東電とオリンパスに対する当局の扱いがとても手緩いという意見は、内外で言われ尽くされている感がある。ライブドアの時は粉飾決済で即座に退場させられたことを鑑みると、ある種差別的な対応だと言わざるを得ない。恐らくは、民主党の連中にロビイストたちが「東電やオリンパスは技術を有する優良企業であり、東証から駆逐することは国益を損なう」、というような、それっぽい事を言っているのだと思う。経済に疎い民主党の連中が、それらの発言を真に受けて、東電とオリンパスに対する制裁をおこなっていないのだという可能性もある。
しかし、東電やオリンパスのケースは、そもそも経済とは何の関係もない。これは単純な責任問題、つまりはガバナンスの問題なのだ。上場廃止とは上場していた株式の取引を終了することである。上場廃止になると経営破たんするとか、そういった類のものではない。JALの例を見ても、上場廃止から生き返ってくる企業は沢山ある。
企業が上場廃止にさせられる理由は、つまりは株主に何らかの違反の責任があると考えられるからである。株主は会社のオーナーであり、会社の経営陣を見張る義務を負っている。経営陣たちが違法行為に手を染めていたのは、株主が監視すると言う義務を怠ったからだという主張が上場廃止の根拠である。
東電もオリンパスのケースも、政治的な力が働いていると考えられるが、現在まで上場廃止にされていない。東電のケースでは、責任の追及もいい加減に、税金の補填がなされている始末である。つまり、オリンパスや東電のケースにおける国の判断は、暗に株主の責任を否定していることになる。つまりは、株主は会社を監視する義務を負ってはいない、と暗に示唆しているのだ。経営陣の暴走はこの国の慣習上で仕方がないことなので、責任の有無を有耶無耶にし、場合に応じては税金を投入する。
東電が福島第一のリスク判断を誤ったのは株主には全く責任がない。オリンパスが粉飾して飛ばしをしていたことも全く株主には責任がない。株主はごちゃごちゃ言うな。総会屋や村上じゃないんだから。
逆にライブドアの粉飾決算のケースは、株主は浅ましい金融ゲーム参加者であり、新興のふざけた会社の株主たちにお灸を据える意味でも上場廃止の結果ありきであった。日本国においての上場とは体面の問題であり、当局はできるだけアメリカ的な資本主義から乖離したい。などと考えているのは、私の妄想であろうか?いずれにせよ、著しく公平性を欠く気がするし、株主の責任と経営陣の権利について、日本人はきちっと論議する必要があると思う。
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12/20/2011
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