東京都知事選が知らないうちに行われていたが、予想通り石原慎太郎が圧勝した。しかし、そのまんま東に石原の65%ほどの票が入っているという事実に恐怖感を感じる。石原が嫌な人が多いのか、それとも民主主義を茶化しているのか、何も考えていない人が多いのか?どのように判断すればいいのかは不明である。
美濃部や青島などのジョークのような人達や、悪名高い金権鈴木などを擁した末に、東京都知事に座った石原氏が東京都に新しい風を捲き起こした事は異論が無いと思う。日本国内での東京都の地位を確固たるものにしたという意味で、過去三期の石原氏の功績は賞賛に値する。予算のつけ方などもメリハリがきいていた。勿論、失敗した政策もあるが、イチローでも4割は打てないのだから仕方ない。左翼系の人が言う「石原は右翼政治家であるから危険である」という話は、馬鹿らしすぎて議論をする気にもなれない。石原が原子力推進の本丸であった中曽根派の政治家であるという事実であるが、原発反対に加担したい気持ちも解るが、人口過密な日本で原発を辞めると言う選択肢は理想論に過ぎない。勿論、原発の安全面や利権問題など、我々が関わらなければいけない政治問題は多々あるものの、それは東京都知事の仕事ではない。
ただやはり、当初表明していた通り、勇退して後続に道を譲るべきだったと思う。石原氏の目指した東京は「そこ」にある。だが、石原氏にはこれ以上の未来の東京を作る発想が無いように感じられる。石原氏は、ほぼ全ての人が認めているように右翼政治家である。右翼思想家の多くが陥るように、石原氏も、個人の自由を制限するような言動が目立つ。それがイデオロギー的な文学論ならば問題ないが、政策に反映されるとなると話は別だ。文学(漫画)の話など色々あったが、未来の経済に関する政策についてのみ語りたい。
パチンコ屋に規制をかける話が出てきた。パチンコ業に問題がある事は論を待たない自明である。ただ、東京都主導のカジノ構想への布石のためのパチンコ屋規制であれば、それはカジノの利益を国が掠めるといった、個人から公への利益の移転に他ならない。つまり、大きな政府を作りたいと言うことである。
自動販売機も御気に召さないようで、規制したいと言うことである。つまり、コンビニエンスストアは良くても個人所有の自動販売機はいけないという事か?自動販売機を規制すれば当然コンビニが儲かる。個人はいけないものの、大企業は優遇するという政策なのだろうか?
ブッシュJrもそうであったが、イデオロギーを持つ右翼の人は、全体主義的な政策をぶちかましがちだ。個人を殺して大企業や国を優遇する政策だ。私はそれを、共産主義的、或いは社会主義的な政策と呼ぶ。このような政策は街の賑わいを殺すことになる。それとも我々が目指す社会というのは、ショッピングモールとフードコート、コンビニで溢れる、無味乾燥した人工的な1億3000万総サラリーマン・公務員社会なのだろうか?そして、実は我々はそれを望んでいるのだろうか?
アントレプレナーが育ち、大企業や政府が不当な優遇を受けて零細企業を飲み込まないような社会を私は待ち望みたい。正直、石原さんには綺麗な引き際を見せて欲しかった。が、この残りの面々を見ると、石原さんで良かった、とも思ってしまう。東京都には長い間追い風が吹いていた。しかし、地震と原発事故以降、向かい風が吹き出している。今までのモメンタムがなくなり、国際競争力に赤信号が点っている東京都を78歳の石原氏が処理できるのかどうかは見物である。
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