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日本のパラダイムシフトの達成と菅総理

日本の政治はガタガタである。それに伴い、社会がおかしな方向に行っていると感じることがある。マスメディアは不安を煽っているし、警察や検察などが変に権力を握ってきた。財政はガタガタでS&Pにダウングレードされるし、近隣諸国にもやりたい放題挑戦されている。しかも民主党内は分裂状態になり、小澤派と反小澤派が骨肉の争いをしているというみっともない状況だ。一体何が起こっているのか?本当に菅が無能だから日本はおかしな方向に向かっているのだろうか?

結論から言うと、私は菅総理は無能であると思う。学生運動上がりのため批判は得意だが、基礎的な勉強を全くしていないので、建設的な議論はほとんど出来ていない。そして批判の延長線上の思いつきを「政策」と勘違いしている節がある。官僚や識者が入れ知恵するなりしてサポートすればいい話なのだが、誰もサポートしていないように報じられている。ただ菅が無能だからおかしな事が起こっているのではないだろう。菅総理の誕生が戦後経済成長期から延々と続いた「岸派」対「田中派」という二大勢力の戦いからの脱却だった為に、社会が焦っていると言うのが真相だと思う。気がつけばパラダイムシフトがなし崩し的に実現してしまった為に、日本社会だけでなく近隣諸国までかなり焦っているようだ。

政治家にせよ、産業にせよ、財界の系列にせよ、メディアにせよ、暴力団にせよ、官僚や各種団体にせよ、宗教にせよ、日本社会では経済成長期を通して露骨であれ黙示的であれ否がおうにも「田中派」か「岸派」のどちらかに属していた。それが急に訳の解らない学生運動上がりの連中がやって来て、しかも田中派を粛清するような真似までした。今までの常識が使えないだけではなく、これから何をしたいのかさえも解らない。

本当であれば、これを機会に機能不全に陥っていた旧日本型資本主義システムに徹底的にメスを入れるべきであろう。つまり、政官財暴が強く結託した八百長資本主義だ。それをしなければ恐らく20年後には日本はただの中小国に成り下がってしまう。だが守旧派の抵抗(例えばマスコミ)と、民主党の人材の乏しさのせいで、それはほぼ100パーセント実現不能に終わっている。

今後の日本の政治は一体どうなるのか?恐らく菅総理が退陣し、もしかすると何人か挟む可能性もあるものの、元の「田中派」対「岸派」の構想に戻っていくものと思われる。そして機能不全に陥っているシステムを変えられないまま、デフォルトは起こらないものの国債償却問題による長期金利の上昇及び円安、それに伴った心地よくないインフレ。そして長期投資がやりづらい環境になるために、技術力や人材の質の低下による生産性の低下。このような事がじわじわと起こると考えられる(官僚や一般の財界人がそこまで馬鹿ではないのでハードランディングは起こらないと願っている)。まあ、所謂「英国病」が日本社会で延々と続くのだろう。大量の移民に門戸を開放し、グローバリゼーションの波に乗るなどのアクロバッティックな政策を実現しない限り(しかし民主主義の日本では多分無理)、かなり難しい未来が私たちを待ち受けていると考えられる。

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