4/06/2014

躁病患者に振り回される

とある古い友人が急にアメリカの私の家を訪ねたいと言い出した。数年間連絡もしていなかったのだが、仕事を辞めてアメリカを放浪しているので、私の所に寄りたいと言うのである。アメリカの田舎暮らしで、日本語を喋れる友人も近所にいない事から、嬉しくなり、二つ返事で了承した。

アトランタの空港まで迎えに行ったのだが、定刻になってもやってこない。どうも、ダラスかどこかで飛行機の乗り継ぎに遅れたようである。で、待つ事2時間、次の飛行機でやって来たのだが、「ありがとう」とか「待たせてゴメン」の一言もなかった。

家に来ても、スマートフォンでFBのアップに夢中になっている。とても態度が横柄で、かなりイラついた。しかも会話になると、脈絡のない事を大きな声で話し続けるし、すぐに話が変わるのだ。これはおかしいぞ、と真剣に考え始めた。レストランに食事に行くと、大声ではしゃいで周りの客に顰蹙を買っているが、本人はお構いなし。従業員の態度が悪いと喚きだした。しかも「従業員に熱いスープをかけてやろう」などと言う。さらに、日本語で人種差別的な発言を繰り返し続ける。殴ってやりたい衝動に何度も駆られたのだが、折角日本から来てくれた旧友だと我慢した。夕食の後に気付いたのだが、友人は大量に服薬していた。何の薬かを尋ねたのだが、抗鬱の薬だという事だ。しかも、眠くならないので睡眠薬も飲むという。鬱病なのか??どうも、幻聴や幻視も経験しているようである。

翌日、買い物に行きたいというので、ショッピングモールに行ったのだが、恐ろしいほどの買い物をする。確かに、その友人の家は裕福であるのだが、多分数時間で50万円以上使っていたと思う。最後の方になると、クレジットカードが限界を超えたのか跳ねられたので、カードを使わせて欲しいという。嫌だったが、友人の興奮度合いが異常であったし、鬱病が悪くなっても困るし、折角アメリカに来たのだからこの機会に買い物をしたいと言うし、家が裕福なのも知っていたので、仕方ないので立て替えた。

で、わがままで、横柄な態度と、脈絡のない元気さは失われることなく、3日の滞在を終えて、アトランタの空港に送って行った。その後は米国東部を旅行してから帰国したようだ。すべてを文章には出来ないが、正直私は狼狽したし、うんざりもした。病気だと知らなかったら、多分喧嘩になっていたと思う。

で、日本に帰国後、借金を返還するように催促したのだが、「何を言っているのか解らない」というような旨のメールが届いて、私は蒼褪めた。しかも、「自分で払った」などと子供のような事を言い張るのだ。さらにFBのフレンドリストから削除され、連絡方法を失ってしまった。あれだけ優しくしてあげたにもかかわらず、物凄く敵対的なメールが数通届いた。仕方ないので、友人の親に連絡する事にした。で、判明したのが、友人は重度の「躁病」だったのである。友人の親には「お金を貸すのは断って欲しかった」と言われた。ふざけるな、と言いたい。

私は、鬱病についてはある程度の事例を見て来たし、知識としても知っていたが、躁病という物がこれほど激しく、反社会的で迷惑がかかるものだとは思わなかった。気付かなかった私もアホウだが、躁病の息子を外国に行かせた親も親である。まあ、30代半ばの息子の世話までしなければならない親も気の毒である。躁病と言うよりは、多分重度のバイポーラーなのだろう。

この文章はさらっと書いているが、躁病の友人が来て以来、私は何度も激怒したし、お金を返さないなどと言われた後は、一か月近く仕事も手に付かないほどイラついた状態になってしまった。今まで色々な社会経験をしてきたが、精神的疾患がある人たちとの付き合い程、難しいものは無い。病気が原因だとは知っているし、相手が気の毒にも思うが、巻き込まれてしまうと自分に火の粉が降りかかってくるのである。今回のケースでも、頭の中では合理的に「No」と言いたい状態であったが、状況的に「No」とは言えなかった。文章にすると冷静に聞こえるが、友人の行動の異常さを目にした私の葛藤については、読者の想像に委ねる。

このブログを読んでもらえば解ると思うが、私は世の中の色々な事に対して理路整然とした解決方法を考えるのが好きである。しかし今回の件に関しては、解決方法が思いつかないのだ。次に同じような状況に陥ったとしても、私は同じように失敗を繰り返すのだろうと思う。精神的に不安定な人と関わらなければ良い、と考える人もいるかも知れないが、向こうからやって来られたら対処方法は無い。相手が精神的に疾患を抱えているのか、ただのわがままなのか、短期間で判断するのは不可能である。私の短い人生の中で、人間関係のいざこざや、仕事上の失敗を思い出してみると、精神的に問題を抱えた人やパーソナリティ障害者が絡んでいたことが少なくないのだ。本当に難しい問題だし、個人的に色々と反省もしている。だが、同時に絶望感も覚えている。今回の件は運が悪かったと諦めるしかないのだろうか?

ただ、神経病みの人達にお願いしたいのは、神経病みである事をきっちりとディスクローズして欲しいという事だ。そうでなければ、対策が立てられない。相手が重度の躁病だと事前に知っていれば、私は決して相手にお金を貸すことはなかったし、そこまで気分が悪くなることもなかったのだと思う。ただ、躁病の患者は自分が病気だとは思わないようである。それならば、せめて友人や家族が他の人に説明する義務を負わなければいけないと思う。そうは言っても、この世の中は、精神的な疾患やパーソナリティ障礙に理解がある人たちばかりではない。結局、飛んでくる火の粉に気を付けながら、しかしたまには被害を受けながら、生きていくしかないのだろうか?

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