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アイルハブアナザが二冠達成

微妙なケンタッキーダービーから中一週。三冠でもっとも微妙なプリークネスステークス。なんとアイルハヴアナザーが文字通りアナザー(もう一つ)を手に入れたのだ。それどころか、ベルモントステークスでハブアナザー(もう一冠を手にする)となると、なんと1978年のアファームド以来の全米三冠馬の誕生となってしまう。

恐らく多くの人は私と同じことを考えていたのであろう。逃げ馬のボーディマイスターが一番人気に推された。そしてアイルハブアナザは二番人気。「メリーランド、マイメリーランド」の歌を歌い終え、ファンファーレが鳴り、頭数が抑えられたプリークネスは、全馬が綺麗なスタートを切った。

当たり前のように逃げたのはボーディマイスター。マイク・スミスが見事に馬を御しながら、ケンタッキーよりは遥かに緩いペースで逃げていった。クリエイティブコーズが二番手につけ、アイルハブアナザは外の四番手。マイク・スミス騎手とボブ・バッファート師の、つまりボードマイスター陣営の思い通りの競馬であった筈だ。三コーナーを曲がったところで、画面を見ていた私もボードマイスターの勝利を確信した。

しかしマリオ・グティエレスの手綱捌きは今日も冴えていた。四コーナーから直線へ最短距離で食い込んでいき、ボードマイスターとクリエイティブコーズの外へつけた。ボードマイスターの手応えが充分だったので、そこからは届かないであろう。しかし他馬が脱落していくなか、アイルハブアナザは一完歩ずつ差を詰めていく。二頭のマッチレース。ゴール直前でついにアイルハヴアナザはボードマイスターを競り落としたのだ。ゴール板ではきっちりと首差捉えて二冠を手に入れた。 ゴール前の戦いはマヤノトップガンとナリタブライアンの阪神大賞典、いやサンデーサイレンスとイージーゴアのクラシック戦線のようであった。

騎手のマリオ・グティエレスは再び褒められてしかるべきだ。滅茶苦茶巧く乗った。この聞きなれない騎手、先のケンタッキーダービーがクラシック初騎乗であったのだ。メキシコ出身の弱冠25歳。カナダ・バンクーバーのヘイスティング競馬場で暫く乗っていて(ヘイスティングでは確かに巧かった)、アメリカでも乗るようになった。まるでミルコ・デムーロが初来日して冬の小倉や京都で大暴れしていた頃の映像とダブってしまった。

アイルハヴアナザの父は2005年にトラヴァーズを勝ったフラワーズアリー。その父はディストーティッドヒューモア。フォーティーナイナー系だ。ただ、この血統は三歳のこの時期に強さを発揮するも、浮き沈みも激しく、なんとも言えない。力が左右する広いベルモントで、この馬がもう一つ(アナザ)勝つのは、果たしてどうだろうか?三冠を見たい気もするが、三冠をとれるような馬ではないと考えるのだが。まあ、勝負は運も左右するので、ベルモントを楽しみにしよう。

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