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警察が権力を肥大している事への懸念

国家権力や警察或いは検察の批判をする人は左派であると直感的に感じることが多い(勿論どのように左右を論じるかによるのだが)。確かに社会主義運動や共産主義運動をしている人はイデオロギーとして国家権力や警察権を否定する。イデオロギーとしての警察批判はアナーキストなどのエキセントリックな主張が目立ちすぎるためか、右派は警察批判を避ける傾向にあった。建て前上、警察は法律に基づいた社会正義を実践する国家組織であるため、警察の批判は社会正義への挑戦と捉えられがちなことも事をややこしくしている原因であろう。警察や法の強制化を否定するのは、モラルに反するものと捉えられる場合もあり、そのような議論に与したくない人も多いと思う。

社会的なコストと利益の均衡という視点から、肥大する警察は批判されてしかりの組織であると感じている。昨今起こっている不気味な法律の強化、警察組織の肥大化、ヤクザとの関係のあり方、そして政治に対する越権行為など、長期的に日本社会を見通したときに問題となるような動きが垣間見えるため、敢えて警察についてのコラムを書かせてもらう。はじめに断っておくが、私には社会のモラルを判断することは出来ないし、したくもないし、興味も無い。次に警察権力による別件逮捕と思しきケースが多数見受けられるし、これは非常に由々しき問題であるのだが、噂の範囲からそれらを討論することは無謀であるし、警察を操っている人達が誰であるのか解らないので、このコラムではそれらの討論も避けたい。

小渕首相が病死して以降、あらよあらよと言う間に権力が「岸派」に移った。小泉純一郎が田中派をパージした為に、鳩山内閣が生まれるまでの間、岸派が長期で権力を保っていたのだが、右派である岸派の中には権威主義のような戦前イデオロギーを持っている人が多数いて、その人達が警察権力を増大させるような政策に打って出た。その頃に作られた法律が徐々におかしな方向に社会を導いている。世の常ではあるがイデオロギーは社会を不幸にはさせるが、良くさせる事はない。

国民の安全と命と財産を守るために警察組織が必要であることは異論を挟む余地もない。しかし安全を確保するためにはコストが掛かる。清き水に魚は住まず。警察が、社会を安全にする目的を遂行するあまり、社会のダイナミズムを削いでいるとすれば問題がある。また、組織や自身の権力維持のために、つまり私欲のために税金を使っているとすればそれは腐敗である。

厳罰化の流れは基本的に安全を求めている市民の賛同を得やすい。だが、厳罰化の社会を作ろうとすれば、いやがおうにも逮捕権を持つ警察を肥大させなければならなくなる。組織の肥大化は警察組織とそれに従事するものにとって好都合であるため、警察はなんとかして厳罰化の流れを加速させようとする。警察の肩を持つ訳ではないのだろうが、マスメディアは瑣末な事件を用いて社会不安を必要以上に煽る。厳罰化や規制強化に反対する事は、社会正義という建て前の壁に阻まれて非常に困難である。従って、警察組織は組織拡大の大義名分を最も主張しやすい組織である。行政の無駄をなくすという改革が叫ばれる中、都道府県警予算の合計はこの20年で2兆6千億から3兆4千億円にまで膨張している。

警察は逮捕権を持った組織である。そのような組織が自らの欲望の為に社会の邪魔をしないように、しっかりと監視する事こそが民主主義社会に生きる個人の責任である。このブログはその責任に対する問題提起と扱って頂きたい。

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