ほとんどの感染症モデルは、グロースモデルを基準としているため、常に時間が経過すると感染者は増え続ける。これはモデルの構築上は当たり前のことであるが、非現実的であり、経済系のイベントモデルでも、何らかのアクションを起こした後を同じモデルで「予測」することはナンセンスである。西浦モデルは説明には適しているが、予測には適していないと考えるべきだと思う。経済学ではよくある事だが、理論モデルは過去のことを説明する時には見事に当てはまる。なぜなら自分に都合の良い変数や確率分布カーブを当てはめるからだ。ただ、それがそのまま未来のことを予測できるかというと、大概失敗する。経済学のモデラーは、失敗ばかりしているので、こういった当たり前のことを学習している。感染症の専門家たちは、こういう実践が足りていないのではないかと首を捻ってしまう。(余談だが、経済系の分野では新商品の購入頻度を感染症モデルで予想することがあるが、まず当たらない。理論モデルとして、説明するためには良く出来ているが、予測には不向きである。)
説明には良いというのは、最低限の変数で感染者数の増加を説明できるという意味でだ。逆の言い方をすると、変数を減らすために色々なことを端折るからだ。今回の場合は、実行生産数という概念により、感染者数は指数的に増えていくというアサンプションに基づいたモデルなのだ。ここで大切なのは、指数的に増えるという予測はあくまでもモデルを構築した際のアサンプションであり、実数はそれにたまたま合致するという事実である。そして、実行生産数というものはあくまでも概念であり、その変数はオブザーブできない。利便的に何らかの観察値を使う(例えばベイズで計算する)のであるが、そういった値はあくまでもメジャメントエラー含みの数字である。このあたりのファクトがあやふやになっており、「モデルを基にした未来予測」と「将来本当に起こりうる事」がごっちゃになっている。経済学者であれば誰でも知っているが、この二つはすっぽんと月ほど違うものだ。
いずれにせよ、何らかの理由で日本ではイタリアやスペインやNYのような感染曲線を辿っていない。気候によるものなのか、自粛による効果なのか、手洗いマスク着用による公衆衛生によるものなのか、社会的なお互いの監視によるものなのか、元から免疫があるのか解らないが、いずれにせよ感染曲線は西浦教授が当初発表していたものからは大きく外れている。感染者数が当初想定よりも少なかったのか、上記のモデル外の要因のせいなのか、そのあたりの検証は絶対必要だと思うのだ。
テスト数の増加にもかかわらず新規感染者数が減っていることからも、概念的な実行生産数が減少傾向にあることは素人目で見ても推察できる。それも4月の上旬にはすでに減少し始めていた。感染者は指数的に増えるのだから、イベントを実行すれば、緩やかとはいえ指数的に減ると考えることが自然だ。
ここからは素人的な考え方だが、私は三密を避けている事と気候要因が大きな勝因だと思っている。ということは、5月の頭から三密を伴わない社会活動を早く再開させるべきだと思うのだ。適切な対策を取ったうえで学校などはいち早く再開させて、子供の学習機会を与えるべきだ。飲食業も、三密にならないような業態で再開を促すべきだ。安売りで回転を増やすという業種は成り立たなくなるので、値上げとかせざるを得ないし、それはきちんと政府が説明するべきだろう。昼食の時間も分散するように政府が要請するべきだろう。
冷房がかかる季節になると、そう言う場所での感染者が増えるだろう。冷房の使用に関しては社会的にある程度のコンセンサスを持つことが大切だと思う。いずれにせよ、11月後半くらいから徐々に感染者数が増え、12月くらいからまた自粛だと思う。早くしないと、経済活動できる期間が短くなってしまう。なぜこの程度の事を自民党の頭の連中は解らないのか?もし政府がアホなのだったら、知事などが頑張る必要がある。が、小池さんは自粛好きな人の支持を得て再選を目論んでいるし、ほとんどの知事は馬鹿だということが判明してしまった。吉村さん、頑張って。
私はこの文章で、西浦教授のことをディスリスペクトしているわけではない。西浦モデルは考え方の軸として非常に重要である。が、将来予測するためにはモデルを崩していき、色々な想定をする必要があると言っているだけである。ベストアベイラブルサイエンス(西浦モデル)にセカンド・サードオピニオンを足して、社会を豊かにするための政策とすることこそが、為政者の仕事だと思うのだ。
経済的な大問題が起きた時、西浦教授たちがスケープゴートに利用されることだけは避ける必要がある。自民党が仕事をしていないのだ。そこは間違えないように。西浦さんはきちんと自分の仕事をしている。
私はこの文章で、西浦教授のことをディスリスペクトしているわけではない。西浦モデルは考え方の軸として非常に重要である。が、将来予測するためにはモデルを崩していき、色々な想定をする必要があると言っているだけである。ベストアベイラブルサイエンス(西浦モデル)にセカンド・サードオピニオンを足して、社会を豊かにするための政策とすることこそが、為政者の仕事だと思うのだ。
経済的な大問題が起きた時、西浦教授たちがスケープゴートに利用されることだけは避ける必要がある。自民党が仕事をしていないのだ。そこは間違えないように。西浦さんはきちんと自分の仕事をしている。
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