7/08/2015

シアトルの不動産熱と現金買い中国人達が消えてしまった事について

シアトルで急に高くなったものといえば、家賃である。ワシントン州は、州のインカムタックス(所得税:ただし、国の所得税は課せられます)がない代わりに、セールスタックスが高く(消費税:ただし、食料品にはつきません)、プロパティータックス(固定資産税)が馬鹿高い。住居やアパートを持っていると、資産評価額(路線価に相当)に何パーセントといった形で税金がかかる。

サブプライムの問題のあと、資産評価額が大きく落ち込んだ。それが2011年ごろから急激に回復してきたのだが、回復した分だけ税金も上がってしまう。その上昇分を、家主がテナントに負担を求めたのだ。さらに、シアトルには毎月300人のコンピューターエンジニアが移り住んで来ている、などという景気の良い話も聞く。流入してくる人が多いので、不動産市場は売り手市場。家主はテナントにふっかける、という構図が出来上がっている。

これが、ここ数年のシアトルの住宅事情である。しかも、サンフランシスコやバンクーバーの高額な不動産市場を避けてやってきた中国人たちだ。億単位の豪華な家は、売りに出せば中国人たちが現金買いしてくれるのである。シアトルの不動産市場に一点の曇りもなかったわけだ。値段はどんどん上がるぞ、と。

しかしここ数週間、ベルビューやカークランドが位置するイーストサイドの不動産市場の様子に変化が生じている。一億、二億とかする高い物件が急にだぶつきだしたのだ。原因は、現金買いの中国人たちが姿を消してしまった、というのだ。やはり中国経済はそこまで悪化しているのだろうか?

ただ、3千万から7千万くらいまでの、一般人が手を出せる程度の住宅は、飛ぶように売れている。サインを出して一週間以内で売買が成立することなど、珍しくない。特にシアトルの北側の不動産は非常に熱い。単純に需給が逼迫しているものと考えられる。家の在庫以上に人が来ているのだ。

いずれにせよ、中国の景気悪化が、北米の不動産市場にどのような影響をもたらすのか?注視する必要があるだろう。

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