ポスト菅争いが本格化してきているが、候補者が百花繚乱の状態であり、誰が総理の座を射止めるか良くわからない状態になっている。ここで注意する必要があるのは、総理大臣は国の代表であるが、民主党の党代表が総理大臣に指名されるということである。国民にとってふさわしい総理大臣と、民主党内のパワーゲームで支持を得る党代表とでは、まったく異なった軸で物事が動くと言う事を頭の中に入れておく必要がある。
野田佳彦であるが、野田氏の政策は私好みである。野田氏の考え方は完全なリバタリアンであり、市場を認識した上で物事を考えている。大手新聞などに「増税主義者」などといったラベルを貼られ始めたが、増税をせずに日本がやっていける方法があるのなら、是非とも教えて貰いたい。現時点では史上最高のドルに対する円レートを保持している我が国であるが、日本円は何かのきっかけである日突然信任を失って、信じられないような大暴落をする可能性がある。このような事態は不可避だと考えているのだが、増税によって、将来のハードランディングの最悪の事態を避けることが出来るかも知れない。景気が良くなってから増税だ、などと寝ぼけた事を言っている人もいるが、「景気が良くなる」というのはどのような状態を言うのかきっちりと示してほしいと思う。日本は構造的な問題を抱えており、近い将来に景気が劇的に良くなることは決してない。しかし左巻き勢力が渦巻く民主党内において、野田氏は異色の政治家である。野田氏がかかげる政策は、みんなの党か自民党の小泉派のような政策なのだ。修正社会主義を標榜する民主党内で、このような政策が毛嫌いされる事は、大方の人の予想するところだろう。松下政経塾の連中が民主党にいた理由はひとつだけ。自民党には入れてもらえなかったが、政権交代をしたかったという事だ。しかし前原や野田のような「右」の政治家が社会民主主義的な政策を推し進める民主党に何故居続けるのかは理解不能である。早く民主党を脱退して、みんなの党と組むべきだ。普通に考えれば、民主党内で野田氏が選ばれることは無いと思う。もし野田氏が党代表になるような事態になれば、民主党は「右派」と「左派」に分裂せざるを得なくなると思う。あるいは野田が極端に折れざるを得ないのか、どちらかであろう。前原などが第三勢力に担がれでもすれば、野田の目は全く無くなる。
鹿野も難しい。鹿野は農水省の官僚連中の間ではかなり評価が高い。きちんと指示できる大臣として認められている。鹿野は自民党清和会の出身であり、根本的には右の人間だ。これがネックとなるだろう。よって、目はない。
馬渕であるが、この男が何者なのかは不明である。元気で目立ちたいだけの、政治家にありがちな人間なのであろうと思うのだが、総理大臣を務める器であるとは思えない。
小沢鋭仁であるが、この男は卒なく小沢一郎に擦り寄っており、党内での信頼が厚い。ただ、環境関連やリニア関連など、将来的に怪しげな利権となりそうな事に色々と手を出しており、自身が総理大臣になれば、環境問題などについて色々つまらない事をしそうなので、注視するのが懸命だと思う。民主党の党内パワーゲームでは意外と支持を得ることが出来るだろう。
最後に、海江田万里であるが、民主党内では意外と好戦すると思われる。菅総理と仲が悪い振りをしているが、ここに名前があがっている総理候補の中で、菅に政策が一番近いのだと思っている。海江田は「税金」に詳しい。増税などを政策的に言い出さない立場にある。一方で、社会保障などを充実することを是とする社会民主主義的な政策を提唱している。勿論、一般の国民にしてみれば、税金を上げず、貰える物は貰いたい。それが一番得だからだ。だが、それでシステムが機能するのかどうかは別の話しである。海江田が菅の後を継いで、現在の修正社会主義を推し進めれば、日本はサッチャー前夜のイギリスのようになる事は目に見えているのだ。
もし、まともな人間が総理大臣になれば、民主党は分裂し、解散である。一方、民主党のパワーゲームで総理大臣が決まれば、支持率は低調になり、また首相交代となる。いずれにせよ、超短期政権になる事は目に見えているのだ。一つだけ、短期政権を回避する方法は自民党との大連立であるが、そうなれば谷垣を総理大臣にする必要がある。ただ、谷垣は三木派の政治家であり、自民党内の岸派や田中派がどうでるかが見物だ。民主党は田中派の片割れであったのだから、自民に残る田中派と民主党の田中派が合体しても面白い(私は嫌です)。自民党の震災復興利権が欲しい連中をうまく取り込んで、大島あたりに震災復興内閣総理大臣をさせるといった手もあろうが、それも支持率を取れそうに無い。総理大臣の席はホットポテトである。熱いジャガイモには、普通の感覚をした人間であれば、誰も触りたくない。
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