フィジカル・クリフ(財政の崖)の問題が大詰めを迎えようとしている。年末の期限までに決められなければどうなるのか?ブッシュ政権下で導入された大型減税策が 2012 年末で期限切れとなり、このまま新年を迎えると自動的に増税となる。さらに、大規模財政赤字削減が強制発動され、国防費を中心に 10 年間で最大 1 兆 2000 億ドルの歳出削減が実施される。 テレビをボーっと眺めている人にとっては、「財政の崖」は早急に議会が折衝して法案を通すべき問題であるのかもしれない。対策をとらなければ米国経済はマイナス成長となる可能性が高く、景気後退に陥る危険性がある。だからこそ、バーナンキがこの問題を大袈裟に財政の「崖」などと比喩したのである。法案が決められないのは共和党がサボタージュをしているからであり、オバマや民主党が選挙で勝ったのだから、わがままを言わずに早急に通せば良い。 CNN などを見ているとこういった意見が主流のようだ。 年末までに議会が何も決められず「財政の崖」から落ちる事態になると、具体的にどのような結末が待っているのだろうか?年収が 500 万円程度の個人であれば 17 万円ほど、子供が二人いる家庭であれば 19 万円ほどの増税となる。年収が 2000 万円程度の個人であれば 75 万円ほど、子供が二人いる家庭であれば 63 万円ほどの増税となる(1ドル100円で計算)。かなりの額である。さらには、健康保険、教育、失業保険などへの歳出が減らされるため、それ相応のサービス低下が発生する。失業保険は減らされ、職がない人には厳しい。住宅ローン減税なども下げられ、負担が増える。 様々な助成金も削減される。 例えば酪農家に対する助成金が国から来ており、それがなくなってしまうので、ただでさえ日本より高くて不味い牛乳の値段が倍増する恐れがあるとされている。 連邦政府(国)から州政府に多くの金が流れているため、州ごとに色々な影響が考えられる。カリフォルニア州など一部の州では、税金から州へ行く額が増えて、州の財政の足しになる。ただ州税に関しては不確定要素が多くなるため、納めすぎた税金の返還が遅延する可能性が言われている。 一部の州では相続税が「いきなり」復活する。年を越えて親が死んだ家族は大損する。どうせ死ぬなら大晦日までに死んで欲しいものだ。...
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