2012年は主要国の首領を選ぶ選挙が一気に行われ、激動の年となるかも知れないと言われている。先ず初めに総統選が行われるのはお隣の台湾(中華民国)である。結論から言うと、國民党で現職の馬英九(北京語発音:マーインチョウ;台湾語発音:マーエィンキュウ)が民主党の女性候補である蔡英文(北京語発音:ツァイ・インウォン;台湾語発音:ツァイ・エィンブン)に圧勝する。よって「國境之南」は2012年に変化無しである。
良くメディアでは、馬英九と蔡英文が競っていると言われているが、あり得ない。馬英九が圧勝するのは眼に見えている。誰がどう考えても橋下がダブルデジットで(二桁離して)勝つのが解っていたのに、大阪市長選の直前まで橋下と平松アナウンサーが競っていると報道していたメディアもあったのと同じカラクリだ。
しかも、台湾のメディアは、中天新聞や東森新聞など國民党寄りの国語(北京語)放送がある一方、民視新聞など台湾語も放送する民進党寄りのメディアもある。台湾メディアでは和を以って尊し的な護送船団日本型というよりは敵の批判を好むマーケティング重視のアメリカ的な戦略を展開している。視聴者もメディアの色により見るテレビを変えている。そのため、メディアの世論調査はあまり信用できない。
李登輝が総統選を開始して以来、選挙に熱くなっていた台湾人も、選挙の回を重ねるごとに熱が冷めてきた。昔は蒋介石と國民党憎しで民進党を熱烈に支持するものもいたし、台湾独立を夢見て緑(民進党)を支持していた若者たちもいた。民進党に権力が移れば全てが良い方向に動くと考えていた人達の夢は、陳水扁時代に脆くも崩れてしまった。未だに、両岸関係が机上に上っているとは言うものの、経済の調子がよくて軍部の暴走を気にしないで良い中共の巣屈である中南海は驚くほどおとなしい。従って、今回の選挙の焦点はどちらかと言えば経済問題にシフトしている。
経済問題について言えば、馬英九が政権を取ってからのの台湾は約10%の経済成長を続けていた。不動産の値段も上がり続けていたにも関わらず、物価のインフレーションは比較的低く抑えていた。大都市では地下鉄など交通網も発展し、街全体が輝いていた。しかし民衆からは経済が悪くなっているという感想を良く耳にする。日本からすれば羨ましい限りだが、人は欲せる以上のものを欲し、現状に満足などしないのだ。
プラス、在り来たりの問題が台湾を襲っている。発展しすぎた訳だ。つまり、コンビニやデパート、スーパーマーケットやフランチャイズ系のレストランなどが林立し始め、消費者の嗜好が変わり始めた。すると個人商店や市場で商売をしていた人達が客を取られて困り始める。さらには誰でも高等教育を受けれるようになり、学生の質が下がる。学歴価値のデフレーションが若者中心に起き、若者たちが損をしたような感覚に陥っている。日本でも全く同じことが起こったのだから、読者の人達も納得されよう。
経済政策において、國民党はまともな横綱相撲をしようという構えだ。一方の民進党は「ばら撒き」政策で南部の貧しい人達を中心に票を稼ごうとしている。どちらを選ぶかは民意の問題だ。
香港生まれの外省人で孔子の末裔と言われている現職の馬英九。台湾南部出身の客家人だから台湾語は不得意な女性候補の蔡英文。馬英九はNYUのMBAとハーバードのJDを持つ実務家。蔡英文はコーネルのロースクールを出てLESで博士号を取った学際肌の法学者だ。目指す国の形に違いがあれども、国際的で学歴をきちんと有している人同士が直接選挙の総統選を戦う事になっている。
総統選は2012年1月14日に行われる。
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