ニックスはNYのマディソンスクエアーガーデンで昨年のチャンピオンであるダラス・マーヴェリクスと対戦した。金曜日のニューオーリンズ・ホーネッツ戦で連勝が止まってしまったが、ディフェンスに批評のあるチーム相手に、リンセニティー(林書豪の狂気じみたストーリー)がどこまで通用するかというリトマス試験のような試合であった。そして、本日の試合はABCでの全国放送である。
NBAのストライキを嫌がり、デンバー・ナゲッツから中国リーグに移ってプレーしていたJRスミスを取ったニックスであるが、前半は中国から帰国し時差ボケも醒め止まぬJRスミスの連続3ポイントなどを中心にニックスが大きくリードする。1Q終了時には、ニックスが12点をリードし、ホームのスタンドを沸かせた。
しかし、王者のマブスはただでは転ばない。「いつもの」ダーク・ノビツキーとジェイソン・テリーのコンビで点数を入れまくる。ディフェンスのしようがない。一方のニックスは、インサイドにボールが回らない。ディフェンスを固められているのだ。チャンドラーやスタウドマイアーにパスが回せないし、回しても点数が入らないのだ。前半終了時には3点差まで詰め寄られた。
ダラスの勢いはそれでも収まらない。休み時間中にきっちりと調整をして来た。リンがポロポロターンオーバーを犯し、第三クオーターの半ばには12点差を開けられ、ニックスもここまでかと思った。リンがパスをするも、中がディフェンスしていると知ると、恐々とリンにパスを返す選手が多く、それを巧くスティールされる。いらいらしだしたJRスミスなどが、毎度の無駄シュートを打ち始め、ニックスはガタガタだった。
しかし、ダントニオがジャラミー・リンを休ませなかったのは正解である。スタウドマイアーの代わりに、外から撃てるノヴァックを入れたのも正解だった。第三クオーターの最後の二分ほどからは、ジャーミーリン・ショーになってしまった。ジェレミー・リンがドリブルでペイント内に行く。そしてきっちり決めるから、マブスはインをディフェンスする必要が出てくる。そうすれば、外でフリーになったノヴァックにパスを出し、ノヴァックが次々に3ポイントを決める。ノバックは第四Qだけで4本の3Pを含む14点を決めた。
リンの切り込みに翻弄されたマブスだが、王者はなんと、ショーン・マリオンをリンにマッチアップさせる。さらにはダーク・ノビツキーとマリオンの二人でのダブルチームと言う、二年目の新人を相手にするにはあり得ない洗礼のありようだ。王者がリンを認めたということの証でもある。だが、そうすることで、チャンドラーやスタウドマイアーにも多少パスが通りだした。さらに大事な場面でリンはジェイソンキッドからスティールを決めたり、ノビツキーを超えての3Ptなど、身震いするほど素晴らしいプレーを次々に決めていく。97対104でニックスが昨年の王者を下した。
最終的には3本の3pを含む28点。プラス自己ベストの14アシスト。保守的に見積もって28+14x2=56点に貢献した、つまり、 56÷104=54パーセント以上の得点に「直接」貢献した訳だ。さらに、5つのスティールを決めている。ターンオーバーを7つ犯したが、半分はチームメイトのせい、残りの半分は創造的過ぎたプレーによる致し方ないTOで、寧ろ褒められるべきものだったと思う。反省材料である事には間違いないが。
リンサニティーは本物である。滅茶苦茶バスケIQの高いプレーを魅せてくれる。チームメイトの良さを活かせるバスケをしており、あのNYニックスが一丸となっているのだ。明日のネッツ戦には筋肉を負傷していたメロが帰って来る。得点力について文句を挟む余地の無いカーメロ・アンソニーだが、フォワード版のAIと考えられるようなセルフィッシュプレーをすると思われている。しかし、リンをPGに推薦したのはアンソニーであると言う。リンがアンソニーとどのようなケミストリーを魅せるのか?個性的な人間達が揃うニックス、特に自己主張の強いアンソニーやJRスミスなどを束ねられるのか?リンの挑戦はまだまだ続く。
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