに人種差別や南北戦争を引き摺っている。アメリカ北部に住む人たちのアメリカ南部地域に対する蔑視は、気持ち悪い。黒人の白人に対する偏見は聞くに堪えない。貧乏な南部の白人は、未だにプランテーションメンタリティーを抱いている。
アメリカも、まだまだ時間がかかるのだろうと思う。公民権的な考え方では、明らかにアメリカ社会には大きな問題が横たわっている。しかし、若者たちを見ていて、こうも思うのだ。きっと、近いうちに、アメリカ版の小林よしのりが現れて、この問題に終止符を打ってくれるのだ、と。
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