12/30/2013

2013年の総括、2014年の占い

この一年の総括をし、来年を占いたい。個人的には今年は碌でもない一年であった。シアトルという最高の街から、大学フットボールしか娯楽がない文明が未発達なアメリカ南部の町に引っ越し、冷や飯喰らいの毎日が続く。ロボットの様な尊敬にも値しない中国人上司の支配下に置かれ、種蒔きにばかり時間を取られ、収穫はゼロであった。あぁ、本当にシアトルの雨が懐かしい。来年が自分にとっての躍動の良い年となる事を切に願う。まあ、それは横においておこう。

経済の話だが、株価が持ち直した。アメリカの株価の上昇、そして日本の株価の上昇は既に予期されていた事だった。しかし、債券市場、金市場と新興市場は大荒れ。あらゆる債権から株への資金移動が確認された。グレートローテーションなどという言葉が持て囃された。来年はイェレン調整を余儀なくされるだろうが、大きな流れは変わりそうにない。

予想通り、円安も進行した。105円程度にしかならなかったというのは個人的には意外だが、来年は加速的に円安が進行すると思う。一方、来年の日本株価はアメリカ株に引きずられると思う。バーナンキが去った後、イエレンが職を受け継ぐが、テーパリングと絡めて市場がイエレンに挑戦すると見ている。2014年の二月か三月以降は、一時的に株価が落ち込むと見ているのだ。それでも円は買われそうにない。株価退却局面では、ドルの現金持ちかドル建て債権持ちが堅そうである。ただ、一旦落ち着きさえすれば、夏以降は再び株価上昇局面となるだろう。日本の不動産に関しては、商用に向きそうな都会の土地の地価も上昇する。ただ、不愉快なインフレの波が徐々に日本経済を蝕み始める事を忘れてはならない。現金を大量に保有している人や、年金生活の高齢者には、じわじわとボディーブローのようにアベノミクスの副作用が効き始める頃だと思う。消費税の増税もあるが、物価が目に見えて騰がり、消費者マインドは急激に冷え込み、日本のファンダメンタルズに黄信号が灯る。ただ、行き場のないお金は株に向かうしかなく、イエレン調整を除いては、大幅な下振れリスクはない。

政治に関しては安倍首相の独壇場になった。自民党は「古き良き」路線を取り戻し、アベノミクスで株価が回復した事に枕を高くし、ばら撒きに躍起になっている。三本の矢などと豪語した政策も、二本目までしか確認できなかった。三本目は612日に発表された日本再興戦略だとしているが、昔から発表され続けている骨太方針などと内容的には殆ど変る事がないものであり、インパクトには欠けている。また、予想通りといえばそれまでだが、安倍首相が「自由」を規制する法律ばかりを通そうと躍起になっている事も気になる。期待の規制緩和は待てど暮らせど小物しか出てこない。そして、年末の突拍子もない靖国神社の参拝と来た。経済よりも、例の「美しい国」作りを優先させたいのかな?と勘ぐったりもする。

私は昨年の同じ時期にも既に述べたのだが、安倍晋三という人物が首相の器があるとは到底思えないのだ。色々な事を戦略的に考え抜く人物では無いような気がするのだ。思い付きで行動し、打たれ弱く、突拍子もない事をする人間のように映ってしまう。韓国や中国が幼稚な対応をする中で、経済再建に集中し大人の対応をする成熟民主主義国家・日本。こんな我が国の「美しさ」が一瞬にして瓦解してしまった。電撃的に靖国に参拝して、すべてオジャンである。どいういった層にアピールしたかったのかは解らないが、折角多くの国民が安倍首相を支持しているのに、マイノリティーの為に伏線もなく唐突に参拝する必要があったのかどうかは首を傾げざるを得ない。少なくとも、日本人のインテリ層や、日本通の海外知識人にはそう捉えられている。私の目には、安倍首相は「靖らかに眠る英霊たち」を政争に利用しようとしているように見えてしまうのだ。

安倍首相の支持率が高いのは、株価が高く、経済が上向いたことが原因である。中国や韓国の事を鬱陶しいとは思う人は多くとも、本気で一戦起こして欲しい、などと考える人は殆どいない。米国を怒らせたいと思う人達も少ない。今回の靖国参拝は、安倍首相の自滅へのスタートであるとしか思えないのだ。来年は、株価の調整と共に、明後日を向いている安倍首相の支持率は急激に下がり始めるものと予想される。一度支持率が低下すれば、猪瀬氏を葬ったようなマスメディアの安倍潰しの報道が始まる。自民党内紛という毎度のパターンを見る事になるのではないか?旧田中派の末裔が、利権を取り返すためにも、難癖をつけて岸派本家の首相を退席させようとするのではないだろうか?経済が上向いてきたからか、利権争いにマスメディアが加担して、安倍首相安泰の下で魑魅魍魎が暗躍している。霞ヶ関で働いている友人たちの中には、国際条約や公平性などを無視した与党政治家の無茶苦茶な要求に不満を漏らしている者も多い。一方、能無し野党の群れは、選挙も遠く、建設的な再編などという動きには繋げられないだろう。ただ、現在の株高が、政治の安定という面からサポートを受けているため、政情が不安になれば、やがては株価や投資にも影響が出そうだ。

日本経済や日本という国にとって、2013年は悪くない年だったと思う。しかし、2013年は特殊な年であり、我が日本国が長期衰退のトレンドから解放されたわけではない。民主党という社会実験が終わり、自民党が圧勝し、政治が久々に安定した。復興特需が軌道に乗り、消費税8%前の駆け込み需要、そしてアベノミクスの二本の矢、円安、米国経済の回復。こういった幸運が重なり、2013年は潜在成長率以上の経済浮揚を経験してしまった。2013年の上向きの反動が、2014年の中盤以降に顕著に表れた場合、経済的にも政治的にも日本は行き詰ってしまう。

上述のように私は2012年の終わりには、市場はリスクオンになるとキッチリ予想した。毎年悲観的なわけではないが、日本の長期衰退の流れは半永久的に続くものだ。安倍首相はモルヒネを撃ったのだが、その副作用が2014年の後半には見えてくるだろう、と予想している。さて、来年の年末に私は何を書いているのか?

個人的に糞みたいだった2013年に一秒でも早く別れを告げたい。例年ならスペースニードルの花火を見ていたのだが、今年は家でインスタントラーメンでも食べながらの年越しとなりそうだ。

12/20/2013

並の豚肉にさえ劣る「仔牛肉」という高級食材

このブログはアメリカの「痛い食生活」を少しでも誤魔化すために、食べ物の楽しい話題を中心に書こうと思って始めたのだが、スポーツやどうでも良い政治や経済の話題にばかり感けており、食べ物の話題がおざなりになっている。久々の食の話題だ。

クリスマスシーズンという事もあり、欧米人がクリスマスシーズンに好んで食べる食材について語ってみようと思う。その食材とは、仔牛である。英語ではVeal(ヴィール)と呼ぶ。ヴィールは豚肉の様な白い色をしており、普通の牛肉に比べて値段が馬鹿高い。欧米ではクリスマスシーズンにVealを調理する家庭が結構ある。日本でも、フランスレストランなどに行き「仔牛のソテー、春アスパラガス和え」とか「仔牛の赤ワイン煮込みブルゴーニュ風」などと書かれていれば、誰でも美味しそうに思ってしまう。しかも、「子牛」ではなくて「仔牛」というのがミソである。

仔牛料理の「簡単な」レシピを紹介したい。
まずは一般的な食べ方から。仔牛のカツレツ・ミラネーゼである。仔牛のロース肉を買ってきて、塩胡椒して、小麦粉、卵とパルメジャンチーズとパン粉に潜らせて、オリーブオイルで揚げれば出来上がりだ。レモンを絞って食べる(ただレモンは仔牛の味と全く合わない)。
続いてはドイツ南部で習ったクリスマス風のレシピだ。仔牛の一口大厚切りロース肉に塩胡椒をして小麦粉をまぶし、セージとパンチェッタ(なければベーコン)で巻き、オリーブオイルを入れたフライパンで焼く。以上で出来上がりだ。恐らく、これはイタリア料理のスカロピーネをアレンジしたレシピだと思われる。

上述の料理が「仔牛のカツレツ・ミラノ風」とか「仔牛のセージ風味パンチェッタ巻きロースト」などとレストランで書かれていれば、思わず注文してしまうだろう。

しかし、ちょっと待った!私は仔牛という食材が大嫌いだ。確かに、軟らかいし、脂も少ない。逆に言えば、蛋白すぎると批判できる。酪農農家にとって、乳牛はメスしか要らないので、仔牛肉はホルスタインの雄を早く処分する賢い方法であろう。珍しく、なんとなく美味しそうだ。

しかし、若い肉である仔牛は脂の乗りが悪く、深い味わいがしない。仔牛が美味しくない理由は、ボジョレヌーボーが薄すぎて深い味わいを楽しめないのと同じことだと思う。

科学的に言うと、あらゆるタンパク質に味の差はなく、肉の味は全て脂が由来である。訳の解らない赤みの肉に牛脂を注入すると高級ホテルの献立になるカラクリは、こういう科学的な理由からである。蛋白で脂がない仔牛肉をステーキやローストにすれば、味が薄すぎて箸がすすまない。絶対に成牛を使うべきだ。成牛特有の脂が料理を美味しくするのである。もし、何も知らない人が仔牛のステーキを食べれば「味気ない独特な豚肉だなぁ」と感じるだろう。仔牛のステーキが、ニューヨークストリップステーキやリブアイよりも値段が高く、しかもそれにお金を出す人がいるという理由は理解に苦しむ。

たまにレストランで悪くない仔牛料理に出会う人もいるようだが、それは牛脂やバターやオリーブオイルや砂糖などで調理師が巧く仔牛の淡白であるという欠点を補っているのだ。良く言えば調理師の腕が巧い、悪く言えば素材の良さを蔑ろにした料理、という事になる。伝統あるフランス料理には「ピケ」という技法がある。仔牛肉にコクを加えるため、ピケ針で脂肪を差し込み、淡白さを誤魔化す(あれ?これって流行りの牛脂注入肉??)。

「仔牛のカツレツ・ミラノ風」とか「仔牛のセージ風味パンチェッタ巻きロースト」など、食べるに値しない料理である。「パルメジャンチーズ入り豚カツ」とか「豚ロースのセージ風味パンチェッタ巻きロースト」にすれば、100倍楽しく食べられるだろう。病気か何かの理由で、動物由来の脂を食べる事が出来ないと信じている老人を除いて、仔牛肉は驚くほどコストパフォーマンスに劣る食材である。レストランで仔牛を注文してグルメぶっている人がいれば、鼻先で笑ってやって欲しいのだ。まあ、鶏の胸肉とか、七面鳥とか、ウェルダンのフィレミニョンとか、淡白な肉が好きと言って憚らない人達が数多くいるのも確かであるが、その人たちはきっと私とは違う神様を信じているのであろう(笑)。

12/18/2013

カジノ利権により政治的に抹殺される猪瀬知事

カジノ法案が国会を通過する事がほぼ確定している。大手の監査法人やコンサルタント会社などは、数か月前からカジノ法案の通過を見越して、色々な対策を練っている。カジノ関係のロビイストたちは永田町で陳述活動にやっきになっている。

今回の猪瀬直樹東京都知事を失脚させようとする動きが、単純に徳洲会グループからの資金提供問題でない事は明らかである。オリンピックも決定したし、法案も通りそうなので、カジノ立案組の警察系石原派閥の邪魔者達は消し去ってしまおうという勢力が色々と裏で工作していると勘ぐってしまう。或いは警察系にとって猪瀬知事が都合の悪い事を始めたので猪瀬知事を消そうと企んでいるのかも知れない。いずれにせよ、猪瀬知事はパチンコ業界などと敵対しすぎた。メディアの報道姿勢も一貫しており、気味が悪い。しかし、65%という圧倒的な投票率を得て、二位以下を引き離した猪瀬直樹を、執拗に攻撃して、あたかも都民の支持が落ちているかのような報道をして、知事に離職を促すというやり方は良く考えたものだ。

徳洲会問題以前にも、何が問題なのか不明の小さな問題がメディアに大きく取り上げられて、猪瀬知事の評判を貶めようとする動きが目立っていた。そこまでやるほど、カジノの利権は巨大だという事だろう。民主主義国家なのだから、こういった卑怯なやり方ではなく、選挙できっちりと意思決定をして欲しいと思う。大手マスコミなどは絶対にやらないだろうが、猪瀬を消そうとしている連中の名前を挙げてくる週刊誌などに今後は注目したい。五輪利権も言われているが、カジノ利権は半永久的な利権であり、五輪の様な一炊の夢ではないのがポイントである。

カジノ利権で政権を巻き込んで汚職を図った例では、フィリピンでカジノ利権を手に入れようと暗躍したユニバーサルエンターテインメントの岡田和生が挙げられる。あれがばれたのは、岡田に出し抜かれそうになった米国企業による欧米系マスメディアへのリークがあったからである。アメリカ企業は連邦海外腐敗行為防止法に縛られているので、出過ぎた真似は出来ない。一方で古い体質の岡田はやりたい放題の政治的腐敗行為に手を出してしまい(それがフィリピンでは当たり前という物の)、虎の尾を踏んでしまったという事だ。さて、日本に誕生するカジノ市場。どんな魑魅魍魎が暗躍するのか?注目である。

12/15/2013

北朝鮮談話の余談(前回の続き)

朝にCNNのファリード・ザカリアのGPSを視ていた。北朝鮮の話題になったが、国務省のアジア担当の人が出ていた。アメリカ人高官の北朝鮮に関する考え方に興味を持っていたのだが、驚くほど冷静に北朝鮮問題を監視しており、感心した。何よりも、日本や韓国人の北朝鮮ウォッチャーの様に、ある事ない事を自分の想像を組み入れて喋ることなく、「北朝鮮政権の内部抗争については誰も理解できないし、事件が起こった後に推し測るしかない」と、極当たり前の事を述べていた。

米国の国務省では、スイスに留学していた金正恩に関して、金正恩が関わったすべての人物に聞き取り調査を行ったという。聞き取り調査の結果、金正恩は突発的な行動が目立つ人物である、という事だった。金正恩が政権をコントロールできているか否かは、政権中枢で権力を握っている人物以外に知る由もないが、少なくとも政権内で軍部の力が上回ってきている、らしい。中国は「北朝鮮のことを棚に放置してあるドッグフード缶である」と考えているという。蓋がきっちりと閉まっていれば永遠に長持ちするが、一度でも蓋が開けば、すぐに腐るという訳だ。今回の一部始終がドッグフード缶の蓋に開けた穴にならなければ良いが、という結論であった。驚くほど冷静な分析である。

12/13/2013

北朝鮮問題:張成沢の公開粛清は貿易利権に絡む文民対軍部抗争の結果

12月の初めに北朝鮮の張成沢が失脚したというニュースが伝わった。理由は、テレビ放送などで張成沢が写っていたシーンに人為的な修正を加えて放送しているというものであった。それが何を意味するかは大体わかっていたが、真意は掴めなかった。その後、顔に殴られたような痣が出来た張氏が特別軍事裁判の被告人席で両手首に手錠のようなものをはめられ、秘密警察とみられる2人に首や腕をつかまれたまま立っている姿は、先代の時から北朝鮮のNo.2を長年務めた人物とは思えないほどだった。そして、すぐに死刑が執行されたというニュースが飛び込んできた。

一般のニュースを読むと、金正恩を怒らせたため、或いは一党独裁体制を誇示するために非道にも義理の叔父であり後見人の張成沢を粛清したという見方が挙げられている。しかし、北朝鮮問題に詳しい人で、これらの意見に与する人はほとんどいないと思う。数か月前に、元ブルズのロッドマンと自身が所有する島に遊びに行って、水上スキーなどを楽しんでいるような若僧にこのような真似は出来ない。金正恩がただのお飾りであることは論を待たない。

誰が張成沢を消したのか?「軍部」で間違いないと思うのだが、すこしばかり詳しい話をする必要があるだろう。まずは金正日が死去した(事実は疑わしい)と報道された2011年末に行われた国葬のニュースから。

「北朝鮮の金正日総書記の国葬の葬列から、総書記の妹婿の張成沢、朝鮮人民軍の李英鎬総参謀長ら7人が正恩氏の新体制を支える中枢グループであることが鮮明になった。7人は、張成沢、李英鎬、金己男朝鮮労働党書記、崔泰福最高人民会議議長、金永春人民武力相、金正覚軍総政治局第1副局長、禹東則国家安全保衛部第1副部長。霊柩車の右側前方に立った金正恩の後ろに、張成沢金己男崔泰福が従った。左側には、李英鎬金永春金正覚禹東則とみられる人物が並んだ。」

それから一年半ほどが過ぎ、


金永春(失脚・生死不明):20124月に人民武力部長を退任し、同411日の第4回党代表者会において党中央委員会部長に転出した。事実上の失脚である。

禹東則(失脚・生死不明):2012413日に行われた第12期最高人民会議第5回会議では、それまでのメンバーのうち唯一人だけ国防委員のリストには載せられず、解任されれた。脳内出血で倒れて前進が麻痺したという談話もある。

李英鎬(恐らく殺害済み):2012715日の政治局会議において、「病気を理由に」全ての党の役職から解任された。解任に際し、李英鎬の護衛兵が反発し、交戦が発生し、戦闘に巻き込まれ、負傷もしくは死亡した可能性もある。失脚には、軍部が独占してきた対外貿易の利権を内閣に返そうという試みの中で、李を中心とする軍部が障害となったために発生したとの分析がある。

金正覚(失脚・生死不明):201341日に開催された第12期最高人民会議第7回会議で国防委員会委員から解任されたことが確認された。

金正恩の左側に並んだ人物達は、軍関係者であり、元々は金正日の次男である金正哲を国家主導者として推薦していたグループだ。それを右側に並んだ文民組の張派が推薦する金正恩で押し切られた形になったのだ。しかも軍部関係者の後見人である4人が4人とも失脚、あるいは粛清された。それを指揮したのは文民系で改革開放路線を行こうとする張成沢で間違いないと思われる。軍部の親玉であった李英鎬とは、交戦まで交えて粛清したようだ。軍が対外貿易の利権を握っていたため、文民派がこれを奪い去り、邪魔者たちを消し去り、政府側に貿易の利権を移し、改革開放路線を取ったのだ。一方で、軍部から恨みを買った張成沢氏は、機を見計らって、ついには抹殺されてしまった。こんなに非人道的かつ露骨で迅速なやり方は、軍部からの恨み以外の理由では説明できない。しかも「国の貴重な資源を安価で売る売国行為」を張成沢の罪目の一つとした点でも、李英鎬を中心とした軍部との利権がらみの軋轢が見て取れるだろう。

今後注目するべき点がいくつかある。1)金正日の妹であり張成沢の妻である金敬姫はどこに行ったのか?2)国葬に参加した金己男と崔泰福の身の安全は大丈夫か?3)軍部のトップである成り上りの崔龍海はどういったポジションに着くのか?4)何よりも張成沢の傀儡であった金正恩の身の安全は大丈夫なのか?という事になる。崔泰福が亡命、などといったニュースが入ってくれば、危険事態であると判断して欲しい。下手したら第二次朝鮮動乱が始まるような事態さえ考えられる。お飾りに過ぎない金正恩は生かしておいてこそ利用価値があるので、直接殺害するような真似はしないだろう。

この一年ほど、北朝鮮が軍部のコントロールに苦慮している様子は外から観察できていた。文民派と仲良しである中国共産党の意見すら聞かないようになった。李英鎬を粛清した事で重石がとれて、政権側は軍部のコントロールに手をあまねいているのだろう。そして今回の露骨な張成沢の抹殺である。事実上の軍部による政権内のクーデターと考えても良いだろう。軍部が力を握ってしまう北朝鮮の今後の動きが恐ろしい。「冷徹な金正恩が目の上のたんこぶである叔父を粛清」といった幼稚なアホ記事は読むに値しない。

12/12/2013

シーホークスのラッセル・ウィルソン、テキサス・レンジャーズから指名を受けた?

結構な話題になっているので、知っている人も多いだろうが、シアトル・シーホークスのクオーターバックであるラッセル・ウィルソンがテキサス・レンジャーズからルール5ドラフトでトリプルA契約の指名を受けた。アメフットのスター選手が何故プロ野球から声がかかるのか?まさか、アメフットと野球の二刀流なのか?驚く人は多いと思うが、ウィルソンは元々コロラドロッキーズの支配下選手であり、レンジャーズの指名は、本気で野球をやらせるのが目的ではなく、どちらかと言えば有名人を介した話題作りだと思う。

ウィルソンは高校を卒業した後、ボルチモア・オリオールズから41巡目に5番目(全体では1222番目)でドラフト指名を受けている。一時は野球入団を考えたウィルソンであったが、ドラフトを蹴って大学教育を受けるためにノースカロライナ州立大に進学している。ノースカロライナ州立大学ではフットボールをプレイする傍ら、大学野球も行っており、合計で30得点をあげている。2010年にはコロラド・ロッキーズから全体の140番目でドラフト指名を受けており、大学の夏休みにロッキーズ傘下クラスAのトライシティー・ダストデビルズで二塁手としてプレイしている。2011年の夏にはやはりロッキーズ傘下のアシュビル・ツアリスツで61ゲームに出場している。そこで3本のホームランと15打点をあげ、2割2分8厘の記録を残している。しかし、夏休みが終われば大学に戻りフットボールをプレイする。ウィルソンはノースカロライナ州立大からウィスコンシン大に移り、不動のクオーターバックとして成長していた。2012年の初めに、ウィルソンはコロラド・ロッキーズに、NFLに進む意思がある事を告げ、2012年の春キャンプには参加しなかった。

その後、ラッセル・ウィルソンはウィスコンシン大学からシアトル・シーホークスにドラフト使命を受ける。クオーターバック候補であったLSU出身のマット・フリンを押し退け、ルーキーながらチームを牽引する走・投・守を駆使する機動性に富んだクオーターバックとなった事は態々説明する必要もないだろう。ただし、その間も契約上はコロラド・ロッキーズの支配下選手であったのだ。

その支配下枠がウィンターミーティング中に切れて、レンジャーズが恐らくは話題作りの目的でコロラド・ロッキーズからウィルソンの支配権を獲得したものと思われる。二刀流などと煽っている記事も見られるが、常識的に考えてシーホークスがQBレーティング100以上のチームの攻撃の要に、本気で野球をやらせる訳がない。怪我でもされたら洒落ではすまないからだ。レンジャーズは招聘選手としてキャンプなどに来てもらって、若手にアスリートとしての指導啓発などをさせるものと思われる。因みに、下に添付したものがウィルソンのベースボールカードだ。アメフットと野球は時期が重なっておらず、大学などでは両方のチームに所属する事はよくある事だ。アメフットのプロ枠は少ないので、大学で活躍するようなクオーターバックなどは、裾野が広い野球に挑戦する事は決して珍しくない。

レンジャーズの担当者はニヤニヤしながら「これは決してPRじゃない」と言えば、ウィルソンは笑いながら「野球選手になるのは子供の時からの夢」と言った。シーホークスのピート・キャロル監督は「野球をやってもいいけど、ラッセルはカーブボールを打てないからなあ」ときた。何をかいわんやである。


12/10/2013

シアトル・シーホークス、2013-2014シーズンは全球団に先駆けてプレイオフ確定!

態々書くものおこがましいが、我等がシーホークスであるが、全てのチームに先駆けてあっさりとプレイオフ行きを確定させている。このままの快進撃で、ホームゲームアドバンテージを手に入れて欲しい。というのも、昨年度のプレイオフは敵地でレッドスキンズを下した後、ジョージアドームでアトランタ・ファルコンスに競り負けたのだ。こういう事が無いように、ホームフィールドアドバンテージは必要である。

で、今週は油断したのか、晴れ渡った敵地でサンフランシスコ・フォーティーナイナーズに負けた。巧くディフェンスをやられてしまった。49ナーズとシーホークスは新たなライバル関係と呼ばれているが、シーホークスのピート・キャロル・コーチはそう呼ばれるのを拒んでいる。ナイナーズは昨年もスーパーボウルに進んだ良いチームだが、シーズン中の一試合に過ぎない、と。試合は、得意のディフェンスはきっちりと機能しており、相手QBのコリン・キャパニックを完全に制御していたと思う。TDは一つだけ。後はFGばかりだった。しかし、相手側の必死のディフェンスにウィルソンが苦悩していたようだ。プレイオフにセンチュリーリンクフィールド当たれば勝てる相手と映った。

で、NFCのプレイオフの面々が徐々に見えてきた。シードはシーホークスとセインツであろう。あと、犬虐待犯マイケル・ヴィックを尻目に、アリゾナ大出身のニック・フォールズの活躍でフィラデルフィア・イーグルスが久々にプレイオフに駒を進めそうだ。もう一つの席はデトロイト・ライオンズかシカゴ・ベアーズか、アーロン・ロジャースが復活してグリーンベイ・パッカースが滑り込めるか、と言った所か?逆にワイルドカード予想は簡単である。サンフランとキャロライナである。なかでも、キャロライナ・パンサーズのQBは前項書き込みのオーバン大学出身であるキャム・ニュートンだ。

順当ならば、シーホークスは恐らく一戦目でパンサーズかナイナーズと当たると予想される。で、NFCの決勝戦である二戦目も、パンサーズかナイナーズと当たりそうだ。

一方のAFCだが、ペイトン・マニングを擁するデンバー・ブロンコスは既にプレイオフを確定させた。ニューイングランドも難なくプレイオフに来る。この二チームが実力で抜けており、シード権獲得は間違いなさそうだ。インディアナポリスも既にプレイオフは確定させている。後はシンシナティ、ワイルドカードでカンザスシティと後は混戦といった所だ。

12/08/2013

今年のBCSはフロリダ州立大学とオーバン大学

NFLではなく、今回は珍しく大学フットボールの話題だ。

ずっと一位だったアラバマ大学だったのだが、感謝祭明けの土曜日、オーバンで行われたオーバン大学とのアイアンボウルで、同点の第四クオーター最後のプレイをタッチダウンされ、34-28で敗れてしまった。実力は断凸であり、二年連続チャンピオンのアラバマ・クリムゾンタイドの敗北が、NCAAFのランキングを大きく変えることになった。

このミラクル試合の結果、一位はフロリダ州立大学(FSU)、二位はオハイオ州立大学、そして三位がオーバン大学となり、アラバマ大学は四位に落ちたのである。しかも、SEC(米国南東部大学競技連盟)のチャンピオンシップは、SEC東部リーグと西部リーグの勝者同士の戦いとなっているので、西一位のオーバン大学タイガースと東一位のミズーリ大学タイガースがアトランタのジョージアドームでのチャンピオンシップを行った。

オーバン大学はシーズン初めはクオーターバックも決まらずに危うい試合を続けていた。大雨の中、ルイジアナ州立大学に負けた頃は、まさかBCSに駒を進めるとは誰が考えただろうか?

それが徐々にチームが纏まり、こと攻撃に関しては文句をつける余地が無くなった。終了間際にス―パープレイを決めたジョージア大学やアラバマ大学との試合では、運も味方した感はあったが、実力が無くては運も掴めないだろう。

ミズーリ相手に、昨日は怒涛の勢い。完全な勝利だった。しかも、その夜にランキング二位のオハイオ州立大学がミシガン州立大学に敗れるという波乱が起こった。これで、最終ランキングの二位と三位が入れ替わる事が決定的で、オーバン大学はフロリダ州立大学と一月六日にパサディーナのロウズボウルでBCSを行う事がほぼ確定的となった。

一方、アラバマ大学は恐らく三位か四位となり、シュガーボウルでオクラホマあたりと対戦する事になると思われる。ミシガン州立大は恐らくロウズボウルでスタンフォードと当たる事となるだろう。敗れたオハイオ州立大はクレムゾンとオレンジボウル、残りのフィエスタボウルはベイラーとセントラルフロリダになると思われる。

どうでも良いが、試合が終わったオーバンの街は狂喜乱舞。恒例であるが、ティッシュぺ―パーがその辺りの木に投げつけられた。雪かと見紛うほどの見事な資源の浪費である。ウォーイーグル!