12/02/2015

ダックバスに追突された不運なノースコミュニティカレッジの生徒たち

ノースシアトルカレッジというノースゲートにあるコミュニティカレッジ(二年生の短大に相当、昔はノースシアトルコミュニティカレッジという名だった)の新入生を乗せたバスが、タイヤが外れた水陸両用ダックバスに横から衝突され、日本人のサトウ・マミさん、17歳の中国人女学生ソン・ルンジェさん、18歳のインドネシア人男子学生プリヴァンド・プトラダント君、それと15歳の息子に付き添いでシアトルにやってきた49歳のオーストリア人のお母さんクローディア・ダーシュミットさんがその日に亡くなられた。さらに、搬送先のハーバービューメディカルセンターで、三日後に20歳の韓国系女学生のキム・ハラムさんが亡くなっている。その他にも、怪我をされた人たちが数多くいる。いまだに入院されている方も数多くおられる。


このバスには、私の知り合いのお嬢さんが同乗しており、阿鼻叫喚の話を直接聞いたので、個人的に色々と気を揉んだこともあり、なるべく書くのを避けていた。楽しいアメリカでの新生活が始まろうかと言う時に、運悪く犠牲になられた方達は気の毒で仕方がない。お嬢さんは現在では元気にノースシアトルカレッジに通われているが、事故の話はなるべく避けるようにしている。

水陸両用のダックバスは、どこからどう見ても安全上の懸念があった。あんなに大きいのに、不釣合いな小さなタイヤが付いているだけだ。事故が起こったオーロラブリッジは、通称はオーロラと呼ばれている州高速99の、シアトルの北部(動物園・グリーンレイク方面)と中心部(クイーンアン・スペースニードル方面)をつなぐ橋である。高速道路なのに、中央分離帯もなく、オレンジの線が引かれているだけだ。以前もバスの運転手が射殺されて、バスが橋から転落するような事故が起きており、色々と問題がある道である。

シアトルはアメリカの中では比較的安全な街とされており、語学学校に短期で訪れる留学生たちが集まる。大学や短大は語学プログラムを用いて留学生を集めている。有名どころではワシントン大学のELPだが、シアトルセントラルコミュニティカレッジやノースシアトルカレッジも語学学校を開いており、アジア人留学生を中心に人気が高い。

若者が多いが、年齢幅は広い。私も含め、周りにも、本格的な留学の前に、語学学校をステップとして利用する人は多い。また、大学生やキャリア半ばの方が、半年から一年くらいの休暇を取り、英語を本格的に勉強するために語学研修に来られるケースも多い。私が語学学校に通っていたときは、新聞社を定年されてやって来た70に近い女性と、小学校教員を定年されてやってきた男性がおられた。お二人からは、人生の先輩として色々なことを教わった。或いは夫がシアトルに来たので、付き添いでやってきた奥様が語学学校に通われるケースも多々見られる。

ノースシアトルカレッジのバスには、語学研修(いわゆるESL)の外国人新入生達とカレッジを始める新入生とが混じっていた。オリエンテーション目的で、シアトルの市内観光をする予定だったため、バスに乗っていたのはアジア系を中心とする「外国人生徒(留学生)」やアジアからの移民ばかりであった。

知り合いのお嬢さんの話によると、いまだに大阪出身の男性がハーバーヴューに入院中との事である。骨盤を砕くほどの大怪我を負われたが、手術にも成功したとの事。以前に属していた職業柄か、体力的に自信があり、頑張ってリハビリをされているとのことだ。

同郷の若者が異国の地で不慮の事故に会い、不便を強いられながらも頑張っている様子にエールを送りたい。何故だか判らないが、この事故の被害者をサポートするような活動がまったく見当たらない。

在シアトル日本領事館には、こんな内部資料のようなふざけた記述があるだけだ。領事館の人が、犠牲者や犠牲者の家族たちとの連携に色々務められた事は耳に入っている。が、事務仕事だけではなく、個人の時間を割いてでも、もう少し「コミュニティ」の為に活動をして欲しいものだ。領事館に、被害者に届けてくれとメッセージを送ってみようと考えている。或いは、ハーバービューに直接メッセージや贈り物を届ければ、被害者に届けてくれるかもしれない。読者の皆様も、シアトル領事館やハーバービューメディカルセンターに連絡して、苦しいリハビリを続けている若き学生を是非とも応援してやって頂けないか?医療の問題だけではなく、今後は裁判などの問題も出てくると思う。シアトルにいる日本人として、全面的にサポートしたいと思う。

同乗していたその他の留学生達も大変な事になっている。あるベトナム人の女性は、年末に保険が切れてしまい、その後は自費での入院になるとの事。(勿論、ダックを訴えて、後でお金が返ってくる可能性はある。)シアトルに住む留学生や外国人コミュニティーの方達は、国籍を問わず不運なともたちを是非とも積極的に支援してあげてほしい。

0 件のコメント: