まあ、このシリーズが始まる前から予想できていたことだが、どんなに先発の駒が揃っていようとデトロイトは終盤の一点差のリードなど守れるわけがない。一方のボストンは、一点差で7回くらいまで頑張れば、10中8、9逃げ切れるチームである。
で、投球が多くなっていたところを、7回もシャーザーが投げる事になった。前回も投球が多くなっていた上に、オークランドとの試合では無駄な中継ぎもさせられていたのは記憶に新しいと思うが、ちょっと投げさせ過ぎだ。いくら後が無かろうとも、ワールドシリーズの事まで考えれば100球くらいで替えさせるべきだし、スマイリーやアルバカーキ―を巧く使えばボストン打線を黙らせることが出来るかも知れない。ゴームスに巧くグリーンモンスターの上の方まで運ばれた。ホームランにはならなかったのは良かったが、二塁打になった。勿論、次もシャーザーで行くしかない。ドリューには粘られるも、三振。次のボガーツの時だが、球審がアウトローのストライクを取らないのである。バックホルツのアウトローだと、ストライクゾーンの外に逸れていた時もストライクを何度か見たのに、シャーザーのアウトローの球はストライクゾーンに入ってもボールである。特に、最後の四球になったボールは完全なるストライクであった。
で、ピッチャー交代。スマイリーが打ち取ってダブルプレーの筈のボールを、シーズン途中までレッドソックスでプレーしていたキューバ人ショートのイグレシアスがお手玉。で、満塁になった。ここで、スマイリーが懲戒のような形で替えられて、出てきたホセ・ベラスがシェーン・ヴィクトリーにグリーンモンスター越しの満塁ホームランを打たれる。まあ、球審の判定など、言いたいことは色々あるが、予想通りの展開と言えばそれまでだ。先発投手の好投、巧く行かずにリーランド監督が動き、すべてが裏目に出て逆転される。そして、ボストンは勿論予想通りにブルペンが最高の形で試合を閉じる。田澤、ブレスロウ、そして最後は寝屋川出身の上原。あっさりと閉じたようなリレーだが、誰が誰を抑えるか、ボストンベンチは計算しつくしている感があった。
デトロイトには気の毒だが、あれだけの選手を揃えていながら、短期決戦を戦えていない。カブレラの不調など、理由をごちゃごちゃ言っている人がいるが、端的に言って戦略なき野球ではプレイオフは戦えない、という事だろう。
一方のボストンのファレルは、流石である。計算し尽しているし、投手交代のタイミングも適格だ。モラレスがダメだと見ると、すぐにワークマンを投げさせた。リーランドがこういう事をやると裏目に出るが、ファレルがやると上手く行く。非常に面白い物を見せて貰った。
さて、余談だが、ボストンから二人ピックアップしたい選手がいる。一人は人気の選手であるビクトリーノ。フライングハワイアンと呼ばれている。マウイ島出身の同選手は、母方の祖父は日本人であり、ナカハシさんである。ビクトリーノはポストシーズンが始まって以来、既に6個の四球を与えられている。ちょっとバッターボックス寄りに出過ぎでストライク級でデッドボールになっている感もある。元来はスイッチヒッターなのだが、足のふくらはぎの怪我の影響で、最近は右バッターに定着している。ホームランも右打席で右ピッチャーから打っている。もう一人は田澤と上原の間に投げるクレイグ・ブレスロウ。ユダヤ系のブレスロウはイェール大学出身のインテリである。インタビューを聞いていると、他の選手とは全然違う知性を感じさせる喋り方で、非常に面白い。
審判の左投手贔屓(或いはボストン贔屓)が気になった一戦ではあったが、ボストンがワールドシリーズに進出し、地味選手が揃うデータ野球を駆使するセントルイス・カージナルスと、水曜日から対峙する事になる。多分、4-0とかでボストンが圧勝すると思う。ドジャースとレッドソックスなら力と力の試合になっただろうが、力の優る策士と力の劣る策士の試合の結論は火を見るより明らかだ。前半戦で見るのが嫌になるような試合の連続になるだろう。残念ながら、上原が緊張した場面で登板する事もないほどの楽勝と見ている。三試合くらいの肩慣らし当番で、最後はウィニングピッチャーになるだろう。
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